入管法改正で外国人を雇うには【資格や改正法を開設】

記事更新日:2020年11月18日 初回公開日:2020年10月28日

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入管法とは出入国管理及び難民認定法のことを意味します。2019年4月に入管法は改正され、新たに「特定技能」という在留資格が加わりました。この新しい在留資格は、幅広く外国人材を受け入れて、深刻な人手不足を解消するという狙いがあります。コロナ禍で外国人の出入国は制限がかけられているものの、グローバリゼーションの傾向はこれからも続くことが予想されます。入管法、在留資格、「特定技能」、新制度の背景について解説します。

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日本に出入りする外国人が対象の法律

日本に出入りする外国人が対象の法律

出入国管理及び難民認定法は、日本に出入りする外国人の全てが対象とされている法律です。日本に入国する外国人は、観光やビジネスなどその理由は様々です。グローバル社会において、人の行き来は日本の国益に大きく影響します。しかし、万が一その中にはテロリストなどの犯罪目的で入国する外国人もいるかもしれません。そのため、外国人の出入国には一定の規制が必要となります。コロナウイルスの影響による入国制限についても、この入管法が適用されたものでした。

管理規制や難民認定の手続きが目的

入管法は、日本人の出国、帰国についても定められていますが、ほとんどが外国人の出入国、在留の管理規制や難民認定の手続きが目的です。外国人の滞在は法務大臣の許可が必要になります。在留資格によって、申請の手続きが定められています。また、在留期の期間も決められていて、期限が切れる前に更新申請を手続きしなければなりません。一度許可を受けた資格に変更が生じた場合は、変更の手続きが必要になります。

入管法における在留資格の現状

外国人が合法的に日本に滞在するための資格

在留資格とは、外国人が合法的に日本に滞在するための資格です。観光などの短期のものは簡単な手続きとなりますが、中長期の在留資格の許可は厳格に行われます。入国前に国内での活動を決定して、その活動のための許可を申請します。ですので、何も活動を決めずに入国して、入国後に活動を決めるということはできません。活動内容に変更が生じた場合は変更申請する必要がありますが、短期の在留資格で入国し、中長期の在留資格に変更する場合は、正当な理由がなければ許可されません。

在留資格は33種類存在する

在留資格は33種類存在し、おおまかに3つに分類されます。就労資格、居住資格、その他です。就労資格は「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」などの就労のための資格で、従事する業務の内容によって定められています。就労はできますが、許可を受けた活動以外の就労は認められていません。居住資格は、「永住者」、「定住者」などの身分によって在留を許可されるものです。居住資格については、就労可能の資格で、就労の制限はありません。その他は「留学」、「文化活動」、「短期滞在」があります。

2020年の入管法改正の内容は

特定技能という在留資格が設けられる

2019年の入管法の改正により、新たに「特定技能」という在留資格が設けられました。特定技能とは、雇用契約に基づいて特定産業分野の業務従事する在留資格です。「技術・人文知識・国際業務」のように専門的な知識、技術を要せず、かつ「技能」のように熟練技能を要しないという在留資格で、より外国人材を受け入れやすくなりました。外国人の日本語の能力、雇用主側の人材受入体制の整備などの要件も追加されています。

14業種の特定産業分野で外国人雇用が可能に

特定産業分野には、次の分野が定められています。(以下箇条書き)介護分野。ビルクリーニング分野。素形材産業分野。産業機械製造業分野。電気・電子情報関連産業分野。建設分野。造船・舶用工業分野。自動車整備業分野。航空分野。宿泊分野。農業分野。漁業分野。飲食料品製造業分野。外食業分野。(ここまで)また産業分野を特定しただけでなく、従事する業務内容もそれぞれ定められています。特に人手不足が深刻な産業分野が対象となっています。

特定技能には1号と2号がある

「特定技能」は1号と2号に分類されています。1号は上記の14業種が該当するもので、外国人労働者として従事する業務についての相当程度の知識又は経験を必要とします。2号は熟練した技能を必要とするもので、建設分野、造船・舶用工業分野にのみしか認められていません。1号の在留期間が最長で5年なのに対し、2号は5年以上が認められています。1号で5年経過した後、2号に移行することもできます。

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入管法改正による特定技能制定の背景

少子高齢化による労働人口の減少

それでは、なぜ特定技能を制定する必要があったのでしょうか。少子高齢化による労働人口の減少が入管法改正による特定技能制定の背景にあります。労働者人口の減少により、労働者の確保が難しくなってきました。そして、その傾向はもっと悪くなることが予想されます。特定技能における14業種の産業分野においては、十分な人材を確保できないことから、外国労働者を積極的に受け入れて、労働力を確保しようとするものです。

労働人口減少による日本経済の成長停滞

また一方で労働人口減少による日本経済の成長停滞も懸念されます。経済成長と人口規模は密接な関係にあり、これまでの人口の増加とともに経済成長が続いてきました。確かに経済成長は人口だけでなく、イノベーションや資本などさまざまな要因が考えられますが、人口減少は今までにない現象です。また、現在の財政や社会保障制度を前提とすれば、高齢化が進むと、社会保障負担の増大などの現役の働き手の世代の負担増加が懸念されます。

入管法改正で追加された特定技能1号とは

知識や経験が必要な業務をする外国人向けのビザ

「特定技能1号」とは、知識や経験が必要な業務をする外国人向けのビザです。専門的な知識や経験は必要ありませんが、業務区分に対応する技能水準試験に合格しなければなりません。日本語能力は国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験等に合格することが必要です。ただし「技能実習2号」を良好に終了した者は、これらの試験は免除されます。イラン・イスラム共和国の国籍の外国人には許可されません。

