記事更新日:2022年07月24日 | 初回公開日:2022年07月21日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 採用・求人のトレンドレンタル移籍とは、企業間で契約を結び、一定期間の間大手企業に勤める社員が自社を離れ、ベンチャー企業で働くことを指します。ベンチャー企業に移籍した人材は、契約が終わるまで、そこの企業の一社員として働くのです。この制度により、ベンチャー企業はすでに力をもった人材を取り入れることができ、大手企業は社員のレベルアップを図ることができます。レンタル移籍では、送り出す企業と、受け入れる企業の双方にメリットをもたらすため、多くの企業で注目されているのです。
送り出す企業側は、レンタル移籍によって社員の人材育成を行うことができます。ベンチャー企業に送り出すことで、社員に様々な経験をしてもらうことが可能となるからです。大手企業では、すでに体制が整えられている環境の中で仕事をしている場合が多く、自分の部署の仕事だけをこなせば会社が成り立つ仕組みができています。一方で、ベンチャー企業では制度が構築途中の場合も多く、社員自ら考え行動することが求められます。自社では経験できない困難に直面し、問題解決のために自分で乗り越える力が付くでしょう。
社員が広い視野を持てるようになることも、送り出す企業側がレンタル移籍を取り入れるメリットです。ベンチャー企業では、社員一人一人が担う仕事は多岐にわたります。そのため、大手企業で勤めていた際には取り組んだことのない仕事にも、挑戦することが求められるでしょう。様々の仕事を担うことで、企業全体を理解することに繋がり、全体を俯瞰する力を付けることができます。社員が広い視野を持てるようになると、これまで出てこなかったようなアイディアが湧き出てくるようになるかもしれません。
レンタル移籍を取り入れることは、送り出す企業側にとって自社を客観的に見るきっかけとなります。レンタル移籍では、決められた移籍期間が終わると、社員は自社に戻ってきます。一定期間企業を離れて他企業で働いてみることで、自社の良い点悪い点が見えてくるでしょう。自社を客観的に見ることができると、自社の改善点が分かってきます。また、働いたベンチャー企業の良さを取り入れることもでき、企業の発展に繋がっていくでしょう。
受け入れる企業側は、レンタル移籍によって優秀な人材を確保することができます。ベンチャー企業を立ち上げて間もない場合、企業としての知名度が低いために人材を確保するのが難しいかもしれません。大手企業会社にとってレンタル移籍は人材育成の機会となるため、送り出す社員を厳選してくるでしょう。つまり、すでに十分な能力を持ち、なおかつ伸びしろがある社員が選出されることが多いのです。本人の意思でレンタル移籍をするので、モチベーションが高い人材を確保することができます。
他企業の手法を取り込めることも、レンタル移籍で受け入れる企業側のメリットです。大手企業に勤めている社員を受け入れるため、自社にはなかったような他企業のノウハウを知ることができます。自社の社員にはなかったような考えを持っている社員を受け入れられるためです。成功している会社のカリキュラムや進め方が分かると、自社の発展に繋がるでしょう。自己成長のためにレンタル移籍に参加している社員がほとんどなので、2社の考えのいい所を掛け合わせた新たな発想をしてくれるかもしれません。
レンタル移籍で受け入れる企業側のメリットには、自社の魅力を感じることができることも含まれます。レンタル移籍では、社員自らが移籍先を決めています。レンタル移籍に参加する社員は、やる気をもって自主的に移籍を行うことがほとんどです。レンタル移籍の仕組みも理解しており、レンタル移籍を自分の成長に繋げるという思いから、移籍先についても念入りに調べているでしょう。そのため、レンタル移籍先として選ばれることは、企業としての魅力があることを指すのです。
レンタル移籍を行うと、社員の転職意識を向上させてしまう可能性が考えられます。レンタル移籍は、あくまで自社に戻ることを前提としており、移籍をする期間は決まっています。そのため、優秀な人材だからといってリクルーティングすることは禁止されているのです。しかしながら、社員自身が転職したいと思ってしまったら、それを防ぐことはできません。レンタル移籍を経験したことによって、他社で自分の力を試したい、新しい経験を積みたいという思いが強くなってしまうかもしれないのです。
レンタル移籍を行う場合には、社員の意向があるかどうかを確認しましょう。自身の成長機会であると捉えている社員ほど、レンタル移籍する効果が発揮されます。この社員に経験を積んでもらいたいと思い、企業側が良かれと思って移籍者を選択しがちですが、社員の仕事に対する考え方は様々です。違う環境で力を試したいと考えをする社員がいる一方で、自社の環境に満足している社員もいるでしょう。レンタル移籍をする意向があるか、事前に確認する必要があります。
