リボルビングドアとは?【民間企業のメリットや課題を解説します】

記事更新日:2022年09月02日 初回公開日:2022年08月24日

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官公庁と民間企業を行き来するリボルビングドアという働き方は、アメリカではすでに浸透していますが、日本ではまだ体制が十分に整っていません。官民双方の視点や業務経験を持つ人材を育て、行政の施策や企業活動に活かすことの有用性は認識されています。社会を取り巻く問題を解決するためには官民連携が重要ですが、そのためにもリボルビングドアが重要視されています。そして個人のキャリアアップにもつながります。今後の日本にとってのリボルビングドアのメリットや、整備しなければならない課題などについて考えてみましょう。

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リボルビングドアとは

民間と官公庁を人材が行き来する仕組み

リボルビングドアとは、官公庁と民間企業との間で人材が流動的に行き来する仕組みです。人材が官民を出入りすることで、官公庁は民間が持つ最先端の技術やトレンドを知ることができます。また、民間は官公庁とのつながりを持つことで事業運営をより円滑にすることが可能です。日本は欧米と比べて人材の流動性が低い傾向があります。日本での官民の人材の流動性活性化には、官公庁の人事や待遇の見直しが必要。新卒採用を前提に人材を育てる官公庁では、民間での経験は評価されにくく、民間から戻っても以前と同じポジションでの復帰は難しいと言われます。収入は民間企業の方が高いことが多く、官に戻ることを思いとどまる人も多くなっています。

デジタル庁の発足により注目されている

デジタル庁が2021年9月に発足。官公庁のデジタル化の遅れを改善し、デジタルトランスフォーメーションに向けた動きが期待できます。縦割り構造と言われる官公庁がITを活用することで、国と自治体のシステム統一、マイナンバーの普及、行政手続きのオンライン化など、さまざまな分野が改革されるでしょう。IT化は民間の方が進んでいます。2021年4月、民間から職員約30人が採用されました。デジタル庁はリボルビングドアの仕組みを整える考えを示しています。これを機に民間と官公庁の間で人材の流動性は高まるか、今後の成り行きが注目されています。

アメリカではすでに浸透している

アメリカではリボルビングドアはとても浸透していて、政府と民間の研究機関などとの間の人材の行き来が活発です。リボルビングドアが非常に良く機能しており、行政から民間へ、民間から非営利へとキャリアチェンジすることでキャリアアップできる仕組みにもなっています。アメリカ連邦政府は外部に対する高度な開放性を持っていて、政権交代のたびに3500~4000人もの職員が入れ替わると言われるダイナミックなリボルビング・ドアが実現するのです。行政は議会からの強い独立性を保っていて、人材の選定に関して制約が少なく、大統領の裁量で多くの上級公務員が選ばれます。

リボルビングドアによる官公庁のメリット

専門知識を持った人材を確保できる

リボルビングドアを取り入れることが官公庁にもたらすメリットは、特定分野の専門家や技術者を確保することができるということです。専門家の知見や最先端の技術を行政に活かすことで、政策の質を高めることが可能になります。民間を経験することで、民間の考え方、ものの見方を身に付け、社会の動きに合った施策を打ち出せるようにもなります。また、官の仕事の価値を再発見する、あるいは行政としてできることを再認識できるという利点があります。民間で身に付けた最新技術を活かし、新しい視点から行政の改革を進めることにつながるでしょう。

リボルビングドアによる民間企業のメリット

幅広い知見を持つ人材が確保できる

民間企業にとっては、行政で官僚と仕事をすると、幅広い知見が得られるというメリットがあります。政治家への対応、他省庁との調整などの経験は企業にとって即戦力となります。民間の技術者個人にとっても、行政に関わった経験は高く評価されるので、キャリアのステップアップにつながるでしょう。また、企業が事業の収益性だけでなく、社会を広く見渡し、目指す社会の実現や社会奉仕という視点も持つことで、新しい魅力的な自社製品やサービスを打ち出すことが可能となるのです。

有益な人脈を持つ人材を確保できる

リボルビングドアにより、官公庁という特殊な環境での職務経験や有益な人脈を持つ人材を確保でき、活用できるということは民間企業にとって非常にプラスになります。現在では企業活動を行政と連携しながら行うことが多くなっていますが、その場合に官での経験のある人材が良いパイプ役となるでしょう。また、社会の課題に向き合う事業を考える場合には、行政での人脈を活かせる人材が必要です。そのような人材を育てるために、リボルビングドアで社員が官公庁で働く事はとても有意義です。

官公庁と連携して実現できることが増える

現代社会を取り巻くさまざまな問題、たとえばSDGsや脱炭素、DXといった世界的、分野横断的な課題については、企業は官公庁と連携して取り組むことで実現できることが増えています。問題の解決に向けて、官公庁という特殊な環境での職務経験や大局的な視点、幅広い人脈を持つ人材を活用できることは企業にとって非常にメリットがあります。いろいろな分野で官民を行き来する人材が活躍することで、問題解決に向けて官民双方の知見を活かして取り組むことが求められています

リボルビングドアによる社員のメリット

キャリアアップにつながる

人材が行き来することによって、官民における癒着のリスクがあることが指摘されています。官公庁が施策を行う場合に、物品の調達や整備、工事などをめぐり、リボルビングドアで社員を派遣した企業が受注に有利になるという癒着は行われてはなりません。今後リボルビングドアを進めていく上で、公平性を確保した法の整備が必要となります。また行政の事業の立案、施行にかかわる人材を派遣した企業や、実際の業務に当たる企業の登用については高い透明性を持たせなければなりません。

