記事更新日:2024年02月22日 | 初回公開日:2024年02月22日
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職種別採用とは、初めから職種を限定して採用活動をすることです。総合職といったように入社後に配属先が決まる採用方法ではなく、事前に採用後の配属先を決めて人材を採用します。職種別採用には、部門や部署を細かく設定して採用する方法と「営業」「エンジニア」などざっくり職種を設定して採用する方法があります。中途採用の場合は欠員募集であることが殆どのため、職種を限定して採用している会社が殆どです。しかし最近では新卒採用でも行う会社が増えています。
職種別採用と似たものにジョブ型採用というものがあります。ジョブ型採用は職種別採用と同じ概念だとして認識している人も多いですが、2つは雇用形態において大きく異なります。日本での職種別採用は配属先職種を明示して採用を行っていますが、明示しているだけで雇用形態は職種を限定して締結するわけではありません。一方ジョブ型は経団連により、「特定のポストに対して、職務と役割を遂行できる能力や資格のある人材を社外から獲得、あるいは社内で公募する雇用形態」と決まっています。
メンバーシップ型採用とは、年功序列や終身雇用、新卒一括採用などが主流の今の日本の企業が取り入れている雇用制度です。人材の採用を行ってから業務の割り振りを行い、業務範囲なども決まっていません。また職種別採用では専門的な知識やスキルを求められるのに対し、メンバーシップ型採用ではコミュニケーションスキルなどの能力を重視して採用されます。教育の面においても、メンバーシップ型はOJTが充実しているなどの差があります。
職種別採用が注目されている背景には、優秀な人材の確保の重要性が増していることが考えられます。従来の総合職採用では、入社後にジョブローテーションによって経験を積む事で自社への理解を深めながら幹部候補を育てていく仕組みになっていました。しかしIT化が進み職種が専門分野化し、労働人口減少や働き方の多様化などで従来のような採用では対応できない事が増えてきています。こういった背景により、専門知識を持った優秀な人材確保を行うために職種別採用が注目されています。
職種別採用における就活生のメリットは、職種が確約されている事です。従来の採用法である総合職で入社した場合、営業をやりたいと考えていてもバックオフィスに配属される場合やその逆もあります。自分が希望していた職種に就けない場合、総合職という仕組みを理解していても長期間モチベーションを維持することが難しくなります。その点、職種別採用であれば入社する前から職種が確約されているため、自分がやりたい仕事に就くことが可能です。
職種別採用での就活生のメリットは、入社後のイメージを付けやすい点です。インターネットの普及により、採用活動においても様々な手法が活用されています。自分が就きたい仕事を検索した際には、働き方や業務内容・求められるスキルなどを調べる事が出来ます。職種別採用で職種が限定されていることで、入社後自分がどんな仕事をするのか想像しやすくなります。また必要なスキルが分かれば、入社までに自己研鑽としてスキルアップに繋げる事も可能です。
学生時代の学びを活かしやすいのも、職種別採用における就活生のメリットです。職種が限定されていることによって、学生時代に学んだ分野を活かせるような仕事を選ぶことも出来ます。社会人として求められるスキルに達していなかったとしても、基礎的な知識を持っていることで入社後に必要な教育が総合職採用の人とは違い少なく済みます。企業側からしても、分野によっては即戦力として扱ってもらう事も出来るため、就活生のメリットといえます。
職種別採用における企業側のメリットは、採用力を上げられることです。学生が就職活動で応募先を検討する際、業界や業種だけでなく職種で求人を探している人が増えています。自分が学んだ専門知識を活かしたい・特定の職種に就きたいと考えている学生にとっては、総合職で職種が決まっていない募集よりも希望先が約束されている方が魅力的です。世間ではあまり馴染みのない専門性を求められる職種ほど、職種別採用を行う事によって採用力アップに繋がります。
企業側における職種別採用のメリットは、専門職種を採用しやすくなる点です。営業や総務といった部署であればOJTなどで徐々に知識を身に付けていけば問題ありません。しかし研究職やエンジニア・経理などといった職種は新卒であっても専門知識が必要になる場合があり、採用要件が限定されている事もあります。専門職種で職種別採用を行う事で、企業がどういった仕事で活躍してもらいたいと考えているのかが分かり、専門知識を持っている学生からの応募に繋がります。
