ESGとは【言葉の意味や対応方法・取り組み事例等について解説します】

記事更新日:2022年01月04日 初回公開日:2021年12月21日

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近年は企業活動においてもSDGsやCSRに対する関心が高まってきています。それに伴い、最近注目されているのがEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字をつなげた「ESG」という言葉です。ESGはこれまではあまり注目されていなかったので、聞いたことがないという方もいるのではないでしょうか?そこで今回はこのESGについて3つの要素や重視される背景、メリットなどについて詳しく解説をするので、是非最後までご覧ください。


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ESGの意味

環境、社会、ガバナンスの頭文字を取って作られた言葉

まず初めにESGの意味を確認します。ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。ビジネスの世界では、企業が長期的に成長するためにESGの3つの観点が重要であるという考え方が広がっています。これに伴って、ESGに積極的に取り組む企業に投資する「ESG投資」もさかんになってきています。持続可能な社会の実現を目指すESGへの取り組みは今後も拡大すると予想されています。

ESGの3つの要素

環境(Environment)

次にESGの3つの要素のそれぞれについて説明をしていきます。まず1つ目は、環境(Environment)です。私たちが暮らす地球には、気候変動などの様々な環境問題が発生しています。これは経済活動の活発化が大きな原因の一つにもなっています。そこで持続的な発展を続けるためには、企業も環境に配慮した取り組みを強化する必要性が出てきています。具体例として再生可能エネルギーの使用や製造過程での廃棄物削減といった取り組みがあげられます。

社会(Social)

2つ目は社会(Social)です。私たちは豊かな社会の実現を目指してきましたが、実際には多くの課題や社会問題が存在しています。利益を追求する経済活動が社会問題を引き起こす可能性もあるため、行動の見直しが社会的に求められています。近年特に注目されている問題としてはジェンダーや少子高齢化、所得格差、過労死などがあります。こうした多くの問題に対して企業は、職場での人権対策やワークライフバランスの実現などの取り組みがなされています。

ガバナンス(Governance)

3つ目は、ガバナンス(Governance)です。ガバナンスとは企業が健全な経営を行なうための自己管理体制という意味です。企業では、不正会計や個人情報流出などの経営に悪影響を及ぼす不祥事が度々発生しています。そのため、企業がしっかりとした管理体制を整え、社会的なルールを守ることが企業と社会の持続的な発展に欠かせません。具体的な対策としてはリスク管理のための情報開示や法令順守などが例としてあげられるでしょう。

ESGとSDGsの違い

ESGは企業目線のみ

続いて混同しやすいESGとSDGsの違いを解説します。初めにSDGsとは2015年の国連サミットで採択された持続的な開発目標のことです。2030年までに持続可能な世界を目指すための国際的な目標であり、17のゴールで構成されています。SDGsは企業だけでなく、国や地方団体なども取り組みの対象となっています。その一方で、ESGは顧客や株主、従業員といったステークホルダーへの配慮として考えられているため、企業目線ということになります。

ESGとCSRの違い

ESGは企業を評価する側の視点から見た活動

次にCSRとの比較をします。CSRは日本語で企業の社会的責任という意味があります。企業が成長し続けるためには、ステークホルダーから信頼を得る必要があります。そのため、企業活動の中で社会的公正や環境への配慮などを推進し、ステークホルダーに対して責任のある行動を取るようになります。つまり、企業は利潤を追求するだけではなく、労働者や消費者などに対する適切な行動が求められるということです。一見ESGとCSRは似ているように見えますが、実際はESGが企業を評価する側の視点、CSRは評価される側の視点から見た活動のことを指しています。

ESGが重視される背景

経済活動の社会的影響に対する関心が高まった

ESGが重視されるようになった背景には主に2つの要因があります。1つは経済活動の社会的影響に対する関心が世間の中で高まったからです。利益のみを追求する企業活動では、社会への悪影響が生じれば持続的な成長を見込むことは出来ません。このことから企業が持続的に成長を続けていくために、ステークホルダーへの配慮としてESGが重要であるという認識が広がるようになりました。

投資家がESGに注目するようになった

2つ目の要因は投資家がESGに注目するようになったからです。2006年に国際連合が責任投資原則を発表しましたが、この作成には機関投資家も関わっています。責任投資原則の中で、持続可能な社会の実現に向けて機関投資家が投資先を決定する際にESGの要素を考慮することが提唱されています。日本国内でも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年に「ESG投資」を開始しました。従来は、企業の業績や財務情報を基に投資先が決められる傾向がありましたが、近年は新たな基準の一つとしてESGに注目が集まっています。

