スーパーフレックス制度とは【メリットやデメリット、注意点についてお伝えします】

記事更新日:2023年04月25日 初回公開日:2023年04月25日

用語集 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報
ダイバーシティや超高齢化など社会が変化し続けている中で、個人の働く目的も変化しています。スーパーフレックス制度は、個人が裁量を持ち勤務時間や場所を選べる自由度の高い働き方を実現できます。そして生産性をも高められる可能性があるのです。育児や介護などのプライベートと仕事との両立や、男女関係なく幅広い年齢層が働く社会を実現するためにも、自由な働き方ができるスーパーフレックス制度は有効でしょう。この機会に、企業と銃魚委員の目的に沿った運用が可能かどうか、検討してみてはいかがでしょうか。

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スーパーフレックス制度とは

コアタイムがないフレックスタイム制度

スーパーフレックス制度は従来のフレックス制度とは異なり、あらかじめ定められた労働時間さえ守れば出退社の時間や働く場所は社員の自由です。遅刻や早退といった概念の無い働き方なのです。コアタイムに関する制限がなくトータルの労働時間は設定されており、それ以上働けば残業代も支払われます。社員は日々自主性と計画性をもって働かなければなりませんが、育児や介護などのそれぞれの都合に合わせた柔軟な働き方が可能になるのです。

スーパーフレックス制度とフレックス制度の違い

フレックス制度にはコアタイムがある

フレックスタイム制度にはコアタイムがあります。コアタイムは労働者が必ず出勤しなければいけない時間で、それ以外の時間は自由に出勤や退勤時間を決められるフレキシブルタイムです。一方スーパーフレックス制度では、出勤が必要なコアタイムが存在せず、全てフレキシブルタイムとなります。より自由度の高い勤務形態といえます。深夜出勤は許可制とする、会議には全員が出席するなど、ある程度の基準を設けている企業もあります。

スーパーフレックス制度誕生の背景

少子高齢化によって働き手が不足している

スーパーフレックス制度誕生の背景には、日本は少子高齢化による働き手不足があります。内閣府が公表した「令和元年版高齢社会白書」では将来的には人口の4人に1人が65歳以上の高齢者になると予想されています。また今後出生率が減少し続けることにより、さらに若年層の人口が減少していくことが考えられるでしょう。少子高齢化に伴い現状通りの人員確保は以前にも増して難しくなってきています。特に出生率の低下に伴い、若年層の採用が難しくなっていくことが今後も予想されているのです。

家庭の事情で離職せざるを得ない従業員がいる

従業員の中には、家庭のさまざまな事情で離職せざるを得ない従業員がいます。たとえば育児や介護の必要があり、長時間の勤務や出勤が難しい従業員は通常の勤務や従来のフレックスタイムでは働き続けることが困難な場合があります。家庭の事情などで退職せざるを得ない優秀な人材も、自由度が高く柔軟に働ける環境があれば、辞めずに働き続けるという選択をすることが可能になります。これは、多くの企業が抱える人材不足の問題解消にも繋がるでしょう。

ワークライフバランスの向上が求められている

社会の価値観の変化や働き方の変革が進む中で、仕事と生活を両立ができるワークライフバランスの向上が求められています。スーパーフレックス制度はコアタイムがないため育児や介護の都合に合わせて、早朝から仕事を始める、始業時間を遅くするなどが可能です。その結果、仕事と生活を両立しやすくなり、ワークバランスの実現につながるでしょう。各従業員が働き方に柔軟性を持てるようになり、仕事へのモチベーションも高められます。

スーパーフレックス制度のメリット

従業員が集中して仕事をしやすくなる

スーパーフレックスタイムを利用することにより、従業員が集中して仕事をしやすくなるので生産性が上がるというメリットがあります。従業員は自由に始業時間や終業時間を選択できるので、自分のペースで働くことが可能になります。通勤時に満員電車を避けたり、朝が弱い人は夕方に仕事を始めたりすることもできるのです。各々がストレスとなる要因を避けてベストなパフォーマンスを発揮できるので、生産性の向上が期待できるのです。

求職者の増加が期待できる

スーパーフレックス制度によって、求職者の増加が期待できます。育児や介護などで決まった勤務時間に働くのが難しい場合でも始業時間や終業時間を自分で決められれば働き続けることができるので、優秀な人材を確保することが可能になるでしょう。また、スーパーフレックス制度の導入によって、柔軟な働き方に対応している会社としてアピールすることが可能になります。就職希望者の数が増え、優秀な人材の確保に貢献するでしょう。

離職率低下に繋がる

スーパーフレックス制度の導入は離職率低下に繋がります。育児や介護など、それぞれの従業員が抱える事情に対して、固定の勤務時間で働くというのは簡単なことではありません。スーパーフレックス制度を導入することで、家事をした後に出社、子どものお迎えに合わせて退社、親の通院に付き添う時間の確保などを自由に設定することが可能です。スーパーフレックス制度の導入により労働者が働きやすい環境を整えることができるとモチベーションやエンゲージメントなどの向上につながり、離職率も低下するでしょう。

ワークライフバランスの実現に近づく

スーパーフレックス制度で、ワークライフバランスの実現に近づけることができるでしょう。スーパーフレックス制度はコアタイムがなくフレックス制度より柔軟な働き方ができる制度です。スーパーフレックス制度にはコアタイムがないので育児や介護をするために、早朝から仕事を始めたり日によって始業時間を遅くしたりできます。その結果、仕事と生活を両立しやすくなるので、ワークライフバランスの実現につながると言えるでしょう。

