記事更新日:2022年12月21日 | 初回公開日:2022年12月21日
採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 用語集採用とは、求職者が全ての選考プロセスに通過した状態のことを指します。採用を決定した時点では、企業が用意した選考に合格しているだけであり、求職者が入社に合意しているわけではありません。企業が一歩的に雇用の意思を示している状態と言い換えられます。採用が確定した後に労働条件などを改めて伝え、求職者がそれに合意して入社の意思が固まって初めて入社に至ります。採用は「労働契約が締結される前の状態」と言うことです。
内定とは、全ての選考に通過した求職者と企業の間で雇用の合意が取れた状態のことを指します。つまり、労使契約が成立した状態のことです。法律上、求人への応募は「労働契約への申し込み」となります。また、企業側が出す内定通知は「申し込みに対する承諾」として解釈されます。そのため、企業が内定通知を出した時点で、契約が成立します。企業側が一方的な理由で内定取り消しを行なってしまうと、解雇とみなされて訴訟問題に発展してしまうので内定通知を出す際には注意が必要です。
採用と内定のほかに、内々定という言葉があります。内々定は、企業が求職者に対して将来内定を出す予定である、ということを約束している状態です。内々定は、新卒採用の際に多く用いられています。なぜ内定でなく内々定という形をとっているのかというと、政府が定める新卒採用の内定を通知できる日が卒業または修了年度の10月1日以降と決められているためです。多くの企業は選考解禁日となる6月1日に活動を開始し、9月末までに採用者を決めることが多いため、内々定という形で雇用を約束し、内定者を確保します。
採用と内定の大きな違いは、確約の不安定さにあります。例えば、内定の場合には企業側に正当な理由があれば内定を取り消されてしまうことがあります。内定者は法的に守られているため、ほとんどの場合は入社することができます。それでも、絶対的に入社できる保証があるかと言われると、言い切ることができません。一方で、採用は書面を交わして双方の思惑が合致しているので、採用が覆ることが稀です。採用を取り消される可能せは限りなくゼロに近いと言えます。
採用通知書とは、「採用の意思がある」ことを求職者に知らせるために発行するものです。最終面接を終え、企業が採用を決定したことを通知するもので、求職者の入社意思などは関係がありません。したがって、採用通知書を発行したからといって求職者が必ずその企業に入社するわけではないことに注意しましょう。また、採用通知書はあくまで「合否結果を知らせること」が目的となるので、法的に義務付けられた項目などはありません。
採用通知書はメールで送るのが一般的です。メールは最終選考から約1週間以内を目安に負う応募者に対してお知らせします。メールには、合否結果だけではなく、入社を心待ちにしていることや、内定、入社までのおおまかな段取り、不明点の問い合わせ先などが記載します。応募者の不安を払拭するような内容や入社意欲を高めることができるような内容を送れるように工夫しましょう。
内定通知書とは、企業が選考を進んだ求職者に対して内定を通知する書類です。この書類は、内定を知らせる証拠として扱われています。内定通知書は法的には交付が義務づけされているものではありません。企業によっては、内定通知書を作成せず口頭やメールで知らせる例もあります。しかし、口頭で済ませてしまうと後からトラブルが発生してしまう恐れもあるので、内定を通知したという証拠を残すために内定通知書を送付するケースも多いです。
内定通知書は書面での提示が一般的です。内定通知書は、正式な労働契約が成立する書面となりますが、記載事項などは何も定められていません。一般的な記載項目は、入社日や入社承諾書や身元保証人などの入社までに必要な書類、内定の取消し事由などについてです。返送用の封筒も同封して郵送で送付します。内定通知書は法的な発行義務はありません。しかし、契約内容の認識の相違や内定後のトラブルを未然に防ぐためにも、発行しましょう。
採用や内定に関するトラブル事例として、内定の取り消しでのトラブルがあります。内定は労使契約を結んだ状態となります。内定通知書を出した後に内定を取り消すことは、解雇と同じ扱いとなります。内定を取り消しする際は企業は正式な解雇の手続きを行う必要があります。内定の一方的な取り下げは、東堂基準法によって厳しく罰せられるので、注意しましょう。内定の取り消しのトラブルを防ぐためにも、通知書に内定の取り消し事項を明記しておくと良いでしょう。
