日本語レベルの重要性とは【測定する方法とレベルごとの特徴について解説します】

記事更新日:2021年07月08日 初回公開日:2021年07月08日

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少子高齢化によって労働力不足が深刻さを増し、外国人材を採用している会社も増えてきました。一方で、どのように会社が求める外国人材を採用するかについて、定まっていない企業も多いのではないでしょうか。今回は、日本語能力試験で測る日本語レベルを基準として、外国人材を採用する方法を提案します。そもそも日本語レベルとは何なのか、日本語能力試験の結果によって採用を決めるメリットデメリットはあるのかをお伝えします。これから外国人材を採用していきたいと考えている採用担当者の方に、ぜひ読んで頂きたい内容です。外国人材を採用するにあたってどのような方法を取り入れるべきなのか、考えていきましょう。

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日本語レベルとは

試験を用いて測る日本語力

日本語能力試験

日本語レベルとは、試験を用いて測られる日本語力のこと。つまり、保持している日本語レベルが高ければ高いほど、日本語を用いたコミュニケーションをより円滑にできます。日本語力を測るための一般的な試験として、「日本語能力試験」が用いられることが多いです。全世界で60万人以上が受験する、世界最大規模の日本語の試験となっています。 英語ではJapanese-Language Proficiency Testと表記されることから、省略して「JLPT」と呼ばれることもあります。

日本語レベルを測る目的

外国人材を採用する一つの指標とするため

日本語レベルを測る目的として、企業が外国人材を採用する一つの指標とすることが挙げられます。日本の企業の中には、日本語が使える外国人材を採用したいと考える企業も多いでしょう。そのような場合に、日本語レベルを一つの指標とすることで、どの程度日本語が得意であるか、どの仕事が任せやすいかを考えることができます。一方で外国人材の視点では、日本語レベルを測ることによって自身の日本語能力がどの程度あるのかを、目に見える形にすることができます。自分のアピールポイントとなり、日本で就職する際に有利な状態となるでしょう。

日本語レベルを測る日本語能力試験とは

日本語を母語としない人の日本語能力を測定するための試験

年2回、7月と12月に国内国外で実施される

日本語レベルを測る日本語能力試験とは、日本語でのコミュニケーションを行う上で必要な日本語力を測る試験です。日本語の文字や語彙・文法についての理解度テストを行います。この試験は、日本語を母国語としない人のみを対象として実施しています。年に2回、7月と12月に国内国外で実施されることから、外国人が試験を受けられるチャンスは多いです。同じく日本語レベルを測る試験として日本語検定が存在しますが、対象としている人が異なります。こちらは私たち日本人を含めた日本語を使用するすべての人が受けることができます。

マークシート方式

日本語能力試験では、マークシート方式が使われています。基本的に4つの選択肢から、正解であると思う1つを選んで解答をします。マークシート方式により、多くの外国人にとって難しい分野である、漢字を書くということもありません。よって、試験に向けた勉強がしやすく、多くの外国人にとって試験を受けるハードルが低く設定されているといえるでしょう。また、マークシート方式であるがゆえに、公平な採点をすることが可能になります。

3つの分野の日本語力を測定

言語知識・読解・聴解

日本語能力試験では、主に3つの分野における日本語力を測ります。1つ目は、日本語の文字や語彙、文法についてどのぐらい知っているかを測る「言語知識」。2つ目は、知識を利用してコミュニケーション上の課題を遂行できるかを測る「読解」。3つ目は、相手の意図や話した内容が理解できるかを測る「聴解」です。この3つの分野は、日本語をコミュニケーションツールとする上で必要となる分野と言えるでしょう。これらの総合的な日本語力を持つことが、合格するために必要とされています。

日本語能力試験で測られる日本語のレベル

5段階のレベルに分かれる

日本語能力試験には、N1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルが設定されています。一番簡単なレベルがN5、一番難しいレベルがN1です。N4とN5では、主に教室内で学ぶ基本的な日本語をどのぐらい理解できるかを測ります。N1とN2では、実際の現場で使用される日本語をどのぐらい理解できるかを測ります。そしてN3は、N1、N2とN4、N5の橋渡しのレベルと考えましょう。受験者は、自分に合ったレベルはどれなのかについて自己判断をし、それぞれ個々に合ったレベルを受験できます。

N1

N1のレベルの人は、幅広い場面で使われる日本語を理解することができます。読解の部分では、様々な話題について書かれた新聞の論説、評論などの論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章を読み、文章の構成や内容を理解することができます。聴解の部分では、幅広い場面において、自然なスピードで読まれるまとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成を理解し、要旨を把握することができます。日本語レベルは非常に高く、日常会話だけでなくビジネスにおける会話も可能であり、ほぼ問題なく日本人と会話することができるでしょう。

N2

N2のレベルの人は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができます。読解の部分では、様々な話題について書かれた新聞や雑誌の記事、解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができます。聴解の部分では、幅広い場面で自然に近いスピードの会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解し、要旨を把握することができます。外国人材を採用した後にビジネスを円滑に進めていくには、N2のレベルを持つことが必要最低限であると考えてよいでしょう。

