ケアハラスメントとは?【その事例や企業の対策についても解説します】

記事更新日:2024年01月22日 初回公開日:2024年01月16日

用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報
ハラスメントは従来からよく耳にするセクハラ・パワハラだけでなく、最近ではカスハラやジェンハラ(ジェンダーハラスメント)など様々なハラスメントが存在しています。多くの人が耳にし、ニュースでも話題になることの多いパワハラやセクハラなどに関しては気を付けていても、マイナーなハラスメントに対しては意識が薄く気付かぬうちに加害者になっている場合も少なくありません。その中でも今回はケアハラスメントについて解説していきます。ケアハラスメントについてよく知らない人は、参考にしてみてください。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

ケアハラスメントとは

介護や介護制度に対する嫌がらせなどの行為のこと

ケアハラスメントとは、介護や介護制度に対する嫌がらせなどの行為です。少子高齢化が進んでいる中で、親もしくは祖父母の介護をしながら働いている人は少なくありません。介護を理由として休暇を取ることは法律的に認められているにもかかわらず、制度を利用する人に対して行うのがケアハラスメントです。ケアハラスメントという言葉は、介護現場においても使われていますが最近では職場でもケアハラスメントが増えてきています。

ケアハラスメントに当たる事例

介護制度の利用を妨げる

ケアハラスメントに該当するのは、介護制度の利用を妨げたときです。介護が必要な場合において、介護休業や介護休暇・育児介護休業法などは介護を行っている労働者を保護するための制度が数多く存在しています。しかし従業員を酷使しようとしているブラック企業ほど、従業員が制度を使う事を阻止しようとしてきます。実際に利用を考えている従業員に対して、もし利用すれば出世に響く・介護で早く帰るのであれば重要な仕事を任せられないなどの発言は、ケアハラスメントに該当します。

介護制度の利用者に嫌がらせをする

ケアハラスメントは、介護制度の利用者に嫌がらせをすることも該当します。介護制度の利用を妨げようとすることも問題ですが、実際に利用している人に対して上司や同僚から暴言や嫌味を言われる・不当な雑用を押し付けるなどもハラスメントです。年を取った男性の中には未だに介護は女の仕事だと思っている人も多く、男性が介護制度を利用することに不快感を示す人もいます。こういった態度に表すのも、ケアハラスメントの一つです。

働きながら介護を行う人へ不当な解雇や降格などを行う

働きながら介護を行う人へ不当な解雇や降格などを行う事も、ケアハラスメントになります。制度利用について嫌味を発していなくても、介護休暇明けに降格させる・介護休業を申し出た従業員を別部署に異動させるなどの行為もケアハラスメントに該当します。労働者が不当な解雇や降格・部署移動などを受ける事は、育児・介護休業法16条や10条の違反です。従業員の権利を損ねるだけでなく、コンプライアンス違反にもなります。また実際に行わなくても、可能性を示唆するだけでハラスメントに該当します。

ケアハラスメントが起きる原因

ケアハラスメントへの理解不足

ケアハラスメントが起きる原因は、ケアハラスメントへの理解不足です。セクハラやパワハラなどと比べて、ケアハラは認知度が低く言葉としてあまり浸透していません。認知度が低いため内容を理解している人も少なく、ケアハラが横行してしまっています。介護経験者が身近にいる場合は、介護の大変さなどを共感してもらえるため理解が進みやすいですが、職場に介護経験者がいない場合、ケアハラがいけない事だという認識が不十分です。

業務負担の増加と不満の蓄積

業務負担の増加と不満が蓄積することによって、ケアハラスメントが起きやすくなります。介護を行う人が時短勤務や休業を取得することによって、他の人たちへの業務負荷が高まります。育児休業を取得する場合も同じ状況になりそうですが、育児休業は取得期間が決まっています。それに対し介護は期間が決まっておらず、いつまで負荷が高い状況なのか先が読めないため、他の従業員からの不満が高まり愚痴としてケアハラスメントに繋がる可能性があります。

企業がケアハラスメント対策を行う理由

従業員の離職・退職を防ぐため

企業がケアハラスメント対策を行う理由は、従業員の離職・退職を防ぐためです。ケアハラスメントが横行している職場は、介護と仕事が両立できるような環境ではなく介護者が離職や退職を選んでしまう可能性が高くなります。ハラスメントにより失った人材はすぐに補充することが難しく、残った従業員には更なる負荷が掛かるようになります。新しい人材を確保したとしても戦力として活躍するまでには時間とコストが掛かるため、そうならないよう企業は対策を行います。

生産性や労働環境悪化につながるため

企業は、生産性や労働環境悪化に繋がりかねないためケアハラスメント対策を行っています。ケアハラスメントだけではありませんが、職場でハラスメントが起きると今までの信頼や人間関係が崩れ職場の雰囲気が悪くなります。ハラスメントを行っている人・受けている人だけでなく周りの人にも影響を及ぼし、上手くコミュニケーションが回らなくなります。コミュニケーションがうまく回らないことで、必要な報連相が滞り生産性が落ちてしまうかもしれません。

