雇用形態による待遇の違いとは?【それぞれの特徴やメリットについて解説します】

記事更新日:2021年07月09日 初回公開日:2021年07月09日

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雇用形態という言葉の具体的な意味を知っていますか。雇用形態と聞いて、多くの方は正社員や契約社員またはアルバイトなどという言葉が出てきたのではないかと思います。実は「正社員」や「アルバイト」という言葉は「雇用形態」ではなく「雇用契約」を表す言葉です。このように雇用形態という言葉は知っていても、その意味を詳しく答えられない方は多いことでしょう。今回は経理部や人事部の方向けに雇用形態とはどういうものなのか、雇用形態別のメリットやデメリットとともに紹介します。雇用形態のことを知りたい、経理または人事担当者の方はぜひご覧ください。

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雇用形態とは

会社と社員で結ばれる雇用契約の種類

雇用形態とは雇用契約の種類のことを指します。正社員や契約社員、派遣社員またはアルバイトなどは最も一般的に良く知られている雇用契約の名称でしょう。雇用契約には大きく分けて正規雇用と非正規の2種類があります。そして非正規雇用に関しては、企業と労働者の間で結ぶ契約を直接結ぶのか、間接的に結ぶのかによって、雇用形態に違いが出てきます。一方で、業務委託契約、または請負契約で働く労働者やテレワーカーなどは一般的には雇用とはみなされません。しかし、実際の働き方により「労働者」とみなされれば、雇用されているのと同じように対応をしなければいけないこともあります。

雇用形態の違いを理解し、企業に合わせて選択する必要がある

労働者を雇用するにあたって、雇用形態の違いを理解し、それぞれの労働者に合わせた対応をすることが、今、求められています。なぜなら、「自分らしく生きたい」と考え、行動する労働者が増えているからです。そのため、時間的に縛りが多い正規雇用ではなく、時間に融通が利く非正規雇用を希望する方が増えています。雇用形態の多様化が進んでいますね。雇用する側も雇用形態の多様化を受け入れなければならない時が来ているのではないでしょうか。

雇用形態の分類

正規雇用と非正規雇用

正規雇用は3つの条件を満たす労働者

正規雇用と非正規雇用は、法律で分類を決められているわけではありません。労働基準法上では給料をもらいながら働いている方はすべて「労働者」として扱います。正規雇用として労働者を雇用するには3つの条件を満たさなければいけません。3つの条件とは①労働契約に期間の定めがない②就業規則に明記されている所定労働時間がフルタイムである③直接雇用である、ということです。この3つの条件がすべて揃って、正規雇用として働けるということですね。

非正規雇用とは正社員以外を指す

正規雇用は「正社員」とも呼ばれます。「正社員」以外の雇用形態の方はすべて非正規雇用です。現状では「正社員」以外の労働者を「非正規社員」と分けて区別している企業が大半でしょう。「非正規社員」は、契約社員、または嘱託社員やパートタイマー、そしてアルバイトと雇用形態を分けることができます。正規雇用と非正規雇用の大きな違いは「契約期間が定められている」という点です。契約期間が定められているということは、企業としては「必要な時期だけ雇用ができる」というメリットに繋がります。労働者としても働き方を自由自在に変えられるというメリットがあるので、お互いにメリットがある働き方ができるのが非正規雇用の良いところですね。

直接雇用と間接雇用

企業が従業員と直接結ぶのが直接雇用

正規雇用と非正規雇用という雇用形態の他に「直接雇用」と「間接雇用」という雇用形態があります。「直接雇用」は、企業と労働者との間で直接雇用契約を結び、給料は企業から直接支払われるという雇用形態です。正社員または契約社員そしてパートとアルバイトも「直接雇用」に該当します。また「間接雇用」で派遣社員を雇用している場合も、雇用期間が1年を超えていて本人が「直接雇用」を希望するときは、その派遣社員を「直接雇用」しなければいけません。「間接雇用」であっても「直接雇用」に雇用形態を変えられるのですね。

