EVPとは【設計の手順から具体的な事例まで徹底解説します】

記事更新日:2021年09月08日 初回公開日:2021年07月08日

用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報
近年少子高齢化に伴う労働力不足で、企業が個人を選ぶ時代から、企業が個人に選ばれる時代に変化しています。そもそもevpとは、企業が個人に提供する価値はどのようなものなのかを考えるもの。この記事では、evpの具体的な事例やメリット、そして作成手順をお伝えします。優秀な人材を確保し、長く働いてもらいたいと考えている採用担当者の方にぜひ読んで頂きたい内容です。どのようなevpを取り入れるべきなのか、考えていきましょう。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

evpとは

従業員価値提案のこと

evpとは、従業員価値提案のこと。個人が企業にもたらす価値を考えるのではなく、企業が個人にどのような価値を提供できるのかを考えるのがevpです。evpは、英語のemployee value proposition の頭文字を取っています。evpを作成すると、企業が個人にもたらす利益を言語化と視覚化でき、発信することができます。evpには従業員や求職者に対する制度の整備だけでなく、成長ややりがいなどの仕事に関する無形の付与価値も含まれています。

evpが広まった背景

少子高齢化

evpが広まった理由の1つ目は、日本における少子高齢化が加速していることです。団塊ジュニア世代が2040年には高齢者となり、高齢者の数は激増します。一方で、彼らを支える生産世代はますます減少し、医療や看護をはじめとした様々な分野において労働力不足が懸念されます。今までは、数多くいる人材の中から企業が選別を行い直接選ぶことが可能でしたが、今では人材に選ばれる会社でなければ、人材確保には繋がりません。

働くことへの意識の変化

働くことへの意識が変化していることも、理由として挙げられます。今までは終身雇用制度によって、初めに入社した会社で定年退職するまで働くことが当たり前とされていました。しかしながら、同じ会社で働き続ける人は減少し、転職が一般的となっています。スキルアップやライフワークバランスのとりやすい会社に移ろうと考える人が多くなってきたようです。また、意識の変化によって従業員が会社に求めるものも変わってきました。そのため、人材確保のためにevpを重視する会社が増えています。

evpの具体的な事例

ミッションバリューの明確化

evpの具体的な事例はいくつかあります。その1つとして、ミッションバリューを明確化させることが挙げられます。ミッションとは、組織が掲げる目標や使命、社会に果たす責任のこと。バリューとは、ミッションを達成するための、チームの間での共通の価値観や考え方のこと。働く目的や自分の仕事が社会にどのような恩恵をもたらすのかを明確化していると、従業員はその仕事におけるやりがいを感じることができます。また、その仕事に対して誇りを持てるようになるでしょう。

表彰や評価

表彰や評価を行うこともevpに含まれます。従業員に対する公平かつ納得する評価や、成果を出した従業員に対する表彰は、従業員のモチベーションに繋がります。評価される人材とは、会社が求める人材のこと。表彰を行うことは、人材採用の際に会社のアピール材料にもなります。直接売り上げ向上に関わった人を表彰するのはもちろん、バックオフィスを含めた社内業務改革に携わった人を表彰することも大切です。どの分野に対しても評価を行う姿勢は、従業員にとってその会社で働き続けることに対し魅力を感じるきっかけとなります。

給与や福利厚生などの諸制度

給与や福利厚生の諸制度も、従業員や会社選びをしている人材に大きな影響を与えます。なぜなら、給与をモチベーションにして働いている従業員が多いと考えられるからです。よって、表彰によって昇給やボーナスが加わるなど、給与に関する情報を整えることは大切です。同時に、昇給の機会や回数を見直す必要もあるでしょう。最近では、フレックスタイム制の導入や副業することが可能になるなど、柔軟な働き方を取り入れている会社も増えています。

勤務内外における体制の充実

勤務内外における体制の充実も、evp作成において重要となります。育児中の女性に対する短時間勤務体制の導入や、本社へ出社しなくても仕事が行えるリモートワークがその代表的な例です。また休暇の取りやすさを見直し、新たな休暇を設置することも効果的です。プライベートの充実や趣味のために時間を費やすこと、しっかり休むことも、従業員が働く上で大切です。そのためevpを設定している企業では、新たな休暇を取り入れているところが多いです。

evpを取り入れるメリット

従業員が感じる満足度の向上

evpを取り入れるメリットには、従業員の感じる満足度が向上することが挙げられます。満足度が向上すると、従業員の会社への定着率が向上することも期待できます。加えて、モチベーションの向上や働きがいにもつながり、この会社で長く働き続けたいと考える従業員も増えるでしょう。evpを作成する際には、現時点での自社の満足度などを調査し分析することが一般的です。そこで得られた情報をもとに、人事制度や施策を考えましょう。

優秀な人材の獲得

evpを取り入れると、優秀な人材の確保に繋がります。設定したevpを会社の採用サイトやSNS上などで発信することによって、求職者に対して自社の魅力をアピールをすることが可能です。入社後にどのような恩恵があるのかが明確になっていると、ここで働いてみたいという求職者の意欲に繋がることが伺えます。さらに積極的に企業メッセージの発信を行うことで求職者の目にも留まりやすくなり、応募数や質の向上にも貢献できるでしょう。

