記事更新日:2019年10月26日 | 初回公開日:2019年07月03日
採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報「母集団」という言葉を一言で表すなら、「自社に興味を持ってエントリーした人の集団」です。そして、一口に母集団と言っても、様々なルートから集めることができます。具体的な方法に関しては後述しますが、自社で工夫した接触方法によってまずは求職者に「自社のことを知ってもらう」ことが重要になります。また、母集団の中にいる人たちはあくまで「少し興味を持っただけ」の人たちです。重要なのは母集団から実際に入社の意志を持って選考に参加してくれる人の人数をいかに増やすかということです。
ではどのような人を母集団として集めるべきなのかを考えてみましょう。それは、単純ですが「自社の募集条件に合致する人」です。そして、母集団形成をする際には、本当に自社が欲しい人材に情報を届けられているかに注意する必要があります。例えば、経営企画を担当できる経験豊富なベテランを採用したいときのことを考えてみましょう。その場合、ナビサイトだけに広告を出していても、そもそもターゲットがナビサイトで転職活動をすることが考えにくいです。このような場合は人材紹介などの方が高い効果が見込める場合が多いでしょう。
昨年は若干頭打ちではありましたが過去数年、有効求人倍率はうなぎのぼりに増え続け、当然それに比例して各社の母集団形成の難易度も上がっています。求職者の数に対して、企業が発信する情報が供給過多になっている現状があるため、ありきたりな方法では余程の大企業以外は求職者の目には留まりません。企業の知名度が低ければ低いほど、より適切な情報を厳選して、求職者に適切な方法で伝えることの重要度が上がっていくのです。
一昔前は「とにかく母集団は数が多い方が良い」という考え方が多くありました。しかしながら、その環境は現在は変化しました。母集団の人数が多いということは、それだけ選考しなければならない人数が多いということです。そうなると、選考に多くの人手を割くことになります。また、企業と一人の求職者が接触する時間が短くなってしまうため、結果として求職者に応募のモチベーションをしっかりと持たせることが難しくなるでしょう。そのため、適切な数の母集団形成が求められるのが世の中の流れです。
母集団形成の大まかなタイプを3つの範囲に分けて説明しましょう。まず、広範囲型は主に全国から優秀な人材を募る大企業に多いパターンです。インターネットやテレビなどの広告、ナビサイトなどの多くの求職者が利用する媒体に露出することによって、自社の情報を多くの人に伝えます。広い範囲かつ多人数を募集する場合に非常に有効な母集団形成の方法です。一方で、採用人数の少ない中小企業やベンチャー企業にとっては、ややコストパフォーマンスの悪いタイプと言えるでしょう。
前述の広範囲と後述の狭範囲を併用するパターンです。インターネットなどのマス媒体にもある程度の露出はする一方で、人材紹介などの狭い範囲でのアプローチも併用します。企業規模としても大きすぎず小さすぎない中堅企業がこのタイプの母集団形成活動を行っていることが多いですね。しかしながら、人材要件をよほど明確に定義していないとこのパターンはどっちつかずになりやすいです。結果としてかけたコストに見合う有効な母集団が形成できず、パフォーマンスは悪くなりがちです。
ナビサイトなどでマスに呼びかけるのではなく、エージェント経由での人材紹介や、リファラル採用などを中心に母集団を形成していくタイプです。多人数を集めることは難しいですが、ベンチャー企業などの採用数が少ない企業はこのパターンが向いています。母集団に入った時点で応募者が一定のスクリーニングを通っていることが多いので、選考過程も効率的になるでしょう。コストも膨らみにくいので、手を付けやすいですが、採用数を増やしていく必要がある組織拡大フェーズや大企業には向いていません。
母集団形成を始める前に重要なことは、募集する人材に求める要件を設定することです。この要件設定をおざなりにしていると、ターゲットとしていない人も集めてしまい、母集団が無駄に膨らんでしまうことになりかねません。人材要件を考えるうえで重要なのは、「どんな人材が自社で適応・活躍できるか」を考えることです。要件は必須項目と、あれば望ましい項目、ネガティブな項目の3種類に分類しながら列挙していくと、分かりやすくて選考でも使える人材要件を作ることができます。
例年の採用活動の結果から自社の各採用ステップでの歩留りや採用単価などの数字を把握しておくことも必須です。前年度のそれらの数字が分かれば、今年度の採用予定人数からどの程度の人数の母集団が必要で、どれくらいのコストをかけられるかが計算できますよね。また、新しいサービスの導入などを検討する際には、その効果を推し量ることが必要です。その時にもどの程度の母集団増加が見込めて、そこから採用に繋がる人数を試算すれば採用単価が割り出せます。これは導入の可否を決定するうえでの重要な検討材料になります。
母集団形成の方法は様々ありますが、そこで発するメッセージはターゲット「のみ」に伝わり、振り向かせられるものであることが重要です。例えば、自動車メーカーが「車が好きな人」にターゲットを絞って採用活動をする場合は、車のマニアックな部分まで踏み込んだメッセージを発するといいでしょう。そうすることで、ターゲットでない「車が好きではない人」は母集団から外れることになり、結果として母集団のスリム化が実現します。常にターゲットを意識した広報活動が母集団の効率的な形成には重要です。
新卒採用であればリクナビやマイナビ、中途採用であればDODAやen転職など、企業が求人を掲載し、求職者がそれを検索するサイトです。登録者数も多く、一度に沢山の人数にアプローチできることから、母集団形成のやり方としてはポピュラーです。しかし、応募者のスクリーニングはできないので母集団が無駄に膨らみがちになるでしょう。基本的には企業規模が大きく、知名度が上がるほど有効な手段になります。ただ、昨今の就職市場の変化を見ていると、ナビサイトの使われ方もどんどん変化していくと思われます。
自社で採用特設サイトを作っている企業も最近は多いですが、採用サイトのポイントとして、「Indeedに採用サイトとして認識されるか」が挙げられます。Indeedはネットの海の中から求人情報を拾い上げてユーザーの検索に対して表示してくれます。実はIndeedに認識させるには,「応募する」ボタンから応募に進めることなど、いくつかの条件があるのです。これをクリアし、かつ適切な検索ワードでSEO対策をすれば、インターネット上で求職者の目に留まりやすくなるでしょう。
例えば合同説明会のような採用イベントで求職者が見たがっているのは、その会社の空気感です。HPに書いてある内容をなぞっているだけのような人事の説明では、適切な母集団形成には繋がりません。可能であれば、人事だけでなく他部署の先輩社員などを連れてきて、求職者と話す時間を取ってあげたりするといいでしょう。そうすることでインターネットでは知り得ない生の情報を求職者に伝えることができます。これができていると求職者からの印象が良くなりますので、是非挑戦してみてください。
企業でTwitterやFacebook等のSNSアカウントを持っているのは珍しくありませんが、採用に有効に使えている企業は多くありません。イベントの情報などを定期的に垂れ流すだけでは大きな効果は期待できません。イベントと同じですが、重要なのはHPからは得られない生の情報を流すことです。そのためには人事だけでなく社員がSNSで積極的に発信することが必要です。社員のSNSは規制する会社が多いですが、推奨してみると意外な効果が得られるかもしれません。
テレビ、インターネットや駅の看板など、不特定多数の目に触れる場所に自社の広告を掲載します。ここで問われるのは、どんな人の目に触れるかを想像しながら、いかに目に留まりかつターゲットだけを振り向かせることができるメッセージを発するかです。一般的な内容の広告では、自社がターゲットとしていない人材も集めてきてしまい、選考の手間を増大させることに繋がります。自社の人材要件を満たすような人を振り向かせるメッセージを求職者目線で考えることが重要です。
「OB訪問」ではありません。「OBが」研究室や部活動などを通じて後輩にアプローチするのです。社内の協力を取り付けるのは少し大変かもしれませんが、OBの効果は絶大です。新卒採用に限定した方法ではありますが、やはり年代は違えど同じコミュニティに属する人はどこか相似点がある場合が多いです。「OBが何人も働いている」という事実は、求職者の志望動機を強く後押しします。また、コミュニティと良い関係が築ければ安定してそこから人材を確保することもできます。可能であれば積極的に試していきたいところです。
近年「リファラル採用」という言葉が取り上げられることが多くなりました。端的に言えば従業員の知人を紹介してもらって、採用に繋げていくというアプローチです。コストがかからず、応募者のスクリーニングも応募の段階である程度可能なリファラル採用は、自社の人材要件が明確であればあるほど効果を発揮します。ただ、会社全体が同質性の高い集団になっていきがちなので、会社の中の多様性や柔軟性の構築にはリファラル採用は思わぬ障害となる場合がありますので注意が必要です。
母集団形成は闇雲にコストをかければ結果が出るものではありません。むしろ下手にコストをかけても裏目に出る可能性が高いです。自社に適切な手法を選び、自社の人材要件を満たす人に届くようなメッセージを発していかなければ、母集団の量と質を上げていくのは困難です。しかし、良い母集団形成が実現すれば、その後の選考フローはとても楽になりますし、必然的に入社する人が活躍してくれる可能性も高まります。良い採用は良い母集団形成から始まるということを頭において、自社の母集団形成の施策を考えていきましょう。
「母集団」という言葉を一言で表すなら、「自社に興味を持ってエントリーした人の集団」です。そして、一口に母集団と言っても、様々なルートから集めることができます。具体的な方法に関しては後述しますが、自社で工夫した接触方法によってまずは求職者に「自社のことを知ってもらう」ことが重要になります。また、母集団の中にいる人たちはあくまで「少し興味を持っただけ」の人たちです。重要なのは母集団から実際に入社の意志を持って選考に参加してくれる人の人数をいかに増やすかということです。
ではどのような人を母集団として集めるべきなのかを考えてみましょう。それは、単純ですが「自社の募集条件に合致する人」です。そして、母集団形成をする際には、本当に自社が欲しい人材に情報を届けられているかに注意する必要があります。例えば、経営企画を担当できる経験豊富なベテランを採用したいときのことを考えてみましょう。その場合、ナビサイトだけに広告を出していても、そもそもターゲットがナビサイトで転職活動をすることが考えにくいです。このような場合は人材紹介などの方が高い効果が見込める場合が多いでしょう。
昨年は若干頭打ちではありましたが過去数年、有効求人倍率はうなぎのぼりに増え続け、当然それに比例して各社の母集団形成の難易度も上がっています。求職者の数に対して、企業が発信する情報が供給過多になっている現状があるため、ありきたりな方法では余程の大企業以外は求職者の目には留まりません。企業の知名度が低ければ低いほど、より適切な情報を厳選して、求職者に適切な方法で伝えることの重要度が上がっていくのです。
一昔前は「とにかく母集団は数が多い方が良い」という考え方が多くありました。しかしながら、その環境は現在は変化しました。母集団の人数が多いということは、それだけ選考しなければならない人数が多いということです。そうなると、選考に多くの人手を割くことになります。また、企業と一人の求職者が接触する時間が短くなってしまうため、結果として求職者に応募のモチベーションをしっかりと持たせることが難しくなるでしょう。そのため、適切な数の母集団形成が求められるのが世の中の流れです。
母集団形成の大まかなタイプを3つの範囲に分けて説明しましょう。まず、広範囲型は主に全国から優秀な人材を募る大企業に多いパターンです。インターネットやテレビなどの広告、ナビサイトなどの多くの求職者が利用する媒体に露出することによって、自社の情報を多くの人に伝えます。広い範囲かつ多人数を募集する場合に非常に有効な母集団形成の方法です。一方で、採用人数の少ない中小企業やベンチャー企業にとっては、ややコストパフォーマンスの悪いタイプと言えるでしょう。
前述の広範囲と後述の狭範囲を併用するパターンです。インターネットなどのマス媒体にもある程度の露出はする一方で、人材紹介などの狭い範囲でのアプローチも併用します。企業規模としても大きすぎず小さすぎない中堅企業がこのタイプの母集団形成活動を行っていることが多いですね。しかしながら、人材要件をよほど明確に定義していないとこのパターンはどっちつかずになりやすいです。結果としてかけたコストに見合う有効な母集団が形成できず、パフォーマンスは悪くなりがちです。
ナビサイトなどでマスに呼びかけるのではなく、エージェント経由での人材紹介や、リファラル採用などを中心に母集団を形成していくタイプです。多人数を集めることは難しいですが、ベンチャー企業などの採用数が少ない企業はこのパターンが向いています。母集団に入った時点で応募者が一定のスクリーニングを通っていることが多いので、選考過程も効率的になるでしょう。コストも膨らみにくいので、手を付けやすいですが、採用数を増やしていく必要がある組織拡大フェーズや大企業には向いていません。
母集団形成を始める前に重要なことは、募集する人材に求める要件を設定することです。この要件設定をおざなりにしていると、ターゲットとしていない人も集めてしまい、母集団が無駄に膨らんでしまうことになりかねません。人材要件を考えるうえで重要なのは、「どんな人材が自社で適応・活躍できるか」を考えることです。要件は必須項目と、あれば望ましい項目、ネガティブな項目の3種類に分類しながら列挙していくと、分かりやすくて選考でも使える人材要件を作ることができます。
例年の採用活動の結果から自社の各採用ステップでの歩留りや採用単価などの数字を把握しておくことも必須です。前年度のそれらの数字が分かれば、今年度の採用予定人数からどの程度の人数の母集団が必要で、どれくらいのコストをかけられるかが計算できますよね。また、新しいサービスの導入などを検討する際には、その効果を推し量ることが必要です。その時にもどの程度の母集団増加が見込めて、そこから採用に繋がる人数を試算すれば採用単価が割り出せます。これは導入の可否を決定するうえでの重要な検討材料になります。