在留期間は5年間で家族の帯同ができない

「特定技能1号」では在留期間は1年、6月、4月で許可され、期間に応じて更新することができます。ただし、5年間を上限とし、それ以上の更新は認められていません。また、家族の帯同は基本的には認められていません。受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象となります。受入れ機関又は登録支援機関とは、支援計画を作成し日本での仕事、生活全体をサポートするもので、雇用主で実施することができなければ第三者に委託することも可能です。

入管法改正で追加された特定技能2号とは

熟練した技術が必要な業務をする外国人向けのビザ

「特定技能2号」とは、熟練した技術が必要な業務をする外国人向けのビザです。技能水準は試験等により評価されますが、日本語能力水準の要件はありません。ただし、建設分野、造船・舶用工業分野にしか認められていません。なお、介護分野ついては「特定技能2号」が認められていませんが、在留資格に変更することができます。「特定技能1号」で従事する間に介護福祉士の資格を取得し、その後「介護」に在留資格を変更申請することが認められています。

在留期間が無制限で家族の帯同が可能

「特定技能2号」では在留期間は3年、1年、6月で許可され、更新の上限はありません。そのため条件を満たせば永住申請も可能となります。家族の帯同は認められていて、配偶者と子については「家族帯同」の在留資格が付与されます。受入れ機関又は登録支援機関の義務的支援の対象とはなりません。「特定技能2号」は要件を満たせば、「特定技能1号」を経なくても取得することが可能です。従来の就労資格に近い在留資格となっているといえるでしょう。

入管法改正のメリット

人材不足が改善される

「特定技能」の在留資格が追加されたことで、日本の人材不足が改善されることが期待されます。政府は特に人手不足が顕著な産業分野に重点的に配分するため、特定産業分野を設定しました。特定産業分野における人手不足数の見込みを算出し、特定技能外国人を計画的に受け入れ、5年間で最大34万5000人受入れていくという政策です。他の就労資格では禁止されていた単純労働も可能となっているため、受け入れる企業にもメリットは大きいです。

職種が増えるので外国人にとっても幅が広がる

「特定技能」は「技術・人文知識・国際業務」や「技能」の在留資格に比べると、学歴や実務経験などの要件が大幅に緩和されました。職種が増えるので、日本で就労を希望する外国人にとっても幅が広がります。また雇用主側の受入れ体制の整備が義務付けられました。受入れ機関又は登録支援機関で日本での就労、生活に全面的なサポートを受けることができるので、外国人労働者は安心して日本での生活を送ることができます。

入管法改正のデメリット

日本人労働者の採用が減少する可能性がある

入管法改正のデメリットは日本人労働者の採用が減少する可能性があるということです。基本的には日本人と同等の賃金水準が要件となりますが、現実として日本人労働者と比較して外国人労働者の賃金は低い傾向にあります。特定産業分野はもともと日本人労働者の人気のない職種であるため、渋々働いていた日本人よりは、一所懸命に働く外国人労働者に好感が持てるという報告もあります。そのため日本人を採用するより外国人を採用するインセンティブが雇用者側に働くでしょう。

外国人の受け入れを拡大したことによる雇用環境の不安

もう一つのデメリットとして、外国人の受け入れを拡大したことによる雇用環境の悪化することが懸念されます。外国人労働者が増えることで、賃金を低い水準に下げられる。外国人労働者が増えることで、日本人労働者の方が少人数になる。宗教、文化の違いが埋められず、業務に支障が生じる。外国人労働者には日本語能力が求められるので1対1では問題がなくても、外国人労働者が職場で増えるとうまく人間関係が築けなくなるかもしれません。

入管法改正後の外国人雇用の注意点

特定技能雇用契約を締結しなければならない

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特定技能雇用契約とは、「特定技能」の在留資格で外国人労働者を受け入れる事業者が締結する特別な雇用契約のことです。次の要件を満たす契約である必要があります。報酬額が、日本人が従事する場合と同等以上の報酬額であること。一時帰国を希望した場合は、休暇を取得させること。福利厚生施設の利用等の待遇で差別的取り扱いをしていないこと。一か所の所属機関におけるフルタイム勤務であること。出入国管理局で外国人労働者、事業者の両者の契約書で内容を確認します。

価値観や文化が異なる外国人が働きやすい環境を整える

特定技能1号」の在留資格においては、1号特定技能外国人支援計画を作成しなければなりません。支援計画には、入国前の情報提供から、入国後の生活の支援、相談や苦情対応について記載します。日本語学習機会や日本人との交流機会を提供し、日本の生活に馴染めるような特別な配慮も必要です。解雇等の場合の転職支援も盛り込まれ、次の生活へ安心して移行できるよう支援しなければなりません。外国人労働者の生活全般を支援し、価値化や文化が異なる外国人が働きやすい環境を整えます。

入管法改善により外国人労働者を雇用しやすくなりました

共生社会の実現のために企業は入管法を理解しましょう

入管法の改正により要件は緩和され、日本の企業は外国人労働者を雇用しやすくなりました。特定技能外国人支援計画などで外国人労働者にとっても働きやすくなりました。特定技能外国人は各分野での一定の技能を有する労働者ですので、特定産業分野での人手不足解消に大いに期待できます。外国人労働者の環境整備などの課題はありますが、入管法改正をチャンスととらえ、外国人労働者を積極的に雇用していきましょう。

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