良い組織にするための組織論とは?【組織論における3要素などについて解説します】

記事更新日:2023年09月20日 初回公開日:2023年09月20日

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組織論とは、企業を経営・運営する上での不可欠な学問とも言えるものです。これは組織内の行動や動きを精緻に分析し、その原則や条件を明らかにすることで、組織全体の生産性や事業の成果を飛躍的に向上させる手法として活用されます。特に、リーダーシップはその核心に位置します。リーダーとしての行動力や共通の目的を持つチームを築く力、さらには貢献意欲を喚起し、円滑なコミュニケーションを確立する能力。これらは組織を円滑に運営するための3つの鍵です。本記事では、組織(企業)を運営・経営する人々向けに最良の結果を導き出すためのアプローチや手法について解説します。

組織論とは

組織内の個人や集団の行動を学術的に分析すること

組織内の個人や集団の行動を学術的に分析するのが、組織論の核心です。この分析は、企業や団体が生産性や効率性を追求する上で欠かせないものと言えます。組織論は、メンバー間の相互作用やコミュニケーションの特性を解明し、どのように組織の全体的なパフォーマンスに影響を与えるのかを明らかにすることが出来るでしょう。リーダーシップの役割、組織の構造や文化、意思決定のプロセスなど、多岐にわたる要素を分析することが出来るのです。

バーナードによる組織論の3要素

コミュニケーション

バーナードによる組織論は、実際の組織運営における要素を深く理解するためのものです。彼の考える組織論の3要素の中でも、「コミュニケーション」は非常に重要です。組織内での情報伝達や意思の疎通は、組織の成果や生産性を左右する要因の一つとされています。バーナードは、組織の存続と効果的な機能を果たすためには、明確で効率的なコミュニケーションが必要不可欠であると説きました。これにより、組織メンバー同士の連携や協力が円滑に行われ、目標に向かって効果的に取り組むことができるとされます。

貢献意欲

組織を形成するメンバーが持つ「貢献意欲」は、組織の持続的な成長と活力の源泉です。貢献意欲とは、一人ひとりが自らの役割を果たす上での熱意や意欲のことを指し、これが高いと組織全体の生産性や創造力が高まります。特に組織のリーダーや経営者にとっては、メンバーの貢献意欲を高めることは絶対の課題です。それは、個人の成長はもちろん、組織としての競争力向上や持続的な成果を出し続けるための基盤となるからです。貢献意欲を促進するためには、オープンなコミュニケーションの推奨や、成果に対する公正な評価と報酬が必要となります。

共通目的

「共通目的」も、組織の成功の要となる要素の一つです。組織における共通目的とは、その組織のメンバー全員が共有し、向かって努力する目標やビジョンを意味します。一人ひとりが異なる思考や価値観を持っている中で、共通の方向性を持つことが重要です。組織としての一体感や連携を生み出し、高い成果を上げる原動力となります。特に組織のリーダーや経営者にとっては、明確な共通目的を設定し、それを組織全体で共有することが重要です。共通目的が明確であることで、組織の方向性が鮮明になり、それに沿った意思決定や行動が取りやすくなるでしょう。

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経営学における組織論

経営工学を基礎とした「ミクロ組織論」と「マクロ組織論」がある

経営学における組織論は、経営工学を基礎とした「ミクロ組織論」と「マクロ組織論」があります。ミクロ組織論は、組織内の個々の動きや振る舞いを経営工学の観点から考えるものです。従業員のモチベーションやチーム内のコミュニケーション、リーダーシップの形式など、組織内の具体的な動きや問題を深く探る分野と言えます。一方、マクロ組織論は、組織全体の構造や戦略、外部環境との関わりなど、大きな視点で組織を捉えるアプローチを取ります。組織全体としての戦略や、組織の成長や変化の過程、外部環境との関係性などを主に研究する分野です。

