コンコルド効果とは【ビジネスシーンにおける活用例などを解説します】

記事更新日:2022年07月24日 初回公開日:2022年07月21日

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「そのうちに必要になってくるかもしれない」「もう少ししたら取り返せるかも」というような勿体ない精神の為により大きな損害を被ったことはありませんか。ある物にお金や時間をかけ続けている事自体が大きな損失を発生させていることを分かっていても辞められない心理状態をコンコルド効果と言います。今回はそのような心理状態に陥ってしまう事例やコンコルド効果を利用したビジネスについて解説していきます。頭では理解していても、中々辞めることが出来ないと考えている人や、コンコルド効果を活用してビジネスを行っていきたいと考えている人は是非参考にしてみてください。

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コンコルド効果とは

投資した費用や時間を惜しんで引くに引けない状態

コンコルド効果とは、投資してきた費用や時間を惜しんで引くに引けなくなった状態のことを指します。金銭的や精神的・時間的な投資を行っている時に、このまま継続しても損失が出てしまうとわかっていても投資した分が惜しくなり継続してしまう心理現象です。人間は何か物事を判断しなければいけないときに先入観や固定観念の影響を受けて冷静な判断が出来ない状態に陥ることがあります。心理用語では認知バイアスと言われており、コンコルド効果も認知バイアスの一つです。

コンコルドの由来

コンコルドの由来は、フランスとイギリスが共同で開発した超音速旅客機「コンコルド」からきています。コンコルドは乗客定員数の少なさや燃費の悪さから採算が取れず赤字になることが見込まれてたにもかかわらず、開発が進められました。結果として騒音などの問題もあり最終的に膨大な損失を出したことにより開発会社は倒産してしまいました。こういった商業の失敗になぞらえて損するとわかっていながら投資し続けてしまうことを「コンコルド効果」と呼ぶようになったのです。

サンクコストとの関係

コンコルド効果が心理的傾向であるのに対してサンクコストは経済的行為を中止や廃止等どんな手を使っても回収することが出来ないコストのことです。サンクコストは埋没費用のことで、事業を継続する場合の判断材料です。それまでに費やした費用や時間などを惜しんで事業の継続を図ろうとすると損失が拡大していく恐れがあるため、事業継続の判断を行う場合はサンクコストを無視することが最良とされています。このサンクコストを惜しんで「勿体ない」「元を取り返したい」と感じる心理をサンクコスト効果と言います。

コンコルド効果の事例

課金ゲーム

コンコルド効果として課金ゲームがあります。ネトゲやソシャゲと言われているようなオンラインゲームでは、ゲーム内で使えるアイテムや追加機能を購入したり「ガチャ」を回してアイテムを当てたりできる課金システムになっている物が大半です。ガチャに象徴されるような課金要素の場合ギャンブルと同じように次こそは出るに違いないという心理状態になりサンクコストを増加させます。ゲームに対しての興味が多少薄れていても、今までにかけてきた時間やお金のことを考えると辞めるのは勿体ないと考え続けてしまいます。

ギャンブル

ギャンブルも典型的なコンコルド効果です。パチンコ等のギャンブルに嵌ってしまう人は、勝つ見込みが少ないにも関わらず「今まで負けた分を取り戻そう」と躍起になりどんどんサンクコストを生み出してしまっています。中々一発当てることは難しいというを頭の中では理解していても「次こそは当たるかも」という考えからギャンブルを辞めることが出来ず結果的には大損することになるのです。こうした状況から抜け出したくても抜け出せない、辞めたくても辞められないという心理がコンコルド効果の典型的な例と言えます。

恋愛

恋愛もコンコルド効果が働いている状態です。恋愛においてのコンコルド効果は「この人と付き合っていてもダメだ」と頭の中では思っていても今までにかかったお金や時間を考えると関係を続けてしまい、中々別れられない状況に陥ります。それだけではなく、全く脈がない相手に振り向いてもらおうとする行動にも当てはまります。それまでかけた労力や時間が勿体なく感じてしまい、もう少しアピールを続ければ振り向いてもらえるかもしれないと考えアタックし続けることも恋愛におけるコンコルド効果です。

戦争

コンコルド効果は戦争にも影響を及ぼしています。太平洋戦争では8月15日に終戦しましたが、犠牲者の多くは最後の1年に戦死したり被災した人々でした。終戦が遅れた理由として「一撃講和論」が影響しています。一撃講和論は損失を最小限にする合理的な方法と考えられていました。しかし圧倒的な戦力の違いに目をつぶり講和交渉を本格化させなかったことにより終戦が遅れ、犠牲者を多く出してしまったのです。戦争を続けることが難しいと把握していた日本軍リーダーや政府関係者が「今辞めてしまっては戦死者に顔向けできない」と考えコンコルド効果に嵌ってしまったことが終戦が遅れた原因です。

コンコルド効果を利用したビジネス

ポイントカード

コンコルド効果を利用したビジネスはポイントカードの活用です。店側の設定した金額を超えるとポイントを貰えます。ポイントを上限まで貯めると、商品と交換が出来たり割引を受けられるポイントカード制度はまさにコンコルド効果を利用して来店を促進しています。消費者側は「ポイントをためることによって受けられるメリットがある」と分かっている為ポイントカードを持っているお店で買い物をするのです。ポイントカードは来店する心理的ハードルを下げる施策と言えます。

