逆パワハラにあたる行為とは?【対処法や防止措置などについても解説します】

記事更新日:2024年03月12日 初回公開日:2023年05月10日

用語集 人事・労務お役立ち情報
上司と部下の良好な関係は、職場の雰囲気や企業の生産性に直結すると言っても過言ではないでしょう。しかし、中には良好な関係を築けず、パワハラ行為が問題となることがあります。近年は、パワハラに対する施策も企業に浸透しています。パワハラと聞けば、上司が部下に対して行う者と考える方が多いかもしれませんが、部下が上司に行う逆パワハラも存在します。この記事では、逆パワハラの該当行為や防止策、対処方法などを解説します。ハラスメント対策を考える際の参考にしてみてください。

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逆パワハラとは

職場の部下から上司に対して行われるパワハラのこと

逆パワハラとは、職場の部下から上司に対して行われるパワハラのことです。相互が優越関係にあり、業務上必要且つ相当な範囲を超えるもので、労働者の就労環境を害することが該当します。例えば、上司への誹謗中傷や集団での無視などは明らかに業務の範囲を超えた行為であり、上司の業務を阻害して最終的には休職へ追い込むことにつながります。優越関係は上司と部下に限らず先輩と後輩、年下の正規雇用者と年上の非正規雇用者の関係でも多く見られます。

逆パワハラとなる行為の類型

身体的または精神的な攻撃

逆パワハラとなる行為の一例として、殴る・蹴る・物を投げつけるなどの暴力行為や暴言・誹謗中傷・脅迫などの精神的な攻撃があります。特に精神的な攻撃は、上司の名誉を傷つけて社内での立場が危うくなり、上司が追い込まれていく危険性があります。例えば、上司が「セクハラをしている」「横領を計画している」などの根も葉もない噂を社内に流すといった悪質な行為にまで及ぶことがあります。それにより上司は追い詰められていき、休職や退職を選ぶことにつながるでしょう。

人間関係からの切り離し

集団で無視する・業務指示に従わないなどの人間関係から切り離す行為は、逆パワハラに該当します。複数の部下が結託して上司を集団で無視する、指示に従わず仕事をたらいまわしにするなど、理不尽に上司を孤立させる行為です。典型的なパワハラでは、上司が部下を長時間別室に隔離する、自宅で作業させるといった事例もあります。部下が上司に対して何らかの形で同じ状況に追い込んだ場合、逆パワハラとなる可能性が高いでしょう。

過大または過小な要求

業務の範囲を超える過大な要求や本人の技量に見合わない過小な要求も、逆パワハラに該当します。過大な要求は、能力や経験からかけ離れた明らかに遂行が不可能なことを要求し、業務を妨げる行為になります。達成不可能なノルマを課すことや、一人では処理しきれない作業量を依頼することが例として挙げられます。過小な要求は、誰にでも遂行可能な業務や生産性の低い業務を押し付けることです。それらの行為は業務上必要な範囲を超えており、就業関係が害されるものとなるでしょう。

逆パワハラを放置することで生じる影響

逆パワハラが激化する

逆パワハラは放置すると激化し、社内の秩序を乱していくでしょう。パワハラを受ける上司は部下に対して正常に指示が出せなくなっていき、次第にストレスが大きくなります。パワハラ行為を行う者は、誰にも注意されないと加減を知ることがなくエスカレートしていくでしょう。そうなると、思いつめた上司の離職や部下が不祥事に至ることにつながりかねません。被害を抑えるためにも、逆パワハラが発覚したら迅速な対処が必要とされます。

注意指導する上の精神的負担が増加する

逆パワハラは放置しただけ行為が繰り返されていきます。本来、指導する立場である上司が逆パワハラ行為を受けることにより、注意や指導する際の精神的負担は日に日に増加していくでしょう。その結果、うつの発症などにつながります。また、逆パワハラ行為が問題視されないことによって、注意指導する加減が分からなくなる可能性があります。上司のみならず他の指導者も、逆パワハラ行為をする部下に対しての対処がしづらくなるでしょう。

職場環境の悪化に伴う離職

逆パワハラ社員を放置することで職場環境が悪化し、離職を選ぶ従業員が出る可能性があります。逆パワハラ行為に対して適切に対処しないことにより、逆パワハラを受けていた従業員はもちろん、周囲の従業員も会社への不信感が募るでしょう。その結果、従業員の離職に繋がります。離職が発生することで会社は人材不足に陥り、さらなる職場環境の悪化につながる可能性もあります。逆パワハラ行為の影響がさらに大きなものになるでしょう。

逆パワハラが起こりやすい企業の特徴

会社や上司が部下に対して強い態度に出られない

主に部下が現場業務や通常業務を回している

部下が現場業務や通常業務を回している職場では、上司が部下に強い態度を取れず逆パワハラが起こりやすい環境になります。例えば上司が部下に仕事のミスを指摘しても、「現場にいない人が言わないでください」などと強い態度に出られることがあるでしょう。上司は上司として管理する仕事があるため、毅然として対応することが求められます。しかし、部下が従わなければ現場が回らない環境のため、部下の機嫌を損ねないように振舞う上司も出てきます。

部下が上司よりも実務面での知識や技術を持っている

部下が上司に比べて実務面の知識や技術を持っている場合、逆パワハラが起こりやすいと言えます。上司が分からないことがある場合、部下に対して聞くことがあるでしょう。そんな時に「上司なのにそんなことも分からないんですか」といった立場を利用して心無い発言をします。上司は部下が自分を上回る知識や技量を保持していることで、強い態度を取ることができません。それを利用し、誹謗中傷や指示に従わないなど上司を追い込む行為に発展します。

