記事更新日:2020年06月03日 | 初回公開日:2019年12月17日
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超高齢化の日本においてその人材不足を補う意味で期待された「特定技能」ビザですが、2019年9月末で219人、2019年12月上旬においても約1500人の許可件数と、政府が当初見込んでいた2019年度中に最大4万7550人の目標までには約3.2%までにしか達成できていない結果となっております。これは、特定技能ビザが急ピッチで施行され、相手国との協議が間に合わずその調整を現時点でもしていることが大きな要因とされております。とはいえ日本政府としても、人材不足が深刻な業界において外国人人材に期待しており、2020年にはフィリピン・ミャンマー・ベトナムなど特定技能の取得がメインになるであろう東南アジアなどの国との協定の締結がみえ、取得する外国人が増えていくと予想されております。
特定技能ビザを取得するためには、技能実習生として日本に3年間勤務し技能試験3級に合格しているか、特定技能試験に合格しているかのどちらかが必要になりますが、この中の“特定技能試験”がまだ行われていない業種がございます。2019年12月上旬時点においては、「素形材産業分野」「産業機械製造業分野」「電気・電子情報関連産業分野」「建設分野」「漁業分野」がまだ調整中となっており、実施時期についてはまだ正式な見通しがたっていない状況です。そのためこの分野で特定技能ビザを取得するためには、技能実習2号(計3年間の技能実習)を修了しており、技能試験3級に合格している外国人のみとなります。ただし、元技能実習生で今は国に帰国している外国人によっては、その国次第で特定技能での出国を認めないといったところもございます。これは日本国として特定技能の許可を出していたとしてもその国のルールとして認めていないということになりますので、この措置については日本政府としても一刻も早く二国間協定などを締結し運用方針を固めるように話し合いをしており、進捗はウェブサイトを確認していくことが必要になります。
特定技能ビザを取得する際に注意が必要なものの1つが給与額です。「外国人労働者=低賃金」と思い雇用しようとすると想定よりもかかる費用が高く途中で断念してしまう企業もあります。これはしっかりと特定技能ビザ、外国人労働者を理解していないがゆえに発生してしまうものであり、労働者不足を補うための制度であったとしても、最低賃金での雇用などでは外国人自体の応募も減ってしまいます。実際にかかる費用としては、外国人本人の給与額に加え、登録支援機関と呼ばれる会社に管理を依頼する管理費用、さらに外国人労働者が海外から日本に来る際の航空券代など細かな費用も企業側で持つことになります。また、元技能実習生が特定技能を取得する場合には、日本ですでに3年間の技能実習を終えていることから、その給与水準も最低賃金ではいけなく、日本人の入社3年目の社員と同等レベルの給与水準でないといけなくなります。これは特定技能ビザの要件でもある、「日本人と同等額の報酬額」というものに沿っている内容となり、しっかりと事前にかかる費用を把握しておくことが大切になります。
ご説明させて頂いたように特定技能ビザは、運用がまだ不完全なものであり2020年に本格的に始動すると予想されています。各専門家や登録支援機関などが先行して動いている部分はございますが、状況は逐一変わっていきますので都度確認を取りながら慎重に進めていくことが求められております。
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塩野 豪
(しおの ごう)
行政書士塩野豪事務所の代表。
外国人ビザ(在留資格)の専門家として活動し、フィリピンやカナダなど外国との繋がりも強い。
人材紹介会社の外部顧問としても活動している。
HP:行政書士法人フォワード
ビザプロ
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