採用や内定のトラブル事例の2つ目として、労働条件の認識の相違によって起こるトラブルです。採用後に、応募した求人情報と実際の労働条件が異なるなどの理由で企業と従業員が認識の違いでトラブルになるケースは少なくありません。さらに、想定していた勤務地と違うことや、業務内容が違うなどが起こると訴訟にもなりかねません。
採用や内定のトラブル事例の3つ目として、求職者側の内定の辞退があります。求職者側の内定の辞退は、大きいトラブルになることは少ないですが、企業としては最も避けたい事例でしょう。一度内定を出して入社を決めた求職者が入社日間近に他社へと流れてしまうのは、精神的にもコスト的にもダメージが大きいです。内定を辞退する理由のほとんどが「もともと第一志望ではなかった」ということが多いです。解決策は、自社の魅力を向上させること以外にはほとんどありません。内定辞退者があまりにも多い場合は、まずは他社にはない自社の魅力を探すところから始めてみましょう。
採用や内定を行う際の注意点の1つめに、口頭だけで通知行うだけでなく、書面でも通知を行っておくことが重要です。それぞれの通知書は口頭のみで通知することも可能です。しかし、企業と求職者の双方のトラブルを防ぎ、守るためにも、書面での通知も行っておくと良いでしょう。口頭だけでなく、通知書を発行し送付しておくと、「通知書を出した」という証拠を残すことができます。どのような条件で採用や内定を行なったかを書面に残すことが重要です。
採用や内定を行う際の注意点の2つ目に、内定辞退を防止することが挙げられます。もし本当に優秀な求職者が現れ、絶対に入社させたいという気持ちがあるのであれば、すぐに内定通知書を出し、その求職者に熱意を伝えましょう。また、求職者に選んでもらうのを待つだけではなく、こちら側から積極的にコミュニケーションをとるのも良い方法です。このような細かい施策が求職者が企業で一緒に働きたいと思える企業になる方法となります。
採用や内定を行う際の注意点の3つ目は、面接後は1週間以内に通知することです。求職者は基本的に複数の企業に応募を行い、面接も行なっているはずです。そのため、ほとんどの場合はどの企業に入社するかの比較になります。その対策として最も有効なのが、対応のスピーディーさです。自社の面接後に採用通知を早く出すことによって、他者との比較時間を短くし、さらに強い印象を求職者に与えることが出来ます。面接後はできるだけすぐ通知を行い、求職者に対してこまめなれんらくを取るようにしましょう。
入社意欲を向上させるためにも、内定の通知と同時に内定者フォローを視野に入れた案内を行うと良いでしょう。近年、採用における売り手市場が続いており、優秀な人材の確保が難しくなっています。採用決定後に他企業への入社を選択する求職者も多いため、入社意欲を高めてもらえるように、さまざまな試作での囲い込みに積極的な企業も増えています。求職者の不安を払拭するためにも、面談や研修を行いたいと思う企業は案内を忘れずに行いましょう。
企業から求職者に対して採用や内定を取り消すことのできるケースの1つ目は、内定者の事由による取り消しです。例えば、内定者の健康状態が悪くなり業務が難しい、予定通り卒業ができない、SNSで不適切な発信を行なってしまった、提出書類に不備または虚偽があった、犯罪行為を行なったなどの理由により、採用や内定の取り消しを行うことが出来ます。
企業から求職者に対して採用や内定を取り消すことのできるケースの2つ目は、企業の都合による取り消しです。企業側の都合による採用や内定の取り消しは原則として整理解雇の要件を満たしているときのみに行うことが出来ます。整理解雇の要件とは、人員削減の必要性があった、社員と協議を行なった、解雇を回避するために尽力した、合理的に解雇対象者の人選を決めた、などがあります。これらの要件を解雇の30日前までに予告することで採用や内定の取り消しを行うことが出来ます。
採用と内定の違いについて説明してきました。企業の採用担当者は採用と内定の違いを把握した上で、きちんとした採用通知書や内定通知書を発行しておくことが大切です。違いを理解しておくことは、求職者への対応の変化にもつながります。会社としては、良い人材を確保するために適切かつ迅速に対応することが求められます。また、適切なフォローは内定自体の防止にもつながります。このような取り組みを意識しておくことが、採用活動におけるトラブル防止に有効であることを理解しておきましょう。
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