コンプライアンスを守るため

企業がケアハラスメント対策を行うのは、コンプライアンスを守る為です。近年は様々なハラスメントが生まれていることから、ハラスメント全般を対策するための法律が強化されてきています。法律強化により、国から企業へコンプライアンスが強く求められています。ハラスメントに対して何も対策を行わない企業には、企業名の公表や過料を科せられることもあるため、注意が必要です。コンプライアンス遵守だけでなく、内部統制を行うためにも対策は重要です。

企業の信用に関わるため

企業の信用にかかわるため、企業はケアハラスメント対策を行っています。ケアハラスメントが行われていたという事実が王自棄になってしまうと、企業は信頼を失い評判を落としてしまいます。一度失った信用を元に戻すことは簡単ではなく、ハラスメントが行われていたという事実により新しい人材の確保が難しくなるだけでなく、取引先との関係性も悪化します。しっかりとケアハラスメントの対策を行わなかったことにより、経営悪化に繋がる可能性もあるため対策は必要不可欠です。

ケアハラスメントを防ぐための方法

企業の介護に対する方針や取り組みを周知する

ケアハラスメントを防ぐために、企業の介護に対する方針や取り組みを周知しましょう。周知や啓発を行うためには、ケアハラスメントの原因や背景について他の従業員の理解を深める事が大切です。そのためにも、企業はケアハラに関する方針の明確化し経営者のメッセージなどとして発信する必要があります。社内で行っている取り組みやルールがある場合は、メッセージと一緒に発信することで従業員の理解を進めることが出来ます。ケアハラスメントを企業として許さないという姿勢を示すことが重要です。

ハラスメント研修を実施する

ケアハラスメントを防ぐためには、ハラスメント研修を実施することが大切です。先述したように、ケアハラスメントは理解や認知が進んでいないことから蔓延してしまいやすいハラスメントです。何がハラスメントに当たるのかを知ることの出来る、ハラスメント研修を受けてもらう事でケアハラスメントを防ぐことが可能です。研修を行う際には、管理職に対してはコンプライアンス・一般社員に対しては同僚に対しての態度など、階級に合わせた内容を受けてもらうようにしましょう。

十分な人材を確保する

ケアハラスメントは、十分な人材を確保することで防ぐことが出来ます。ケアハラスメントが起こってしまうのは、介護休暇や時短勤務によって他の従業員にしわ寄せがいってしまう事で不満が溜まることから始まります。そういった状況を作らないためには、あらかじめ十分な人材を確保しておき欠員が出ても滞りなく業務が回るような環境を作っておくことが大切です。負荷が高くなるとストレスが溜まり、嫌味や暴言へと繋がってしまうため心の余裕を持てる環境整備を行いましょう。

相談窓口を設置する

相談窓口を設置して、ケアハラスメントを防ぎましょう。事業主である経営者は従業員からの相談に対して、その内容や状況に応じた適切な対応を取る為に、必要な体制を整えておく必要があります。そのためには、ハラスメントに対しての相談窓口の設置や担当者の任命などが必要です。社内に相談窓口を設置する場合は、相談者の匿名性が守られるような方法を取ることが大切です。社外に設置する場合には、多少コストはかかりますが専門知識を持った人に対応してもらう事が出来ます。

ケアハラスメントを受けた時の対処法

社内の相談窓口を利用する

ケアハラスメントを受けたときの対処方法として、社内の相談窓口を利用しましょう。育児・介護休業法において、介護休業などの制度利用者が就業環境を害されないようにするため、その労働者からの相談に応じる事などを企業に義務付けています。昨今のハラスメント問題により相談窓口を設けている企業も多く、最初に相談窓口に相談するというのも方法の一つです。ケアハラスメントを行っている人は、自覚なく行っている場合も多いため第三者から注意してもらう事で解決する場合もあります。

公的機関を利用する

ケアハラスメントを受けたら、公的機関を利用するようにしましょう。社内相談窓口を利用し、話し合いなどでもケアハラスメントが減らない場合にはより専門的な知識を持った公的機関を利用しましょう。ケアハラスメントを相談する際は、労働局の雇用環境・均等部(室)が専門的な公的機関です。労働局に紛争解決の手続きを申し込むことによって、企業に助言や指導を行ってくれます。それでも解決しない場合は、労働局に調停を申し立てる事も可能です。その場合はケアハラスメントの証拠が必要になります。

弁護士に相談する

弁護士に相談することも、ケアハラスメントを受けたときの対処法です。ケアハラスメントを抜本的に解決したい人は、弁護士への相談をお勧めします。公的機関を使う事で、会社に対しての是正勧告などを行ってもらうことは出来ますが、ケアハラスメントを受けている従業員の味方になってくれるとは限りません。弁護士に相談することで、ハラスメント加害者への損害賠償請求なども行う事が可能です。また、弁護士への相談は責任追及をしてもらえるだけでなく退職代行なども行ってくれるため、直接関わりたくないという人にもお勧めです。

まとめ

ケアハラスメントを知り理解して防止に繋げよう

ケアハラスメントが起きる原因や、防ぐための方法・受けた場合の対処法などについて解説しました。介護休業などの制度は法律で認められている物であり取得するのに制限などありません。また取得することで職場から冷遇を受けるなどあってはならないことです。少子高齢化が進む中で、介護を行わなければいけない人は年々増加しています。企業としては、介護休業などを取る人たちがハラスメントを受けないように、施策や工夫が大切です。ケアハラスメントをしっかりと理解し、ハラスメントが起きないよう対策していきましょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら