記事更新日:2020年03月01日 | 初回公開日:2018年12月20日
外国人留学生の採用 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド 外国人採用・雇用最近、外国人人材の受け入れ拡大法が成立し話題になっていますが、現在の外国人留学生の就職率や就職先の現状はどうなっているのでしょうか?本記事では、外国人留学生の就職活動の現状や課題、就職先の傾向、また、外国人留学生を積極的に採用している企業の現状をお伝えします。
出典: 外国人留学生在籍状況調査結果
表から分かるように外国人留学生の人数は年々増加しています。現在の留学生の人数と10年前の留学生の人数を比較すると約2倍増加しています。これは政府が2020年までに留学生の人数を30万人まで増加させる施策「留学生30万人計画」を実施したためです。
また、最近では外国人の受け入れ拡大法が成立しました。これにより最大34万5000人余りの外国人労働者が増加するといわれています。
日本企業は外国人労働者の受け入れの準備はできているのでしょうか?現在の外国人留学生の就職状況からみていきましょう。
どのような企業が外国人労働者を受け入れているのでしょうか?外国人留学生の就職先を職務別、業種別、在留資格別、月収別、企業規模別にみてみましょう。
出典:「平成28年における留学生の日本企業等への就職状況について」
職務別で外国人留学生の就職先を見てみると翻訳・通訳での許可人数が最も多い結果となっています。バイリンガル人材はグローバル化を進める企業にとってはとても貴重な人材であるため納得できる結果でしょう。翻訳・通訳に次いで販売・営業、海外業務が多くなっています。これらの職務は海外とのやりとりがあるため、言語能力や異文化対応能力が長けている外国人が採用されていると考えられれます。
製造業業種 | 構成比(%) |
---|---|
食品 | 2.4 |
電機 | 2.3 |
一般機械 | 2.1 |
自動車 | 1.5 |
繊維 | 0.6 |
化学 | 0.6 |
鉄鋼 | 0.3 |
その他製造業 | 5.8 |
製造業小計 | 15.7 |
非製造業業種 | 構成比(%) |
---|---|
商業(貿易) | 20.6 |
コンピュータ関連サービス | 9.4 |
飲食業 | 5.3 |
ホテル・旅館 | 0.3 |
建設 | 2.6 |
教育 | 2.5 |
飛行業 | 2.3 |
運輸 | 2 |
金融保険 | 1.1 |
医療 | 0.2 |
その他 | 35.3 |
非製造業小計 | 84.3 |
業種別で外国人留学生の就職先をみてみると、最も多いのが非製造業の商業(貿易)がダントツの1位となっています。これは先ほどお伝えしたようにバイリンガル人材が重宝されている結果だといえるでしょう。2位はコンピュータ関連サービスとなっています。情報産業は日進月歩している業界であり、最新の情報は英語で書かれています。最先端の技術を取り入れるためにバイリンガル人材を採用していると考えられます。
在留資格別にみると、最も許可されている就労ビザは技術・人文知識・国際業務となっています。この就労ビザは、プログラマーなどの技術系の職種と、マーケティングなどの人文知識に関する職種、そして翻訳・通訳、語学講師などの国際業務に関する職種の労働を許可するものです。職務別の結果からもこの結果は容易に予想できるでしょう。
言い換えると、技術・人文知識・国際業務が一番取得しやすい就労ビザであり、またこれらの職種が日本で一番必要とされている職種といえるでしょう。
月収別に外国人留学生の就職先を見てみると20万円から25万円未満が半分を占めています。新卒採用される日本人学生の初任給の平均が約20万円です。この結果から留学生と日本人の報酬相場の差異はないということが言えます。
留学生の就職先で最も多い企業は、従業員数が50人未満の企業という結果になっています。また、従業員数が300人以下の企業に就職している留学生が過半数を占めています。この結果から、留学生は中小企業を好んでいるという傾向があると考えられます。
