記事更新日:2023年08月03日 | 初回公開日:2023年08月03日
用語集 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンドセカンドハラスメントとは、ハラスメントの被害者が二次的に被害を受けることを意味します。掘り下げると、ハラスメントの被害に遭ったことを相談した上司や事実を知っている同僚など周りの人間により、不当な扱いを受けることです。例えば、被害者側が責められることやハラスメントの事実を言いふらされる、嫌がらせをされるなど、被害者が精神的にダメージを受けることが該当します。自覚のないままセカンドハラスメントにつながっていることもあるため、注意が必要です。
ハラスメントの被害者が責任を問われることは、セカンドハラスメントに該当します。例えば、セクハラの被害に遭ったことを相談した場合、「あなたが露出の多い服を着ているから悪い」「気軽に食事に行くから悪い」などと言うことです。ハラスメントの事実を問題視せず被害者を責めると、被害者は泣き寝入りすることになるでしょう。そのような職場ではハラスメント行為が横行しても対処してもらえないと感じ、従業員からの不信感につながります。
ハラスメントした従業員によっては、被害者側がペナルティを受けるという理不尽な対処を受けることもあります。例えば会社の重役であった場合は対処が難しく、被害者側が移動を命じられるなどです。ハラスメント行為が認められた場合、異動や懲戒処分を受けるのは加害者であるはずです。被害者がペナルティを受けることは、立派なセカンドハラスメント言えるでしょう。被害者に精神的苦痛を与えるだけでなく、職場環境の悪化にもつながります。
ハラスメントの事実を信じてもらえないことも、セカンドハラスメントにつながります。会社で評判の良い従業員や優秀な従業員が加害者となった場合、「あの人がそんなことをするはずない」と相談に応じてもらえないことがあります。ハラスメントは人目に付かないような場所で起こっていることが多いです。被害者は自分が受けているハラスメントを信じてもらえないまま、働くことになるでしょう。ハラスメントの事実を否定されることは、セカンドハラスメントです。
被害の相談をしたことが加害者に伝わると、顔を合わせづらくなります。同じ職場で働きづらくなるという点で、セカンドハラスメントになります。被害者は円満に解決したい気持ちや、加害者に逆恨みされることを恐れる気持ちもあるでしょう。被害者の立場を考えず加害者にすべて話してしまうのは、不適切と言えます。ハラスメントを相談された側の配慮不足が原因となることが多いです。懲戒処分の際にも、被害者の情報は出さないよう十分に注意する必要があります。
被害者が会社に居づらくなることも、セカンドハラスメントによるものと言えます。ハラスメントが原因で、他の従業員の態度が変わることもあるためです。例えば、他の従業員の間で噂されることや、ハラスメントを相談したことを理由によそよそしくなるなどです。「あの人はすぐに告げ口する」「周りが気を遣ってしまう」など、ハラスメントを相談したことが悪いかのように言われることもあります。被害者が働きやすい環境の確保も必要不可欠です。
ハラスメントの事実について自分の価値観を押し付けることも、セカンドハラスメントになります。被害者の心情をくみ取らず、自分勝手に解決しようとする行為です。例えば、「自分ならそのくらいはハラスメントと思わない」「社会人ならそれくらい我慢して当たり前」という、偏った考えで物事を判断することが挙げられます。事実関係を詳しく知って客観的に考えられないと、被害者が不当な扱いを受けることになり、セカンドハラスメントにつながります。
被害者の立場を強調してプレッシャーをかけることも、セカンドハラスメントに該当する行為です。被害者にとっては、我慢を強要するように言われていると捉えてもおかしくはありません。例えば、「ハラスメント行為が知られれば出世に響く」など被害者にデメリットがあるような言い方をしてプレッシャーをかける行為が該当します。相談された側は問題が大きくならないようになんとか対処しようとしていても、被害者にとっては脅しのように感じるでしょう。
加害者を擁護するような発言は、被害者にとって真剣に相談に応じてもらえなないように感じ、セカンドハラスメントにつながります。加害者を擁護することで、相談者も加害者の見方をしているように感じるためです。例えば、「もともとああいう人だから」「悪気はないから」というような発言は、被害者にとってはハラスメント行為が軽んじられているように思うでしょう。被害者をなだめて穏便に済ませようと思っていても、立派なセカンドハラスメントにつながります。