月額使用料や年会費

月額使用料や年会費等もコンコルド効果を利用したビジネスです。月額使用料や年会費を払っているコンテンツやサービスを利用している場合、そのサービスを退会しようとするといつ退会手続きを行うでしょうか。月額使用料を支払ったばかりでは、もうひと月待ってから退会しようと考えるかもしれません。年会費がかかっている物では、残数が半分以上ある際には返金の対応等可能か確認するかもしれません。サービス利用に対して先払いをしている場合においても、今辞めたら勿体ないという心理が働くのもコンコルド効果と言えます。

無料お試し期間

コンコルド効果は無料お試し期間にも利用されているビジネス方法です。1週間無料や3ヶ月無料というような期間限定で無料で使用できるサービスがあります。そのサービスを使った場合にも「せっかく登録したのに勿体ない」「サービスになれたので新しいサービスを登録し直すのが面倒」といった考えが働くのもコンコルド効果です。一度行動に移してしまうと、それを中止したり別の物に切り替えたりするには別の抵抗が発生します。お試し期間で利用したサービスに満足すれば有料会員へと切り替えるユーザーもいます。

一定額の購入による送料無料

一定額の購入による送料無料もコンコルド効果を用いたビジネスです。ネットショッピングでよく目にするいくら以上買うと送料無料と言われている物は、特に欲しいものがそれ以上なくても送料無料にするために商品を追加します。先述している3つとは違い順番が逆になっている為気づき辛いかもしれません。送料がサンクコストに該当し、対象となる金額未満の場合サンクコストを払うことになる為要らないものまで買わせてしまうという手法です。送料を払うことは損だと錯覚しているため、更に必要のないものを買ってしまいます。

コンコルド効果への対処方法

損切りをする

コンコルド効果への対処方法は損切をすることです。損切は利益が出ると考え購入した株などの価格が下がり、回復も見込めないため売却して損を確定させることを指しています。サンクコストの費用を抑えるためにもコストの回収が難しくなった場合はなるべく早めに損切を行うことで傷を浅くすることが可能です。頭では理解していても中々損切に踏み切れないことがあるため事前に限度や損切を行うラインを決めておくことでコンコルド効果に陥ることを防ぐことが出来ます。限度が来た時にしっかりと損切を行うことでコンコルド効果の負の連鎖を断ち切れます。

ゼロベース思考で考える

ゼロベース思考で考えることで、コンコルド効果を対処することが出来ます。ゼロベース思考とは今までに起こったことは過去のことと考え一旦白紙(ゼロ)にした状態で物事を考える思考法です。損失が大きくなった企業の場合はコストを取り戻そうとして新しいことに手を出してしまうことでサンクコストが増え、より一層業績悪化しかねません。ゼロベース思考を用いることで今までに起こった事象は含めずに考えるため、コストの回収に走るのではなく採算があってないものは撤退や縮小などの正しい判断を下すことが必要です。

損益を計算する

コンコルド効果は損益を計算することでも対処が可能です。事業を進めていく上で収益化が難しくなった場合今後の損益について計算をしましょう。コンコルド効果はコストをかけている分中々後に引けないという状況に陥ります。現状の損益をしっかりと把握することで今までにかかった費用に加えてこの先どれほどのサンクコストが積み重なっていくのかを理解することが出来ます。損益をしっかりと把握することで現状維持でいいのか、撤退や縮小を考えないといけないのかの冷静な判断が可能です。

失敗を次に生かそうと意識する

失敗を次に生かそうと意識することがコンコルド効果への対処法と言えます。携わっているプロジェクトが何らかの理由で頓挫してしまうとかかった費用の回収などを考え頭を抱えてしまうでしょう。しかし失敗した経験は次に生かすことが出来ます。大きな損失を出してしまうと色々悩み落ち込んでしまいますが、その失敗を活かすことで次に失敗する可能性を下げることが可能です。また今までのコストを損失ととらえるのではなく投資と捉えることにより次実行する際、意識を変えることが出来ます。失敗したことを教訓に出来たと考え、次に生かしていきましょう。

本当に望むものは何か考える

コンコルド効果への対処は本当に望むものは何かを考える方法です。コンコルド効果が働いている時は、コストに囚われているため自分が本来求めている物は何なのかを考えられていない場合があります。どうしても損失が大きくなるとそちらにばかり気を取られてしまいます。しかしサンクコスト等を増やさない為にも現状をしっかりと把握・理解しどのような方法を取るのが最善なのかを冷静に考えなければなりません。そのプロジェクトにとって本当に望まれている物は何なのかを考えることによって、しっかりとした判断を行うことが出来ます。

まとめ

コンコルド効果をよく理解してビジネスに活用しましょう

コンコルド効果の事例や活用したビジネス、対処方法などについて解説しました。コンコルド効果は日常生活の様々な場面に関係があり、特別な条件の元で起こるものではありません。コンコルド効果に陥ってしまった人は続けない方がいいと頭ではわかっていても続けてしまう為心理状態としては苦しいはずです。コンコルド効果の対処法を用いてコンコルド効果から抜け出すことが出来れば、仕事や日常生活においても心に余裕を持つことが出来ます。事業などでコンコルド効果を活用していこうと考えている人は普段の生活の中で用いられている事例を参考にしながらよく理解し、ビジネスに活用していきましょう。

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