記事更新日:2021年09月01日 | 初回公開日:2021年09月01日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報留職というのは、留学という言葉からできた造語です。海外の学校に通って現地の言語や文化を学ぶのと同様に、留職では海外企業などで業務を行います。留学と比べると、学びにいくだけでなく現地の課題解決にも取り組むという点で少し違いがあります。さらに留学とは違って留職はもちろん給与が発生する仕事として実施されるので、参加者も責任を持って現地での業務に取り組む必要があるでしょう。企業側は社員が積極的に留職に参加できるような環境を整えることで、グローバル視点を持った優秀な人材を増やすことにつながります。
留学が自国以外の国においてさまざまなことを学ぶのに対して、留職は自社以外の企業において業務に取り組むことを指します。新興国などに派遣されて一定期間働くのが一般的ですが、国内で留職を行うケースもあります。留学と同様に新しい環境での生活や業務が始まることになるので、参加者はさまざまな課題を解決していく中で大きく成長できます。そのような経験を積んだ人材は、企業にとって将来的に大きな役割を担ってくれる可能性が高いでしょう。
留職を導入する目的はさまざまですが、グローバル人材を育成するということはその中でも特に大きな目的の一つです。留職によって海外企業で勤務すると、現地の社員と協力しながら業務に取り組むことになります。そうした中で語学力が高まるだけでなく、さまざまな文化背景のある相手を理解して尊重するという力が身に付くでしょう。このような能力は日本で勤務しているだけでは身に付けることが難しいですが、グローバル人材には欠かせない能力です。
新たな市場開拓を行うというのも、留職を行う目的として考えられます。現地の企業が持っている技術力や市場の現状など、留職者が実際に肌で感じたことは今後の市場開拓に非常に役立つでしょう。現地での課題を解決していくと同時に、企業としてどのようなアプローチが行えるかという視点も留職者は大切にしなければいけません。留職先を新たな市場として開拓することができれば、企業の利益向上にも大きくつながることになるでしょう。
留職を行う目的は、社員の成長や市場開拓だけではありません。特に新興国にて留職を実施する場合には、現地の抱えている課題を解決することでさらなる発展に貢献することができます。インフラや教育など業界によってその課題はさまざまですが、国の発展に関与できるということは留職者にとっても大きなモチベーションとなるでしょう。さらに新興国と企業との間のつながりもより強いものになるので、今後の海外向けビジネスのためにも役立つと考えられます。
留職制度を導入することによって、企業に対してのイメージアップにもつながるでしょう。企業のイメージを左右する要素のひとつとして、グローバルな取り組みを導入しているかということは非常に重要です。さらに求職者の視点から考えてみると、自分の成長やキャリアアップにつながる企業はとても魅力的といえるでしょう。より優秀な人材の採用を増やしていくためにも、留職制度を導入して企業のイメージアップを図ることは効果的だと考えられます。
留職を経験する社員は新しい環境での業務経験をするので、コミュニケーション能力が大きく伸びることが期待されます。留職の期間が終了し、その社員が戻ってきたときには他の社員の模範となることも期待できるでしょう。留職に参加していない社員のコミュニケーション能力の向上にも、大きな影響を及ぼすと考えられます。社員同士のコミュニケーション不足や、ロールモデルとなる社員が少ないという企業は留職を導入してみるといいかもしれません。
留職は参加者のスキル向上や企業のグローバル化だけでなく、現地の課題解決につながることもあります。新興国においては、まだまだ多くの課題を抱えているという国が多いのが現状です。自社の持っているノウハウやスキルを現地に伝えることで、その課題解決の手助けとなることも充分に考えられます。したがって留職に参加する社員は自分が学ぶだけではなく、今までに培ってきたスキルを別の場所に伝達するという意識も同時に持つ必要があるでしょう。
企業の成長のために必要なリーダー人材の育成にも、留職は非常に有効な手段です。その理由は、留職経験によってリーダー人材に必要とされる能力を身につけられるからです。具体的にはコミュニケーションスキルや、リーダーシップ能力などがあげられるでしょう。これらの能力は自社での勤務を続けていても身につけることは不可能ではありませんが、留職によって海外の社員を相手にすることでより高い質の能力を身につけられるでしょう。
留職を実施するためには、もちろんそれなりのコストが必要となります。実施にあたって、留職先の選定や具体的なプログラムの作成を行う必要があるからです。一般的に、一人当たり数百万円ほどの金銭的コストがかかるともいわれています。したがって、留職制度を導入する際にはそれに見合った成果が得られるかということも充分に考慮して人員の選定などを行う必要があるでしょう。さらに留職期間中の人員不足をカバーするために業務の分担なども見直す必要があるので、人的なコストも意識しておきましょう。
国内の優秀な社員が減ってしまうということも、留職を実施する際に生じるデメリットといえるでしょう。留職に参加する社員は、これまでの業務において優秀な成績を残しているケースがほとんどです。したがって、重要な役割を担っていた人材が一時的とはいえ居なくなってしまうのは他の社員にとっても負担になると考えられます。留職者が再び戻ってくるまでの長期的な視点を持って、業務の引き継ぎなどには特に注力するようにしましょう。
留職をスムーズに実施するために、参加者への事前研修は必ず入念に行うようにしましょう。海外に勤務する場合がほとんどですので、もちろん語学についての研修は必要とされます。それだけでなく、留職先の国の文化や国民性についても理解を深めておくことによって、より現地の社員とも仕事がしやすくなるでしょう。留職を行う詳しい目的(現地の課題解決など)も、この段階でしっかりと認識しておくことで、参加者もより高いモチベーションで取り組むことができます。
留職先での業務が、イメージしていたものと全く同じものではなかったというケースも考えられます。そのようなケースにおいては、留職者は自分の業務に対して正当な評価がされているのかどうか不安になってしまいます。そもそも国内にいた時と比べると、取り組まなければいけない業務の内容や量にも違いがあるでしょう。企業側はそれに対する明確な評価基準を前もって示しておくことで、留職者のモチベーションの向上にもつなげることができます。
留職先で何かトラブルが生じた時のためにも、企業は留職者に対して常に万全のフォロー体制を整えておく必要があります。職場での悩みや生活面まで、考えられる可能性はさまざまです。あまりの忙しさに、留職者の方から助けを求めることが難しい場合もあるかもしれません。したがって、企業側は留職者との定期的な面談などを通じて、ヒアリングを行うなどの対策をとると良いでしょう。留職者が安心して現地での業務に取り組めるように最善を尽くしましょう。
パナソニック株式会社では、1ヶ月から1年程度の社外留職を実施しています。しかし留職先は海外である必要はなく、国内のベンチャー企業などで実施されることが多いです。その理由は若手をゆっくり育てる大企業とは対照的に、スピード感のあるベンチャー企業で多くの経験を積めるからです。普段の業務では学べないようなことが学びたい、という意志がある社員を募集しています。さらにパナソニック株式会社には複数の部署に同時に所属する「社内複業制度」と呼ばれる制度あり、さまざまな視点を持った社員の成長を促進しています。
株式会社ベネッセコーポレーションでは、新興国における学校授業の改善などを目的に留職を実施しました。授業計画の立て方や英語教師向けの教材作成など、留職者が現地で感じた課題をもとに様々な角度から解決に取り組みました。日本にいる社員となかなか顔を合わせてミーティングをする機会がなかったものの、メールなどを有効活用したそうです。この事例からも、留職者自身が主体的に現地での行動を起こすことが、一番の課題解決につながるということがいえるでしょう。
株式会社日立ハイテクノロジーズも、留職プログラムを実施している企業の一つです。初めは上長による推薦によって若手の技術者を留職に送り出していましたが、留職を希望する社員が増えたため、希望者を公募する形式となりました。留職プログラムへの参加を希望した社員は、リーダーシップをはじめとした自身のスキル向上を目的とすることが多いようです。推薦形式で優秀な社員を選定するのも良いですが、希望者を募ることによってよりやる気のある社員に留職を経験してもらえるでしょう。
留職制度の導入におけるポイントや、メリットについてお分かりいただけたでしょうか。これまでとは別の環境で業務をすることによって、社員の大きく力を伸ばすことができるのが留職の魅力といえるでしょう。しかし同時に、留職の実施には金銭面でも人員面でも大きなコストが必要となるのも事実です。したがって、企業に必要なグローバル人材を育成するためにも、留職を実施する際にはその人選からプログラム設計までを入念に行いましょう。
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