N3

N3のレベルの人は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができます。読解の部分では、日常的な話題について書かれた具体的な内容についての文章を読み、理解することができます。また、新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことも可能です。聴解の部分では、日常的な場面でやや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できます。N3のレベルの人は、一人で作業ができるレベルであると考えて大丈夫でしょう。しかしながら日常会話は問題ありませんが、ビジネス上の会話やニュアンスやアクセントによっては伝わらないことも多少あります。

N4

N4のレベルの人は、基本的な日本語を理解することができます。読解の部分では、基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができます。聴解の部分では、日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、内容をほぼ理解できます。漢字の読み書きや日本人が話す基本的な会話は、ほぼ理解することができますが、まだ自分の意見を話すのは苦手な人が多いです。特定技能ビザで必要な基準はN4以上であるので、N4を保持している人は多いです。

N5

N5のレベルの人は、基本的な日本語をある程度理解することができます。読解の部分では、ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた典型的な語句や分、文章を理解できます。聴解の部分では、教室や身の周りなど、日常生活の中でもよく出会う場面でゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができます。しかしながら、あいさつや簡単な自己紹介をすることができるレベルですので、コミュニケーションを円滑に進めることはまだ難しいでしょう。

外国人材を日本語能力試験の結果を用いて判断するメリット

即戦力となる人材を確保しやすい

外国人材を日本語能力試験の結果を用いて判断するメリットとして、即戦力となる人材を確保しやすい点が挙げられます。N1、N2のレベルを持っている外国人材であれば、採用後すぐに仕事に取り掛かることができるでしょう。加えて、日常会話がスムーズにできるだけでなく、与えられた仕事も問題なく進めていくことができます。よって会社にとって優秀な人材になるといえるでしょう。労働力不足の問題を解消するためにも、高いNレベルを保持する外国人材を採用することは、有効な手段です。

採用後に日本語研修を行う必要がない

また、採用後に日本語研修を行う必要がないこともメリットの一つと言えるでしょう。N1、N2のレベルを持っている外国人材であれば、ビジネスに関する日本語も理解しています。ビジネスレベルまでいかず多少の日本語研修が必要なN3、N4、N5レベルの場合でも、結果を知っておくことでどのレベルから日本語の研修を始めればいいのかが分かります。通常よりも短時間で研修を終えることができるでしょう。日本語能力試験では、合格者と専門家のレベル別Can-doリストが配布されます。リストを利用することは、採用する外国人が合格しているレベルでは何ができそうかをイメージするうえで、参考になるでしょう。

外国人材を日本語能力試験の結果のみで判断するデメリット

日本語レベルで分かる日本語力には限りがある

直接話したり書いたりする能力を図っていない

一方で、外国人材を日本語能力試験の結果のみを用いて判断することには、デメリットも存在します。それは、日本語能力試験の結果で分かる日本語力には限りがあるということです。先ほど言ったように、日本語能力試験ではマークシート方式での受験をします。よって、直接話したり書いたりする能力を、日本語能力試験のなかでは測っていません。日本人でも、英語の筆記は得意だが話すのは苦手という人がいるように、日本語での筆記や会話を苦手とする外国人材も少なからずいます。

外国人材を日本語能力試験の結果によって判断する際の注意点

成績証明書の確認を行う必要がある

外国人材を日本語能力試験の結果によって判断する際の注意点は、主に2つあります。1つ目は、成績証明書の確認を行う必要があるということです。外国人材の中には、推定のNレベルを申告してくる人がいます。これは、実際には受験をしていないのにも関わらず、自己判断でこのぐらいあるだろうとの想定によるものです。日本語能力試験では、受験後に成績証明書の発行を行っています。採用後の日本語におけるトラブルを無くすためにも、成績証明書の確認は行ったほうが良いでしょう。

コミュニケーションの能力は実際に会わないと分からない

2つ目は、コミュニケーションの能力は実際に会わないと分からないということです。先ほどのデメリットで挙げた通り、日本語能力試験ではコミュニケーション能力を測っていません。職種の中には、コミュニケーションを要する職業もあります。その場合は、採用後のミスマッチを防ぐため、日本語能力試験の結果のみではなく、直接面接を行った上で採用を決めたほうが良いでしょう。また外国人材の中には、日本語能力試験の結果はN3、N4、N5であるが、コミュニケーション能力は高い人もいます。実際に会うことによって、人選の幅も広がるでしょう。

まとめ

日本語レベルはあくまで一つの指標であり総合的に判断しよう

2020年末の在留外国人は288万人と、多くの外国人が日本での生活を送っています。外国人材を採用していくことは、少子高齢化が進むこれからの日本社会において必要性を増していくといえるでしょう。そのために、日本語能力試験によってわかる日本語レベルを1つの採用の基準とすることは有効であるといえます。一方で、日本語レベルはあくまで1つの指標に過ぎません。実際に面接をして採用を決めることで、会社が求める人材とのミスマッチを防ぐことができます。総合的に判断し、外国人材の採用に努めましょう。

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