LGBTの取り組み事例【政府や自治体・企業に分けて解説します】

記事更新日:2024年03月01日 初回公開日:2024年03月01日

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セクシャルマイノリティやLGBTという言葉は最近ではよく耳にするようになってきました。しかし言葉として耳にする機会は増えていても、実際にセクシャルマイノリティの人たちが住みやすい社会とは未だ言えません。理解を深めサポートする団体や人が増えていても、知識がないことから知らないうちにLGBTの人を傷つけている場合も少なくありません。グローバル化やダイバーシティ化が進んでいる昨今では、セクシャルマイノリティの人たちも安心して働ける環境が必要不可欠です。今回はLGBTの取組みなどについて解説していきます。経営者の方は参考にしてみてください。

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LGBTとは

性的少数者の総称

LGBTとは、性的少数者の総称です。そもそもLGBTとはLesbian(レズビアン)・Gay(ゲイ)・BBisexual(バイセクシャル)・Trans-gender(トランスジェンダー)の頭文字を取ったものです。現在ではこの4つだけでなく、セクシャルマイノリティ全般を表す言葉として使用されています。「LGBTQ+」「LGBTQIA+」という言葉も最近ではよく聞かれるようになりました。少しずつですが認知度が上がってきています。

LGBTQとの違い

LGBTという言葉からLGBTQという言葉も徐々に認知度が高まってきています。LGBTQとは、従来のLGBTにQuestioning(自分の性について分からない人や、特定の枠に属さない人)という意味を持っている場合があります。もしくはQueer(セクシャルマイノリティ全般を表す包括的な言葉)から来ている事もあり、片方もしくは両方の意味を持っています。LGBTQという言葉に含まれるもの以外にも、性の在り方は多様にあることからLGBTQ+やLGBTsとあらわすこともあります。

LGBTの日本での現状

LGBTの割合は約1割

LGBTの人たちは、日本で約1割ほどだとされています。2020年の電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、葯%の人が性的マイノリティに属するとされています。1割と聞くとあまり多くない印象を受けますが、学校で40人クラスの場合に3~4人が性的マイノリティに属すると考えると少なくありません。しかし日本全体でセクシャルマイノリティが認知されてから日も浅く、他と違う事を美徳としない日本社会においてLGBTに該当する人たちが住みやすい社会とは言えません。

意味を知らない人が約2割

日本では、未だにLGBTの意味を知らない人が約2割存在しています。2015年に電通ダイバーシティ・ラボがLGBTの認知度について調査を行ったところ、意味を知っている人は約38%でした。2020年の調査では言葉の浸透率は80%と年々浸透率は上がってきているものの、まだ100%には至っていません。レズビアンやゲイという言葉の認知度は高いものの、バイセクシャルやトランスジェンダーという言葉は認知度がまだ上がっていません。

LGBTに対する取り組み事例

政府の取り組み

教育現場での取り組み

LGBTに対する政府の取り組みの中に、教育現場での取り組みがあります。教育関係の施策は文部科学省が行っており、各自治体の学校に対してLGBTの生徒が生活しやすくなるような対策を行うよう対応を求めています。2015年には「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を発出し、LGBTの子供に対して行うべき対策などを具体的なとりまとめを行いました。また2016年には教員に向けて手引きを公表し、教員の理解を求めています。

セクシュアルハラスメント指針の改定

LGBTに対する政府の取り組みは、セクシャルハラスメント指針の改定も含まれています。セクシャルハラスメント指針とは、職場におけるセクハラで労働者の就業環境が害されることないよう企業が措置を行える様に定めた指針です。セクシャルハラスメント指針は2017年1月に改訂されたものが施行されました。従来からセクハラ指針では被害者の性自認や性的指向は問いませんでしたが、LGBTの人が被害を訴えても取り合ってもらえなかったことから改定が行われました。

地方自治体の取り組み

札幌市

LGBTに対しての取り組みを行っているのは、札幌市です。札幌市では、LGBTに関する企業での取組を推進することを目的として、LGBT施策に取り組む企業に登録証の発布を行っています。基本方針・啓発・内部体制・福利厚生・配慮・協力連携の6つの項目についてLGBT施策を評価し、札幌市LGBTフレンドリー企業として登録を行っています。登録基準は星の数で決まっており、取り組んでいる項目が5つ以上になると星3つを獲得することが可能です。

越前市

越前市もLGBTに対して、地方自治体として取り組みを行っています。越前市では市のHPにLGBTQや性の多様性について記事を上げており、市民に対してLGBTに対しての理解を深めてもらうよう対応を行っています。越前市はパートナーシップ宣誓制度を2022年10月から導入を始めました。パートナーシップ宣誓制度は、一方または双方が性的マイノリティの2人に対して互いを人生のパートナーとし、市が2人のパートナーシップを証明する制度です。それだけでなく申請書の性別欄見直しなども実施しています。

宮崎市

LGBTに対する自治体の取り組みとして、宮崎市が挙げられます。宮崎市では、個人の性自認や性的指向による差別や偏見の解消を促進していくために、レインボーグッズを用いて広報活動を行っています。具体的な取り組みとして、性的マイノリティの人の尊厳や社会運動を象徴する虹色の旗(レインボーフラッグ)を掲げる・虹色の缶バッジを身につけることです。レインボーフラッグや缶バッジをつける事で、Ally(LGBTに対して理解・支援を行う)であることを見える化しています。

埼玉県

埼玉県では、業員の理解促進策やLGBT向けの福利厚生制度の有無などの各企業の取組み状況を県の公式サイトで公表しています。県内に活動拠点がある企業や事業所では、県が実施する「にじいろ企業研修」を受講することが条件となっており、県を上げてLGBTの対応を行っています。県が主体となって行っているのは、社員の理解不足に直面したり、情報がなくて他社の取組み状況を参考にできない事が多かったため、にじいろ企業研修を実施するようになりました。

企業の取り組み

KDDI

KDDIはLGBTQに関する取り組み指標「PRIDE指標」の最高位「ゴールド」を5年連続で受賞しているLGBTの取り組みに積極的な企業です。KDDIでは、2020年6月から同性パートナーの子を社内制度上"家族"として扱う「ファミリーシップ申請」を導入しました。こういった継続した取り組みが評価され、2016年から5年連続で最高位のゴールドを受賞しています。またファミリーシップ申請がLGBTQ当事者社員の安心感の醸成と社会課題に取り組む会社の姿勢を示しているとして、ベストプラクティス賞も受賞しています。

スターバックスコーヒージャパン

スターバックスコーヒージャパンでは、2017年1月4日から同性パートナーシップ制度が導入されました。同性パートナーシップ制度の導入のきっかけとなったのは、同性のパートナーを家族として登録してほしいという社員からのメモでした。元々スターバックスでは多様性を尊重しており、LGBTである社員も多く活躍していたことからよりLGBT当事者が働きやすい環境を整備するため導入に至っています。また導入するだけでなく、社員の理解を深めるために研修なども実施しています。

資生堂

資生堂はLGBTが話題になる前から、性別適合手術をした方へのメーキャップを中心としたアドバイスや店頭でのLGBT当事者のお客様への接客などを行っていました。それだけではなく2014年に「知る・触れる・受容する」という理念を社内に発信し、本格的な取り組みを始めます。知る・触れるでは、LGBTへの正しい理解・知識共有・マーケティングなどを考えるセッションなどを行っています。受容するに関しては、2017年に配偶者を「同性パートナーを含む」とし同性婚婚認定の規定改訂を行いました。

富士通

富士通では、LGBTに対しての企業の在り方を年度別で目標として掲げ様々な工夫や施策を行っています。2022年までの目標として、インクルーシブな企業文化の醸成を掲げており目標達成するために、従業員エンゲージメントでのDE&I関連設問の肯定回答率向上を行いました。またそれだけでなく、リーダーシップレベルにおける女性比率を上げる事にも成功しています。2025年度目標も掲げており、年齢や性的指向アイデンティティなどに関係なく全ての社員が尊重されると感じられる環境作りを目指しています。

Apple

Apple社はLGBTフレンドリー企業として知られています。具体的な施策としては、同性パートナーシップ制度の導入・プライドパレードへの参加・同性婚を支援・LGBTQコミュニティへの寄付です。同性パートナーの医療費や出産手当、休暇手当などを福利厚生として提供しています。プライベートパレードとは、毎年6月に世界各地で行われるLGBTQのパレードの事で、従業員が自由に参加できるようにしています。同性婚を支援する活動や寄付も積極的に行っており、フレンドリー企業として有名です。

IKEA

IKEAでは、LGBTQの人たちに対してオープンでインクルーシブな環境を提供することに取り組んでいます。Inclusive & Affirming Cultureは、LGBTを含むすべての社員が安全で居心地の良い環境で働けるようにする取り組みです。Diversity & Inclusion Trainingにおいては、全ての社員に対して教育を行っています。またIKEAでは全ての店舗においてジェンダーニュートラルなトイレを導入している他、LGBTに対する広告やマーケティングにも積極的に取り組んでいます。

Microsoft

MicrosoftもLGBTフレンドリー企業として知られている企業の一つです。LGBTの社員、パートナー、およびコミュニティに対して、多様性、包含性、尊重を重視した取り組みの実施をしています。LGBT社員だけではなく同性パートナーにも健康保険やそのほかの福利厚生が適用できるようになっています。また社員の理解を深めるために、全ての社員を対象としてLGBTに関するトレーニングを提供しています。LGBTのイベントサポートも行っており、シアトルで毎年開催されているフェスティバルへの参加もその一つです。

まとめ

LGBTへの理解を深め多様性を認める環境を整備しよう

LGBTの日本での現状や、企業・地方自治体の取り組みについて解説しました。LGBTの人たちがそうでない人たちと同じように安心して生活していけるように、様々な施策や取り組みを行っている自治体や企業は増えてきています。しかし未だ諸外国と比べると、日本での認知度や理解度は低く生きづらいと感じてしまう人も少なくありません。一人ひとりが理解しようという姿勢も大切ですが、企業として従業員に理解を促進していく施策なども重要です。LGBTへの理解を深め多様性を認める環境整備を行っていきましょう。

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