記事更新日:2022年05月12日 | 初回公開日:2022年04月28日
用語集 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 外国人採用・雇用等級制度とは、社内の人材を能力や役割によって区別する制度のことです。社員に対してどのような区分を行うかは等級制度の種類によって多少異なりますが、それらをうまく組み合わせて導入することで柔軟かつ公平に序列化を行うことができます。等級制度があることによって効果的な人材育成や人材配置、さらに給与の決定などを行うのに役立ちます。したがって等級制度は、人事制度における土台のようなものだと捉えられえるでしょう。
職能資格制度とは、企業が社員に求める職務遂行能力に応じて等級の分類を行う制度のことです。社員の能力レベルに応じて賃金を決定するというこの制度は、日本企業において広く普及してきました。また職能資格制度において定義される能力は特定の業務に関するものではなく、すべての業務に共通するものです。したがって、職能資格制度によって割り当てられる等級が、課長や部長などの組織における役職と完全に一致しない場合もあります。
職務等級制度は、それぞれの職務の内容やその難易度に対応させた区分を行う等級制度です。区分の基準が職務内容であるため、企業での勤続年数や学歴などに関係なく評価がされるのが特徴です。職務等級制度を導入するためにはまず職務記述書を作成する必要があり、必要とされる資格や責任などを考慮して等級を設定していく必要があります。仕事の内容をベースに評価する等級制度であるため、社員同士がお互いの仕事を助け合う意識が薄れてしまわないように注意しましょう。
役割等級制度は、業務内容と個人の能力の両方を考慮したうえで区分を行う等級制度です。職能資格制度と職務等級制度の両方の性質を掛け合わせたような等級制度となっており、より多角的な視点から区分されているといえるでしょう。役割等級制度は多くの企業で導入されている一方で、明確なフォーマットが定まっているわけではありません。組織の性質や業務内容などに応じて模索しながら、適切な区分を行なっていく必要があるでしょう。
職能資格制度のメリットとして、社員が定着しやすいということが挙げられます。長く在籍するほど評価が高くなる傾向にあるため、早期離職などの防止につながるということも考えられます。人材が長期的に定着してくれることによって、企業としても長い目で人材育成を行うことができるでしょう。社内で多くの経験を積んだ人材が増えることで、より優れたノウハウが蓄積されていくというのも職能資格制度におけるメリットといえるでしょう。
職務資格制度のデメリットは、年功序列になってしまいやすいという点です。企業に長く在籍している従業員への評価が高くなってしまいやすいため、在籍年数の短い若手社員などのモチベーションが下がってしまうことも考えられます。近年では年功序列の評価を行う企業は減ってきており、入社する企業を選ぶうえで年功序列の評価はマイナスの要素となってしまう場合もあります。若手社員に対しても適切な評価が行えるように、工夫を行う必要があるでしょう。
採用におけるミスマッチを防ぐことができるのは、職務等級制度のメリットといえるでしょう。職務等級制度では必要となる能力が明確に示されているため、それに従って採用活動を行うことでミスマッチを防ぐことができます。入社後に能力に関するミスマッチが生じてしまうと早期退職にもつながり、採用にかかったコストが無駄になってしまいます。仕事の成果がおもな評価対象となるため、より専門的な知識やスキルを持った人材が育ちやすいでしょう。
職務等級制度においては、成果以外での評価が難しいということがデメリットとして挙げられます。仕事における評価がメインとなっているため、成果として現れない要素を加味することは難しいでしょう。特に仕事におけるプロセスの部分は評価するのが難しいため、社員の仕事に対する姿勢も見逃さないように注意しましょう。勤続年数に関係なく評価がされる等級制度であるため、企業に長期間勤続している人材のモチベーションが下がらないようにすることも重要です。
役割等級制度を導入することによるメリットは、より合理的な評価ができるということです。仕事による成果のみだけではなく、社員ひとりひとりの能力や業務内容に応じて適切な評価がされるという点が特徴でしょう。仕事の成果だけを評価対象としてしまうと、業務に対する姿勢やその過程が疎かになってしまうケースもあります。役割等級制度によってさまざまな観点から合理的に評価されているということが、社員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