ESGに対応する方法

利害関係者の期待を見極める

次に企業がESGに対応する方法を2つ紹介します。1つは、利害関係者の期待を見極めることです。企業活動をする際は企業側の視点だけでなく、利害関係者の立場に立ってESGに関する取り組みをすることが大切です。ESGに対する取り組みの内容を利害関係者に合わせることで、投資の拡大やブランド力の向上といったメリットを享受できる可能性がより高くなります。

情報開示を徹底する

2つ目の方法は情報開示を徹底することです。ESG投資においては投資家や株主から積極的な情報開示が期待されています。開示する情報は、国際的な規範によって定められた基準に対するものや、社会や環境に対する影響力に対するもの等が挙げられます。情報開示を効果的に行うためにはこういった情報を明確にすることを意識すると良いでしょう。情報開示を徹底し、ステークホルダーから信頼される企業を目指しましょう。

ESG経営のメリット

長期的な企業価値の向上

ESGに沿った経営をすることで企業は大きなメリットを得ることが出来ます。その一つが長期的な企業価値の向上が期待できることです。ESGは長期的な市場競争力を高くするための重要な要素の一つとなっています。市場競争力が高い企業は売上や利益が増加するので、長期的な目線で企業価値を上げることが出来るようになります。売上の増加によって得た利益をESGの取り組みに投資することが出来れば、企業のイメージアップにも繋がるでしょう。

競争力の向上

2つ目のメリットは競争力が向上することです。ESGへの活動によって、長期的な企業価値の向上だけでなく、採用や人事などの身近な部分にも利点を生んでいます。例えばダイバーシティを重視する企業は求職者からも人気が高く、優秀な人材の採用につながりやすくなります。他にも、ESGに関する活動の情報発信を行なうことで企業のブランド力の向上も期待できます。競争力の向上によって、最終的には利益の増加も見込めるので、長期的な目線でESG経営を行うようにしましょう。

ESGの問題点

短期的な結果が出にくい

ESGへの取り組みはメリットばかりではありません。例えば、問題点として短期的な結果が出にくいことがあります。ESGは投資をする際の判断材料としても注目されていますが、取り組みの成果がすぐに表れることはほとんどありません。基本的には日々継続して活動を続けて、中長期的な視点で利益を見込むのが、ESGのあり方です。ですので、ESGに沿った企業活動を行なう場合には、短期的な結果ではなく、長期的な成果を見越して行うようにしましょう。

基準が乱立している

もう一つの問題点は基準が乱立していて、評価基準が定まりにくいことです。例えばアメリカでは「MSCI指数」という基準があり、二酸化炭素の排出抑制や労働安全衛生などにおける課題が企業財務に与える影響を考慮して評価が行われます。一方で日本では、サステナブル・ラボ株式会社がESGの取り組みによる収益や株価の上昇度合を可視化する「ESGテラスト」の開発が行われています。このようにESGに対する評価基準が乱立しているため、客観的な評価を下すことが難しくなっています。

ESGの取り組み事例

キャノン株式会社

最後にESGに積極的に取り組む企業を3社紹介します。1社目はカメラやビデオなどの映像機器やプリンタ、複写機などの事務機器メーカーとして有名なキャノン株式会社です。キャノンは1988年に企業理念として「共生」を掲げ、国や地域、自然や地球環境に対しても良い関係を作り社会的責任を全うすることを宣言しました。そして自社の製品を通じて「新たな価値創造」、そして「社会課題」の解決を目指しています。

株式会社セブン銀行

2社目はコンビニATM事業の最大手として有名な株式会社セブン銀行です。セブン銀行ではESGの3つの要素それぞれに対する独自の取り組みを行なっています。例えば環境面では、ATMの省電力化やサービスのペーパーレス化などを行ない、環境負荷の低減に取り組んでいます。他にも多様な人材が活躍出来るための職場を目指すために、女性の活躍に向けた行動計画の策定など、様々なアクションを起こしています。

花王株式会社

3社目は、大手消費財メーカーである花王株式会社です。花王はESG経営を掲げていて、その特長を三つあげています。1つ目は生活者の目線に立ったESG戦略。2つ目はさまざまなステークホルダーとの連携。3つ目は社会的課題への取り組みを推進する強固なガバナンス体制です。特に3つ目のガバナンス体制に関しては、ESGコミッティ、ESG推進会議、ESGタスクフォースなどを設置し、柔軟なESG活動を実現させています。

まとめ

ESGに積極的に取り組もう

今回はESGについて様々な角度から解説をしてきました。近年注目を集めているESGについての知識を深めることが出来ましたでしょうか?これからの時代は企業がこれから長い期間に渡って成長を続けるためにはESGへの取り組みが不可欠です。ESGには3つの要素がありますが、まずは自社で出来ることは始めてみると良いかもしれません。ESGに関する活動や取り組みをすることで企業のイメージアップも期待できるので、積極的に行なうようにしましょう。

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