移籍中も社員のフォローをすることも、レンタル移籍を行う上での注意点です。一定期間移籍しているとは言え、移籍中も元いた企業の一社員であることには変わりはありません。そのため、移籍中もフォローを欠かさないことが大切です。慣れない環境に一人で身を投じるため、社員も不安になります。その際に、帰ってくるのを待つだけという姿勢でいては、社員は企業に不信感を抱いてしまいます。自社に貢献したいという気持ちが薄まり、転職意識を刺激していまう恐れがあるのです。
レンタル移籍を行う際には、戻ってきやすい環境を作っておくことが大切です。レンタル移籍では、元いた企業に戻ってくることが前提としてあります。席があることはもちろんのこと、レンタル移籍後の社員を受け入れる体制を整えておく必要があるのです。レンタル移籍では、ベンチャー企業で培った経験を企業に還元して、はじめて成功したと言えます。そのため、レンタル移籍で培った力を発揮することができる場を作ることも効果的です。
社内で周知を行うことも、レンタル移籍を行う際に求められます。そもそもレンタル移籍とは何であるのか、どのようなメリットのもと自社で導入しているのか、社員が理解しておくことが大切です。全社員がレンタル移籍の対象となりうるため、社内における周知は必須であると言えるでしょう。レンタル移籍をする社員だけでなく、企業全体での理解を得られていると、レンタル移籍を行いやすくなり、また企業に戻ってきやすくなります。
株式会社ローンディールは、レンタル移籍のサービスを提供している企業です。人材を送り出す企業と受け入れる企業を仲介する役割を担っています。63社で導入されており、すでに205人のレンタル移籍が完了しました。送り出す企業と受け入れる企業のどちらにも寄り添った対応を行うので、移籍先の決定から企業への還元までスムーズに行うことができます。様々なコミュニティも運営しており、移籍する人材のサポートも多岐にわたるので、安心してレンタル移籍を行えるでしょう。
トヨタ車体は、レンタル移籍を導入している企業です。株式会社ローンディールが提供するサービスを用いり、すでに3人の社員がベンチャー企業への移籍を完了しました。トヨタ車体は、自ら率先してい企画やや開発を行い、新規ビジネスを創出できる人材育成をすることを社内風土としています。レンタル移籍を行うことで、社員はベンチャー企業で多くの経験を積むことができます。それによって、社内変革を起こせる人材の育成を目指しているのです。
レンタル移籍を導入している企業として、第一生命保険株式会社が挙げられます。第一生命では、対面で行う顧客とのコミュニケーション、デジタル技術を用いたサービスの拡充に取り組んでいます。顧客の体験価値を向上させ、デジタル改革を推進できる人材の育成を目的とし、レンタル移籍の導入に至りました。ベンチャー企業に移籍して事業開発経験を積んでもらうことによって、社員が経営側目線の視点を身に付けることを期待しています。
株式会社東芝も、レンタル移籍を取り入れています。東芝では、2022年度よりレンタル移籍の導入を開始しました。2021年からは社外留職制度を実施しており、社外の人との交流を通じて組織の活性化を行うことを積極的に行っています。社員がベンチャー企業にレンタル移籍することで、事業開発に携わり、経営者側の視点を経験することを目的としています。これらの経験のもと、社員がマネジメント力を獲得して、新規事業の立ち上げを行っていくことが期待されています。
レンタル移籍を導入している企業には、株式会社三越伊勢丹も含まれます。三越伊勢丹では、「ベンチャー企業研修出向プログラム」の一環として、ローンディールのレンタル移籍を導入しました。ベンチャー企業へレンタル移籍した社員は、戻ってきたのちに新規事業部門に携わることを予定しています。自社では経験できないような事業開発のスピード感や実行力を身に付け、新規事業を立ち上げることのできる人材育成を目的としています。
レンタル移籍を行うことで、送り出す企業側は社員の人材育成をすることができ、受け入れる企業側は即戦力となる人材を確保することができます。一方で、レンタル移籍によって、社員の転職意識を刺激してしまうかもしれません。そのため、移籍中も社員のフォローを欠かさず行うことが大切です。社内でレンタル移籍の周知を行い、レンタル移籍した社員が会社に戻ってきやすい環境を作っておくことが求められます。ローンディールが提供しているレンタル移籍のサービスを用いて、企業の発展に繋げましょう。
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