派遣会社が間に入るのが間接雇用

「間接雇用」は企業と労働者の間に人材派遣会社などが入る雇用形態です。請負または派遣社員がこの雇用形態に当てはまります。給料は企業からではなく、間に入っている人材派遣会社などから支払われる事になります。間接雇用には①人材派遣の依頼をする会社、②請負会社または人材派遣会社③請負または派遣社員、以上3者の存在があります。①と②の間には派遣契約または請負契約が結ばれ、②と③の間では雇用契約が結ばれています。①と③の間では③から労働力を提供され①はその対価を払うという関係です。

雇用形態の区分

正社員:長期雇用かつフルタイム

正社員は長期雇用であり、所定労働時間がフルタイムで直接雇用されている社員のことをいいます。定年退職まで継続して働くことを前提としており、安定した収入を得ることが可能です。雇用する側としても、長期的に会社に貢献してくれる人材を得ることができることや、人材教育ができるということで、双方にメリットが大きい雇用形態です。反面、一度採用すれば、解雇をするのが難しいこと、長期的に働くほど人件費の高騰が起こりやすいことがデメリットとしてあげられます。

契約社員:労働契約に期間の定めあり

契約社員は直接雇用ではありますが、正社員とは違い、雇用期間が定められています。雇用期間に関しては、労働者と企業側の合意によって定め、契約期間の満了に伴い、労働期間は終了します。1回の契約期間の上限は、一定の条件がある場合を除き3年です。契約が更新された場合は、そのまま業務を続けることになります。契約社員は、勤務時間に融通が利くこと、業務に専門性があるので、ある特定の専門性のある業務を、一時的に任せたいときに雇用ができることなど、企業にとってはメリットの大きい雇用形態です。反面、契約を更新しない場合、また新たな人材を確保しなければならないというデメリットもあります。

パートタイム労働者:主婦層向け

パートタイム労働者は、主婦層へ向けた短時間勤務と業務内容を設定している雇用形態です。企業側から見て、人員が足りなくなる時間帯の人員を確保できること、事務作業や雑務などの業務を正社員より低いコストで対応することができることがメリットとなります。労働者としても扶養内勤務ができる、労働時間に融通が利くということで人気の雇用形態です。半面、主婦層が多いため、子供の行事などでシフト調整が必要になる事が多くなります。

アルバイト:学生やフリーター向け

アルバイトは学生やフリーターなど、時間的融通が利きやすい方に向けた雇用形態です。例えば、パートタイマーで働く主婦は、子供が家にいない時間帯での勤務時間を設定することが多いでしょう。それに対してアルバイトは、学校での授業が終わる夕方から夜の時間帯、あるいは日曜日などの休日に勤務時間を設定することが多い傾向があります。求人募集をする際は、希望者は集まりやすいですが、長期間の労働を想定していないので、頻繁な人員の入れ替わりに対応が必要になります。

派遣社員:派遣元企業と労働契約を結ぶ

派遣社員は働いている企業との直接雇用ではなく、間に入る派遣元企業と労働契約を結ぶ、間接雇用です。給料や労働条件などは派遣元によってそれぞれ違います。雇用する側にとって派遣社員を雇うメリットは、派遣会社が勤務経験など、条件に合う労働者の紹介を受けるため、新たな人材を探す手間を省けることでしょう。しかし、契約期間の定めがあるため、業務を覚えた頃に契約期間を終えてしまう、人の入れ替わりが激しいなどのデメリットも存在します。

雇用形態別のメリット・デメリット

雇用期間が異なる

正規雇用は労働期間の定めがありません。会社が倒産した、もしくは自分から辞めた、などという理由がない限り、定年退職する時まで働くことができます。非正規雇用は自由に働ける反面、労働期間に定めがあるため、労働契約を更新しないと労働期間が終了してしまいます。それまで労働契約の更新できていたのにもかかわらず、次の契約は、企業の都合で更新できないということもあり得るのです。雇用な不安定なのが非正規雇用のデメリットです。

