記事更新日:2019年04月25日 | 初回公開日:2018年05月08日
ビザ(在留資格)日本に長く住んでおり、在留資格(ビザ)の更新に縛られることなく、且つ在留活動も制限なく活動することができる権利を永住権と言います。この永住権の審査は厳しく、法務大臣の自由裁量により許可が決まります。そのため、ある程度の基準はありますが、具体的な基準が設けられている訳ではないのがこの在留資格(ビザ)のポイントです。
そして、永住権の審査は年々厳しくなってきており、今までのビザ申請を雑に行っている方などは、永住申請できる要件を満たしていたとしても、過去の申請が影響して不許可になってしまうケースがあります。将来的に永住申請を考えているのであれば、目先のビザ更新だけでなく、将来を見据えた申請をしなくてはいけません。そして、この将来を見据えた申請には、企業の協力や理解が必要な場合もありますので、企業側もこの永住権の要件を理解しておく必要があります。
永住申請の要件は様々ありますが、一般的な外国人の要件は以下の通りです。
①10年以上日本に住んでいること(正規なビザを持って)
②且つ5年以上働いていること(アルバイトは不可)
③現在のビザが3年以上のビザであること(1年のビザは不可)
④素行が良好であること(納税をしている・犯罪歴がない等)
⑤生計が安定している(目安としては年収300万円以上あるか)
簡単ではありますがこれが一般の外国人の方の要件です。それぞれ重要な部分を細かく見ていきたいと思います。
まず、①ですが、10年以上日本に住んでいるということですが、この中には“出国要件”というものが含まれており、10年以内に3ヶ月以上の出国、または1年間で合計180日以上の出国があってはいけません。
ここで注意が必要なのが、外国人が会社の出張等で海外に行くことが増え、この出国要件に当てはまってしまうと、仮に10年以上日本に住んでいたとしても、今までの住んできた年数がリセットされてしまい、再度そこから日本に10年以上いなければ永住申請することはできなくなるということです。
会社の命令、出張など、様々な理由があると思いますが、この出国要件では理由は考慮されません。外国人の方は業務上海外に行くことが多いと思いますが、彼らが永住を望むのであれば会社側も勤務地の見直しが必要かもしれません。
1回の出国で3ヶ月というのはある程度明確に決まっていますが、年間180日というのは年々厳しくなってきており、現在では120日~150日程度でも不許可になる可能性があります。もちろん永住権を取得した後であれば出張はいくらでも可能です。
次に②ですが、①の10年以上日本に住んでいる中で、うち5年間は就労ビザを取得して働いている必要があります。この働いていると言う中にアルバイトは含めることはできないので、例えば留学生として10年以上日本にいるとしても永住申請はできません。
続いて③についてですが、例えば①と②の要件をクリアしていたとしても、直近で転職をして今までは5年のビザだったが、現在は1年のビザになってしまった、という場合も永住申請はできません。ただし、次回の更新で3年以上のビザをもらえれば永住申請をすることが可能です。
④は、日本で日本人と同じように生活をできる権利を取得するのであれば、日本においてのルールを守っている人でなければならないという要件です。例えば、外国人であっても日本で暮らすのであれば、住民税は必ず支払わなければなりませんし、社会保険(健康保険や国民年金等)も支払う必要があります。これらが未納であると永住権取得は難しいです。また、犯罪歴も関わります。明確な基準はありませんが、あまりにも凶暴な方やルールを守らない方には永住権は与えないというのが法務大臣の判断になります。
さいごに⑤について、年収300万円以上というのはあくまで扶養家族がいない方の最低ラインの年収であり、扶養家族がいるのであれば扶養家族分稼いでいる必要があります。また納税証明書および課税証明書を3年分提出するので、直近3年間においてこの年収をクリアしている必要があります。
外国人の採用から定着まで徹底サポート
永住申請は本人だけでなく、企業の理解(出張日数の調整等)もなければ取得することができないものです。永住権が取得できればその後の出張は自由となるので、外国人の将来の計画等をヒアリングして、企業として協力していくことが必要です。
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この記事を書いた人
塩野 豪(しおの ごう)
行政書士塩野豪事務所の代表。
外国人ビザ(在留資格)の専門家として活動し、フィリピンやカナダなど外国との繋がりも強い。
人材紹介会社の外部顧問としても活動している。
HP:行政書士法人フォワード
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