記事更新日:2019年03月28日 | 初回公開日:2019年01月17日
外国人留学生の採用 外国人採用・雇用近年外国人採用について着目する企業が増加しています。
しかし日本に来ている外国人留学生の中には日本での就職を希望しているにも関わらず、就職できていない学生も多いようです。
そんな留学生と就職の現状と企業の課題、採用のポイントについてみていきます。
グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。
他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
近年、日本に留学してくる外国人学生は増加しています。
上グラフは平成16年度~平成29年度の留学生数の変化を表しています。基本的に増加傾向にあり、平成25年以降はとくに増加し続けています。
首相官邸から外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省合同で平成29年12月に出された統計によると6割以上の留学生がそのまま日本で就職したいと考えています。国内でも企業のグローバル化や海外進出、日本人の労働人口不足等で外国人採用の需要が高まっているので、外国人留学生の日本での就職は簡単なように思われます。
しかし上グラフからもわかるように、実際に日本で就職できている外国人留学生は約3割にとどまっています。それはなぜなのでしょうか?
日本において新卒が一括採用であることは珍しいことではありませんが、他の多くの国では通年採用やインターン等からの採用が一般的です。そのため日本の採用システムを理解しきれない外国人留学生は出遅れてしまいます。日本人学生の多くは夏のインターンや秋のインターンから就職活動を開始としていますが、外国人留学生のほとんどは3月の一斉解禁から就職活動を始めています。
外国人留学生は留学ビザを所有しています。しかしこの留学ビザでは日本での就職は許可されていないため就労可能な「技術・人文知識・国際業務」に変更する必要があります。しかし変更のためにはいくつかの条件を満たす必要があります。条件に関しては本記事の<留学生採用の注意点、採用企業の課題―在留資格の変更>にて記載しています。
処分数の増加に伴い許可数も増加していますが、全体の比率をみると減少してきています。不許可通知書が届いた場合、その通知書には理由が書いていないため理由ははっきりわかりません。例えばそもそも許可になるような案件ではなかった、本来許可されるケースであっても申請書の書類不備等があげられます。不許可理由を知りたい場合申請先の入国管理局へ出向き個室で審査官と対峙することはできます。この時点で2割ほどの留学生は日本の企業に就職できないことになります。
現在一般的には外国人留学生も日本人学生と同じ方法で採用している企業がほとんどです。
その理由としては、採用人数が少ないため特別対応ができないというのがあげられますが、日本人学生と同じとなると日本での就職事情がわからない外国人留学生は出遅れてしまいます。そこで、近年外国人留学生の人数も増えてきたことを受け日本語能力などを考慮する留学生枠を設けたり、従来の日本人と同じプロセスの採用ではなく、優秀な留学生を正当に評価しようと新しい採用方法の錯誤を始めたり、外国人留学生向けの合同企業説明会や就活サイトの開設等の取り組みが始まっています。
日本においてであれば進学や起業、それ以外には出身国に帰国し、就職等する場合が多いです。上にも記載してある通り、卒業後日本で就職したい留学生は6割以上ですが、実際就職できているのは希望者の約3割のみです。
前述の通り、6割以上の留学生は日本で就職したいと考えています。日本以外で就職を希望する留学生は日本での就職活動には参加しないと考えられるので、日本で就職活動している外国人留学生は日本でのキャリアに前向きであるといえます。外国人留学生を採用することによって日本でのキャリアに前向きな外国人人材を獲得できます。
日本の学校に通っていた外国人留学生は日本語のコミュニケーション経験が豊富です。中にはアルバイト等で日本語での接客経験がある外国人留学生もいます。その場合、日本語に加え中国語や英語などその学生の母国語も語学として生かせます。しかし、ビジネスの日本語と日常会話とでは異なるので、営業など顧客とのコミュニケーションが必要な場合は気を付ける必要があります。
外国人留学生は留学ビザを所有していますが、前述のとおり留学ビザでは日本での就職は許可されていないため「技術・人文知識・国際業務」に変更する必要があります。しかし新規に日本での就労経験がない外国人が新規で日本での就労ビザを取得する場合に比べ、条件や手続きがわかりやすくなっています。
外国人留学生は日本に慣れている分採用しやすい面もありますが、必ずしも留学生採用がよいというわけではありません。時と場合によっては中途で外国人採用を行った方がよい場合もあります。
新規プロジェクト等で即戦力を求める場合は外国語が必要な場合でも中途採用などで勤務経験のある外国人を採用する方が良いでしょう。
外国語ではなく日本語でのコミュニケーションを重視するなら、外国語のできる日本人を採用したほうが良い場合もあります。採用の際にはどのくらいの語学力を求めるかを明確に決めておいた方が良いでしょう。
外国人留学生の採用は新卒採用であるため、ほとんどの場合職務経験がないと考えられます。また、外国人留学生が日本で就職するためには就労可能な在留資格が必須であるため採用する際は注意しなくてはなりません。
外国人留学生が日本の企業で働く場合、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」という在留資格に変更しなければいけません。
この際以下のような条件があります。
〇外国人が会社で行う活動が「技術・人文知識・国際業務」などの業務に該当すること。専門的・技術的な業務であること。
〇外国人が大学・専門学校(専門士)の卒業証書もしくは卒業見込証明書を持っていること。大学・専門学校の選考内容と、従事する業務が関連すること。または語学など外国文化に基盤を持つ志向・感受性を要する業務であること。
また、企業側は以下のような審査があります。
・従事予定の業務が、外国人本人の持つ知識・技術などを生かせるものか
・同じ仕事をする日本人と同等以上の給料が支給されるか(処遇、雇用契約の内容)
・勤務先の事業の安定性・継続性、規模、事業内容、雇用の必要性はどうか
外国人留学生を採用する以上、語学力に注意する必要があります。例えば日本語力のみでなく、できる言語の種類とレベル、これからの語学(日本語)習得への意欲などがあげられます。これらを自社の仕事内容や研修制度と照らし合わせながら求める人材を明確にしておきましょう。
職務経験のない外国人だからといって外国人留学生が安く雇えるわけではありません。むしろ前述のとおり在留資格取得の際の審査には「日本人と同等以上の報酬」という取得要件があるため、これが満たされない場合外国人留学生は就労できません。
こちらも在留資格変更条件の「大学・専門学校の選考内容と、従事する業務が関連すること。または語学など外国文化に基盤を持つ志向・感受性を要する業務であること。」にあるとおり注意するべき条件の一つです。こちらも満たされていない場合外国人留学生は就労できません。
これは外国人留学生の採用に限ったことではありませんが、外国人留学生を採用するためには通常のものに加え、在留資格の変更条件を満たさなくてはいけません。この変更条件も参考にし、求める技術や経験、語学力や習得言語等から今企業に必要な人物像を明確にしておきましょう。
上グラフは株式会社ディスコが実施した「2019年度 外国人留学生の就職活動に関する調査結果」の中の企業研究する上で必要な情報ともっと発信してほしい情報についてまとめられたものです。これによると、外国人留学生が企業研究をする上で最も知りたい情報は<外国人留学生の採用実績>であり、これは6割以上の学生がもっと発信してほしい情報としています。上グラフを参考にこれらの情報をまとめた外国語対応の外国人留学生向けページを作成するのもよいかもしれません。
上グラフは株式会社ディスコが実施した「2019年度 外国人留学生の就職活動に関する調査結果」の中の日本の就職活動について、おかしいと思った制度や習慣についてまとめられたものです。日本は就職活動の独自性が強いため、日本の採用システムに対応できない外国人留学生も多くいます。例えば、新卒一括採用システムや服装など制度面に加え、日本人学生と同じ筆記試験で判断されるなど言語能力面は外国人留学生にとって難関ポイントとなります。ほかにも採用ステップの多さや就職活動時期を疑問に思う留学生もいるようです。外国人留学生枠を設ける際はこのようなことに目を向けてみてください。このような意見を参考にすることによって、異国文化や日本で働く外国人について理解のある企業と思ってもらえるかもしれません。
留学生枠を設けることにも類似していますが、インターンシップからの採用や通年採用など、外国人留学生にも馴染みのある方法を利用するのもよいかもしれません。
新卒留学生に限らず外国人を採用する上で企業側も迎え入れるための準備が必要です。
在留資格には就労の可否、期間など様々なものがあります。トラブルを防ぐために特に人事担当者は在留資格についての理解が欠かせません。今回の新卒留学生の場合、在留資格「留学」からの変更になるので前述のような条件を満たす必要があります。せっかく内定をだした留学生が在留資格の不許可で入社できないとなってはもったいないですよね。
採用された外国人社員は、採用に関わっていない多くの社員と共に働きます。採用関係者だけが外国人社員への理解を深めても意味がありません。外国人社員を採用する目的を明確にし、社員の理解を得ることや共に働く日本人社員へのフォローも必要です。言葉のとらえ方、文化の違いなど、何かあった際その都度改善・相談できるような環境を作りましょう。
前述のとおりですが、外国人留学生向けの枠を作る、インターンからの採用や通年採用するなどの方法で外国人留学生が就職活動しやすい募集方法を検討してみるとよいでしょう。
言語は外国人採用を始めるうえで最も気にするところではないかと思います。日本語スキルを確認する際は、読み・書き・会話それぞれを業務に近い形で確認しましょう。
マニュアルや研修が日本人視点になっていないか見直してみましょう。言語面ももちろんですが、日本人なら当たり前であることも外国人からすると初めてのことかもしれません。
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