適切なノウハウが必要とされるという点は、役割等級制度におけるデメリットといえるでしょう。正しいノウハウがなければ意味をなさないというのはどの等級制度においても共通して言えますが、多角的に評価する必要がある役割等級制度においては特に重要となります。さらに組織の中で必要とされる役割は、外部環境に応じて変化させていく必要があるでしょう。変化に応じて常に役割を見直しながら、適切に設定するという運用が求められます。
等級制度を作成するために、まずは現状の分析を行う必要があります。組織における役職や業務内容ごとの給与設定や、社員の年齢や勤続年数などについてまとめましょう。そこから分析を行うことで、理想としている形と現状の間におけるギャップを明確にすることができるでしょう。適切な人材配置を行うということも等級制度を導入する大きな目的として挙げられますので、現状の人材配置を確認するという点においても非常に重要なステップです。
現状の分析を充分に行うことができれば、次に等級制度の大きな枠組みを作成しましょう。具体的には、役職や等級の内容などについて大まかに定めましょう。現時点でどの程度の種類の役職があるのかということを踏まえたうえで、適切な数と種類の役職を設定する必要があります。役職の数が極端に多い場合や少ない場合は社員のモチベーションに悪い影響を及ぼす可能性もあるため、注意しましょう。既存社員の実績や能力を加味したうえで、適切な等級設定を行いましょう。
等級制度の大まかな枠組みが完成したら、次は実際に採用する等級制度を選ぶ必要があります。それぞれの制度の特徴やメリットを加味しつつ、企業が求めている人材の育成に役立ちそうな制度を選びましょう。先述の通りどの制度にもメリットとデメリットがあるため、組織の性質に合わせて内容を組み合わせるのも有効な手段です。すべての社員が納得のいく等級制度となるように、職種や部門ごとにいくつかのコースを用意しておくのもいいでしょう。
採用する等級制度が決定したら、具体的に等級を設定していきましょう。大まかに設定したものをもとに、等級の数や役職について具体的に設定していきます。社員のモチベーションにも関係しますので、それぞれの等級における給与と昇給のステップについても明確に示しておく必要があります。昇給のタイミングが多ければ多いほど社員のやる気は向上すると考えられますが、それだけ見直しの機会が増えてしまいます。評価のタイミングなども考慮しながら、等級の種類や数の設定を行うようにしましょう。
具体的な等級の設定まで行うことができれば、社員のデータを当てはめながらシミュレーションを行っておくといいでしょう。現状の能力などを考慮して、作成したそれぞれの等級に区分してみましょう。当てはめてみた結果、現在の役職や等級と比較して問題がなければ導入に踏み込めます。もしシミュレーションの過程で何かしらの矛盾が生じた場合などは、もう一度等級の設定や評価基準を見直す必要があるでしょう。導入後に繰り返し変更を行うと社員の不信感につながりますので、シミュレーションによって入念に調整しましょう。
株式会社ココナラでは、11段階に区分した等級制度を導入しています。これらはそれぞれの段階において、業務レベルや部下の育成責任などをはじめとした全部で5つの軸によって定義されています。このように複数の評価軸によってそれぞれの等級が明確に定義されていることで、評価基準にばらつきが生じるのを防ぐことにつながっています。さらに等級の見直しは人材開発委員会において1年間に2回というペースで行われており、制度の定期的な見直しも重要であるということがわかります。
飲料メーカーであるサントリーホールディングス株式会社では、役職に応じて2種類の等級制度を導入しています。マネージャー職に相当する役職の人材には役割等級制度、メンバー職に相当する人材には職能資格制度を適応しています。経験を積み重ねていく段階と、これまで培ってきた経験や能力を発揮する段階に分けることによって効果的な人材開発が行われている例といえるでしょう。複数の等級制度を組み合わせて導入する場合は、参考にしてみるのもいいかもしれません。
等級制度の種類やそれぞれの特徴、さらに導入におけるポイントについておわかりいただけたでしょうか。日本全体で人手不足が課題とされている中で、社内の人材をうまく活用できるように適切な人材配置と人材開発を行うということは非常に重要です。等級制度はその種類によって、等級を区分する際のポイントが異なります。自社で今後育成していきたい人材の理想像なども考慮しながら、社員のモチベーションをさらに向上させることのできるような等級制度を導入しましょう。
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