特別永住者とは【永住者との違いなどについてわかりやすく解説します】

記事更新日:2022年09月08日 初回公開日:2022年09月05日

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技能実習生等を含め今の日本において、外国人は大切な労働力です。日本に居る外国人が永住権を申請したり、帰化したりと長い間日本に滞在してくれる外国人も増えています。今回は数ある在留資格の中から特別永住証明書を交付されている特別永住者について解説していきます。特別永住者とはどのような人達を指しているのか特別永住者が帰化したい場合の注意点等、一般永住者とは違う点にも触れていきます。特別永住者について詳しく解説を行いますので、日本に居る外国人の方や外国人採用を行っている担当者の方は是非参考にしてみてください。

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特別永住者とは

入管特例法に基づく在留資格を持つ永住者のこと

特別永住者とは、入管特例法に基づく在留資格を持つ永住者のことです。入管特例法とは1991年11月に「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」のことを指します。入管特例法の対象となるのは第二次世界大戦中の戦時下において日本に占領されていた領地の人達です。主に韓国・朝鮮や台湾出身が占めており、戦後も母国に帰らず日本で生活している人が多くいました。その人達が日本へ定住することなどを考慮した上で、永住する権利を与えたのが特別永住者です。

特別永住者と永住者の違い

異なる法律に基づいている

特別永住者と永住者との違いは、異なる法律に基づいているという点です。永住者は「出入国管理及び難民認定法」に基づいています。永住者は日本政府に申請をし厳しい要件をクリアすれば永住権を得ることが可能です。しかし特別永住者は「出入国管理及び難民認定法」、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱したもの等の出入国管理に関する特例法」に基づきます。そのため、誰でも特別永住者の申請が出来るというわけではありません。

審査基準が異なる

特別永住者と永住者との違いは審査基準が異なることです。永住者の資格を得るためには原則として10年以上継続して日本に居ることが大前提です。この前提のもと「素行が良好である」「独立の生計を営む資産もしくは資格を有すること」「永住が日本の利益になること」といった条件を満たす必要があります。それに対し特別永住者は「特別永住者の配偶者または子である場合においては、次の各号に適合することを要しない」とされ、日本で出征しているかなどが要件となっています。

特別永住者には特別永住証明書が交付されている

特別永住者には特別永住証明書が交付されている点も永住者とは異なります。一般的に永住者には在留カードが付与されており、永住者はこれを常に携帯しておく必要があります。しかし特別永住者に交付されている特別永住証明書は特別な理由がない限り提示を求められることはありません。しかし提示義務は特別永住証明書にもありますが携帯する義務はないため提示を求められた場合は保管している場所まで同行し提示しなければなりません。特別永住証明書は特別永住者の法的地位を保証することを目的として交付されています。

特別永住者の条件

平和条約国籍離脱者またはその子孫であることが前提

特別永住者の条件は平和条約国籍離脱者またはその子孫であることが前提とされています。「平和条約国籍離脱者」とは、1952年サンフランシスコ講和条約が発効時点で日本に住んでいた韓国人・朝鮮人や台湾人を対象に日本国籍を失った人達のことを指しています。国籍を失った人達の在留の為に制度化され、平和条約国籍離脱者を対象としました。更にその子孫も対象とし、両親のどちらか一方が特別永住権を持っていれば特別永住許可を申請することが可能です。

特別永住者が帰化申請する際の要件

20歳以上かつ本国における成人年齢に達している

特別永住者が帰化申請する際の要件は、20歳以上且つ日本における成人年齢に達している必要があります。未成年者が両親と一緒に帰化申請をする場合や、両親の内どちらかが日本国籍を持っている場合であれば未成年でも帰化申請をすることが出来ます。但し、この条件を満たしていない場合や一人で特別永住者が気化する場合には、20歳以上でなければなりません。また本国と日本の成人年齢が異なる場合には、本国における成人年齢にも達しておく必要があります。

素行が善良である

素行が善良であるということも特別永住者が帰化申請する際の要件となっています。帰化申請する際に1番懸念となるのがこの項目です。他の要件に関しては特別永住者であれば緩和や免除されることがありますが、素行要件に関しては一切緩和や免除の対象とはなりません。きちんと税金や年金を納めて重大な犯罪を犯していないことが重要です。特に交通違反を気を付けなければならず、審査機関は5年間遡るため軽微な交通違反であれば数回は問題ないですが事故などを起こしている場合には帰化しづらくなります。

独立した生計を営むことができる

特別永住者は独立した生計を営むことが出来るのも帰化申請する際の要件です。帰化申請を行う本人もしくは配偶者など生計を同じにしている親族などの収入によって安定した生活を行えることも帰化申請の要件とされています。無職の場合や生活保護を受けている場合には帰化申請を行っても許可されにくい傾向にあります。また日本で会社を経営している場合には、会社の経営状況等もチェックされるため決算が黒字であることが望ましいです。

帰化によって二重国籍とならない

帰化によって二重国籍にならないのも特別永住者が帰化申請する際の要件です。日本に帰化するということは、日本国籍を取得することになるため原則として母国の国籍から離脱する必要があります。在日朝鮮人や在日韓国人の人は出征が日本である場合が殆どのため、母国国籍の損失要件は対象とならない場合が殆どです。但し韓国籍などを有している特別永住者の人においては、帰化申請後日本国籍を取得した際に国籍の離脱手続きを行う必要があります。

