記事更新日:2023年02月16日 | 初回公開日:2023年02月16日
用語集 外国人採用・雇用 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報アンコンシャスバイアスとは、無意識のうちに我々が持っているある種の先入観や偏見のことを指します。これは、特定の人やグループに対する不公平な扱いを引き起こす可能性があります。アンコンシャスバイアスは、潜在的なレベルで形成された考え方や信念によって引き起こされるのです。これらの考え方や信念は、私たちが育った環境、文化、社会的な影響、個人的な経験などによって形成されがちです。例えば、私たちはメディアや文化的なステレオタイプから影響を受けることがあります。
アンコンシャスバイアスは、誰もが持っています。それは私たちが日常的に経験することや、文化的な環境及び社会的な影響などが無意識のうちに私たちの思考や行動に影響を与えるためです。私たちは無意識のうちに決定を下してしまうことがあります。しかし、アンコンシャスバイアスについて自覚し、それに対処することは可能です。自分自身がアンコンシャスバイアスを持っていることを認め、他の人やグループに対して公正であることを常に意識することが重要です。また教育や訓練、多様性の尊重などを通じてアンコンシャスバイアスを減らすための取り組みが行われています。
アンコンシャスバイアスが注目される背景には、多様性の尊重による偏見を無くそうとする取り組みがあります。多様性とは人々が異なる背景・文化・価値観・人種・性別・性的指向・能力・宗教などを持っていることを指します。多様性を尊重することは、社会において公正な扱いを受ける権利があるすべての人々にとって、重要なことです。しかしながら、人間は無意識のうちに偏見を持ってしまうことがあり、これが不公平な扱いや差別につながることがあります。そのためアンコンシャスバイアスを理解し、それに対処することが重要であると考えられています。
アンコンシャスバイアスの原因の1つは、エゴであると考えられています。エゴとは自分自身の欲求や価値観を中心に捉え、自分自身を優位に見る心理状態のことです。このような状態になると、自分自身と異なる人々やグループに対して自分自身と同じように扱うことが難しくなる傾向があります。アンコンシャスバイアスは、無意識に形成されるため、自分自身がエゴであることに気づくことができないことがあります。しかし、アンコンシャスバイアスについて学び、自分自身が持っているかもしれないバイアスについての認識を高めることが重要です。
アンコンシャスバイアスの原因は、習慣にもあります。人間は日常生活で慣れ親しんだパターンやルーティンに従って行動するのです。これらの習慣は意識的に意思決定をすることなく、無意識のうちに行動を決定することがあります。そのため、特定の人やグループに対するアンコンシャスバイアスが形成される可能性があるのです。習慣化しないために重要なことは、自分自身が持っている可能性のあるアンコンシャスバイアスの認識を高めることです。習慣となってしまったバイアスに対しては、積極的にアンコンシャスバイアスを減らすための取り組みが必要となります。
アンコンシャスバイアスの原因は、他にも感情の起伏にあることが考えられています。感情的になると自分自身や周りの人々、グループに対する認知が歪むことがあります。特定の人やグループに対して好意的な感情を持っている場合、その人やグループに対してより良い評価を下す傾向があります。一方、不快な感情を持っている場合は、その人やグループに対して不公平な評価を下す傾向があることが研究で明らかにされているのです。また、感情の起伏が大きい状況下では、判断力や意思決定の能力が低下することが知られています。
アンコンシャスバイアスの具体例として、ステレオタイプバイアスがあります。人々がある特定のグループについて持っている固定観念や汎用的なイメージが、そのグループの個々のメンバーに対する扱いに影響を与えることを指します。人々は無意識のうちに、ステレオタイプの思考や行動に従って判断を下すことがあります。特定のグループに対する評価がそのグループの個々のメンバーの実力や能力に基づいたものではなく、グループに対する先入観に基づいたものであることが多いため不公平な扱いを引き起こすことがあります。
2つ目の具体例は正常性バイアスです。人々が一般的に受け入れられているものや、自分自身が当たり前だと思っているものに対して正常であるという前提を持っているバイアスのことを指します。つまり、自分たちが行っていることや考え方を正常で、それ以外のものを異常とみなす傾向があるということです。このバイアスは自分たちの文化、社会、集団などが一般的なものであるという前提を持っていることから生じます。特定の集団や社会の価値観や行動様式を自分たちの基準として、それ以外のものを異常とみなすことがあります。
3つ目の具体例は確証バイアスです。ある仮説や信念に対する確証を求めることに偏りがあるバイアスのことを指します。自分が信じていることについての証拠を探し、それを裏付ける情報を過剰に評価して反対意見や矛盾する情報を無視や軽視したりする傾向があるということです。このバイアスは人々が自分自身の信念や価値観に対して強い愛着を持ち、それを守りたいという心理的な要因によって生じます。また、自分自身が正しいと信じていることに対する反論や批判が不快であるため、それを避けるために確証を求める傾向があるとも言われています。