社会科学における組織論

人為的に作られる「フォーマルグループ」

社会科学における組織論は、人為的に作られる「フォーマルグループ」と言えるでしょう。この分野では、企業やNGO、政府機関といった組織が、どのような目的で、どのような構造や規範に基づいて動いているのかを調査分析します。これらのフォーマルグループは、多くの場合、特定の目的や目標を達成するために創設されます。そしてその過程で、様々な要素が交錯することになります。ここではバーナードが示した3要素、すなわち「共通目的」、「貢献意欲」、「コミュニケーション」が非常に重要です。

個人的な繋がりによって作られる「インフォーマルグループ」

社会科学における組織論は、フォーマルグループだけでなく、「インフォーマルグループ」も存在します。インフォーマルグループは、公式な組織や役職に基づくものではなく、個人的な繋がりや興味、共通の価値観などによって自然に形成される集まりを指します。これらのグループは、公式なルールや役職に縛られることなく、メンバー間の信頼や共感に基づいて活動します。組織内でのコミュニケーションの流れや情報共有、さらには意思決定のプロセスに影響を与えるでしょう。

ゼークトによる組織論

人間の資質を4つの要素に分けた考え方

ヴァイマール共和国時代の軍人、ハンス・フォン・ゼークトが語ったとされる組織論です。この理論は、人の資質を「有能」「無能」「勤勉」「怠け者」の4つの要素で分けるというもの。さらに、人の適性や役割を分析しています。ゼークトによれば、有能で怠けるタイプの人は指揮官に向いているとされます。一方、有能で勤勉な人は参謀や政策秘書として他人のサポートに適しています。無能で怠けるタイプの人は下級将校や兵卒が務まると言います。最も難しいのは、無能な働き者。これは組織内での役割が難しく、責任ある立場には推奨されません。

企業において良い組織にするためには

良い組織とは何かについて理解する

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企業において良い組織にするためには、良い組織とは何かについて理解する事から始めましょう。良い組織とは、単に業績が良い、あるいは社員の福利厚生が整っている、といった外見的な指標だけではありません。それ以上に、組織内でのコミュニケーションがスムーズに行われ、社員一人ひとりが自らの役割や責任を理解し、共通の目的やビジョンに向かって連携して動ける状態のことです。このような組織では、リーダーシップの存在が不可欠です。リーダーは組織の文化を築き、方向性を示し、社員のモチベーションを高める役割を果たします。

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企業の経営理念や今後ビジョンを共有する

企業の経営理念や今後ビジョンを共有することも重要です。企業の経営理念やビジョンは、組織の存在意義や将来への方向性を示す重要な要素です。それらを社員全員が共有し理解することは、組織の結束を強め、持続可能な高いパフォーマンスを生み出すための基盤を築くことに繋がります。そのためには、言葉を明確にし、定期的なコミュニケーションを行い、経営層が率先して実践することが必要です。具体的な業務やプロジェクトでの実例を共有することで、経営理念やビジョンの具体的なイメージを持つことができるでしょう。

人事評価を導入し自身の貢献度を把握する

人事評価の導入は、組織内での個々の貢献度を客観的に把握し、その結果をもとに継続的な成長と人材の活用を図るための有効な手段となります。正確な評価を通じて、従業員は自身の強みや弱点、そしてその業務における実績を明確に知ることができます。評価制度を適切に運用するためには、その基準が明確であること、そして評価者の研修やフィードバックの方法など、具体的な運用方針を事前にしっかりと策定しておくことが必要です。また、評価制度を信頼性の高いものとするためには、評価の透明性を保つことが大切です。

教育を充実させ社員のレベルを高める

教育を充実させ社員のレベルを高めることに繋がります。高度化・多様化するビジネスの中で、社員一人ひとりの能力やスキルは企業の競争力を直接左右する要因となるからです。教育を充実させることで、社員のレベルアップはもちろん、チームの協力やイノベーションの創出も促進されます。例えば、階層別や職種別の研修を実施し、それぞれの役割や段階に応じた専門知識やスキルを身につける機会を提供することが重要です。また、新入社員のオリエンテーションを行うことも大切です。基本的な業務知識や社会人としてのマナー、企業文化を学ぶことで、スムーズな業務遂行が期待できます。

