記事更新日:2020年06月03日 | 初回公開日:2019年02月12日
ビザ(在留資格)について 外国人採用・雇用 採用・求人のトレンド グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報技能実習を終えた外国人を、引き続き雇用するために就労ビザに変更できるかという点においてご説明いたします。
技能実習とは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下、技能実習法とする)に定められており、日本で技術を学び本国に戻ってその技術力を活かして、その国の発展に貢献してもらうことを目的として、主に発展途上国のために定められた制度です。この技能実習の特徴の一つとして、日本での就労ビザでは認められていない“単純労働”が、技能実習では指定された職種・作業に限って認められるという点です。指定された職種・作業については、下記JITCO(ジツコ)のHPをご参照ください。
参照:公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)
https://www.jitco.or.jp/system/shokushu-hanni.html
技能実習制度は2017年11月に法改正が入り、最大5年間技能実習生を雇用できるようになりました。ですが、技能実習という制度は先ほどご説明したように、趣旨が日本で学んだ技術を本国で活かして経済発展に貢献してもらうことであることから、就労ビザに変更しそのまま継続的に日本で働き続けることは難しくなっております。技能実習は、技能実習法で定められておりますが、その他就労ビザは入管法によって定められており、日本で働けるという点では一緒ですが、違う就労ビザの種類になります。それでは技能実習生として日本に来た外国人は絶対に技能実習以外で日本に滞在することはできないのでしょうか。その点についてご説明いたします。
前項で、技能実習から就労ビザへの変更は難しいとご説明させていただきましたが、これは日本にいながら変更申請をすることを指しています。変更申請自体は可能ですが、大半不許可となります。不許可の理由としては、「技能実習制度の趣旨を守れていないから」です。これは、日本にいながら直接就労ビザへ変更申請をする場合の話であり、一度帰国することで技能実習制度の趣旨を守れていることにはなります。明確な基準はありませんが、入国管理局のおおよその判断としては、帰国して1年間日本で学んだことを本国で活かしていることがわかれば、技術移転ができていると判断をする形となります。この1年間はあくまでも、一般的な場合を想定しており、状況に応じてはより短い期間でも日本に呼び戻すことが可能な場合もございます。入国管理局が持っている主な判断基準は下記となります。
①帰国後、日本で学んだ技術の本国に移転ができているか
②技能実習時に提出した書類と、就労ビザ申請時の書類とに相違はないか
③就労ビザとしての要件が整っているか
上記3つが最重要ポイントになります。①はご説明してきた通りの技能実習としての趣旨の部分になります。②は、よくある例として、技能実習を申請した際の外国人の履歴書の記載と、就労ビザの申請時の履歴書に違いがある点です。これは技能実習の申請の際には、最終学歴を高校卒業などにした方が都合がよい場合が多く、深く考えずに本来は大学卒業にも関わらず、そのような記載で申請してしまうと、虚偽申請の疑い、許可が下りない場合がございます。③は、②とも関連性はありますが、技能実習生は定められた職種であれば単純労働が可能ですが、就労ビザでは同じ単純労働はできませんので、日本での就労ビザの要件(外国人本人の学歴と職務内容)を満たす必要がございます。
就労ビザの申請は、あくまでもホワイトカラーのお仕事でないと取得ができません。技能実習生として行っていた業務を引き続きしてもらいたいと考えていたとしても、基本的には難しいです。
2019年4月より順次展開していく、「特定技能」の新在留資格によって単純労働での就労ビザも可能性も広がってまいりますので、今後の動向に注目が必要になってきます。
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グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。
他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
塩野 豪
(しおの ごう)
行政書士塩野豪事務所の代表。
外国人ビザ(在留資格)の専門家として活動し、フィリピンやカナダなど外国との繋がりも強い。
人材紹介会社の外部顧問としても活動している。
HP:行政書士法人フォワード
ビザプロ
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