母集団形成の方法は様々ありますが、そこで発するメッセージはターゲット「のみ」に伝わり、振り向かせられるものであることが重要です。例えば、自動車メーカーが「車が好きな人」にターゲットを絞って採用活動をする場合は、車のマニアックな部分まで踏み込んだメッセージを発するといいでしょう。そうすることで、ターゲットでない「車が好きではない人」は母集団から外れることになり、結果として母集団のスリム化が実現します。常にターゲットを意識した広報活動が母集団の効率的な形成には重要です。
新卒採用であればリクナビやマイナビ、中途採用であればDODAやen転職など、企業が求人を掲載し、求職者がそれを検索するサイトです。登録者数も多く、一度に沢山の人数にアプローチできることから、母集団形成のやり方としてはポピュラーです。しかし、応募者のスクリーニングはできないので母集団が無駄に膨らみがちになるでしょう。基本的には企業規模が大きく、知名度が上がるほど有効な手段になります。ただ、昨今の就職市場の変化を見ていると、ナビサイトの使われ方もどんどん変化していくと思われます。
自社で採用特設サイトを作っている企業も最近は多いですが、採用サイトのポイントとして、「Indeedに採用サイトとして認識されるか」が挙げられます。Indeedはネットの海の中から求人情報を拾い上げてユーザーの検索に対して表示してくれます。実はIndeedに認識させるには,「応募する」ボタンから応募に進めることなど、いくつかの条件があるのです。これをクリアし、かつ適切な検索ワードでSEO対策をすれば、インターネット上で求職者の目に留まりやすくなるでしょう。
例えば合同説明会のような採用イベントで求職者が見たがっているのは、その会社の空気感です。HPに書いてある内容をなぞっているだけのような人事の説明では、適切な母集団形成には繋がりません。可能であれば、人事だけでなく他部署の先輩社員などを連れてきて、求職者と話す時間を取ってあげたりするといいでしょう。そうすることでインターネットでは知り得ない生の情報を求職者に伝えることができます。これができていると求職者からの印象が良くなりますので、是非挑戦してみてください。
企業でTwitterやFacebook等のSNSアカウントを持っているのは珍しくありませんが、採用に有効に使えている企業は多くありません。イベントの情報などを定期的に垂れ流すだけでは大きな効果は期待できません。イベントと同じですが、重要なのはHPからは得られない生の情報を流すことです。そのためには人事だけでなく社員がSNSで積極的に発信することが必要です。社員のSNSは規制する会社が多いですが、推奨してみると意外な効果が得られるかもしれません。
テレビ、インターネットや駅の看板など、不特定多数の目に触れる場所に自社の広告を掲載します。ここで問われるのは、どんな人の目に触れるかを想像しながら、いかに目に留まりかつターゲットだけを振り向かせることができるメッセージを発するかです。一般的な内容の広告では、自社がターゲットとしていない人材も集めてきてしまい、選考の手間を増大させることに繋がります。自社の人材要件を満たすような人を振り向かせるメッセージを求職者目線で考えることが重要です。
「OB訪問」ではありません。「OBが」研究室や部活動などを通じて後輩にアプローチするのです。社内の協力を取り付けるのは少し大変かもしれませんが、OBの効果は絶大です。新卒採用に限定した方法ではありますが、やはり年代は違えど同じコミュニティに属する人はどこか相似点がある場合が多いです。「OBが何人も働いている」という事実は、求職者の志望動機を強く後押しします。また、コミュニティと良い関係が築ければ安定してそこから人材を確保することもできます。可能であれば積極的に試していきたいところです。
近年「リファラル採用」という言葉が取り上げられることが多くなりました。端的に言えば従業員の知人を紹介してもらって、採用に繋げていくというアプローチです。コストがかからず、応募者のスクリーニングも応募の段階である程度可能なリファラル採用は、自社の人材要件が明確であればあるほど効果を発揮します。ただ、会社全体が同質性の高い集団になっていきがちなので、会社の中の多様性や柔軟性の構築にはリファラル採用は思わぬ障害となる場合がありますので注意が必要です。
母集団形成は闇雲にコストをかければ結果が出るものではありません。むしろ下手にコストをかけても裏目に出る可能性が高いです。自社に適切な手法を選び、自社の人材要件を満たす人に届くようなメッセージを発していかなければ、母集団の量と質を上げていくのは困難です。しかし、良い母集団形成が実現すれば、その後の選考フローはとても楽になりますし、必然的に入社する人が活躍してくれる可能性も高まります。良い採用は良い母集団形成から始まるということを頭において、自社の母集団形成の施策を考えていきましょう。
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