被害者をモンスター扱いすることは、セカンドハラスメントにつながります。心情をくみ取らずに被害者が悪いような言い方をし、尊厳を傷つけるためです。従業員の中には、業務上必要な注意をしただけでもパワハラ行為として会社に不利益をもたらすために訴える、モンスター社員も実際にいます。しかし、ハラスメントの事実は客観的に捉え、被害者をモンスター社員であると責めるような言い方にならないよう注意しなければいけません。
セカンドハラスメントが起こる大きな原因の一つとして、相談を受けた人や周囲の人が被害者の気持ちに寄り添っていないことが挙げられます。相手がハラスメントを受けてどう感じているかではなく、ハラスメントの事実のみに目を向けている場合に起こりやすいでしょう。相談された側がハラスメントを軽く捉えたりもみ消したりしようとすると、精神的ダメージを受けている上、不当な扱いを受けているように感じます。そのような状況で、セカンドハラスメントにつながります。
相談される会社側や周囲の人々がセカンドハラスメントについて理解が足りていないと、セカンドハラスメントは起こりやすくなります。被害者の心情を理解しないと、自然と加害者になってしまうためです。ハラスメントに対して注目が集まるため、その後の被害者の精神状態にまで想像力が働かない人も多いでしょう。従業員へのハラスメント教育の際は、セカンドハラスメントについても理解できるように教育内容に含めておく必要があります。
会社側がセカンドハラスメントに対する意識が薄く、社内への周知が不足することもセカンドハラスメントの原因となります。「雰囲気がいいから」「まじめな人ばかりだから」という理由で何の対策もしていないと、いざハラスメントが発生した時に対処が遅れます。自社の従業員を信頼することも大切ですが、従業員のハラスメント教育による問題意識の醸成や社内規則の徹底、相談窓口の設置などを行い、ハラスメントが起こったとしても従業員が問題意識を持って解決できる環境づくりが必要です。
セカンドハラスメントの相談を受けた際は、傾聴に徹して内容を的確に把握することが重要です。ハラスメントの被害者は、ハラスメントについて話すことにも精神的な負担がかかっているためです。ここで、「それは考えすぎですよ」など個人的な感覚で言葉をかけると、被害者は余計にダメージを受け、本音で話せなくなる可能性もあります。被害者が感じたことに着目し、どうすれば解決できるのか考え客観的に改善策を見出すことが大切です。
ハラスメント被害の相談を受けた際は、専門家や信頼できる上司に相談して一人で対処しないようにしましょう。相談する上司は他言無用を守れる人で、客観的な解決策を考えられる人が望ましいでしょう。会社に相談窓口がある場合は、窓口に相談することも有効といえます。ハラスメント行為は会社の問題として捉え、対応することが必要不可欠です。噂になると被害者が会社に居づらくなる状況になることもあるため、細心の注意を払って対処することが重要です。
会社側に相談した場合、セカンドハラスメントとなり得る二次被害を防止するように要求する必要があります。会社としてもセカンドハラスメントの放置は法的な責任を問われ、慰謝料の支払いや信頼を失うことにつながるなど重大なことです。会社の理解を得られるよう説明すれば、正しい対処方法をとってもらえるでしょう。会社に二次被害の防止を要求した上で協力を得ることで、セカンドハラスメントの防止につなげることができます。
会社が適切な対応を取らずにセカンドハラスメントが起こった場合、慰謝料を請求しましょう。セカンドハラスメントは違法行為なので、慰謝料はセカンドハラスメントの加害者と会社側に要求することが可能です。また、対応の遅延や相談窓口が整備されていないことなどについても、会社の責任についても言及することができます。会社との交渉が上手くいかない場合やもみ消されそうな場合は、労働審判や裁判などに訴えるという手段もあります。
セカンドハラスメントの主な事例や原因、対処方法を紹介しました。従業員の問題意識の低さや想像力の欠如なども大きく影響するため、自覚のないままセカンドハラスメントにつながることもあります。セカンドハラスメントの拡大を防止するためには、会社を巻き込んだ問題解決への取り組みや、普段からのハラスメントへの問題意識の醸成が必要不可欠です。セカンドハラスメントに適切な対処をし、従業員が働きやすい環境を作りましょう。
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