外国人留学生の就職希望者のうち就職先が見つかるのがその中の約3割という結果がでています。留学生が日本で就職先を見つけられない原因として、外国人留学生向けの求人が少ないこと、留学生用就職情報があまり充実していないことが挙げられます。
留学生の人数は年々増加していますが、留学生を積極的に採用しようという企業が留学生の数に対してまだ少ない、もしくは留学生へのリーチの仕方が分かってないなどの原因が考えられます。
企業が留学生の採用を見送る理由の一つとして、留学生の日本語能力の不十分さが挙げられています。多くの企業は、採用条件として留学生に少なくとも日本語能力試験のN2、N1を要求します。
そのため、能力が高い留学生でも日本語力が足りない場合、就職先が決まらないといったことは多々あります。
企業が留学生を採用する際に懸念する問題として、留学生の日本企業における働き方の理解が不十分であることが挙げられています。
日本の労働文化は海外のものと比較するととてもユニークです。また、日本は和を大切にする文化があるため、企業としては外国人留学生に日本の労働文化をしっかりと理解してもらい、日本企業に馴染んでもらいたいのでしょう。
企業が外国人留学生に改善して欲しい課題をお伝えしましたが、企業の中には留学生に言語の不十分さや働き方の理解不足がある場合でも問題なく業務を行える環境構築を行い、積極的に外国人留学生を採用しているところもあります。
では、なぜ企業側は積極的に留学生を採用しているのでしょうか。
グローバル化に伴い、多くの日本企業は海外進出を行なっています。海外進出を成功させるためには、現地の文化を深く理解しておく必要があります。海外進出先で生まれ育った留学生は、既にその国の言語や文化を習得しています。そのため、留学生を雇うことで、海外進出をスムーズに進めることができます。
また、外国人留学生は母国語に加え、英語も習得している人が多い傾向にあります。そのため、他の国の外国人とも働くことができるというメリットがあります。
公平性の観点から、企業の国籍、年齢、性別が多様であることは重要であると言われています。また、企業が多様であればあるほど、企業のイノベーションによる収益の割合も高いという調査結果が出ています。
そのため、海外の多くの企業ではダイバーシティ推進活動を行なっています。
2018年に政府が外国人労働者の受け入れ拡大政策を打ち出しました。なぜなら、日本は少子高齢化に伴い圧倒的に労働力が足りなくなっているからです。積極的に外国人留学生を受け入れている企業はその事実を受け止め、本格的に人材不足になる前に対策を講じているようです。
外国人留学生を雇うことで、外国人人材の雇い方、マネジメント方法、また、文化、言語の相違によるコンフリクトの対応方法などのノウハウを蓄積し、いざ人材不足になった時のためにしっかりと準備することができます。
ローソンは2009年から新卒採用のうち外国人を3割にするという目標を設定しています。また、2014年に外国人のための採用と研修を行う子会社を設立するなど、外国人人材の採用に力を入れています。
パナソニックは、2011年度の新卒採用で全体の8割を外国人にしました。パナソニックは留学生や外国人が企業に馴染めるように、外国人社員への接し方などの社内サイトを用意するなど、積極的に社内の環境構築に取り組んでいます。
ユニクロでは、店舗の中国や韓国、欧米への海外進出のために2012年に、新卒の約8割を外国人にしました。この採用は日本人と同様に管理職コースも視野に入れたものでした。
2013年に、ソニーは新卒採用の30パーセントをグローバル人材にすると公表しました。ソニーは留学生枠を作っている訳ではありませんが、国籍によって採用の差を作っておらず、英語でのエントリーシートの受付や面接も実施し、ダイバーシティ推進に取り組んでいます。
東芝は過去に「CSR企業総覧」の外国人従業員ランキングで6位を獲得した実績もあるほど、外国人採用に積極的です。
楽天も東芝と同様に「CSR企業総覧」の外国人従業員数ランキングで8位を獲得した実績があります。また、楽天は企業内の公用語を英語にするなどしてグローバル化に取り組んでいます。
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