サービスプロフィットチェーン(SPI)とは【スターバックスやリッツカールトンの事例を交えてお伝えします】

記事更新日:2024年03月13日 初回公開日:2024年03月12日

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従業員の満足度向上が顧客満足度の向上につながり、延いては企業の収益性アップに連動するという「サービスプロフィットチェーン」という考え方が注目されています。顧客第一の考え方よりも先に、従業員を満足させる環境づくりなどが、企業の収益力を強化し成長を促すという概念です。そこには、しっかりとした根拠が存在し、段階的に変化するプロセスも説明されています。ここでは、サービスプロフィットチェーンの意味や段階プロセスから、サービスプロフィットチェーンに取り組むメリットや注意点までを詳しく解説いたします。

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サービスプロフィットチェーンとは

従業員満足・顧客満足・企業収益の3つが良い循環を作ることを示すモデル

サービスプロフィットチェーンとは、従業員満足・顧客満足・企業収益の3つが良い循環を作ることを示すモデルです。従業員満足により顧客満足が向上し、顧客満足によって企業収益が向上して従業員に還元されるという好循環サイクルになります。サービスプロフィットチェーンは、企業がすべきことの発見にも役立つものであり、逆から辿ることで企業がやるべきことや問題解決への道が見えてくるでしょう。企業の収益向上には顧客満足が必要であり、顧客満足を得るためには従業員満足が不可欠だということです。

サービスプロフィットチェーンの7つの段階

従業員へのサービス品質が従業員満足度を高める

サービスプロフィットチェーンの第一段階は、従業員へのサービス品質を向上させることで、従業員満足度を高めることから始まります。従業員を満足させるためには、労働環境を整備するなど、優れた内部品質を実現することにより、良好な人間関係を築くことができます。従業員も顧客であるという意識のもとで、外部にばかり気を使うのではなく、最も近い内部から見直していくことが重要です。労働環境などを整えることにより、従業員同士がお互いに奉仕することや、他の尊厳を認める環境を育てることに繋がります。

従業員ロイヤルティが従業員の生産性や貢献度を高める

サービスプロフィットチェーンの第二段階は、第一段階で得た従業員満足度が従業員ロイヤルティを高め、従業員の生産性や貢献度が向上します。快適な労働環境は組織への帰属意識を高め、企業への忠誠心や愛社精神を育むことに繋がるでしょう。そして従業員ロイヤルティが向上することにより、業務効率や生産性に好影響を与え、従業員の企業に対する貢献度も高まっていくのです。これらは従業員の成長を促すとともに、組織全体の一体感が強化されます。

従業員の生産性がサービス価値を高める

第三段階では、向上した従業員の生産性がサービス価値を高めることに寄与します。いままで内部で蓄積されてきた付加価値が外部に向けて発信され、サービスの質が向上されるのです。この段階より、内部サービスから外部サービスへ転換されるため、顧客を意識したサービスが求められます。正しいサービスの提供とともに、ミスやエラーが発生した際のリカバリーなども重要です。また、緊急時にいて柔軟に対応できる体制作りと、裁量権の付与なども慎重に考えなければいけません。

サービス品質が顧客満足を高める

第四段階では、向上したサービス品質が顧客満足を高める段階です。サービスの質が向上したことを顧客が実感したときに、顧客の心理に変化が生じて顧客満足(CS・Customer Satisfaction)が生まれます。近年においては、顧客はサービスの質を求める傾向があり、千差万別の顧客ニーズに対し、どの程度の価値を感じ得られたかが顧客満足に反映されるのです。よって、内部サービスの向上を図る時点から、顧客のニーズを意識する必要があるでしょう。

顧客満足が顧客ロイヤルティを高める

第五段階では、顧客満足が顧客ロイヤルティを高めます。お客様が提供されたサービスによって満足感を得たならば、再度そのサービスを所望するようになるでしょう。そして、サービスの要求と提供が繰り返されるようになることで、お客様はリピーターとなり、一見客から顧客へと変わっていくのです。なお、顧客が感じる満足度は個々によって差があり、見えにくく分かりづらいものです。自分が提供するサービスが、顧客にどのように受け入れられているかを、常に意識することが大切です。

顧客ロイヤルティが収益性と成長を促進する

第六段階は、顧客ロイヤルティが企業の収益性と成長を促進する場面です。顧客ロイヤルティとは、単にサービスに満足しているだけでなく、企業やブランドそのもののファンであることが重要なポイントです。ロイヤリティの高い顧客は「ロイヤルカスタマー」と呼ばれるように、リピート率が高く企業への貢献度が高い重要な存在です。また、ロイヤルカスタマーを増やすことで、企業のブランドイメージを高め、収益向上だけでなく企業の成長にも繋がります。

収益と成長が従業員に還元される

従業員へのサービス向上より始まったサービスプロフィットチェーンのプロセスは、最終的に顧客ロイヤルティを高め、企業の収益アップで完結します。しかし重要なのは、この好循環を何度も繰り返すことであり、繰り返すごとに少しずつバージョンアップさせることです。企業は得た収益を従業員に分配還元し、更なるサービスの向上を目指すことで企業も大きく成長します。企業の成長は従業員の成長にも繋がり、金銭だけでなく人間としての成長を感じることで従業員に還元され、従業員のサービス向上という第一段階に戻るのです。

サービスプロフィットチェーンに取り組むメリット

従業員の満足度が向上する

サービスプロフィットチェーンに取り組む最大のメリットは、従業員の満足度が向上することです。従業員が十分に満足することにより、モチベーションが向上し生産性がアップし、最終的に外部サービス価値の向上にまで波及するのです。この第一歩がなければサービスプロフィットチェーンは成り立たず、サービスプロフィットチェーンを遡れば、必ずここに辿り着きます。具体的な従業員満足度(ES)を向上させる方法としては、仕事環境や評価制度などの社内サービス改善および充実を図ることです。

顧客の満足度が向上する

サービスプロフィットチェーンに取り組む、もう一つメリットが顧客の満足度が向上することになります。サービスプロフィットチェーンは、従業員満足度(ES)と顧客満足度(CS)がセットになったフレームワークです。どちらか一方が欠けても好循環は生まれません。なお、顧客満足度が向上することにより、企業収益が増えるとともに企業の成長が見込まれるのは前述の通りで、企業と従業員にも大きなメリットとなります。顧客の求めるニーズは日々変化しているため、市場調査などを怠らないようにしましょう。

サービスプロフィットチェーンに取り組む際の注意点

人材投資を増やす覚悟が必要である

サービスプロフィットチェーンに取り組む際の注意点として、人材投資を増やす覚悟が必要であることが挙げられます。まず、従業員を満足させることを考えたときに、職場環境の整備や福利厚生の充実などを実施するためには、相応の財源が必要です。一時的に大きな支出が増えることを覚悟しなければいけません。また、少しばかりの改善では効果が期待できないため、思い切った金額を使った方が後のことを考えれば利口な方法だと言えます。人材投資は小手先の誤魔化しでは上手くいかないため、覚悟を決めて投資しましょう。これは投資であり単なる支出ではありません。

結果が出ずとも継続する粘り強さが必要になる

人材投資による成果は長い目で見る必要があり、結果が出ずとも継続する粘り強さが必要になることも覚えておきましょう。大きな金額を投資すれば、その見返りを早く期待するものです。しかし、人材に投資してモチベーションアップを図り、顧客満足に転嫁するまでには相応の時間が必要になります。その後も満足したお客様がロイヤルカスタマーに成長するまでにも時間を要し、多くのロイヤルカスタマーを抱えるまでには、もっと長い時間が必要です。ただし、企業のイメージアップは大きな収益元になり、企業の維持成長に繋がることを忘れないでください。

サービスプロフィットチェーンの取り組み事例

スターバックス

世界最大のコーヒーチェーンと言われるスターバックスは、日本でも高いブランド価値を持つコーヒー専門店です。スターバックスでは従業員満足度を重視しており、入社した従業員に対し雇用形態に関係なく充実した研修とサポート体制が整えられています。丁寧なサポートを受けた従業員は、スターバックスの一員であることに誇りを持ち、高いモチベーションを持って仕事に臨みます。それが自己の成長を促すとともに、延いてはお客様満足度に繋がり、高いブランドイメージを維持向上しているのです。

ザ・リッツ・カールトン

ラグジュアリーな高級ホテルとして世界中に知られるザ・リッツ・カールトンは、独自の人事採用や教育を行っていることで有名です。ザ・リッツ・カールトンでは、人材育成に時間をかけて投資しており、従業員が高いモチベーションを継続することで、顧客を満足させることに繋がるとして、マネージメントを行っています。「信頼」と「成長」という二つのキーワードをクレド(全従業員が心掛けるべき信条や行動指針)に掲げ、世界中の従業員に浸透させていることでも有名です。従業員満足度を高めるために、定期的な調査をしたり細かい施策を実施したりすることで、従業員の高い満足度を維持しています。

サービスプロフィットチェーンを実現するために有効な調査

従業員満足度調査

サービスプロフィットチェーンを実現するには、定期的な従業員満足度調査が有効です。仕事・職場・上司との人間関係・会社風土・福利厚生を含めた処遇などを項目別に分けて、アンケート形式で評価してもらいます。それらの回答を集計・分析して、企業として行うべき課題を導き出し、問題解決を図るのです。従業員満足度は、年齢や仕事の習熟度などによっても変化するため、定期的な調査をすることが大切です。また、抽象的な項目採点だけでなく、具体的な施策事項についても提案できるような仕組みを作っていきましょう。

eNPSの調査

eNPSとは「Employee Net PromoterScore(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)」の略称になります。eNPSは、自分の現在いる職場を、知人や友人などにどのくらい推奨できるかを尋ねて「職場の推奨度」を計測するものです。この数値は、従業員満足度だけでなく、企業への愛着などを示す従業員ロイヤリティを計測できるとして知られています。サービス・プロフィット・チェーンを実現する上で有効な調査方法であり、従業員満足度調査に加えることで、高い従業員ロイヤリティ向上が見込めるとして注目されています。

NPSの調査

NPSとは「Net PromoterScore(ネットプロモータースコア)」の略称で、顧客の企業やブランドへの愛着や信頼を数値化したものです。顧客満足度とは違い、従来は計測が難しかった顧客ロイヤルティを示す指標になります。一般的には「この商品を親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか」という問いに1~10点の範囲で回答してもらう方法です。11段階で0〜6点を付けた人を「批判者」、7〜8点を付けた人を「中立者」、9〜10点を付けた人を「推奨者」と分類します。NPSは「推奨者」から「批判者」を引いた数値(割合)のことです。

まとめ

サービスプロフィットチェーンを実現させ企業の競争力を上げよう

サービスプロフィットチェーンは、効果が出るまでには時間がかかるものの、軌道に乗ってしまえば企業運営を盤石にするものです。提供者である従業員と、購買層である顧客の双方が満足することで、好循環が生まれて企業と従業員は成長できます。とくに多様な顧客のニーズに応えることは企業が抱える喫緊の課題であり、時間をかけてでも取り組まなければ企業の存続は危ぶまれるでしょう。ぜひ、サービスプロフィットチェーンを実現させ、企業の競争力を高めるように努力してください。

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