憲法を遵守している

特別永住者は憲法を遵守しているかどうかも帰化申請する際の要件とされています。例えば日本政府を暴力で妨害することを企てていたり、既に妨害することを主張し仲間を募っている場合です。もしくは妨害するための団体を立ち上げたり加入しているような人達は帰化申請をしても許可されることは難しいと言えます。申請者本人がそのような団体と関係がなくても申請者の親族の中にそういった団体と関係がある人がいる場合にも同様に帰化することは容易ではありません。日本に帰化するためには日本の憲法を遵守している必要があります。

特別永住者のメリット

在留期限が無期になる

特別永住者のメリットは在留期限が無期になるという点です。本来であればビザ申請等をしている場合1年や3年・5年といった在留期間が決まっており、期限が来るたびに延長申請を行わなければならず、在留期限も有限な場合があります。特別永住者は、在留期限を気にする必要がありません。ビザの申請等を忘れると不法滞在になってしまいますが、特別永住者は延長申請等の手続きを行う必要がないため不法滞在などになる心配も不要です。不法滞在のリスクを侵す心配もないため、リスクも減らすことが出来ます。

就労の制限がなくなる

就労の制限が無くなるのも特別永住者のメリットと言えます。特別永住者には就労の制限は課せられておらず、違法にあたらないものであればどのような仕事にも就くことが可能です。就労ビザの場合は1週間の労働時間制限があったり、風営関連の職には就くことが出来ない等制約があります。それだけでなく業務内容が変わった時は就労ビザを失う可能性も出てきます。しかし特別永住者にその制限はなく、異動や転職なども行うことが可能です。在留カードのように仕事に就いたり雇う雇用主にカードの提示も行う必要もありません。

各種手続きが簡単になる

特別永住者は各種手続きが簡単となるためそれもメリットの一つです。特別永住者は外国籍の人達ですが、在留カードを持っている外国人と比べると日本での手続きが簡単に行えます。本籍は母国に置いている外国人が私たちと同じ申請や手続きを行おうとすると国籍などの関係により時間を要してしまったり申請フローが複雑になっている場合が多くあります。特別永住者は全てが日本人と同様に行えるわけではありませんが、役所で必要な手続き等は日本人と同様に行うことが出来るようになっています。

雇用する際に外国人雇用状況届出を提出する必要がない

雇用する際に外国人雇用状況届出を提出必要がないのも特別永住者のメリットです。「外国人雇用状況届出」は一般永住者を雇用する全ての雇用主にとって提出は義務であり、雇い入れだけではなく離職した場合にも届出を出さなければなりません。届け出を怠った場合には罰金が科せられる場合もあります。更に雇入れを行う場合には就労が可能かなどのチェックもする必要があり、雇い主にとってリスクも低くありません。しかし特別永住者を雇用する場合には外国人雇用状況届出を提出する必要がないため、メリットと言えます。

特別永住者が注意すべき点

出国の際には再入国許可が必要となる

特別永住者が注意すべき点は、出国の際には再入国許可が必要となるところです。日本の在留資格を持っている人が日本から出国する場合には事前に再入国許可を受けているかもしくは「みなし再入国許可」の意思を表明が必要です。再入国許可か「みなし再入国許可」を表明しており同じ目的で在留する場合は、査証の提示が必要なく出国前と同じ資格を継続することが出来ます。特別永住者もお同じ条件になっており、再び日本に戻ってくる前提の場合はどちらかの手続きをとった上で日本から出国するしなければなりません。

国外の滞在期間には制限がある

国外の滞在期間には制限があるのも特別永住者が注意しなければならない点です。在留資格を持っている人が出国した際に、日本を出国した日から1年以内に再入国する場合は原則として再入国許可は不要です。これをみなし再入国許可と言います。みなし再入国許可の有効期間は延長することが出来ず、この期間を超えて日本に入国しない場合は在留資格が消滅してしまう恐れがあります。特別永住者もこの限りではなく、通常の在留者に比べると出国から2年と長く取られていますが注意が必要です。

申請の審査には一定期間が必要とされる

特別永住者は申請の審査には一定期間が必要とされることを注意しなければなりません。永住権の承認は申請してからしばらく時間を要し、許可が下りるのも約50%程度と容易ではありません。特別永住者は要件を満たしていれば永住権の申請程審査は厳しくない申請です。但し永住権取得よりも容易であるとは言え、申請しなければいけない書類も多いため余裕をもって申請する必要があります。ギリギリになって申請手続きが間に合わない等なら内容に審査に一定期間が必要だという認識を持ち、特別永住者の申請をしなければなりません。

まとめ

特別永住者について理解を深めましょう

特別永住者のメリットや特別永住者が日本に帰化する場合の要件などについて解説しました。特別永住者は在留カードを持った外国人と比べて過去に「日本人だった」ということもあり、手続きや対応に柔軟性があります。しかし全てにおいて優遇されているわけではなく、証明書交付の必要があり有効期限もあるため注意も必要です。特別永住者を採用する際には日本人を採用する場合と手続き等も代わりがありません。但し何をしても在留資格をはく奪されないということではないため、しっかりと理解を深めることが大切です。

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