経営理念の浸透が促進される

経営理念の浸透に繋がることもメリットの1つと言えます。会社として大事にしていることや、このような会社にしていきたいという考えは、経営理念や行動指針と常に関連しています。evpを明確にしておくことで、経営理念の浸透を促進することができます。一方で、ミッションバリューを定義するのと同時に、関連する諸制度をevpに沿って整備する必要があります。それはevpと諸制度が矛盾していると、従業員の納得感が得られないためです。これらの仕組みが連動していることで、会社内で経営理念が根付きやすくなります。

evpの設計手順

自社の分析

まずは現状を知るために、自社の分析を行いましょう。従業員がその会社で働く目的は何か、ワークライフバランスはとれているかなど、できるだけ細かく分析をすることが大切です。分析を行う上で、明確な企業体制の方向性を定めましょう。優秀な人材の確保や人材コストの削減、従業員の定着など目標を設定することが効果的です。企業の経営方針や事業内容、さらに長期的な展望などを細かく洗い出し、それらに対してどのような計画で進めていくのかを考えることも求められます。

他社や従業員への調査

他社や従業員への調査を行いましょう。他社ではどのようなevpが取り入れられているのかを知ることによって、自社でも実践できる新たなevpに気づくことができます。さまざまな企業が行っている事例をピックアップし、どのようなものがevpとして提供されているのか理解することが大切です。また、企業で働いている従業員に調査を実施することも重要です。どの点に満足して、どの点に改善を求めているのか知ることによって、より従業員が働きやすい制度を整えることができます。

必要なevpを絞り込み取り入れる

調査を終えたら、必要なevpを選んでいきましょう。調査結果を参考とし、実際に自社で取り入れるべきevpはどれか、新たに必要なevpはないかを考え、evpの絞り込みを行います。自社オリジナルのevpを取り入れることも有効的です。会社の経営方針や中長期的な将来への展望などを視野に入れながら絞り込むと、よりよい制度作成に繋がります。絞り込みを終えたら、実際に自社で取り入れるevpを決定し、社員が必要とする制度や体制を構築していきましょう。

evpの周知

evpの構築が完了したら、社内外を問わず広く周知し、理解を深めてもらいましょう。evpは、作成して終了ではありません。ホームページやウェブサイトだけでなく、求人媒体やSNSなどのあらゆる面に反映し、自社で取り入れているevpを求職者や従業員に伝えていくことが重要です。evpは、採用時におけるプロセスに活用するだけでなく、その後のキャリア開発や研修などに積極的に組み込むことが有効だと考えられています。

evpを導入している企業

ソニー

すでにevpを取り入れている企業はいくつかあります。1社目は、ソニー株式会社です。ソニーでは、人材を群ではなく個としてとらえ、ダイバーシティ、従業員の成長と活躍、エンゲージメントに注力しています。実際の取り組みとしては、グローバルリーダー育成プログラムの開催、各種アワードの実施、従業員エンゲージメント調査があります。また、従業員自身の意思による異動を目指す社内募集制度の構築により、従業員の意思ややる気を尊重する体制が整っています。実施されているevpにより、従業員が働きやすい職場であると言えます。

メルカリ

株式会社メルカリもevpを取り入れている企業の1つです。新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創り、信用を創造してなめらかな社会を創ることを目的としています。そのために人への投資を重要視し、明確なミッションとビジョンが選定されていると言えるでしょう。またその他の取り組みとして、有給とは別にケガや病気の際に使える「シックリーブ」や、自由に3日間の休暇を取得できる「リラックス休暇」などがあります。働きやすい環境の整備に努めているのが特徴です。

サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、従業員が安心して大きな挑戦を続けられる環境づくりをevpと位置づけ、多彩な福利厚生制度を提供しています。とくに女性の視点を大切にしており、育児中や育児後の女性従業員が働きやすいような環境整備を行っています。実際の取り組みとして、「2駅ルール」というオフィスの最寄り駅から2駅以内に住む従業員に補助金を支給する制度が構築されています。また、入社3年以上から年5日の有給休暇を取得できる「リフレッシュ休暇休んでファイブ」などもあり、独自の体制を整えているのが特徴的です。

マクドナルド

日本マクドナルド株式会社も、evpの取り組みに早くから取り組んできた企業の1つです。マクドナルドは、世界中どの街でもベストな雇用主となるという従業員に対するグローバル共通のビジョンを掲げています。実際の取り組みとしては、上記のようなピープルビジョンの明確化、ワークショップの開催、ワークライフバランスの均等化などが挙げられます。また、特徴的な制度としてハンバーガー大学があります。マネジメントスキル、リーダーシップやチームビルディングなど店舗運営に欠かせないスキルや知識、マインドを学べます。

まとめ

evpを作成し従業員が働きやすい環境を整えよう

少子高齢化と働き方の変化によって、ますます人材確保が困難な時代になってきます。そのためevpを作成することは、優秀な人材を確保し長く働き続けてもらうために有効な手段であるといえるでしょう。しかしながら、evpは一度作って終わりではありません。evpを見直す機会を設け、最適なevpを作成し続けていくことが、従業員の満足度を得て長期的に働き続けてもらうことに繋がります。evpを作成し、働きやすい職場作りを行いましょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら