記事更新日:2020年05月25日 | 初回公開日:2020年05月21日
外国人留学生の採用 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド特定活動46号によって、外国人留学生が卒業後に単純労働も就業可能になりました。今まで就職できなかった業種、たとえば製造業等の現場、飲食店、スーパー、コンビニエンスストアなどのサービス業の現場などで働けることに。いずれも、現在「人手不足」と言われている業種がほとんどです。ただし条件があり、現場の仕事のみに従事することは認められず外国人のお客様への通訳や技能実習生への指示など、語学を活かした業務を兼務しなければなりません。
特定活動とは通常許可されない活動を特別に許可したもので「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定義されています。特定活動は「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」や「日本人配偶者」「永住者」などには該当しない「その他の活動」にあてはまります。具体的には、外交官等の家事使用人、インターンシップ、ワーキングホリデー、アマチュアスポーツ選手、経済連携協定に基づく外国人看護師、介護福祉候補者等が特定活動など。2020年5月現在、46種類の特定活動があります。外国人留学生が在学中に就職が決まらず、卒業後も就職活動を引き続き行う場合も特定活動の許可が必要です。
特定活動46号が制定されたのは、日本の大学を卒業した留学生の国内就業率を上げるためです。2016年の日本再興戦略で「外国人留学生の就職率を3割から5割に向上させる」という閣議決定に基づくもの。有効求人倍率の高いサービス業や製造業などの業界で、日本語を話せる優秀な外国人の採用を求める声が強い一方、それは在留資格の制限上、非常に実現が困難。大幅な規制緩和で、大学・大学院卒業後の外国人の就労者を増やすことが求められたのです。
外国人留学生は一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」では、飲食店及び小売店などのサービス業や製造業の作業員として就労することは不可能でした。つまり留学生は、卒業後、単純労働に就業できなかったということです。それが特定活動46号の告知により、日本の大学や大学院を卒業した、日本語力の高い外国人留学生の卒業後の就業禁止規制が緩和されました。禁止されていた製造業の単純労働や飲食店、小売店など販売スタッフ職に従事することが可能になったのです。
2019年5月30日の法務省告示が改正により、在留資格「特定活動」による新しい外国人従業員の受入れ方法が創設されました。日本の大学卒業者が日本国内にある企業において、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することが可能になりました。特定活動46号告示は日本の大学等において修得した広い知識、応用的能力等のほか、幅広い業務に従事する活動を認めるものです。この特定活動46号告知で在留できる期間は、5年以下で申請可能。申請した外国人の在留期間は出入国在留管理局によって個別に決定されます。
「法務大臣が永住を認める者」には3つの条件があります。「素行が善良であること」「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」「その者の永住が日本の利益に合致すると認められること」の3条件。各条件にはさらに細かな条件があり、3番目の条件の中に「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること」という基準があります。これは在留期間の評価基準。特定活動46号による在留5年もひとつの有効な実績です。
特定活動46号の在留資格が得られる条件には、フルタイム雇用であることという条件があります。フルタイム、つまり会社に常勤で雇用されることが条件です。常勤であれば、正社員、でも契約社員でも構いません。ただし、常勤であったとしても、派遣社員は不適合。アルバイト、パートも条件に不適合です。また会社の雇用条件が、同学歴の日本人と同等以上である必要があります。給与の基本給や昇給額も、日本人社員と、最低限同じレベルでなければなりません。
申請できる条件として、日本の大学または大学院を卒業し、学位を授与されたこととなっています。中退者や、海外大、短大、専門学校卒は対象外です。ただし日本の大学院または大学院の学位を持たない場合、職種によっては「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」での就労が考えられるでしょう。「技術・人文知識」では、理系のエンジニアやプログラマー、文系の経理、人事、総務、法務など。「国際業務」の代表格は翻訳・通訳。「特定技能」は、宿泊業、介護業、外食業等、14業種の分類があります。
特定活動46号の申請には、「日本人の労働者と同等額以上の賃金を得ていること」という条件があり、昇給面を含め、日本人大卒者・院卒者と同等額以上の報酬である必要があります。これは申請者ばかりでなく採用する企業側でも考慮すべき課題でしょう。考慮すべきは、同じ業務に従事する場合の給与相場や、採用対象となる外国人の母国での実務経験など。採用企業はそれらの条件・経験が加味された報酬であるかどうかも考慮に入れて、報酬額を決定する必要があります。
特定活動46号で就業可能な仕事として、ホテルや旅館のサービススタッフがあります。ホテルや旅館において、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業を行うものや、外国人客への通訳を兼ねた案内業務などの業務内容が可能です。また、他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うことも可能でしょう。外国人や外国語の対応だけでなく、あわせて日本人に対する接客を行うことを含みます。ただし、単純作業とみなされる「客室の清掃」にのみ従事することは認められません。
従事する業務内容に今まで勉強してきた素養が、一定水準以上の業務に含まれていることが就労条件であり、「小売店の販売スタッフ」も就業可能職のひとつになります。小売店において、仕入れや商品企画等とあわせ、通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務が可能になりました。外国人客だけではなく日本人に対する接客販売業務を行うことを含みます。ただし、商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは、単純作業への就業だけとみなされるため認められません。
飲食業界は慢性的な人手不足に陥っており、特定活動46号の告示以前から飲食業も外国人採用のニーズが高い職種でした。そこで特定活動46号告示では「飲食店の接客」も就業可能業種となっています。「飲食店の接客」は、飲食店に採用され、店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行うもの。それにあわせて、日本人に対する接客を行うことを含みます。ただし、単純作業とみなされる「厨房での皿洗いや清掃」にのみ従事することは不可です。しかし、厨房での皿洗いや清掃業務についても「接客業務」にあわせて作業する限り問題はありません。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年、日本では介護職員が約38万人不足するといわれ、人材確保が急務とされています。介護職は採用施設側の「外国人採用」へ関心が高まっている業種です。これは介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り、介護業務に従事するもの。施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは、単純作業への就業だけとみなされるため、認められません。
高度経済成長時代の日本の製造業を支えてきたのが、工場のライン作業者。海外に製造拠点が移り、国内での作業者数は減少したものの、産業構造の変革や少子化が進み、再び労働力不足となる業種。製造ラインのスタッフは、工場のラインで日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し、外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入る業務です。製造ラインスタッフは特定活動46号告示で就業可能職ですが、ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。
昨今の外国人観光客の増加に加え、特に東京オリンピック開催に関連して、外国語を話すドライバーに期待が高まっています。タクシードライバーも就業可能職のひとつ。タクシー会社に採用され、観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ、自ら 通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの。それに併せて、通常のタクシードライバーとして乗務することを含みます。ただし、車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。
特定活動46号の申請に必要な書類は、ほぼ通常の就労ビザの申請と同じものです。ただし、特定活動の資格証明に特有の添付文書の内容が異なってきます。「在留資格変更許可申請書」、「写真」、「返信用はがき」は同じ。通常の就労ビザの「技術・人文知識・国際業務」の「区分」に該当することを証明する文書」が、「日本語能力を証明する文書」となっています。「専門学校の卒業を証明する文書」が「学歴を証明する文書」になり、日本の大学・大学院の卒業証明書となります。
特定活動46号の申請で、申請人に関する書類は、まず「在留資格変更許可申請書」。「写真(縦4㎝×横3㎝)」これは申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽・無背景・鮮明なもの。「返信用はがき」。「学歴を証明する文書」これは卒業証書(写)や卒業証明書等で、日本の大学等を卒業していることと、学位の証明書。それから「日本語能力を証明する文書」とは「日本語能力試験」N1、または「BJTビジネス日本語能力テスト」480点以上を証明する文書です。
特定活動46号の申請に際して、採用企業側でもそろえるべき資料があります。勤務先会社等に関する書類はまず「活動内容や労働条件を明示する文書」で、労働条件通知書、雇用契約書、採用内定通知書等のことです。次に「雇用理由書」で、所属機関が作成した所属機関名及び代表者名の記名押印が必要。そして「登記事項証明書」と「勤務先の状況がわかる資料」、これは勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等 が記載された案内書です。
特定活動で在留資格の許可がおりる条件は、フルタイム、つまり会社に常勤で雇用されること。常勤であれば、正社員、契約社員ともに問題はありません。ただし、常勤であったとしても派遣社員は不適合です。アルバイト、パートも条件に不適合。 同等の学歴、スキルを持つ日本人と同等の条件での雇用促進という考え方に根差すと考えられます。従来、外国人研修生は専業の派遣会社を通した採用となっていましたが、今後は常勤社員化への促進が見込まれるといえます。
特定活動46号告示により留学生の雇用が拡大します。本資格で採用できる外国人は、大学や大学院で少なくとも4年以上は日本に在留しています。すでに日本の文化やコミュニケーション方法を理解しており、特にアルバイトからの正社員雇用だと即戦力となることが期待できるでしょう。採用企業側は日本で働きたい外国人留学生と上手に付き合い、ポテンシャルをを活かすことで雇用の確保が期待できます。ただし、条件が厳しいため就職を希望する留学生、採用企業側ともに制度をきちんと理解しておくことが重要です。
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