給与や昇進スピードにおいて待遇が異なる

正規雇用の場合、長く働く事ができるので、そのキャリアの中で昇進や昇給の機会が巡ってくることもあるでしょう。自分の働きを目に見える形で評価してもらえるのも正規雇用のメリットの一つです。非正規雇用の場合、企業にもよりますが、ほとんど昇進はありません。労働期間の定めがあり、同じ会社に長くいられないという側面もありますが、正規雇用よりも非正規雇用の場合は立場が低いことも多く、なかなか昇進または昇給ができないというのが現実です。昇進や昇給がしたい場合は正規雇用を目指すことをおすすめします。

社会保障や福利厚生の差

正規雇用の場合、福利厚生の範囲が広く手厚いことが多いです。家賃保証や社員寮など、正規雇用ならではの福利厚生もありますね。それでは非正規雇用の福利厚生はどうでしょうか。残念ながら、非正規雇用の福利厚生は正規雇用よりも手厚くないと言わざるを得ません。非正規雇用には福利厚生が無いという企業も存在するのです。しかし、2020年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」では正規雇用と非正規雇用で福利厚生などの待遇に待遇差を設けることが禁止となりました。これからは福利厚生の差は少しずつ埋まっていくのではないでしょうか。

転勤の有無や時短勤務の不可

正規雇用として働いていると、転勤の可能性は捨てきれません。移動命令が出れば、会社の命令なので余程のことが無いと断われないでしょう。フルタイムで働くことを前提としているため、時短勤務も理由がない限りは難しいです。時間的融通が利かないことは正規雇用のデメリットですね。半面、非正規雇用の良いところは転勤が無く、労働時間にも融通が利くところです。自分らしい働き方ができるので、プライベートや家庭を優先することができます。自分に合った働き方を可能にできるのが、非正規雇用のメリットですね。

雇用形態の変更

正社員からパートタイムへの移行は手続きが必要

それまで正規雇用で働いていたものの、様々な理由で正社員からパートタイマー労働者へ雇用形態を変更せざるを得ない場合があります。このような場合の手続きはどうすれば良いのでしょうか?まず、正社員からパートタイマーに雇用形態を変更するため、労働契約を新しく結び直します。社会保険の加入条件を満たしている場合は、正規雇用の時と同じく社会保険に加入しなければなりません。しかし、賃金の変更により給与が下がる場合、変更月から引き続いて、3カ月の間に支払われた給与の平均が、2等級以上の差がある場合に、社会保険料の随時改定手続きが必要となります。

注意点

就業規則と労働契約書の確認を忘れずに

雇用形態の変更を行った際には、就業規則と労働確認書の確認を忘れずに行いましょう。労働契約書という形で書面で交付するのも良い方法です。雇用形態を変更することは、場合によって労働者とのトラブルを招いてしまうことがあるので、必ずルールと手順をよく確認の上、手続きを進めることが重要となります。雇用形態を変更する場合、双方の合意があれば雇用形態を変更できます。しかし、それは裏を返せば、企業が一方的に雇用形態を変更することはできないということです。雇用形態を変更するときは、企業と労働者の主張が一方的にならないように注意しなければいけません。

業務委託は雇用形態ではない

業務委託は、企業が個人事業主または外部の企業に対し、特定業務のみを委託し、対価を支払う契約形態であり、雇用形態ではありません。法的には業務委託契約について定めはなく、請負契約や委任契約、または準委任契約などと呼称されます。企業と雇用契約を結ぶことはないため、指揮を取るまたは命令を受ける関係性はありません。あくまで「事業主」としての扱いのため、労働者としての保護は受けることは不可とされます。しかし業務委託や請負などの契約である場合でも、実際の働き方から判断して「労働者」であるとされれば、労働者としての保護を受けることが可能です。

まとめ

雇用形態の違いを理解し、企業や社会変化に合わせた選択が必要

雇用形態は、日々多様化しています。これから先も、それぞれの労働者のライフスタイルに合わせた雇用形態の在り方が求められるでしょう。今回は雇用形態の違いと、それぞれの雇用形態のメリットとデメリットを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。労働者の間でも「自分らしい働き方」が選べる時代になっています。企業も雇用形態の違いに理解を深め、労働者にとって様々な選択肢を用意できるように準備をしておきたいところです。

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