報告しない部下の心理とは?【報告する環境づくりやその注意点についても解説します】

記事更新日:2023年11月15日 初回公開日:2023年11月10日

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職場における報連相は、トラブルの防止や仕事の進捗をスムーズに保つためにも必要不可欠な職務の一つです。そのため、管理職は常に部下の指導をする際に、報連相を促していく必要があります。しかし、中にはトラブルが発生しても上司に事実を報告しない部下も少なくありません。どれだけ報連相を徹底するように指示しても、報告しない部下にはどんな理由があるのでしょうか。今回はそんな仕事の報告をしない部下が現れてしまう原因や対処法についてご紹介します。部下の教育に悩んでいる方は、是非ご参考にしてみてください。

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職場における報連相の重要性

効率的な作業や問題への対処をスムーズに行える

職場において報連相の徹底が必要なのには、効率的な作業環境の維持や、トラブル時への早急な対応を可能にするためという理由があります。会社では各部署に管理職が配置され、一般社員に仕事の割り振りや指示を行います。そのため、管理職は自分の管轄下にある業務の進捗状況を常に把握しておかなくてはなりません。しかし、部下からの報連相が無いと、部署内の状況を把握できないので、トラブルが起きても早期の解決が困難になります。このような理由から、報連相は職場の能率を維持するためにも必要不可欠です。

報告をしない部下の心理

過ちを追及されたくない

報告しない部下が発生してしまうのには、自分の過ちを追及されたくないという心理が働いている可能性があります。自分のミスがきっかけでトラブルが発生してしまった時、上司に怒られることを心配するのは人として自然な反応です。本来であれば、怒られるのが怖くても報告するのが普通です。しかし、上司がミスを厳しく追及された経験や、上司の普段の態度が威圧的だと恐怖心から口を閉ざしてしまいます。そのため、厳しい上司を持っている部下は、普段からトラブルが起きても報告しないケースが多く見られます。

自力で解決しようと考えている

仕事の進捗やトラブルを報告しない部下の中には、自分の抱えている問題を自力で解決しようと考えている人も少なくありません。このような心理が働く人は誰かに頼ることが苦手な場合が多く、上司への報告が迷惑なのではないかと不安に感じている恐れがあります。また、常日頃から上司に「人に質問する前に、まずは自分で考えてみて。」と指示されている場合も、部下は積極的な報告を避けるでしょう。そのため、厳しく接していないのに部下が報告してくれない場合には、指導方法を変えてみる必要があります。

多忙な上司に報告するタイミングを見計らっている

管理職は部下のフォローや指示出しだけでなく、他にも様々な業務をこなさなくてはならないため、多忙な方が大半です。その状況を普段から見ている部下は、多忙な上司に報告するタイミングが分からず、報告業務を放置してしまうという理由も考えられます。人は用事があっても相手が忙しそうにしていると、話かけるタイミングを先延ばしにしてしまいがちになります。このような場合には、部下からの発信を待つだけでなく、進んで報告を聞きに行く体制を整えるのも一つの手段です。

いつどんな時に何を報告するべきか判断できない

入社してから間もない新人社員の場合、業務の優先順位や基準が曖昧なため、いつどんな時に何を報告すべきか判断できないケースが考えられます。職場や業種の経験が浅い場合は特に、一つの業務をとっても上司に判断を委ねるべき事柄なのか、自分で判断して行動しても良い事柄なのかがわからない人は多く存在します。また、職場での業務マニュアルや明確なルールが周知されていない会社では、特に上記の理由から報告しない部下が発生してしまうリスクが高い傾向にあります。

報告が活発化する環境づくり

報告するタイミングを統一する

部下が報告しやすい環境を作るには、報告するタイミングを統一する必要があります。上記でも挙げられた通り、上司が多忙な場合や職務経験が浅い場合には、部下はいつどのタイミングで業務報告をすべきか分かりません。そのため、管理側はあらかじめ、部下が報告するタイミングを設定すれば上記の問題は解消されます。具体的には、お昼休みや就業時間の10分前など、仕事が一区切りつくタイミングに時間を設定すると部下も報告しやすくなるのでおすすめです。

一定時間悩んだ際には相談する

業務上発生した問題の解決法や、仕事を進めていく上での疑問点を逐一上司に尋ねる形にすると、上司は時間を取られるだけでなく、社員の自主性も育ちません。しかし、一方的に突き放してしまうと、社員は報告しない部下になってしまいます。そのため、部下の教育の際には、あらかじめ、分からないことがあったら一定時間自分で考えてみて、どうしても解決できない場合は相談するなどのルールを決めましょう。大切なのは、部下に必要以上の責任や問題解決能力を求めないことです。

上司から声掛けしてみる

報告しない部下に、能動的な行動を求めるのには限界があります。どれだけ言葉で注意しても、相手の行動が改められない場合には上司から声かけしてみるのも有効な手段です。上司が自分から報告を催促すれば、部下は必然的に業務報告をしなければならなくなります。また、上司が積極的に声掛けすることは、話しかけやすい雰囲気を作るのにも効果的です。これを繰り返すことにより、部下も報告する習慣に慣れて自分から報告してくる効果も期待できるため、まずは上司からアプローチしてみることも大切です。

報告しやすい上司になるための注意点

部下の話を最後まで聞く

部下が報告しやすい上司になるためには、部下の話を最後まで聞くことが大切です。例えば、部下が業務上の質問をしてきた時に、初めから答えが分かっているからと話を遮ってしまうと部下は不快な気持ちになります。また、話を最後まで聞かずにいると、話の内容を勘違いしてしまう恐れがあります。部下の話を早合点して答えてしまうと、重大なミスやトラブルの原因に気付けなくなってしまいます。そのため、時間が惜しいからと言って話の途中で意見を出すのではなく、話を全部聞いてから物事を判断しましょう。

