休憩時間が取れなかった場合に罰則はある?【忙しくて休憩が取れない場合や自主的に休憩を取らない場合についても解説します】

記事更新日:2024年05月28日 初回公開日:2024年05月28日

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一般企業で働いている労働者は、休憩時間がもともと定められているため休憩時間が取れないといったことはあまり経験しないかもしれません。しかし客商売である接客業や飲食業、運送業の場合は決められた時間に休憩時間を取ることが難しい場合もあります。また人材不足に陥っている現場では休憩時間を回すことも難しい環境にあるかもしれません。しかし休憩時間は労働時間に応じて必ず付与が必要です。今回は休憩時間が取れなかった場合について解説していきますので、経営者の方は参考にしてみてください。

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休憩時間の基本

休憩時間は法による義務で付与しなければならない

休憩時間は法による義務によって付与しなければならない事が決められています。6時間未満の労働に対しては休憩時間は付与しなくてもいいとされていますが、6時間以上の労働には45分の休憩が労働基準法にて義務付けられています。8時間を超える場合には、1時間の休憩が必要です。労働基準法とは、従業員が労働を行う上での最低限の基準を定めた法律です。守られていない場合は、懲役もしくは罰金が事業主に科せられるようになっています。

雇用形態を問わず付与は義務化されている

休憩時間は基本的に、雇用形態を問わず付与が義務付けられています。休憩時間の対象が正社員のみと認識しており、ブラックバイトなどと言われる店では十分な休憩時間を与えていない事業主もいます。しかし休憩時間を付与することは正社員だけでなく、雇用契約を結んでいるパートやアルバイトに対しても必ず与えなければなりません。例外として管理職以上の立場であれば適用対象外とされますが、休憩時間を付与しなくていいということではないため注意が必要です。

休憩時間に関する3つの原則

一斉付与の原則

休憩時間には、3つの原則があります。一斉付与の原則は、社内で働いている従業員に対して皆で一斉に休憩時間を取る方法です。正社員だけでなく派遣社員やパート・アルバイトも同じ時間に休憩を取ります。しかし接客業を行っている企業や、運送会社・保育を行っている労働者など同じ空間で同時に休憩を取ることが難しい業種に対しては、一斉付与の原則の対象外となります。またシフト制を導入している企業は交代制で休憩を取る必要がある場合には、労働協定での合意が必要です。

途中付与の原則

休憩時間は始業前や終業後に付与することが禁止されています。このことから休憩時間は勤務時間の中で設ける必要があり、これが途中付与の原則となります。労働の疲れを癒やし労働者が健康に働くことを維持するための時間として、休憩時間があります。労働が始まる前や終わってから与えても意味がありません。残業時間などで追加の労働が必要になり、それに合わせて休憩時間を付与する場合にもなるべく早く休憩を取得してもらうことが大切です。

自由利用の原則

休憩時間は、従業員が労働から開放される貴重な時間です。そのため企業側が従業員の休憩時間に対して使い方を指示していては、従業員がリラックスする時間ではなくなってしまいます。そのため、休憩中に来客や電話対応などを依頼することは休憩時間とは言わず、自由利用の原則に反します。休憩中に対応をお願いする場合には、別で休憩できる時間を設けるようにしましょう。但し警察官や消防士・児童関連に従事している労働者に関しては、この限りではありません。

休憩時間に関する罰則と違反になるケース

休憩時間が守られない場合の罰則

法律で定められている休憩時間が、従業員に付与されていない場合は事業主に対して、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。人員不足やトラブルなどが原因で休憩時間を与えられないというケースは少なくありません。しかし雇用契約を締結した際に、企業は所定労働時間を明示しています。そのため、6時間もしくは8時間以上の労働をしているにも関わらず休憩を付与していなければ額面では労働基準法違反に該当します。

休憩時間のルール違反となってしまうケース

休憩時間中でも労働を強いられることがある

休憩時間を設定していても、ルール違反となるのは休憩時間中に労働を強いることです。休憩時間は先述した通り、労働から開放される時間です。簡単な仕事だからといって、電話対応や入力作業などを労働者に強いている状況では休憩時間とは言えません。事業主や使用者からすぐ実行するように指示され、作業を行っている時間は休憩時間ではなく労働時間です。こういった事をお願いしているにも関わらず休憩時間としている場合は、労働基準法に違反します。

始業前や終業後に休憩時間を取らされる

休憩時間を始業前や終業後に取らせることもルール違反です。休憩時間に関しては先述した3つの原則にもあったように、途中付与の原則が設定されています。原則のとおりに、休憩時間は労働時間の途中に取って貰う必要があります。そのため、繁忙期だからといって労働時間外にあたる始業前や終業後に休憩時間を付与することは違法になります。労働時間中であれば、度のタイミングで休憩を付与しても問題がなく、連続で難しい場合は細切れで付与することも可能です。

6時間以上の労働に対して休憩時間がない

6時間以上の労働を行っているにも関わらず休憩時間がない場合は、ルール違反に該当します。労働基準法において、労働時間に対してどのくらいの休憩時間を付与しなければならないのかは決められています。6時間以上の労働であれば45分、8時間以上の労働の場合は1時間の休憩時間付与が義務です。そのため、6時間未満の労働に関しては休憩時間を付与していなくても、問題はありません。45分と決められているのに対し、30分しか付与しない場合も違反となるため注意しましょう。

使用者側の管理不足で休憩時間が取れない

休憩時間は、使用者側の管理不足で取れない場合もルール違反として判断されます。トラブルが発生した場合や突発的に対応が必要になった場合など業務を行っていく中で発生する事も考えられます。こういった状況に陥ったとしても、休憩時間を付与しなくていいということではありません。どういった場合であっても、所定の休憩時間を取ることは労働者の権利です。突発業務やトラブルが発生した場合に、従業員に休憩を取らせなかったのは使用者の管理不足となり、労働基準法違反となります。

休憩時間の注意点

休憩時間を買い上げてはならない

休憩時間の注意点は、買上げを行ってはいけないということです。休憩時間は法律で労働を免除される時間です。労働から離れている時間であるため、休憩時間は賃金が発生していません。賃金が発生していない時間であるため、休憩時間を買い上げることは違法です。一部の企業では従業員に休憩を付与しない代わりに賃金を支給しているというケースもあります。しかし法的には認められていないため気をつけなければなりません。取れない休憩時間はどこかで補填する以外方法はありません。

労働者が自主的に休憩を返上した場合は責任がない

休憩時間は労働者が自主的に休憩を返上した場合、責任は発生しません。使用者や監督者が休憩時間を1時間と伝えていても、労働者がその時間より早く切り上げてきた場合などには、休憩時間が短くても違反にはなりません。管理者が労働者に対して適宜休憩を取るように指示していたのであれば、休憩を取得させようとした義務を果たしたとされこの場合は対象外とされます。但し、労働者に適切に休憩を取るように指導や指示を継続的に行うことは大切です。

休憩時間が取れなかった場合の対処法

業務都合により既定の時間に取れなかった場合

休憩時間が緊急対応や取引先対応など業務により、どうしても企業で決められている休憩時間に休憩が取れないということは起こり得ます。休憩時間は、特定の業種や労使協定を締結している場合を除き一斉付与である必要があります。企業で定めている休憩時間に休憩が取れない場合は、終業時間までに定められている時間分の休憩を取らなければなりません。但し休憩時間を翌日以降に繰り越すことなどは認められておらず、付与義務を果たしたことにはならないため注意が必要です。

人員不足で休憩が取れなかった場合

人手不足により、交代の時間になっても休憩に行けないというケースも少なくありません。しかし人手不足や人員の配置が不十分であるという問題は、使用者や事業者の責任であり従業員には関係ありません。人手不足により、従業員に適正な休憩を付与できていない場合は使用者の義務が果たせていない証拠です。指定している時間に休憩が取れない場合には、別の時間に休憩を付与しなければなりません。人員不足が原因であっても、休憩が取れていない環境は労働基準法違反になります。

労働者が自己判断で休憩を取らなかった場合

使用者が休憩付与義務を十分に果たしていても、労働者が自己判断で休憩を取らなかった場合には責任を問われることはありません。緊急性がないにも関わらず、従業員が早めに仕上げたいと考えている作業などが該当します。この場合、使用者や監督者が休憩を取るように指示しており業務に緊急性がなく労働者が勝手に休憩を返上したという状況が必要です。こういった状況に該当した場合は、使用者は責任を果たしていると言え責任に問われることはありません。

休憩時間を管理する際のポイント

スケジュールを見直す

休憩時間を管理する際には、スケジュールを見直すようにしましょう。緊急対応などで1日休憩時間をずらして取らなければならなかった場合など、一時的なものであれば他の時間で休憩してもらうなどすれば問題ありません。しかし高い頻度で休憩時間に設定している時間に対応しなければならないなどの状況が頻繁に起きているのであれば、休憩時間そのものを見直す必要があります。従業員がしっかりと休憩を取れる時間に設定し直しましょう。

休憩時間を分けたり適した環境を与えたりする

休憩時間を管理する際のポイントは、休憩時間を分けたり適した環境を与えることが大切です。8時間勤務で従業員に働いてもらっている場合、決まった休憩時間を設定しているはずです。しかしその日の業務の流れなどによっては1時間確保することが難しい日もあります。その場合は、30分を2回・15分を4回など分割して設定することで従業員が休憩を取ることが出来ます。短い休憩を複数回取ることで、疲労回復や集中力アップなどにも繋がります。

法的要件を満たしているかチェックする

法的要件を満たしているかチェックすることも、休憩時間を管理する上で重要です。休憩時間の3原則に則り、従業員に一斉に終業時間内で休憩時間を設定している企業であれば問題ありません。しかし接客業や運送業・飲食業など一律で支給することが難しい場合には、従業員に付与している休憩時間が法令違反になっていないのかしっかり確認することが大切です。従業員に所定の休憩時間を付与することは使用者や責任者としての義務です。

まとめ

規定を守って労働者に休憩時間を与えよう

休憩時間を付与できなかった場合に違法になる状況や、休憩時間が取れない場合の対処法などについて解説しました。休憩時間は、従業員の健康を維持し業務の生産性を上げるためには欠かせない時間です。労働基準法でも所定の労働時間に対して、付与すべき休憩時間は決まっています。休憩時間は労働者に与えられる権利です。休憩時間を十分に与えられていない場合は、早めの対策が必要です。休憩時間への理解を深め、規定を守って労働者に休憩時間を与えましょう。

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