記事更新日:2018年08月28日 | 初回公開日:2017年09月20日
外国人採用・雇用例えば、日本語検定1級を持ってる外国人がいるとします。この資格を外国人が取得することは大変難関であり、人並み以上の努力をした方が取得できる資格でありますが、では更に問いましょう! その方は、日本のビジネスシーンの第一線で活躍ができるでしょうか? 残念ながら日本語検定1級を持ってるだけでは、“できる”とは断言できません。
それは、日本文化が調和を重んじる文化であることが影響しています。私たち日本人は会話の中の間や相手の表情から、気持ちをくみ取る訓練を幼い頃から自然としています。また、実を言うと日本語はかなり曖昧な表現が多い文章で会話が成り立っているのです。日本文化には“本音と建前”という複雑な文化があり、その“本音”を、私たち日本人は会話の中のたくさんのサインから想像する訓練を幼い頃から、たくさんの人と接する中で学んでいるのです。そして、このノウハウの勉強期間はあなたの年齢と等しいですし、またあなた自身も現在進行中なのです。
そもそも外国人と日本人の仕事観が違うという障害がある上に、「察する」という能力がないと、日本のビジネスシーンでスムーズな会話や商談取引を成り立たせることは、ほぼ不可能と言っても良いでしょう。しかし、日本語の教科書に、そのノウハウは載ってません。ノウハウが載っていたとしても、日本人の一般的なレベルまで達するには早い人で数年、遅い人は何十年という長い歳月が必要です。もちろん、我が日本国の教育でも家庭教育の中でも、教科として取り扱っていないのが現状ですので、日本文化の複雑であいまいなサインを習得するのはとても困難なのです。
では、外国人は皆日本文化の複雑であいまいなサインが理解できないか、というとそうでもありません。来日した当初から、より日本人と同じ感覚でいる方もいます。また、来日して数年間、日本の社会に属することによって、少しずつ慣れて、そのコミュニケーション能力を、後天的に学習によって習得する方もいるようです。
また、個人の性格も大いに影響します。そして、ここで注意しなければいけないのは「外国人」「日本人」と一括りにできないということです。少し周りを見渡してみてください。「日本人」でもいわゆる「空気が読めない人」や「なぜか会話が意見の衝突になる人」が何人かいませんか?「日本人」でも同じ感覚を持ってサインを理解し会話ができる人、できない人がいて一括りできないように、「外国人」も一括りにできないのです。
あなたの身の周りに「外国人」「日本人」問わず、お客様との商談で、いつも険悪な雰囲気になってしまう人や、最終的な着地点がいつも噛み合わずにモヤモヤして困っている方、上司に注意されている方がいたら、こう伝えてあげてください。
「まずは、相手の話を正確に聞き取ること」
人間は自分の思いが強すぎて、相手の話している本来の言葉を自分の脳内で情報にフィルターをかけ、自分に都合の良い言葉に変換し解釈してしまうことが多々あります。また、虚栄心や羞恥心から、分からないことを素直に聞くということが難しい人も多くいます。特に、欧米諸国の商談や会議スタイルでは「調和すること」ではなく「良い意味での対立すること」が重視されます。お互いにより良いものを追い求めるわけですから、そんな時に弱みを見せるわけにはいきません。しかし、日本では違います。自分の思いばかり主張していてはいけませんし、意味が分からなかったら落ち着いて質問したら良いのです。
正確に聞ければ、どう応えたら良いのかが分かります。対立しなくてもよいと思えれば、心にも余裕が出てきます。そうすれば、相手の表情をよく観察できますし、言葉を濁したらそのまま受け止めたら良いのです。相手がその場ですぐに答えを求めているのか、いないのかも少しずつ察することができていくでしょう。
特に人事労務管理者の方へアドバイスするとしたら、あなたがいつもそうしているように、
を大切にするように教えてあげてください。
言語の壁よりも重要なこのコミュニケーションスキルを教えてあげることで、ビジネスシーンでより活躍できる人材が育つのではないでしょうか?次回からはもっと詳しい事例を元にいくつかご紹介していきます。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
この記事を書いた人
佐多 由梨(さた ゆり)
1981年生まれ。神奈川県出身。日本企業にて総務・人事部門で10年ほど勤務後、現在のグローバル企業の同部門マネージャーとして働いている。人事・教育担当としての経験と学生時代から活動していた国際交流や言語学習で培った経験を活かして、これからのグローバル社会において企業側が心得ておくことや、どのように人材開発したら良いかのポイントを発信している。
HP:Spectrum
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