記事更新日:2023年06月28日 | 初回公開日:2022年01月06日
ビザ(在留資格)について ビザ(在留資格) 人事・労務お役立ち情報 外国人採用・雇用オーバーステイは日本語で簡単に表すと外国人の不法滞在または不法残留を指す言葉です。不法残留とは在留期間が過ぎても日本に滞在している状態のことです。本来、外国人が日本に入国する際は在留カードという名前の身分証が発行されます。カードには持ち主の個人情報だけでなく在留期限も明記されていて、何も手続きしないまま期限が過ぎてしまうとオーバーステイになってしまいます。この状態を維持することは違法とされていて、発覚した場合はペナルティを受ける決まりとなっています。
オーバーステイが発覚し逮捕された場合、入管法違反として3年以下の懲役や禁錮または300万円以下の罰金を請求されます。罰則は懲役と罰金どちらも請求される場合もあり、受けた後でも日本に滞在することは不可能なため、母国へ強制送還されます。また、オーバーステイ中の就労は不法就労扱いとなり、本人だけでなく事業主も不法就労助長罪に問われる可能性を否定できません。そのため、外国人を雇用している企業では定期的に労働者の在留期限の確認と管理が必要です。
オーバーステイの過去がある場合、再度在留資格を取得するのは非常に困難です。そのため、再入国する場合は申請書類と同時に反省文や嘆願書の提出が推奨されています。反省文等の提出は義務ではありませんが、自身の反省を十分に伝え再入国を前向きに検討してもらうためにも必要な手続きになります。また、反省文は本人が作成しますが、嘆願書は日本に在留している家族や上司が本人を呼びたい時に作成するもので、行政書士や弁護士に代理作成してもらうことも可能です。
オーバーステイが発覚し逮捕された不法残留者は日本出国後、最低5年間の上陸拒否期間を設けられることになり、この期間内は日本に入国できなくなります。ただし、これは摘発をきっかけとしてオーバーステイが発覚し、尚且つ今までに一度も出国命令や退去強制を受けていない場合のみの対応になります。過去にもオーバーステイの経験があり出国命令を受けた過去がある場合など、前述よりも悪質と判断されると上陸拒否期間は10年に延びることもあるので注意が必要です。
オーバーステイに対する罰則は滞在している国の法律によって異なります。例えば、日本からアメリカに渡航する場合、アメリカは入国から90日以内であればビザ無しでも滞在が可能です。しかし、期間を1日でも超えてしまうと以降はこの免除制度が使えなくなります。更に、その後の罰則は日本よりも厳しく、オーバーステイ日数が1年以内の場合は3年間、1年以上の場合は10年間再入国できなくなります。そのため、アメリカに滞在中は日数の管理に特に注意しておきましょう。
オーバーステイを一度でも行うとパスポートの出入国スタンプのページに、その事実が記載されてしまいます。更に、オーバーステイの履歴はデータとして各国の出入国管理局が管理しているため、パスポートを更新しても隠すことは不可能です。また、オーバーステイの履歴を隠して再入国しようとした場合も、審査の際に入国拒否される可能性が著しく高くなります。そのため、オーバーステイ歴のある国に再入国する際は履歴を隠さず申請する方が不利益が少なく済みます。
オーバーステイは不法残留の日数が多く、行為が悪質と見なされるほど罰則が重くなる傾向にあります。しかし、その一方で速やかに申請に行った場合は軽い罰則で済むだけでなく、入国拒否期間も短くなる場合が多いのも事実です。例えば日本でのオーバーステイの場合、過去にオーバーステイの履歴や犯罪歴が無く、自分から出頭してきた場合に限り上陸拒否期間は1年間まで短縮できます。そのため、オーバーステイに気付いた際には一日でも早く出頭することが大切です。
現在進行形でオーバーステイで日本に残留している人が、今後も日本に滞在するためには在留特別許可の相談をする必要があります。在留特別許可とは本来日本から退去しなければならない人の在留を例外的に認める制度のことです。この措置は不法残留者の事情を考慮したうえで法務大臣の裁量によりやむを得ないと判断された場合のみの特例となります。そのため、申し出が認められなかった場合は出国しなければなりません。また、在留特別許可の相談は入国管理局で承っています。