ティール組織とは

社員自らの意思決定により行動する組織

ティール組織は、社員自らの意思決定により行動する組織のことです。新しい組織のパラダイムのひとつで、従来の階層的、命令型の組織構造からの脱却を目指すものです。フレデリック・ラルーの著書『組織の未来』において詳しく紹介されています。従来の組織は上層部からの命令や方針に基づいて行動していましたが、ティール組織では各社員が自らの意思決定により行動します。これにより、柔軟性が高まり、より迅速な意思決定が可能となります。また、単なる利益追求だけでなく、より大きな目的や使命を共有しています。

組織論に関する名著

学習する組織―システム思考で未来を創造する

組織論に関する名著は、「学習する組織―システム思考で未来を創造する」がオススメです。組織論の分野での名著として知られ、ピーター・センゲの手により書かれました。この一冊は、持続的な成長を目指す組織がどのように学習と変革を進めるべきかのヒントを提供してくれます。センゲは、システム思考・個人の習得・共同のビジョン・チーム学習・メンタルモデルという5つの学習の規律を提唱しています。これは、組織全体としての知識と理解を深め、持続的な成果を生むための手法として注目されています。

人を動かす 文庫版

『人を動かす』はデール・カーネギーの著作として、世界中で読まれている名著の一つです。この本は人間関係やコミュニケーションのスキルを向上させるための方法論を詳細に提供しています。カーネギーは、他人との関係を構築し、影響を与えるための原則を紹介しており、批判せず、誉めることの大切さや、相手の視点に立つことの重要性などの実践的なアドバイスを提供しているのです。文庫版は、持ち運びやすく、日常のどんなシチュエーションにもすぐに参照できるので、多くのビジネスパーソンやリーダーにとって手放せない一冊となっています。

よくわかる組織論 やわらかアカデミズム・わかるシリーズ

『よくわかる組織論』は、組織論の基本的な概念や理論をわかりやすく解説した書籍です。やわらかよくわかるシリーズの一部として、アカデミックな内容もアクセスしやすい形で提示されています。組織の構造や文化、リーダーシップのスタイル、変革のプロセスなど、組織運営の各側面に関する知識が豊富に盛り込まれています。特に、組織(企業)を運営・経営する人々や、組織論を学ぶ学生にとって、この書籍は有用なガイドブックとなるでしょう。独特の視点で組織の動きを解析し、実践的なアドバイスも提供しているため、日常の業務や学びの中での参考書としても活用できます。

世界標準の経営理論

入山 章栄(いりやま・あきえ)による「世界標準の経営理論」は、複雑なビジネスや組織の仕組みを解明する鍵として進化してきた。約30の「標準理論」と呼べるものが、数々の検証を経て、ビジネスの核心に迫る理論として注目されてきた。これらの理論は、世界中の経営学者の知恵の集約とも言えるものだが、多くは学界の中でのみ活用され、ビジネス界には浸透していないのが実情だった。世界標準の経営理論は、これらの隠れた知識を明らかにし、総括的かつわかりやすい形で紹介する画期的な一冊となっている。

まとめ

組織論からの学びを企業に取り入れ良い組織を作ろう

組織論は、個人や集団の行動と組織の全体的な動きを学術的に解析する分野として発展してきました。この理論の背後には、バーナードの3要素やティール組織のような革新的な考え方があります。さらに、経営学としての組織論も「ミクロ組織論」と「マクロ組織論」の二つの観点から研究されてきました。成功する組織を築くためには、経営理念やビジョンを共有し、人事評価を適切に行い、社員教育を充実させることが不可欠です。特に、世界標準の経営理論を学ぶことで、ビジネスの核心を理解し、組織の運営をより効果的に行うヒントを得ることができます。組織論からの学びを企業に取り入れ良い組織を作りましょう。

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