ノーワークノーペイの原則とは【台風や遅延は適応されるのか、有給休暇は例外となるのか、詳しく解説します】

記事更新日:2023年12月13日 初回公開日:2023年12月13日

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企業側は労務を提供してくれる労働者に対して、様々な義務を負っています。働き方が多様化している中で、様々な考え方を持って働いている人が沢山います。そういった時に企業として一定のルールを設ける必要があります。ルールの中でも、今回はノーワークノーペイの原則の適用について解説していきます。ノーワークノーペイの原則が給与計算の基本原則であるという認識はあっても、どういった適用になるのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ノーワークノーペイの原則について解説していきますので、労務担当の方は参考にしてみてください。

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ノーワークノーペイの原則とは

労働者が何らかの理由で労働しなかった場合金銭が支払われない考え方

ノーワークノーペイの原則とは、労働者が何らかの理由で労働しなかった場合に金銭が支払われないという考え方です。企業は労働者に対して賃金の支払いを行う際に、労働基準法に基づいて守るべきルールがあります。そのルールを賃金支払いの原則として、労働基準法第24条に明記されています。しかし、労働者から労働提供がない場合には賃金を支払う必要がありません。休暇などについても一部の例外を除いてノーワークノーペイが適用されています。

欠勤控除との違い

欠勤控除とは、ノーワークノーペイの原則に基づいて欠勤した分の給料を固定給から減額することを指しており、欠勤したからと言って減給される訳ではありません。法律には、明確にノーワークノーペイについての原則が明記されている訳ではありませんが、労働基準法などに則り多くの企業が欠勤控除を導入しています。欠勤だけでなく、遅刻や早退にもノーワークノーペイは適用されます。しかし有給を取得すれば給料は払われるので、休んだから欠勤控除されるというわけではありません。

ノーワークノーペイの原則の法的根拠

民法624条

ノーワークノーペイの原則の法的根拠は、民法624条から来ています。労働基準法24条ではあくまでも「企業が労働者に賃金を支払う事」を明記しており、「ノーペイ」については義務付けられていません。法的根拠となっている民法624条には、「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」と記載されています。このため労働者が賃金を企業に請求できるようになるのは、労働提供後のみです。企業は労働を提供してもらって初めて、賃金の支払い義務が発生します。

ノーワークノーペイの原則の適用範囲

民法536条に記載されている

ノーワークノーペイの原則の適用範囲は、民法536条に記載されています。「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」と記載されています。つまり、労務提供できなかった(労務提供義務が履行不能になる)理由が使用者の責めに帰すべき理由であるかどうかが大切です。労務契約によって、ノーワークノーペイの原則と異なる規定を設けた場合にも、適用範囲外となります。

ノーワークノーペイの原則が適用される具体例

遅刻・早退

ノーワークノーペイの原則が適用されるのは、遅刻・早退をするときです。寝坊や体調不良などの私的な理由で遅刻欠席をする場合は、典型的なノーワークノーペイであり遅刻・早退した分の賃金が控除されます。個人的な理由での遅刻・早退が賃金控除されるのは当然ですが、企業によっては公共交通機関が遅延した場合は証明書があれば遅刻にカウントしない企業もあります。自分が所属している企業がどういった対応を取っているのか、しっかりと確認しておきましょう。

自然災害

ノーワークノーペイの原則は、自然災害の際も適用されます。台風や地震などの自然災害は「労働者と使用者どちらの責任でもない」ケースです。しかし自然災害にもノーワークノーペイの原則が該当します。しかし通常通りに業務をしており、大雪や台風などの影響で交通機関が止まる可能性があり会社から「順次帰宅命令」が出た場合は該当しません。会社からの指示により労働者は帰宅することになっているので、労働者に決定権はなく会社は通常の賃金を支払う義務が発生します。

電車遅延

ノーワークノーペイの原則が適用される場面は、電車が遅延している場合です。私的な理由での遅刻・早退と同様に電車が遅延して労働者の責任がない場合にも、ノーワークノーペイが適用されます。「労働者が働いていない時間においては会社側が賃金を払う義務が発生しない」という原則に基づいています。しかし公共交通機関が遅延してしまうのは労働者の責任ではありません。そのため、電車だけでなく公共交通機関であるバスが遅延した場合にも遅延証明書を持っていれば遅刻として取り扱わないという企業もあります。

ストライキ

ノーワークノーペイの原則は、ストライキを行うときにも対象となります。ストライキに参加している従業員は、ストライキ参加中は労務の提供を停止しているため、当然賃金請求権が発生しないと考えられています。ストライキの為に労務を提供していない時間の賃金を請求することは、労働組合に対しての経費援助とみなされ不当労働行為に該当します。不就労中の賃金は支払う必要がありませんが、賃金カットの範囲はしっかりと確認しておきましょう。

有給休暇を除く法定休暇

有給休暇を除く法廷休暇も、ノーワークノーペイの原則が適用されます。企業が設定している休暇として、産前産後休業や介護休業などがあります。産前産後や介護休暇中は労働を提供していない為、企業として給与を支払う義務が発生しません。産前産後休業については、一定期間仕事を休まなければなりませんが労働基準法では、産前産後の賃金払いに関する規定は明記されていません。しかし国の制度として、休業給付金などが給付されるため長期的に休む場合は確認しておきましょう。