スーパーフレックス制度のデメリット

コミュニケーションが取りづらくなる

スーパーフレックス制度のデメリットには、社内のコミュニケーションが取りづらくなることがあります。必ずしもオフィスへの出社しなくても良いので、従業員が集まってのミーティングなどを行いづらくなるのです。また上司と相談をしたいときなどでも、簡単には会うことができません。取引先からの問い合わせにもすぐに応対できず、緊急事態などではトラブルに発展する恐れもあります。このため、スーパーフレックス制度を導入する際は、社内外とのコミュニケーションの仕方について、事前にシステムやルールをしっかり整備しておきましょう。

制度が合わない職種もある

スーパーフレックス制度の導入によるデメリットとして、この制度に合わない職種もあることが挙げられます。取引先が必要とする時に対応できる部署や従業員が無く、取引先とのコミュニケーションがうまくいかないと、経営に影響を及ぼす可能性があります。また、複数の従業員が一緒に業務に当たらなければならない場合などは導入が難しいでしょう。スーパーフレックス制度を適用するかどうかを、職種や業務の特性を見極めた上で慎重に判断しなければなりません。

勤怠管理が複雑になる

従業員それぞれがいろいろな場所や時間で働くことになるので、勤怠管理が複雑になります。従業員ごとに異なる労働時間を管理しなければならないのです。上司や同僚の目が行き届かない場合もあるので、働いているふりをして怠ける社員が出る可能性があります。勤怠管理を正しく行うためには、スーパーフレックス制度に適した勤怠管理システムの導入が必要になる場合もあるでしょう。費用がかかりますし、社員に利用方法を徹底させる時間と手間なども生じることに注意が必要です。

スーパーフレックス制度を導入する際の注意点

残業代の計算に気をつける

スーパーフレックス制度を導入する際の注意点として、残業代の計算に気をつけなければなりません。スーパーフレックスタイム制度においても、36協定が締結されれば時間外労働が認められます。ただし、総労働時間の枠内で弾力的に働くことから、1日8時間、1週40時間を超えてもただちに時間外労働とはならないこともあるので注意しましょう。法定労働時間を超えない所定労働時間内の残業は「法内残業」といい、労働時間分だけ通常の賃金が支払われます。

会議の設定を工夫する

スーパーフレックス制度の導入に伴い、会議の設定の仕方を見直す必要があります。従業員が時間や場所を合わせ、集まって会議をすることが難しくなるのです。そのため関係者全員が会議に参加可能な時間を見つけられるスケジュール管理ソフトなどを導入する必要があるでしょう。または、オンライン会議を設定できるシステムの導入を検討することをお薦めします。オンライン会議であればどこにいても参加でき、時間的な制約も少なくなります。

スーパーフレックス制度の導入事例

味の素株式会社

スーパーフレックス制度の導入事例として、味の素株式会社があります。味の素では、2012年度以降にワークライフバランス向上の取り組みを本格化させました。多様な働き方を実現すべく、「働き方改革」がスタートしたのです。2014年度からは、働き方に関する新制度を導入し、早朝型勤務を促進しています。一部の従業員を除き、効率的な業務遂行、ワークライフバランスの向上を目的として、コアタイムを設定しないフレックスタイム制度を導入しています。

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は2017年4月よりスーパーフレックス制を導入しました。コアタイムを撤廃し朝7時から夜10時までの間、各社員が業務の状況などに応じて始業時刻と終業時刻を柔軟に変更できるようにしたのです。これによりメリハリをつけた働き方ができるようになりました。各組織と個人が最も効率的な時間帯に業務を行うことで、生産性と成果を最大化させることを目的としています。厳格なルールを規定するのではなく、個人レベルで就業時間を管理できるようなしくみを作っているのです。

花王株式会社

花王株式会社では「夜型の長時間残業の抑制」と「より柔軟で多様な働き方の実現」のため、フレキシブルタイムのない10時から15時を2008年から導入していました。しかし2015年7月から午前7時から午後8時までをフレキシブルタイムとし、コアタイムを廃止しました。これは、社員個人や育児、介護など家庭の事情で、コアタイムの時間帯に半日年休を使うと、コアタイム以外の時間帯や他の労働日にしわ寄せがくるからです。また、海外との業務などで夕方以降の時間帯に比重を置いた勤務を要する場合に、かえって長時間労働となるからです。

NTT

NTT グループでは、働く全ての社員が仕事の進め方を見直しています。そしてICT カンパニーとして在宅勤務を含むテレワーク、フレックスタイム制度などを積極的に活用し効率的かつ柔軟な働き方をめざしているのです。また、柔軟な働き方を実現するための環境整備として、NTT グループ各社の事業特性に応じた各種勤務制度を設定しています。たとえばフレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、裁量労働制、分断勤務などです。

まとめ

スーパーフレックス制度を導入して従業員の働きやすさを確保しよう

スーパーフレックス制度を導入して従業員の働きやすさを確保することや、優秀な人材の確保や、生産性の向上につなげることが可能です。スーパーフレックス制度はコアタイムを設けないので、フレックスタイム制度以上に労働者が柔軟に働ける制度です。しかしながらコミュニケーションが取りづらくなることや、労働時間の管理が複雑になるため、導入の際には対策を考えましょう。自社の組織には、どのような働き方が適しているかをよく考えて、自社に合った働き方の制度を導入する事で、業績のアップも期待できます。

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