収入が増加する可能性がある

官公庁で行政に関わった経験を得てキャリアアップした社員は、収入が増加する可能性があります。企業が現代社会の問題解決に向けて事業を進める場合に、官民両方の視点を持って取り組むことができ、官につながる人脈を持つ人材はとても貴重です。その経験や知見を社内で活かすことも、キャリアアップのために社外の報酬の良いポジションに移ることも可能となります。今後はリボルビングドアがキャリア形成における重要なステップの一つとして認識されるようになることでしょう。

大きく社会貢献ができる

行政の施策に携わることで、大きく社会貢献できることは社員にとって魅力です。社会問題解決に向けた施策に直接かかわることは、企業活動とは違ったやりがいをもたらします。また近年では企業活動にも社会貢献が伴うことが求められますし、行政に関わることは企業イメージのアップにつながります。環境問題などの社会課題の解決に向けた事業や製品開発へのニーズは高くなっています。リボルビングドアで企業に戻った後も、社会貢献の視点を持って仕事に取り組むことができるようになるでしょう。

新たな経験やスキルが得られる

リボルビングドアにより社員は新たな経験やスキルが得られます。問題解決に向けて行政の視点で考えることを身に付けられ、具体的に行う行政の実務について知ることができます。企業とは異なる人々と出会い一緒に仕事をする上で必要なスキルも身に付くでしょう。そのような経験は企業に戻った後でも、事業を開発、推進する場合や、国との連携が必要な場合などにも非常に役立つのです。リボルビングドアで官民を行き来することで、特に若い人材がめざましくスキルアップできるのです。

リボルビングドアにおける課題

官民における癒着のリスクがある

人材が行き来することによって、官民における癒着のリスクがあることが指摘されています。官公庁が施策を行う場合に、物品の調達や整備、工事などをめぐり、リボルビングドアで社員を派遣した企業が受注に有利になるという癒着は行われてはなりません。今後リボルビングドアを進めていく上で、公平性を確保した法の整備が必要となります。また行政の事業の立案、施行にかかわる人材を派遣した企業や、実際の業務に当たる企業の登用については高い透明性を持たせなければなりません。

情報漏洩の恐れがある

官民を行き来する中で情報漏洩の恐れがあります。行政の仕事に携わる場合は国の機密事項に触れてしまう可能性があります。また、企業が国の情報や、国民の個人情報を得ることで有利になる場合が考えられます。民間企業出身者は公務員としてのコンプライアンス感覚が十分でない場合もあります。情報の取り扱いや漏洩についての規定作りが必要です。現在は多くの情報をPCに入力するので、アクセス権限の設定、データの持出し禁止など、データの取り扱いについて細かく規定し、周知徹底することが大切です。

適切な待遇設定が難しい

特に官公庁の人材について、適切な待遇設定が難しいことが課題となっています。官公庁の人事制度では新卒採用を前提にしているので、一度民間に出た後に官公庁に戻ると、官公庁だけでキャリアを重ねた同期に比べ、ポジションが下がりがちです。官公庁より民間企業の方が年収の高い場合もあるので、出戻りを思いとどまる人も想定されます。一方民間から官公庁に来た人は収入が下がる傾向があるので、補填するために、非常勤職員には兼業・副業が認めるなどしています。しかし優秀な人材を確保するにはさらなる施策が必要です。

リボルビングドアの今後

多様な働き方が認められる

新卒から生え抜きを育成することに偏重してきた官公庁の人材育成方法や働き方は、現在の社会状況に合わなくなってきています。長時間労働、個人の成長機会の少なさ、若い年次での権限が限られるなど、人材育成の観点で課題があり、若手公務員のキャリアアップが阻まれています。さまざまな分野で官民を行き来する人材が活躍し、官民両方の経験が個人のキャリアアップになることは行政と企業双方にメリットがあり、日本の発展にもつながるのでしょう。多様な働き方が認められる社会にしていくことこそが、現在の日本に求められているのです。

給与待遇などが見直される

デジタル庁での民間人登用は、非常勤の国家公務員で、兼業やテレワークなど柔軟な働き方や待遇も認められています。給与は年収換算で最大1千数百万円程度とする方向で、国家公務員としては全体的に高めに設定されています。このようにリボルビングドアでの人材登用では、官公庁においても給与待遇などが見直される傾向です。官公庁にとっても、企業にとっても、官民両方の経験のある人材は非常に有用ですから、今後はさらに評価が上がり、給与待遇面の改善が期待できます。

まとめ

リボルビングドアで官民の人事交流を促進しましょう

日本においてはリボルビングドアはまだ始まったばかりで、解決しなければならない多くの課題があります。しかし現代社会を取り巻くさまざまな問題は、官民が連携せずには解決できません。また、行政、民間企業のどちらにとっても、官民両方の経験があり、多様な視点、人脈を持つ人材の活躍が望まれます。働く個人にとっても、官民双方での経験がキャリアアップにつながり、魅力的な働き方が期待できるのです。これからの日本の発展にとって必要な人材を育てるために、リボルビングドアで官民の人事交流を促進しましょう

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