エルダー制度とは【メリット、デメリットや活用のポイントなどを解説します】

記事更新日:2023年10月06日 初回公開日:2023年10月06日

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お兄さん、お姉さんのような存在が仕事を教えてくれるならば、抵抗もなく素直に指導を受けられる新入社員の方々も多いのではないでしょうか。そのように年齢の近い職場の先輩が1対1で指導してくれるのが「エルダー制度」です。エルダー制度では仕事だけでなく、メンタルな面も含んだ指導を目的としており、効果的な新入社員の指導方法として注目されています。ここでは、エルダー制度の意味や具体的な施策方法および注意点などを具体的に解説致しますので、エルダー制度の導入をお考えの方々のご参考になれば幸いです。

エルダー制度とは

新入社員を年齢の近い先輩社員が指導する制度

エルダー制度とは、新入社員を年齢の近い先輩社員が指導する制度です。エルダーとは日本語では先輩や年長者と訳されます。年長者である先輩の中でも新入社員に年齢の近い社員を指導者にすることで、新入社員の不安を取り除くことや、共感を得ながら業務を習得することができる画期的な制度です。業務指導の中では常に専門用語などが飛び交い、新入社員は戸惑うことも多いでしょう。同じ経験をした年齢の近い社員がそばにいることで、何でも聞けて仕事以外の相談もできる環境が築けます。

エルダー制度とメンター制度の違い

メンター制度はサポート役が他部署から選ばれることが多い

エルダー制度に似た指導制度に、メンター制度があります。両者の大きな違いは、メンター制度はサポート役が他部署から選ばれるのに対し、エルダー制度は同じ部署からサポート役が選ばれることです。エルダー制度ではメンタル面でのサポートが重視され、エルダー制度では細かい業務指導とともにメンタルのサポートも行われます。そういった意味から、エルダー制度の方が新入社員に対して、より深い信頼関係が求められると言えるでしょう。

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エルダー制度導入の目的

教育不足による離職の可能性を下げる

エルダー制度導入の大きな目的に、教育不足による離職の可能性を下げることが挙げられます。新入社員を合同で研修する機会も必要です。しかし、個々の成長度合いや覚える速度にも違いがあり、それぞれに見合う指導方法が必要になります。新入社員の離職率は入社後3年程度で30%以上と言う厚生労働省による統計報告があり、離職の理由の多くが仕事での行き詰まりや職場での人間関係などです。こうした職場での仕事での不安や職場での孤立などを取り除くように、年代の近い先輩がサポートすることで、新入社員の早期離職を防ぐことに繋がります。

指導者の成長に繋がる

エルダー制度を導入することで得られるメリットの一つが、指導者となるエルダー自身の成長に繋がることです。自分が覚えることと、相手に分かりやすく覚えてもらうようにすることには大きな違いがあります。理解していたつもりのことが上手く伝えられないというのは、十分に理解していないことであり再学習が必要です。さらに新入社員の抱える多くの悩みや相談にのることで、エルダー自身も人間的に大きく成長できることが期待できます。

新入社員の心理的安全性が確保しやすくなる

エルダー制度の導入により、新入社員の心理的安全性が確保しやすくなることは、新入社員が教育を受ける基盤を築くことであり、その後の成長に大きく影響します。不安を抱えたままでは仕事を覚えることはままならず、同僚や上司などとも疎遠となった感じを受け、孤独感は増していくでしょう。グループの中で孤独感を受けることは大きなストレスであり、一度受けた孤独感は簡単に払拭することはできません。新入社員の心理的安全性を確保することは、会社にとって非常に重要なことです。

エルダー制度の導入方法

制度の実施を社内に周知する

エルダー制度を導入するには、制度の実施を社内に周知することが重要です。新入社員のサポートに直接あたるエルダーだけでなく、エルダーの上司にも制度を良く理解してもらわなければいけません。エルダーは通常作業もこなしたうえでサポートも行うため、負担が大きくなるため周囲からの理解と援助が必要になります。エルダー制度が定着している会社であれば理解や対応も適切で早いものになりますが、始めて制度を導入する際には制度の意味や、それぞれの役割分担も明確に説明しましょう。

相性を考慮してマッチングを行う

エルダー制度では、新入社員とエルダーとの相性も重要になります。二人の相性を考慮してマッチングを行うことは大切なことです。ただし、考慮して選んだエルダーだとしても実際にはミスマッチということも往々にしてあります。時間を区切るなどしてエルダーを交替させるなど工夫し、双方が最も良い関係を築けるペアを作ってあげましょう。代表的な例では郷里が同じペア組みをしている企業もあるようです。言葉の違いなども障壁となることもあるため、良いマッチングの一例と言えるでしょう。

制度を実施する

エルダー制度を実施するにあたって、簡単に準備できることでも良い効果が期待できることもあります。例えば更衣室のロッカーを隣にするとか、デスクワークであればデスクを近くして会話しやすい環境を整えることなどです。いくら制度上でのペアであったとしても環境が整っていなければ簡単に相談することもままなりません。他の人には聞かれたくない内容もありますので、新入社員とエルダーが話しやすい環境を整えてあげましょう。また、エルダーだけに任せっぱなしにするのではなく、エルダーへのフォロー体制も十分に考えてください。

振り返りをして改善していく

エルダー制度だけでなく新しい制度の導入では、振り返りをして改善していくことが大切です。何年も繰り返し行ってきた制度であっても、完全と言えるものはありません。何度も反省をして改善していくことで、より質の高いエルダー制度が確立できます。単に続けるだけでなく、振り返って改善することが大事です。最善の準備をしたつもりでも、最初から上手くいくことは非常に稀だと言えます。少しずつでも改善しながら最良の方向に前進していきましょう。

エルダー制度のメリット

新入社員が会社に馴染みやすくなる

エルダー制度のメリットの一つは、新入社員が会社に馴染みやすくなることです。社会人としてスタートした新入社員にとって、会社というものが何であるかを理解するには時間がかかるでしょう。自分の会社であるという感覚もなく、会社に馴染むまでには時間がかかるものです。しかし身近なエルダーの存在と世代の近い人の助言により、会社への理解が深まるとともに会社への愛着精神も芽生えていきます。また、会社に馴染むことで会社の一員であることを実感できるでしょう。

指導者が自然にマネジメントスキルを身につけられる

エルダー制度のメリットは、新入社員の成長だけでなく、指導者であるエルダーや他の上司にマネジメントスキルを身につけさせられることです。エルダーは指導者であることに責任を感じて今まで以上に仕事の内容と意味を考えながらするようになり指導にあたります。また、エルダー以外の上司もサポート役として助言などをすることで、社内に一体感が生まれるはずです。指導者として全体をまとめ上げるマネジメントスキルが自然に身につけられることは、各個人にとって大きなメリットになります。

部署間のコミュニケーション活性化に繋がる

エルダー制度では、部署間のコミュニケーション活性化に繋がるというメリットもあります。例えば、別部署でのエルダーも交えて抱える問題を共有することで、部署の壁を越えて同じ考え方や悩みを共有していると実感できるでしょう。これまでよりも別部署でありながらも、存在が近く感じられ、風通しの良い社風に変化することに繋がります。新入社員も同様に、他部署の新入社員とコミュニケーションをとる機会を増やしてあげることは大事です。他部署に同じ悩みを抱える人もいることもあるので、話せる機会を増やしてあげましょう。

エルダー制度のデメリット

エルダーへの負担が大きくなる

エルダー制度で最も大きなデメリットと言えるのが、エルダーへの負担が大きくなることです。前述のように、エルダー自身も被地上の業務をこなしながらパートナーへの指導にあたるため、負担は以前よりも圧倒的に大きくなります。これを放置してしまえば、新入社員の離職防止と謳いながらエルダーの離職に繋がることにもなり兼ねません。周囲の先輩上司はエルダーに対する配慮も忘れずに、適切なアドバイスなどでエルダーの負担を軽くするように努めましょう。もし、自分がエルダー経験者であれば、そのときの悩みや解決方法なども話してあげるのが効果的です。

相性が合わなければモチベーション低下に繋がる

エルダーと新入社員の相性が合わなければ、お互いのモチベーションが低下して仕事にも影響するのがエルダー制度のデメリットです。相性というものは実際に組んでみないと分からないことでもあり、周囲が考えていたこととは全く反対になることも多くあります。ただし、どちらか一方が合わないと感じれば、他方も同じように思うことが多いのも事実です。定期的にエルダーと新入社員の意見をアンケート形式などで得るようにし、コミュニケーションが上手くとれているかを確認すると良いでしょう。双方の関係に不安を感じるようであれば早急な対応が必要です。

エルダー制度活用のポイント

先輩社員にエルダーをするメリットを伝える

エルダー制度活用のポイントとして、先輩社員にエルダーをするメリットを伝えることは重要です。エルダー自身も同じ不安を抱えて入社してきた経緯があり、同じ不安を抱える新入社員を指導することで、エルダーが大きく成長することを説明してあげましょう。そして、それは先輩社員であるエルダーにしかできないことも説いてください。数年後には新入社員とは年齢が離れてしまいできないことや、貴方にはエルダーとしての十分な資質があり重要な仕事である事を理解してもらいましょう。

教え方をしっかりと伝える

エルダー制度活用の際には、エルダーに対して教え方をしっかりと伝えることも大きなポイントになります。新入社員から、いきなりエルダーになりなさいと言われても、何をすれば良いのか困ってしまう人が殆どです。何をどのように指導していけばいいのか、道筋をつけてあげましょう。できればステップを少しずつ踏んでいくように、段階的に時間も示しながらクリアしていくように伝えることをおすすめします。たくさんの新入社員が入った場合でも、同じ速度で同じ能力を身に付けることができるはずです。

エルダーと新入社員の相互理解の場を設ける

エルダー制度活用成功の大きなポイントと言えるのが、エルダーと新入社員の相互理解の場を設けることです。年代が近い先輩であっても年の差は大きな壁になることもあります。また前述のように、人間である限りお互いの相性というものもあり、これだけはどうすることもできません。ただし、エルダーと新入社員の不仲がお互いの理解不足であることも多くあります。つまり思い違いなどが不仲の原因であり、相互理解の場を設けることで解消できることもあるのです。二人で話すのではなく、多数のエルダーや、新入社員で話す機会を設けるのも良い方法の一つと言えるでしょう。

まとめ

エルダー制度を取り入れて指導者も新入社員も成長させよう

エルダー制度は大企業などでも多く取り入れられている新入社員の効果的な教育方法です。年代の近い社員をエルダーとして抜擢させることは、エルダー自身に新入社員では感じることが少なかった責任感を持って仕事にあたることになります。もちろん、教えを乞う新入社員は仕事だけでなく人生における先輩として見習うことになるでしょう。そういう意味から言っても、エルダー制度は新入社員の成長とともに、エルダーを指導者として大きく成長させる良き制度です。エルダー制度を企業に取り入れ、お互いが成長する環境を創成しましょう。

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