HRテックとは?【市場規模・業界について解説します】

記事更新日:2020年11月10日 初回公開日:2020年10月23日

人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド 用語集
近年、少子高齢化に伴い労働人口が減少している影響を受けて、企業の人事マネジメントの変革が進んでいます。そこで注目されている人材管理システムが「HRテック」です。IT技術の急速な進化の中で、「HRテック」を用いた業務の効率化や人事配置の見直しが行われています。拡大し続けているHRテック市場ですが、その名を初めて聞く方もいらっしゃるのではないでしょうか。本稿では、「HRテック」の基本的な説明から、その市場規模やメリット・今後の動向まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

HRテックとは

AIやITを活用した人材管理サービス

HRテックとは、Human Resource(人材資源)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語です。AI(人工知能)やクラウドサービス、ビックデータ解析などの最先端のIT技術とHR分野が融合した、新しい人事マネジメントサービスを指します。HRテックの導入により、効率的で質の高い人事業務を行うことで、採用・育成・配置・評価といった幅広い領域に関する人事課題を解決できるのではないかと期待されています。

HRテックの活用領域とメリット

人事業務のデータ化・作業の効率化

HRテックの代表的な活用領域として、人事業務のデータ化とそれによる作業の効率化があります。従来の人事管理はアナログ的な業務がほとんどでした。しかしHRテックは、人事管理に関する様々な情報をデータ化し、一元管理や入力の自動化を可能にします。社員全員の部署異動歴・人事評価・研修履歴をコンピューターで簡単に表示できるのです。その結果、これまで時間のかかっていた業務が省かれたことで、人件費の削減や業務ミスの防止につながり、定期業務の効率が格段に良くなりました。

分析時間の短縮

最先端のIT技術との融合により、最も大きな変化を遂げたのが分析時間の短縮です。HRテックが活用される主な理由として、人事データ管理だけでなく、既存データやビックデータの解析技術を用いた現状分析に長けている点が挙げられます。これにより、各社員のスキルや評価データの分析に要する時間が短縮され、社内の人材管理がより円滑になりました。また、その分析に基づいた仮説立案により、高速のPDCAサイクル(継続的改善手法)を回すことが可能になりました。

最適な人材採用と人材配置

これらの人事業務のデータ一元化やビックデータの解析により、より優秀な人材採用や最適な人材配置が期待できます。というのも、HRテックのデータ分析や学習機能により、最適な人材や会社内での人間関係をシミュレーションすることができるからです。最適な人材採用や人材配置は、従業員の満足度を高め、離職率の低下や業務の質の向上に繋がるでしょう。このように、HRテックは作業効率化だけでなく、人材や組織開発にも効果的であるといえます。

戦略人事が会社経営を左右する⁉

HRテックは、感覚ではなく定量的なデータに基づいた人材戦略を可能にします。これにより、データ分析を活用した組織改革ができるようになりました。近年、企業競争の根幹が資金や設備などの資本力から、より良い商品を生み出し販売する優秀人材の獲得と育成へとシフトしてきています。HRテックを活用した戦略人事が、企業の業績を大きく左右することも考えられるでしょう。今企業が発展するために求められていることは、HRテックに頼れる部分を見極めた上で、データ分析に基づいた人事制度に移行することなのかもしれません。

HRテックの市場規模

国内で300億円、世界で1兆円を超える

上記のような活用領域を持つHRテックですが、実際にその市場規模はどれほど拡大しているのでしょうか。ミック経済研究所の資料データによれば、HRテックの市場規模は2019年時点で350億円を超え、2023年には1000億円以上にもなる見込みです。また、CB Insightsは、海外では資金投資額が2016年時点で2000億円を超えていると発表しました。HRテック市場は国内外問わず急速に拡大しており、今後も拡大し続けると予想されるでしょう。

急速な市場拡大の背景

労働人口の減少による人材の確保

とはいえ、これまでにも人材管理システムは存在していました。ではなぜ、HRテックがこれほどまで急速に普及しているのでしょうか。第一に、労働人口の減少による人材の確保という背景があります。少子高齢化による日本の労働人口減少は一つの社会問題にもなっています。今後企業に求められるのは、限られた人材の中でいかに優秀な人材を確保するかということ。事務作業の充てる従業員を少なくするためにも、労働生産性の向上と質の高い採用活動をサポートするHRテックの需要が高まっているのです。

柔軟な働き方を推奨する風潮

第二に、これまでの雇用システムに縛られず、各々の生活に合わせた柔軟な働き方を可能とする社会になりつつあることです。近年国内でも、従来の日本的な人事制度である終身雇用や年功序列が壊れつつあり、「働き方改革」の元で多様な働き方を推進する企業が増えてきました。個々の労働者に寄り添った柔軟な雇用形態が重要視される風潮になったことが、複雑な人事管理を可能にするHRテック市場を拡大する後押しする一因となったのでしょう。

HRテックの主なシステム

HRIS

人材情報システム

HRテックのシステムは主に3種類あります。一つ目がHRIS。HRISとは、Human Resources Information Systems(人事情報システム)の略称で、人事情報システム全般を指します。具体的には、社員情報の管理や給与管理、パフォーマンス管理等、人事部門のあらゆる業務をサポートするシステムです。情報の蓄積や共有を通して、人事業務をより効率的にかつ低コストで行うことが可能になりました。注意点としては、すでに何百もの種類のHRISが販売されているため、各会社のニーズを満たすものを選択する必要があるでしょう。

