ジョブローテーションを企業に取り入れるために【導入方法や注意点をご紹介します】

記事更新日:2021年09月16日 初回公開日:2021年03月16日

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社員教育のためジョブローテーションを検討していますか。ジョブローテーションを実施するうえでは、社員の資質が職場環境にマッチしているのか、適材適所の配置ができているのか等など見極める必要があります。しかし、企業の業績アップにもつながる制度となりメリットはあるものの、ジョブローテーションにはデメリットもあります。この記事ではジョブローテーションの実施によるメリットとデメリットを解説します。ジョブローテーションの採用を検討している担当者の方には参考になる記事なので、ご一読してみてください。社員のモチベーション維持はどのようにしておこなうのでしょうか。

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ジョブローテーションとは

定期的に職場の異動を行う事

ジョブローテーションは定期的に社内の職場を異動することを指します。人事管理において、社員の「適材適所」と「職場適性」のを正確に判断することは極めて重要です。ジョブローテーションは人事異動とは違い、複数のポジションを定期的かつ短期間で異動することで、社員の資質や適性を見極め、適材適所の人員配置を戦略的に行います。そして専門職(スペシャリスト)の養成に難があるといわれるジョブローテーションですが、総合職(ゼネラリスト)の養成には効果があるといわれています。企業内における総合職の養成には、ジョブローテーションは効果的な手段として活用されています。

部署の移動や実施期間は企業によって異なる

一般的に人事異動というと配属された職場に概ね3年ないし5年在席することでキャリアを蓄え、次の職場に配置転換するというものです。しかしジョブローテーションには、適材適所の職場配置や能力開発のための資質の醸成という考えがあります。その社員の資質や適性を見極めるという企業の戦略的異動という考え方が活かされているといえます。従って、どんな部署にも適応でき、企業貢献のできる社員の養成ということを目指すジョブローテーションでは、部署間移動や実施期間が企業により異なるということがあります。

ジョブローテーションと人事異動の違い

ジョブローテーションは育成のための配置転換すること

ジョブローテーションによる育成のための配置転換を行うと、専門職(スペシャリスト)よりも総合職(ゼネラリスト)が育つという議論があります。専門性の高い企業では、専門職が重要なポジションにあることは確かなことです。しかし多くの企業では、部署特性にマッチした人材が必要性とされます。同一企業内での異部門への適合性を求められる総合職としての人材の育成が強く求められます。企業特性に馴染んだ人材育成等の手法として活用されるジョブローテーションは、人材育成のための適正な配置転換策といえるでしょう。

人事異動は組織の活性化のための配置転換すること

ジョブローテーションが育成のために行われる一方で、人事異動は組織の活性化を目的に行われます。能力開発に必要な教育訓練として採用されているジョブローテーションには、生産性の低下が懸念されるともいわれます。企業で導入するにあたっては、短期間の部署間異動であっても生産性の向上が見込まれたうえで施行されます。しかし、それ以上に企業戦略上で重要なのが人事異動です。人事異動によって、経験豊富な社員が生産性の向上と組織の活性化のために部署間異動することで、業績アップに繋がる効果が期待できます。つまり人事異動は、組織の活性化のための配置転換策といえるでしょう。

ジョブローテーションのメリット

適材適所の判断材料になる

ジョブローテーションのメリットは、適材適所の判断材料になることです。企業戦略において、即戦力となる人材の確保策は重要な課題です。即戦力を見極めるうえで、最大の効果が期待できる手法がジョブローテーションともいわれています。有能な人材の発掘は、企業戦略上の永遠の課題でもあります。そのための手段として様々な仕事を行えるジョブローテーションの導入があり、実施することで社員の適材適所の配置が可能になってくるという利点が得られるでしょう。

社員間の交流が盛んになることでチームワークが生まれる

ジョブローテーションによって、社員間の交流が盛んになり、チームワークを生み出すことができるのもメリットです。複数のセクションを経験することで社員同士の活発な交流が活発になります。そして、新たな人間関係が築かれてくると、社員間の交流がますます盛んになり、仕事においてもプラスの相互作用が働いてきます。そしてコミュニケーションが広がり、企業戦略に欠かすことのできないチームワークもできてきます。この様にジョブローテーションは、企業内における人間形成やチームワークの形成に効果があります。

幹部候補の成長に繋がる

ジョブローテーションは、幹部候補の成長にも繋がるメリットがあります。人材育成に合わせて各セクションでのキャリアの積み上げに役立ち、ステップアップのキッカケ作りの面で効果を発揮するでしょう。ジョブローテーションは教育訓練という考え方から、入社間もない社員が対象と思われがちです。ですが、キャリアを積み上げた社員でも、ジョブローテーションを経験することで企業をさらに深く知れたり、成長できたりと企業利益に貢献できる幹部候補が育ってきます。

ジョブローテーションのデメリット

慣れない仕事をすることで生産性が低下する

ジョブローテーションには、デメリットもあります。人事異動の様に一か所に3年や5年という期間でキャリアを積み上げるということとは異なり、短期間に配置転換する職場異動は生産性の低下につながる可能性もあります。熟練するまでの期間を過ごせないままに他部署に配置転換するため、社員は配置が換わる度にその部署での仕事に慣れるために勉強しなければいけません。そのため、配置転換後すぐの社員を育てるための時間やコストがかかるので会社としては生産性が低下してしまうこともあります。

専門的な仕事をできる社員が減る

ジョブローテーションには、専門的な仕事をできる社員が減るといデメリットもあります。短い期間でローテーションが回るので、専門性の高い仕事を覚えていない状態で、部署間を転々とすることになります。そのため、様々な部署での経験を広く浅く学ぶことになるでしょう。ジョブローテーションを行えば、ゼネラリストとしての成長は見込めるものの、専門的な知識を身に付けた社員を育てるのは難しいこともあります。専門性が問われる仕事においてはジョブローテーションの施行は推奨できない場合もあるでしょう。

ジョブローテーションの導入方法

目的と実施方法を社員に明確に伝える

ジョブローテーションは、社員の不安を募ってしまうというリスクも抱えています。説明不十分のまま社員に異動を命じることや、気持ちの整理ができないまま次の仕事を課せば、モチベーションの低下につながることもあるでしょう。社員としては、一定のセクションで仕事を覚え、ある程度の成果を達成した方が、期待感と充足感を得られるはずです。しかし、ジョブローテーションのように、短期間で複数の仕事を順に経験すると、自分の立ち位置に不安感を覚えてしまいます。そのため、ジョブローテーション導入に際しては、実施方法や目的を十分かつ明確に説明しておくことが大切です。

教育の環境を整えてから開始する

ジョブローテーションを導入する企業は、教育環境を整えておくことが必要です。社員は、ジョブローテーションに加わることで自分の立ち位置を見失ってしまうこともあるでしょう。短期間で異動するという現実に直面することで、自分は必要とされていないのではないかという不安を抱いてしまう危険もあります。そのために企業は、ジョブローテーションを導入する際は、教育環境を整えてから開始するべきでしょう。社員の不安要素を補える場を設けることに注力すれば、導入もしやすくなるはずです。

ジョブローテーションを導入する際の注意点

専門性があり仕事の習得に時間がかかる場合は必要ない

ジョブローテーションの実施は、専門性があり仕事の習得に時間がかかる場合は必要ないでしょう。専門性が高い企業で、仕事を覚えるまでの時間を要するスペシャリストを求める企業には、ジョブローテーションは必要とされないということもあります。ジョブローテーションを採用することはゼネラリストを育てるというスケールメリットがある反面、短期間異動となるため社員が専門知識を習得するのは難しくなるでしょう。ジョブローテーションの採用は企業特性に合わせて行うことが重要です。

会社と社員の考え方をすり合わせてから行う事

ジョブローテーションを行う際には、企業と社員との間での良好な意思疎通を図ることが大切です。効果的なジョブローテーションを実行するには、企業と社員のコミュニケーションが重要なポイントになります。短期間での異動となると、社員に対して精神的な負荷を負わせてしまうというリスクがあります。メンタル面での不安を解消する手段として、会社と社員の考え方のすり合わせを十分に行ってから実行するということが重要です。そのため、ジョブローテーションの導入においては、企業と社員双方が制度を理解し負担を軽減させることを軽視しないようにしましょう。

ジョブローテーションを導入している企業

ヤマト運送

ジョブローテーションを実施している企業に、ヤマト運輸が挙げられます。物を運ぶという印象が強い運輸業界で、ヤマト運輸では、「荷物と一緒に送り主の想いを届けるサービス業」という理念を掲げています。そのため新人教育の一環として、新入社員はジョブローテーションに従事しなくてはいけません。トータルサービスとしての運輸業という理念の下、入社2年間はエリア内宅急便サービスや支店業務などで経験を積み、広範な仕事を理解するというローテーションが課されます。ヤマト運輸は、ゼネラリストを育成することが企業メリットの拡大につながると考えているので、ジョブローテーションを採用しています。

三井ホーム

ジョブローテーションを実施している企業の他の例としては、三井ホームも良い例となるでしょう。建築の専門性が求められる職場から、営業職として広く顧客対応ができる機会を経験するというジョブローテーションを導入して、社員の育成を図っています。ジョブローテーションに成功体験を積ませられるフローが組み込まれており、社員のモチベーションを高める効果的手段となっています。顧客と関わる体験を積ませることで「良い家を建てる」という意識を高めることも、三井ホームがジョブローテーションを採用する目的です。

ジョブローテーションを廃止した企業の理由

出世のために断れない制度になっている

ジョブローテーションは出世のために断れない制度になっていることもあり、廃止に至った企業もあります。企業としては、優秀な人材を育成できるというプラス面があるものの、出世を考える社員にとっては苦悩があっても受け入れなければいけません。従事したくない仕事内容であっても社員は受け入れなければいけないので、結果的に社員のモチベーションをさげることに繋がる場合もあるでしょう。このようなデメリットが大きく作用するということで、ジョブローテーションを廃止する企業も見られます。

転勤をしたくない社員にとっては退職の理由になる

ジョブローテーションは、転勤をしたくない社員にとっては退職の理由になる場合もあります。一か所にとどまらず複数部署を体験することで広範な知識が醸成させたいという社員には、効果的な企業制度として受け入れられるでしょう。しかし、ジョブローテーションは家庭があるものの単身赴任を余儀なくされることから、社員の会社離れの原因にもつながります。転勤したくない願望のある社員には、退職を余儀なくされるつらい制度でもあるといえるでしょう。

海外にジョブローテーションはあるのか

一般的にはジョブ型雇用やメンバーシップ型雇用制度を活用している

海外の企業環境では、ジョブローテーション制度の採用はされない場合がほとんどです。海外の場合は、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用という雇用形態が主流となっています。ジョブ型雇用は専門的な仕事に従事させる雇用形態で、専門性と熟練が求められるため、スキルの低い人には厳しい雇用制度です。メンバーシップ型雇用では、熟練性やスキルの低い人でも就業の機会が多くあるという門戸が開かれた雇用制度です。この様な海外の企業環境下では、ジョブローテーション制度は馴染まない制度といわれています。

まとめ

自社の仕事内容に適した働き方を見つけ出しましょう

ジョブローテーションは社員の総合力を育成しつつ、企業の成長を手助けできる制度です。一定期間ごとに社員の配置転換を行うことで、適材適所の判断が可能となり社員の成長を促すことができるので、対応力のある人材を育てられるでしょう。企業を支えられる総合的なスキルを持つ人材を育成できる一方で、場合によっては社員に精神的な負担や業務を課してしまうこともあります。この記事ではジョブローテーションとはどういった制度なのか、そしてそのメリットとデメリットをお伝えしてきました。仕事の環境や形態は企業によって様々なため、自社の仕事の内容に合わせてジョブローテーションを採用するか検討しましょう。

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