最後にアインシュテルング効果です。人が何らかの課題に取り組む際にその課題が難しいと思われると、実際により難しく感じてしまう現象のことを指します。この効果は人々が課題に取り組む際に自分の能力に対する不安や不信感が生じ、それが課題に対するパフォーマンスに悪影響を与えるために生じると考えられています。また、課題が難しく感じると、ストレスや焦りが生じ、課題に対する集中力や注意力が低下するのです。アインシュテルング効果を克服するためには課題に取り組む前にリラックスすることや、自分の能力を客観的に評価することも効果的です。
アンコンシャスバイアスが組織に与える悪影響の一つに、公正な評価ができないことが挙げられます。アンコンシャスバイアスにより人事や昇進の判断に偏りが生じることがあり、能力や実績が同じでも性別や人種などの個人的属性によって評価が異なってしまう場合があります。公正な評価を適正に行うためには組織内での啓蒙活動やトレーニングを行うことが有効です。また、採用や昇進の際に客観的な基準を設けることや、意思決定プロセスにおいて多様な意見を尊重することも重要です。
アンコンシャスバイアスの組織に与える悪影響は、他にも人間関係の悪化が挙げられます。アンコンシャスバイアスが存在すると、職場での個人間の相互作用やチームワークが損なわれる可能性があります。例えば、ある人種や性別に対する偏見がある場合、そのグループのメンバーとの間で避けることや、距離を置くなどコミュニケーションが取れなくなることがあります。また、アンコンシャスバイアスによって同じ仕事をしている人でも、優遇される人と、不当に扱われる人とが出てしまうことがあります。
組織の多様性はアンコンシャスバイアスによって、良くない方向に悪化してしまうことがあります。アンコンシャスバイアスが存在する場合、同じようなタイプの人が集まり、多様な視点や経験を持つ人材が集まりにくくなる可能性があります。こうした状況が続くと組織の多様性が悪化していくでしょう。多様性の悪化の影響は創造性やイノベーション、市場のニーズに対する理解など組織のパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。また、多様性が欠如する組織は社会的にも問題視されることがあります。
アンコンシャスバイアスを改善するためには、まず実態を把握することが必要です。具体的には組織内でのアンコンシャスバイアスの存在や影響を調査し、それに基づいて改善策を策定する必要があります。調査手法としてはアンケート調査やインタビュー、実験などが有効となるでしょう。問題の啓発としてはアンコンシャスバイアスの存在や影響を周知し、問題意識を高めることが必要です。これらの調査結果を基に組織内のアンコンシャスバイアスを把握して、その原因や影響を分析することができます。
アンコンシャスバイアスを改善するためには、研修が有効な手段の一つとされています。研修はアンコンシャスバイアスの存在や影響についての理解を深め、具体的な改善策を学ぶことができます。また、研修を通じて多様性やインクルージョン(包括的)の重要性を再認識し、それを推進するための行動を促すこともできます。ただし、研修だけでアンコンシャスバイアスを完全に改善することはできません。研修を受けたからといって、人々の無意識の思考が完全に変わるわけではありません。そのため、継続的な啓発や取り組みが必要です。
Googleは、アンコンシャスバイアスの改善に向けていくつかの取り組みを行っています。従業員が偏見を理解し多様な視点を持つ組織づくりに向けて、2013年にアンコンシャス・バイアスの教育活動を開始しました。そのうちの一つがオンラインのトレーニングプログラムで、Googleの全従業員が受講できるようになっています。現在では2万人以上の従業員がトレーニングを受けて、偏見をなくすための情報交換が社内で活発化しています。また、Googleは採用プロセスにおいてもアンコンシャスバイアスの影響を減らすために取り組みを行っています。
スターバックスもアンコンシャスバイアスの改善策に取り組んでいます。まずはトレーニングプログラムの実施です。このトレーニングではアンコンシャスバイアスの種類や、それらがどのように職場で影響を与えるかについて学ぶことができます。ほかにもスターバックスはコミュニケーションの改善に力を入れています。例えば、従業員同士がお互いに知り合えるような社内コミュニティの設立や、定期的なフィードバックを重視していると言えるでしょう。これらにより、アンコンシャスバイアスを減らし、より包括的な職場環境を作ることを目指しています。
アンコンシャスバイアスを意識した社会を目指すことは重要です。理由は企業においても人々が意識的に差別をしているわけではなく、無意識のうちに行動や判断に偏りが生じることがあるためです。特にアンコンシャスバイアスの影響を受けやすい人々を支援するため、公正な取り組みや政策が必要です。アンコンシャスバイアスを意識しながら改善に向けた取り組みを積極的に行うことで、より公正な社会を実現することができます。よって企業はアンコンシャスバイアスに関する情報や教育を広め、人々が自分自身や周囲の人々のバイアスを理解できるような環境づくりをしていきましょう。
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