離職率の低下に繋がるのも、職種別採用における企業側のメリットです。新卒社員の離職に繋がる理由として、人間関係の問題も上位に挙がっていますがミスマッチが原因になっている場合も多くあります。ミスマッチは入社前に思い描いていた理想や想像と、入社後に見る現実の差が大きいほど起こりやすくなります。職種別採用では、学生が希望している職種に就くことが出来るため入社後のミスマッチが起こりにくくなります。目的意識がはっきりしている人が集まりやすくなるのもメリットです。
職種別採用の就活生にとってのデメリットは、その職種以外のキャリアが見えにくくなる点です。職種別採用の場合はその職種に特化して活躍することを想定し、採用を行っています。そのため入社後に他の職種への興味が沸き、異動したいと考えても職種別採用の場合変更が簡単ではありません。また職種を限定して雇用契約を締結している場合は労働契約の変更に当たり企業と話し合いが必要です。限定した職種で活躍できる場合は問題ありませんが、入社後に他の職種に興味を持っても変更は簡単ではないことを認識しておく必要があります。
即戦力が求められやすいのも、職種別採用の就活生にとってのデメリットです。職種別採用は、その職種に関わる専門知識やスキルを最低限持っていることが求められます。企業としても即戦力を求めている可能性が高い傾向にあります。またメンバーシップ型では教育体制が整っている企業が殆どのため、OJTやOFF-JTなどが用意されています。しかし職種別採用では基本的に自ら専門知識を学んでいく事が求められ、研修などを設けていない場合が殆どです。自ら学ぼうとする意欲が低い人は、職種別採用には向いていません。
職種別採用の企業にとってのデメリットは、社内の協力体制に支障が出る可能性があるところです。職種別採用は業務が限定されている場合が多いことから、契約で指定されている業務以外に携わることは出来ません。そのため「自分が行う業務はこれ」「携わっている業務以外は関係ない」といった考えになりがちです。こういった考えの人が増えてしまうと、他のメンバーが困っている時や緊急事態でも手伝う事をせず業務に支障をきたす可能性があります。こういった事態が続いてしまうと、社内の協力体制が崩れてしまいます。
職種別採用を導入する際のポイントは、雇用契約の形態を決める事です。本来の職種別採用であれば、労働契約を締結する際に契約書に部署や業務を事前に指定し契約を結ぶことが一般的です。しかし最初から業務を指定してしまうと、時間が経ってから他の業務にも携わってほしい場合対応してもらう事が出来ません。その為、事前に詳細に指定しておくのか最初の配属先と業務を指定し雇用契約上は特に制限を設けないようにするか、社内で話し合いしっかりと決めておくことが大切です。
職種別採用を導入する場合は、職種別採用をしていることをしっかりとPRしましょう。職種別採用をアピールすることによって、業界には興味のなかった学生から応募してもらう事が出来るかもしれません。最近では業界という大枠で就職活動を行っている学生は少なく、詳細な業務内容や職種に脅威を持つ学生が増えています。求職サイトや自社ホームページで職種別採用を行っていることをアピールすれば、従来なら応募がなかったような学生に興味を持ってもらえる可能性が高まります。
職種別採用の導入を考えている場合は、企業説明会や面接で詳しく説明しておくことが大切です。対面で直接学生に職種別採用について説明することにより、学生からの疑問点にも回答することが可能です。職種別採用への理解を深めてもらう事で、入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。職種別採用でもしっかりと理解をしてもらっていないとミスマッチは起こりやすくなります。業務の説明をする際には、実際に該当する職種に携わっている人に説明してもらう事も一つの方法です。
長期インターンシップを行うのも、職種別採用を導入する際のポイントです。短期間やアルバイトでは中々実際の業務に近いことを体験してもらうことは出来ません。長期的なインターンシップに参加してもらう事で、業務に触れてもらう事が出来るだけでなく専門的な知識を身に付けてもらう機会にもなります。プログラムやエンジニアとしての専門知識だけでなく、ビジネススキルも身に付くので就活生が実際に入社した際のイメージを想像しやすくミスマッチ防止としての効果もあります。
職種別採用の就活生からみるメリット・デメリットや企業が導入する際のポイントについて解説しました。近年では総合職という入社してから配属先が決められるのではなく、最初から職種を絞って就職活動を行う学生が増えています。職種別採用は応募者の希望に沿いやすいというメリットがある一方で、雇用契約の内容次第では将来のキャリアパスが狭まってしまうというデメリットがあります。職種別採用を導入する際には、そういったメリット・デメリットを然り理解した上で導入するかどうか検討してみてください。
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