否定的な言葉を使用せずに話す

部下の報告を聞く際には否定的な言葉を使用せずに話すことも、報告不足を未然に防ぐ手段の一つです。具体的には、部下が自分の意見を交えて話をする時に、「いや」「そうじゃないでしょ。」というような否定的な声掛けをするのは良い対応とは言えません。上司に否定されると部下は自分の仕事に自信を失ってしまうばかりではなく、否定されるのを怖がり報告しなくなります。そのため、間違いを指摘することも大切ですが、部下に威圧感を与えないためにも、なるべく否定的な言葉を使わず指導を行いましょう。

部下の自尊心を高めることを意識する

報告しやすい上司になるためには、普段から部下の自尊心を高めることを意識する必要があります。報告しない部下が上司への報告を避けるのは、上司へ不信感を持っているからでもあります。人は否定的な言動や威圧的な態度を取る相手を信頼できないので、話をするのも避けたがるものです。逆に言えば普段から部下を褒め、自尊心を守れる上司であれば部下の信頼度は高まります。上司を信頼していれば、部下は安心感からミスやトラブルの報告も積極的に行います。そのため、信頼を勝ち取るためにも部下の自尊心を高めるように普段から心がけていきましょう。

「なぜ」という言葉を使わない

部下に積極的な報告を促す際には、「なぜ」という言葉を使わないようにしましょう。ミスやトラブルの報告が部下からあった時、「どうしてこんなことになったの。」と追及する上司も少なくありません。しかし、自分にそんなつもりは無くても、執拗な追及は相手にとって威圧や糾弾に他なりません。また、不注意から生じるミスは本来本人だけの努力では防げないという側面もあり、本人だけでは説明できない場合もあります。「なぜ」という言葉を武器に自分を責めているとも捉えられかねないため、報告時の強い追及は避けるように意識しましょう。

解決策の鍵となるヒントを与える

報連相をするとすぐに助けてくれる上司の存在は魅力的なものです。しかし、上司が部下の業務に介入しすぎると、部下の自主性が育ちません。そのため、部下が報告しやすい環境を整えるのは大切ですが、自分で考えて問題を解決に導く機会を与えることも重要です。例えば、部下から業務に関する相談や質問があった場合には、すぐに解決策を教えるのではなく、解決策のカギとなるヒントを与えるようにしましょう。これを行うことで、報連相の習慣を身に着けるだけでなく、部下の自主性を育てる手助けにもなります。

自身の欠点や失敗談を共有する

自身の欠点や失敗談を共有することも、部下が報告しやすい上司になるために有効な手段の一つです。多くの場合ミスやトラブルが発生すると、部下は落ち込み自信を失います。しかし、仕事上の失敗経験や自分の欠点は誰にでもあるものです。そのため、自分の欠点や失敗談を共有すれば、部下は励まされるだけでなく上司に親近感を抱きやすくなります。部下と上司の間に親近感が生まれれば、必然的に部下から上司への信頼度も高まります。また、他人との失敗談の共有は立ち直りのきっかけにもなるため、「ミスをするのは自分だけじゃない。」と思わせることも大切です。

部下のタイプ別指導方法

報告するタイミングの判断が付かない人

報告するタイミングの判断がつかないタイプの人は、どのような場合に上司に報告すれば良いのか明確な判断基準を持っていません。そのため、指導の際にはどんなことが起きた時に相談が欲しいか、どの時間帯なら自分も報告の時間が取れるかを事前に教えておきましょう。具体的な事例を挙げて説明すれば、上記の特徴がある部下でも報告の必要性を判断しやすくなります。また、業務マニュアルを作成する場合には、上司のチェックが必要な工程に注意事項を記載すると、報告のタイミングが作れます。

話しかける勇気のない人

上司に話しかける勇気のない人は、元々人と話すのが苦手である、相談することで自分のプライドを傷つけたくないという性格を抱えているケースが考えられます。このような場合に、部下が本来持っている性質を改善するのは困難なため、部下からの働きかけを期待するのは逆効果です。そのため、具体策としては、上司が自分から声掛けをして、仕事の進捗状況を尋ねる、就業時間中に報告業務のための時間を設けることが有効です。上司から具体的な指示があれば、部下は無視できないため自分から報告を行えるようになります。

タスクの重要性を感じていない人

タスクの重要性を感じていない人は重要事項の判断ができない新人だけが該当するわけではありません。業務に慣れてきた中堅社員も、仕事の慣れから本来業務の手順に組み込まれている報告業務を軽視しがちです。このような部下の指導に当たる際には、報告を怠ったことが原因で発生する可能性のあるトラブルやミスの事例を具体的に説明する必要があります。実際に起きたトラブル事例や上司本人の体験談を話すことで、当人たちの危機感や当事者意識を高める効果が期待できます。

まとめ

報告しない部下の心理を把握し自身の声掛けや態度も変えてみよう

報告しない部下は放置していると、後々の大きなトラブルを招いてしまうリスクがあるので、仕事の効率性を高めるためにも早期の対応が必要です。報告業務を怠る部下がいると、上司はその部下に対して不信感を抱いてしまいます。しかし、報告しない部下が生まれてしまうのには、本人の性格だけでなく職場の雰囲気や上司の普段の態度が要因となっている可能性も否定できません。そのため、管理職はどうして部下が報告しないのか本質的な理由にも目を向け、自身の声掛けや態度を変えてみることが問題解決の近道となるでしょう。

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