ヒューマンエラーとは【原因や事例、対策方法などを解説します】

記事更新日:2023年08月03日 初回公開日:2023年08月03日

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ヒューマンエラーは機械の誤操作や確認ミスなどの人為的な要因で起こるトラブルのことです。ミスは人間であれば誰にでもありますが、人の行動は完璧に予測することができないのでヒューマンエラーは完全な防止や予測を立てることが困難です。そのため、都度トライ&エラーを繰り返し、対策を立てる必要があります。しかし、ヒューマンエラーを防ぐためには具体的にどのような対策を立てれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。今回はそんなヒューマンエラーについて、原因と対策を実際に起きた事例を交えてご紹介していきます。

ヒューマンエラーとは

人為的な要因によって望ましくない結果が発生すること

ヒューマンエラーとは人間によって引き起こされたトラブルやミスのことを指す言葉です。具体的な例を挙げるなら、文章をPCで作成する際に生じる誤字と脱字や、車と車の衝突などの事故も人為的な要因によって起こるのでヒューマンエラーと言えます。ヒューマンエラーには様々な原因が考えられますが、上記の車両事故のように一歩間違えると甚大な被害を及ぼす事件に発展しかねないことがあります。また、人間は行動を完全には予測できないので、ヒューマンエラーは防ぎにくいという特徴もあります。

ヒューマンエラーの種類

コミッションエラー

想定と異なる行為がなされた時に発生するエラー

コミッションエラーとは簡単に説明すると、やらなくて良いことをやってしまったことで発生するエラーのことです。ヒューマンエラーは上記の「不要な行動をした場合」と「必要な行動をしなかった場合」に起こると言われています。具体的な例を挙げるなら、Excelを操作している際に誤ったキーを押して関数を壊してしまった、取引先に電話を掛ける際に間違えて別の場所に電話をしていたことなどが考えられます。また、これ等のエラーが起こりやすい状況は一般的に不慣れな作業に就いている場合などが想定されます。

オミッションエラー

やるべきことをしなかったことで発生するエラー

オミッションエラーはコミッションエラーとは対照的に、やらなくてはいけないことをやっていなかったことで発生するエラーです。具体的には最終チェックを飛ばして進めたことで間違った金額で請求書を出してしまった、取引先から上司への伝言を連絡し忘れていたことなどが例として挙げられます。オミッションエラーは普段行っている業務に慣れている人が起こしやすく、大半の場合はケアレスミスで引き起こされると言われています。

ヒューマンエラーに含まれないもの

故意に引き起こされたエラー

ヒューマンエラーはあくまで意図せず起きたエラーのことを指す言葉です。そのため、嫌がらせなどの意図を持ってわざと引き起こされたエラーに関してはヒューマンエラーに該当しません。また、機械の故障や天候不良でのイベント中止など、人為的ではない原因で起きたエラーもヒューマンエラーとは言えません。しかし、点検不足や修理のミス、天気予報の確認を怠ったなど、エラーが起こった一因に人の手が関わっていると上記のケースもヒューマンエラーとなることがあります。

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ヒューマンエラーの原因

認知や判断のミス

ヒューマンエラーで考え得る原因の1つは認知や判断のミスです。例えば仕事で得た情報を誤って覚えていた、認識は正しいものの誤った判断を下してしまった場合、ヒューマンエラーが起きた原因は認知や判断のミスであると言えます。2つの原因で共通していることは、ミスをした人の中で思い込みや決めつけがあったということです。思い込みや決めつけは無意識に行われるものなので、上記の要因で起こるヒューマンエラーは防止するのが難しいという特徴があります。

知識やスキル不足

ヒューマンエラーは知識やスキル不足でも引き起こされます。何故なら、通常現場でより多くの知識とスキルや経験を有している人は、先に起こる出来事を知識や経験の無い人より予測しやすくなります。しかし、逆に言うと知識等が不足していると今後起こる可能性のあるトラブルやミスを予測できないからです。そのため、現場の人に知識やスキルが不足しているとヒューマンエラーが起きやすくなってしまうと言えます。このような理由からヒューマンエラーを防ぐためにも現場の人員には十分な知識やスキルが求められます。

慣れによる手抜き

ヒューマンエラーの中でも特にありがちな原因は慣れによる手抜きです。これは入社1年目から管理職の人まで幅広い層に多く見られます。人は新しいことを始めた当初は緊張感を持って作業に取り組めますが、慣れてくると作業に必要な工程や確認を飛ばしてしまう少なくありません。また、手抜き作業でエラーが発生しなかった場合、手抜きでも問題無いとトラブルの危険を軽視しがちになるという悪循環に繋がることもあります。これが常習化すると深刻なエラーに発展し甚大な被害を及ぼす危険性があるので注意が必要です。

情報共有不足

情報共有不足によるヒューマンエラーは、特に新人と教育係や上司と部下の間で起こりやすいエラーです。具体的には緊急時の連絡が遅れて起きたエラーや、必要な情報を上司の方が伝えなかったため、新人や部下がミスを犯した場合などが例として挙げられます。特に新人や部下のミスに関しては本人の問題としてとらえられがちです。しかし、問題の根底には「このくらい言わなくてもわかるだろう。」という上司側の思い込みがあることも考えなければなりません。

コミュニケーション不足

コミュニケーション不足で起こるヒューマンエラーは上記の情報共有不足と性質が被る部分があります。これは同僚同士が複数人で業務にあたる際に起こりやすく、情報の伝達漏れや誰かがやっていると思っていたら誰もやっていなかったというようなエラーが該当します。コミュニケーション不足によるヒューマンエラーは単純なうっかりミスというだけでなく、職場の雰囲気や人間関係が関連している場合もあります。そのため、上記の要因がエラーの元として考えられる場合は職場の人間関係にも注目してみましょう。

ヒューマンエラーの事例

みずほ証券での株の誤発注

事実の誤認や慣れによる確認不足で起こったヒューマンエラーの事例にはみずほ証券の株の誤発注事件が挙げられます。この事件は2005年に同会社の担当者が「61万円1株売り」の注文を「1円61万株売り」とPCに入力してしまったことが原因で起こりました。発注時にはPCに警告文が出ていましたが担当者は無視してしまい、結果的には400億もの損害を出してしまいました。この事件はジェイコムショックとも呼ばれ、当時の株式市場を混乱させるだけでなく、後に損害賠償請求訴訟にも発展しています。

社会保険庁での年金記録

2007年には社会保険庁で約5000万件以上の持ち主不明の年金記録の存在が発覚しています。これは後に消えた年金問題と呼ばれ、大きな問題となりました。この問題は当時加入する制度によって別々に付与されていた番号を基礎年金番号として統一する過程で発生したと言われています。原因としては当時の年金システムがカタカナ入力だったため、名前の漢字を読み間違えて入力していたことや、結婚に伴う苗字の変更が反映されていなかったことなど情報管理の不備が挙げられます。

新幹線での車両亀裂

2017年に起きた新幹線の車両亀裂事件も原因はヒューマンエラーと言われています。この事件は博多駅発のぞみ34号の走行中に異常な音や異臭が発生し名古屋駅で停止したことが発覚のきっかけとなっています。停止後調査をしたところ車両の台車に亀裂が入っていたことがわかりました。亀裂の発生や発覚が遅れた原因には製造や発車前の点検、異常発生時の判断や伝達などの過程で様々なミスがあったと言われています。そのため、必ずしも1人のミスではなく、個々人の認知や判断ミスなどが招いた結果とも言えるでしょう。

ヒューマンエラーの対策方法

事前に検知できる仕組みを整える

エラー発生時の早期発見や発生前の段階でミスを発見し対応するためには、事前にエラーを検知できる仕組みを整えることが重要です。1人で初めから終わりまで作業を遂行する業務では、どうしても思い込みが生じやすくミスに繋がる可能性があります。認知や判断のミスは1人では防ぎにくいという特徴もあるため、必ず最後には第三者のチェックを挟む「ダブルチェック」を導入しましょう。これを行うことで間違いがあってもすぐに気づきやすくなります。また、確認に複数の人を入れることで、1人が責任を背負うこともなく責任を分担できるという利点もあります。

エラーの事例となる情報を収集する

ヒューマンエラーを防ぐためにはエラーの事例となる情報を収集し、事前に問題発生のパターンを掴んでおくのも有効な対策の1つと言えます。事前に同業で発生した事例を学んでおくと、防止策だけでなく万が一エラーが発生した時にどのような対応をとれば良いのかもわかります。これを行うことで緊急時にも迅速な対応が可能になり、当事者の不安の払拭や冷静な判断を助けることにも繋がります。また、ヒューマンエラーの原因の一つである知識や経験の不足も事例の収集で補うことが可能です。

エラーの原因を分析する

ヒューマンエラーが起きた際にはトラブルを解決して終わりではなく、エラーはどのようにして起こったのか原因を分析することでも再発防止は行えます。エラーは何の原因も無く起こるものではありません。原因を明らかにしないまま放置すると同じエラーが何度も繰り返されることになり、そのたび解決のためのリソースを割かなければいけなくなります。そのため、原因の分析と対策案の策定はヒューマンエラー対策の中でも特に大切です。分析の方法としては当事者への聞き取りや当時の状況の再現などが有効です。

エラーの対策を講じる

エラーを分析し原因究明ができたら対策を講じましょう。ヒューマンエラーの対策には様々な案がありますが、共通して利用できるのは緊急時のマニュアルを作成しておくことです。「こんな時はどうすれば良いか」という例を目に見える形で残しておくと、経験や知識に乏しい人でも焦らず対応できます。さらに、マニュアルは通常業務用も作成するとミスの発生時にもその時の状況とマニュアルを照らし合わせれば早期の原因究明に役立ちます。また、複数人が同じ内容のマニュアルを共有すれば、人によってやり方が違うことで起こるミスや混乱も防止可能です。

機械やデジタルツールを導入する

ヒューマンエラー対策では機械やデジタルツールを導入し、業務上の負担を軽減するのもおすすめです。具体的な例ではタスク管理ツールを導入しチーム全体のスケジュール管理をすることで連絡ミスによるエラーを防止できます。さらに、AIチャットの導入や受発注システムの自動化など、細々とした業務をツールに任せた方がケアレスミスを防げる場合があります。また、それだけでなく従業員のタスクも大幅に減ることになるので、業務圧迫が原因のオミッションエラーの対策にも繋がることが予想されます。

まとめ

ヒューマンエラーを最小限に抑えてミスを抑制しよう

人は誰でもヒューマンエラーを引き起こす可能性があります。その原因は人によって様々であり、多くの場合無意識に行われた行動で引き起こされます。このような理由から、自分自身でミスに気付くことは難しく、ヒューマンエラーは完全に防ぐことはできません。しかし、過去に起こった事例を学び知識を保有すれば防止策を講じることは可能です。また、ミスの抑制だけでなく、ミスをした後のフォロー体制を整えることも同じくらい重要です。そのため、ヒューマンエラーの発生や発生時の被害を最小限に抑えるためにも、協力体制を築き対応策を考えていきましょう。

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