上司と部下のコミュニケーションが少なく信頼関係が希薄である

上司と部下のコミュニケーションが少ないと信頼関係が希薄になり、逆パワハラが起こりやすくなるでしょう。十分に関係性が出来上がっておらず、普段の自分の姿勢を知らない上司から急に指導を受けて反発したくなる人もいます。コミュニケーションが希薄な中では何か問題が起こっても上司が注意しづらい、部下が指示を聞かないなどといった状態になります。それがエスカレートすると逆パワハラになる可能性が出てくるため、職場の体制を見直す必要性が出てくるでしょう。

長時間労働などの高ストレスな環境下で業務を行っている

長時間労働などのストレスを多く抱える環境では、逆パワハラが起こりやすくなります。ストレスが多い環境を上司のせいにするなど、上司に八つ当たりのような形で逆パワハラ行為をするでしょう。ストレスが多く身体的あるいは精神的に疲弊している中で上司の指示を受けると、「こんなに仕事しているのにまだ指示するのか」といった気持ちが芽生えます。そこから上司を責めるようになって次第に逆パワハラへエスカレートしていくでしょう。労働環境についての考慮が必要になります。

パワハラに対する活動や対策が十分に取られていない

パワハラに対する対策が十分に取られていないことは、逆パワハラが起こる一つの原因と言えます。パワハラに関する問題意識が社員一人ひとりに根付いていないと、逆パワハラが起こっても周りも見て見ぬふりで対応しないでしょう。上司と部下の関係の場合、立場上余計に見過ごされがちです。その状態が放置されれば、職場環境は悪化します。パワハラ行為の解決は当事者だけではなく周りのサポートも必要になります。そのため、従業員ににパワハラとされる行為を周知し、予防しようと意識させることが大切です。

逆パワハラの対処法

逆パワハラを行う社員への指導を行う

逆パワハラの対処として、逆パワハラを行う社員を指導して行為を止めることが挙げられます。上司を追い詰める行為は、会社の秩序を乱す脅威にもなるため、服務規律違反として戒告や改善命令を用いて毅然と対処する必要があるでしょう。また、逆パワハラをする社員自体が仕事上で何か大きなストレスを抱えているということもあります。根本的な解決へ導くためにも、指導と同時に社員のヒアリングも行うと今後のパワハラ対策のために効果的です。

管理職に向けたマネジメント研修を行う

逆パワハラに対処するためには、管理職に向けたマネジメント研修も効果的です。管理職や上司が逆パワハラについて認識していないと、いざ自分自身や管理下の上司部下に逆パワハラ行為があったっ場合、対処法に困るでしょう。また、逆パワハラを知らないことによって悪質な行為を見過ごしてしまうことにもなります。定期的な面談やコミュニケーションの機会を作るなど、逆パワハラを防止するため効果的な策を意識するためにも、マネジメント研修が必要とされます。

企業が講じた方が良いパワハラ防止措置

パワハラの基準を明確化し周知させる

企業のパワハラ防止策としては、パワハラの基準値を明確化し、パワハラ行為を行ってはならないことを周知させることが必要です。パワハラで一括りにするすると、上司と部下の関係性で想像する社員が多いかもしれません。逆パワハラを含めた具体的な行為の例や他社の事例を挙げることで、社員一人ひとりが問題意識を持つでしょう。また、パワハラ行為があった際の罰則なども合わせて記載しておくと、逆パワハラ行為の重みを理解して問題視されやすいです。

相談に応じて対応するための体制を準備する

パワハラを防止するためには、パワハラが起こった際に相談できる窓口を設定するなど、パワハラに対応できる体制を整えることが必要です。相談窓口を設置するだけではなく、事実関係の確認や講じるべき措置などの検討が必要です。相談を受けたらどのように動いてパワハラに対処するかまで細かいフローを決めておくといいでしょう。社員の利用を促すためにも、相談窓口に周知されておく必要があります。安心して利用できるよう、相談者のプライバシーを守ることを約束する旨を含めて伝えましょう。

職場でのパワハラに係る事後の対応を迅速に行う

職場でパワハラが発覚した場合、迅速な対処が必要となります。パワハラがあったことの証拠を集め、行為者に対して然るべき対応が求められるでしょう。その後は再発防止措置を講じ、パワハラが横行しないような職場環境にする必要があります。例えば、パワハラの事例が発生した際にはメールで社員に周知し注意喚起をするなどの方法が効果的と言えるでしょう。また、会議で定期的に議題として取り上げ、パワハラを防止する意識を社員に浸透させることが大切です。

逆パワハラに関する裁判事例

小田急レストランシステム事件

小田急レストランシステム事件は、社員が部下のいじめによってうつ病を患い、それが原因で自殺したという事例です。いじめの内容は、部下が「会社のお金を盗んでいる」「女性社員にセクハラしている」と書かれたビラを労働組合に持ち込み、上司を中傷したなどです。それを受けた会社は、上司を左遷とも捉えられる人事異動を命じています。裁判では、社員のうつの発症・自殺と会社での業務に因果関係があるとして、遺族補償給付の不支給処分を取り消しています。

まとめ

逆パワハラを防ぐためにも組織全体で十分な対策を行おう

逆パワハラの防止策や対処方法、企業の事例をご紹介しました。逆パワハラは当該者同士の問題であることはもちろですが、パワハラ行為をさせないような周囲の配慮も必要となるでしょう。そのためにも、研修の実施、相談窓口の設置や情報の周知など会社はハラスメント対策を行う必要があります。逆パワハラを含めハラスメント行為は企業の秩序を乱し、最終的には組織力が低下して生産性が落ちることにつながります。組織全体でハラスメント対策を意識し、社員が心身ともに健康な企業を目指しましょう。

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