コロナにおける緊急事態宣言

コロナ中に起こった緊急事態宣言は、ノーワークノーペイの原則が適用される休業です。コロナウイルスが流行していた際には、対処できる薬などもなかったため出来るだけ人との接触を減らすべく緊急事態宣言が発令されました。緊急事態宣言により、休業するかどうかの判断が経営者に委ねられましたが政府から休業を求められており、経営者としては避けられない事態です。そのため、経営者の責任に帰すべき事案には該当せず、休業要請を受けている間については給与の支払いが発生しないとされています。

ノーワークノーペイの原則の適用の例外

会社都合の休業・自宅待機

ノーワークノーペイの原則の適用の例外として、会社都合の休業や自宅待機があります。労働の提供を出来なかった原因が、企業側にある場合にはノーワークノーペイの原則が適用されません。製造業などで、工場の機会が故障した場合や部品が届いておらず稼働できない場合などが該当します。また台風や地震などの災害時においては、ノーワークノーペイの原則が適用され賃金を払う必要がありません。しかしそれに伴い、企業が従業員に帰るよう命令した場合も例外として扱われます。

有給休暇

有給休暇も、ノーワークノーペイの原則の適用の例外です。有給休暇は、従業員が仕事を休んでリフレッシュできるようにと賃金が保証された休暇制度です。有給休暇は使用者にとって労働者が希望した場合に与えなければならない義務でしたが、2019年4月以降、希望に関係なく付与が義務となりました。労働基準法に規定されている労働者の義務の為、有給休暇についてはノーワークノーペイの原則の適用の例外となります。企業によっては慶弔休暇なども、例外として適用されています。

ノーワークノーペイの原則の適用の際の計算方法

控除方式

ノーワークノーペイの原則の適用の際の計算方法として控除方式があります。控除方式とは、欠勤した日数分の給与を月給から差し引く方式です。欠勤控除の算出方法は明確に定められていませんが、1か月分の給与を出勤日数で割った金額が1日分の控除額とされるのが一般的です。その日割金額を元にして控除方式を活用している場合は、30万の月給の人が21日勤務の内2日欠勤したとすると30万÷21日=14,286/日となります。控除対象になる人が2日休んでいるので28,572円控除されます。

支給方式

支給方式も、ノーワークノーペイの原則の適用の際の計算方法です。支給方式とは、出勤した日数分を支給する方法です。控除方式で記載している日割り額を算出し、出勤した日数をかけて支給を行います。例えとして30万の月給の人が所定労働日22日の月に2日休んだ場合は、月給30万÷22日=13,636円×(出勤している)20日=272,720円が支給額となります。どちらの方式を取っていた場合でも、手当まで含まれるかどうかは企業によって異なるため、控除された場合は額の確認が欠かせません。

ノーワークノーペイの原則の適用の際の注意点

金額のルールについて明記しておく

ノーワークノーペイの原則の適用の際の注意点は、金額のルールについてしっかりと明記しておく必要があります。ノーワークノーペイの原則は、法で定められている訳ではないため就業規則に規定することは企業としての義務ではありません。しかし規定せずにノーワークノーペイの原則を適用した場合には、労使トラブルに発展する恐れがあります。そういったトラブルを防ぐためにも、適用される事案や減額となるルールに関して労働条件通知書や就業規則に記載しておきましょう。

ノーワークノーペイの原則の適用で裁判になったケース

高宮学園事件

ノーワークノーペイの原則の適用で裁判になったのが、高宮学園(東朋学園)事件です。高宮学園事件は、産前・産後休業や勤務時間短縮を利用していた女性社員に対して、企業が賞与を払わなかったことが問題になりました。産後休業の期間と勤務時間を短縮した時間を欠勤扱いにより就業規則で定めていた出勤率90%以上の支給要件を満たさないと判断し、企業は賞与の支払いを行いませんでした。しかし裁判により、本件は公序良俗に反するとして企業に賞与の支払いを命じました。

日本シェーリング事件

日本シェーリング事件も、ノーワークノーペイの原則の適用により裁判になったケースです。本企業では経営状況を改善するために、賃金引上げの要件として稼働率80%以上と労働協約を締結していました。稼働率算定の際に用いていたのは、欠勤や遅刻早退だけでなく有給休暇や産前産後休暇なども不就労に該当するとして計算しました。この計算方法により対象外となった従業員に対して、賞与や退職金の支払いを行わない手続きを取ります。これは労働基準法などで認められた権利である不就労を含める事は公序良俗に反し、無効とされました。

まとめ

ノーワークノーペイの原則に注意して給与の支払いをしよう

ノーワークノーペイの原則が適用される具体例や例外などについて解説しました。ノーワークノーペイの原則は法律により明記されている訳ではない為、就業規則に記載することは義務ではありません。しかし適用ルールを明記せずに適用してしまうと、トラブルに発展する可能性があります。ノーワークノーペイの原則は雇用形態に関わらず、全ての労働者に適用することが可能です。しかし控除の金額は労働基準法の規定の範囲内に収めていなければ、公序良俗に反し違反となる可能性があります。ノーワークノーペイの原則に注意して、給与の支給を行いましょう。

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