不法残留者であっても日本人と結婚することは可能です。配偶者が永住権を持っていることや、日本人であるなどの事情があると在留特別許可が降りやすくなるとも言われています。しかし、入国管理局の相談後に上記の条件に当てはまる人と結婚する行為は「駆け込み婚」と呼ばれ偽装結婚を怪しまれかねません。また、出頭前から婚姻関係がある場合でも、生活状況や素行を詳しく調べられた上で判断されます。そのため、結婚しているからと言って在留許可が必ず認められるわけではないことも理解しておきましょう。
在留特別許可が交付される条件には明確な基準があります。特に考慮される積極要素としては不法残留者である本人が、日本人または永住権所持者の子供であることや、日本人または永住権所持者と婚姻関係であることなどが挙げられます。また、他には日本国内に上記の条件を持つ人との間に生まれた未成年の実子が居る場合や本人が難病などで治療を受けている最中である場合も積極的に考慮される事情となり得ます。そのため、日本人または永住者である親族が国内に滞在していれば許可の取得に有利と言えます。
その他の積極要素では上記の特に考慮する積極要素に加えて、オーバーステイで自ら出頭していることや、未成年の実子がいて家族で長期間暮らしている実績があることなどが考慮されます。特に配偶者由来の事情の場合は、結婚生活に実態があるかどうかも考慮する要素になるので、留意しておきましょう。また、これに限らず一定期間の在留を認められている定住者の扶養を受けている未成年の場合も積極要素に当てはまります。そのため、日本で働いている外国人労働者の子供も在留特別許可の考慮対象と言えます。
在留許可が交付されにくい条件にも基準が定められています。中でも特に考慮する消極要素として不法残留者本人が重大犯罪を犯して実刑に処された過去があることが挙げられます。具体的には違法薬物の密輸や売買に関わっているケースなどが当てはまるので注意が必要です。また、出入国に関する不正や反社会的行為が見つかった場合にも、審査に不利に働きます。そのため、他人の不法滞在を手助けしている場合やパスポートを偽装している場合などは許可が降りにくくなると考えましょう。
その他の消極要素としては以前にもオーバーステイで退去強制の措置を受けたことや、法令違反など本人の生活の中で素行不良が見られることが挙げられます。つまり日本国内で犯罪行為を行った過去があると、特に在留特別許可をもらうのは困難になるということです。また、出入国在留管理庁で発表されている過去の事例では、配偶者がいる場合でも刑事処分を受けた過去がある人は特別許可が降りなかったというケースが存在します。そのため、在留特別許可を得るには普段の素行についても留意しておきましょう。
オーバーステイが発覚し逮捕された場合、不法残留者は入国警備官により収容施設へ入れられることになります。その後は入国審査官による違反審査を経て退去強制に該当する場合は退去強制令書という命令が発行されて、母国へ強制送還されます。ただし、退去強制令書が発行される前であれば不法残留者は口頭審理を請求することが可能です。さらに、口頭審理の結果に異議を申し立てることもでき、本人の言い分が法務大臣の決裁で認められれば特別在留許可が降りることもあります。
出国命令制度とはオーバーステイした人が自分から入国管理局へ出頭した場合などに適用される制度のことです。出国命令は日本を出なくてはいけないという点では対応は退去強制処分と同じになります。しかし、再入国に最低5年かかる退去強制処分と異なり、出国命令で日本を出た場合は1年ほどで再入国できるというメリットがあります。そのため、オーバーステイに気付いた際は、特別な事情が無い限り自分から出頭し速やかに出国し1年待ってから再入国の申請をするのも一つの手段です。
オーバーステイは本人にどのような事情があったとしても違法な状態であることに変わりありません。一度オーバーステイが発覚してしまうと重い罰則を受けるだけでなく、パスポートに履歴が残り、再入国することも難しくなります。さらに、オーバーステイ状態の外国人を雇っていることで雇用主が罪に問われてしまう可能性も大いにあります。そのため、普段から在留期間に注意しておくことも勿論大切ですが、期間が切れたことに気付いた場合は速やかに入国管理局へ報告しましょう。
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