ATS

採用管理システム

二つ目のHRシステムはATS。ATSとは、Applicant Tracking Systems(採用管理システム)の略称で、採用において応募者の選考段階や、評価内容を追跡できるシステムです。このシステムは、求人管理・情報管理・選考管理・内定者管理という主に4つの項目に分かれています。採用業務に関する応募者データを一元化するだけでなく、応募フォームの作成やWeb掲載、応募者のスクリーニング等に活用されています。

LMS

教育・育成管理システム

三つ目がLMSと呼ばれるシステム。LMSとは、Learning Management Systems(学習管理システム)の略称で、人事業務の重要な要素である人材の育成に関わるシステムです。機能としては、研修制度の立案やオンデマンド教材の配信、社員の学習状況の管理などを含みます。また、研修後のフォローや、今後の研修制度の改善にも活用されています。昨今在宅での勤務が増えた状況を鑑みると、オフラインでの研修と合わせてさらに普及していくかもしれません。

HRテックのサービス例

採用・マッチング

Offer Box

では具体的に、HRテックにはどのようなサービスがあるのでしょうか。ここでは、多様なサービスを「求人・採用」「人材配置・育成」「労働管理」の大きく3つに分けて、各分類から一つずつサービスをご紹介いたします。まず、「求人・採用」サービスに特化したOffer Boxです。Offer Boxとは、登録している学生に対し、企業が直接オファーを送ることができるという「逆求人型」の新卒採用サイトです。近年では就活生の3分の1にあたる10万人以上もの学生が利用するまでに成長しています。ターゲット層に直接アプローチしたい、もしくは認知度に課題のある企業にとっては、活用することで大きなメリットとなるでしょう。

人材エンゲージメント

KAKEAI

次に「人材配置・育成」サービスの中から、KAIKEAIをご紹介します。株式会社KAKEAIが開発した KAKEAIは、2019年に開催されたHRテックサービスのコンテスト「HR Tech GP2019 Final」で見事グランプリを受賞しました。KAKEAIというのは、上司と部下の関係性や状況管理における問題を改善するためのAIシステムです。脳科学に基づいた上下関係のマネジメントは、従業員満足度の向上に大きな影響を及ぼすでしょう。

データ分析・組織改善

Motivation Croud

最後に「労働管理」サービスの一例としてMotivation Cloudを紹介します。これは、組織状態を可視化・数値化することで、組織人事の把握や改善を促す国内初のクラウドサービスです。すでに6000社以上の企業で活用されており、従業員にアンケートを実施しするだけで、組織課題を詳細に可視化することができ、特定した課題に対する改善策の立案や改善状況についてもサポート体制が整っています。今回は以上3つのサービスをご紹介しましたが、すでに数え切れないほどのHRテックが開発されており、人事は最適なサービスを取捨選択する必要があるといえるでしょう。

HRテックの導入事例

株式会社日立製作所

人材管理での導入

これまでHRテックのメリットやシステム等、様々なコンテンツをお届けしてきましたが、実際に導入するにあたって不安を覚える方も多くいるでしょう。そこで、HRテックの導入事例を二つご紹介します。1つ目が株式会社日立製作所です。日立製作所は、2016年に新しく「人材分析部門」を設置し、先端ITの導入に取り組んできました。2018年には世界25万人もの従業員の経験やスキルを一元管理するクラウドデータベースを本格的に導入し、「HRテクノロジー大賞」を受賞しています。

吉野家ホールディングス

人材開発での導入

2社目は、吉野家ホールディングスグループです。牛丼チェーンの吉野家や讃岐うどんのはなまる等を傘下におく当グループは、2016年よりクラウド人材管理サービス「カオナビ」を導入しました。「カオナビ」は顔写真の一覧を表示できるツールで、全社員の名前や実績を可視化し、実力ある社員に早い段階で成長の機会を与えることを可能にします。ホールディングス化後グループ内の人材交流が行われるようになったことや、実力主義の社風を背景に、「カオナビ」を用いた優秀な人材育成が進められているのです。

ソフトバンク

採用業務での導入

最後にご紹介するのが、ソフトバンクグループ株式会社です。ソフトバンクは、2017年より新卒採用にAIによるエントリーシート選考を導入しています。これについては賛否両論ありますが、性能はかなり高く、採用担当者の労力を大幅に減らすことができます。また、HRテック導入により削減できた時間を面接時間や説明会に費やすことができるという利点もあります。実際に、採用選考の過程において500時間もの工数削減に成功したと公表しています。

まとめ

HRテックは最適な人事施策に有効である

今回はHRテックの市場規模からサービス例まで、多岐にわたる内容をご紹介しました。煩雑な業務が多かったこれまでの人事業務が、HRテックの導入により効率性や機能性の面で大幅に改善されるのではないかと期待されています。優秀な人材を採用・育成し適性に合った配属異動をするためには、いかにHRテックを活用するかが今後の課題となるでしょう。とはいえ、HRテックはまだ発展途上の市場であり、次々と新しいツールが誕生しています。企業の成長と戦略的な人事経営のためには、自社の人材課題を見定め、それに合ったHRテックを効果的に利用することが求められるでしょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら