記事更新日:2023年10月03日 | 初回公開日:2023年10月03日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報アンドラゴジーとは、成人学習理論のことです。アンドラゴジー(Andoragogy)は、ギリシャ語で成人を意味しているanerと指導を意味しているagogusを組み合わせて作られた造語です。その為、日本語では成人学習や成人教育として訳されています。アメリカの成人教育理論家であるマルカム・ノールズによって体系化された学習理論であり、企業で人材育成をする際に活用されてきています。成人学習とされていますが、これを応用し子供教育学に活用することもあります。
アンドラゴジーは、企業での人材育成に活用されてきていますが看護の世界で特に注目されています。看護師は臨床を行う際に薬の飲み方や注意する事・リハビリをする際などに置いて、患者さんをある意味で教育する場が多くなります。患者さんに伝える際に、何も知らない子どもに伝えるように接していては効果がないだけでなくかえって逆効果になると看護師を目指す段階から教えられています。その為、看護師の中ではアンドラゴジーの考え方が高く定着しているとされています。
アンドラゴジーの歴史は、19世紀前半のドイツで提唱されています。当時ドイツで教師をしていたアレキサンダー・カップ氏が自分が受け持っている学生に教育方法を説明する際に、述べられたとしています。その後1世紀に渡っては、あまり世間に広まりませんでした。1958年にフランツ・ペゲラー教授によって書かれた本をきっかけにヨーロッパで広く認知されていきます。その後アメリカの理論家であるマルカム氏によって理論立てられ、現在まで活用されています。
アンドラゴジーとペタゴジーの違いは、教育対象が成人か子どもかの違いです。ペタゴジーはアンドラゴジーと同じようにギリシャ語が起源となっており、子どもを意味するpaidと指導を意味するagogusを組み合わせて作られた言葉です。アンドラゴジーと対比する際に良く使われています。アンドラゴジーが大人を対象にした主体的で能動的な学びを特徴としていますが、ペタゴジーは子どもを対象としているため他者から教えてもらって習得する受動的な学びが特徴です。
アンドラゴジーとジェロゴジーの違いは、教育の対象が成人か高齢者かという点です。ジェロゴジーはエルダーゴジーと呼ばれることもあり、高齢者を対象にした学習援助の体系化を示す意味で使われています。成人は自己主導的な概念を持っていますが、高齢者は依存的な自己概念を持っています。また成人は学習の成果を即時に応用できる事に重点を置いていますが、高齢者は結果だけでなく過程を重視し学習経験に意味を持たせることに重きを置きます。
アンドラゴジーのメリットは、生産性が向上することです。アンドラゴジーで学習者が能動的に学ぶ姿勢を身に付けられると、その経験は研修の中だけでなく実際の業務にも生かしていくことが出来るようになります。社会情勢は年々変化しており、業務を行っていく中で新しいシステムや未知の領域に直面してしまう事も考えられます。そういった場面に直面した際に、能動的に学べる社員が増えることで成果が上がりやすくなります。アンドラゴジーを行い結果として、企業の生産性や利益向上に繋がります。
アンドラゴジーは社員の成長を促すメリットがあります。アンドラゴジーの主たる目的は、学習者が能動的に学習を行う事です。その為アンドラゴジーを行う際は、何かしらの課題を学習者に与え自分自身で解決策を考えてもらいます。考えた解決策を実際に検証まで学習者に行ってもらいます。この過程を何度も繰り返すことによって、学習者には課題の本質を見抜く力や解決手順を合理的に考えていく力など、課題を解決するために必要な力が身について行きます。
アンドラゴジーは5つの概念から成り立っており、その一つが自己概念です。自己概念は「自分がどういった人間か」という質問をされた時に、自身が持っている考えの事を指します。そして人は年を重ねていくにつれて、自分のことは自分で管理出来ているという自己概念が強くなるとされています。そのため成人の場合には与えられるだけの教育は、自己概念との間に抵抗が生まれる可能性があり学習者が能動的に学ぶことが大切になります。
アンドラゴジーの特徴の一つは、経験です。人は年齢を重ねるほどに成功や失敗し、人生経験が増えて行きます。その為アンドラゴジーでは、各々が獲得してきた経験を前提としてそれらを上手く活用し学習効果を高める事を前提にしています。経験を活かして学習を行う事から、真っ新な状態から学習するよりもより効果的に行えるとされています。グループ楽手を行う時は、それぞれが経験してきたことを共通して貰うのも学習方法の一つです。
アンドラゴジーはレディネスで成り立っています。レディネスとは何かを学習する際に必要となる条件や環境などが整っており、学習するための準備が出来ている状態の事を指します。アンドラゴジーの中でのレディネスは、職業や役職・職位に焦点を当て楽手者の課題を捉えることがポイントとなります。例えば、マネージャーに昇格したばかりの人にはマネジメントを学ぶことが必要となり、同じ状況の人を集めて学習を推進することでレディネスを生むきっかけになります。
方向づけもアンドラゴジーの特徴です。方向付けとは、学習を行う際に何のために学んでいるのかという目的を重視する概念です。成人学習においては、学んだ知識やスキルが何に活かせるのか・どう活用していくのかという目的が重要になります。直面している問題や自身の市場価値を高めるという目的を持っていた場合には、目的を達成するためには何を学ぶべきなのかをしっかりと考え学習する事が大切です。ペタゴジーではテストでいい点を取りたいなど単純な目的で学習を行う事が一般的になっています。
動機付けはアンドラゴジーの特徴の一つです。アンドラゴジーでは、成人教育は外発的動機よりも内発的動機に基づいているという前提があります。内発的動機とは、興味や趣味・関心など人々の内側にある物で動機付けが行われている場合です。反対に外発的動機は、お金や報酬・罰則といった外部からの動機によるものです。成人教育では、外発的動機から学習を行うよりも内発的動機によって学習を行う方がより効果的に教育を進められるとされています。ペタゴジーは反対に、親に怒られたくないなど外発的動機から学習を行っています。
アンドラゴジーを社内で利用する方法は、社内研修に活用することです。アンドラゴジーを行うと、成長を促せるというメリットがあります。社内研修で適切にアンドラゴジーを導入するためには、学習者に合わせた教材や活動の選定が欠かせません。学習目的を具体的に設定し学習することの意義や、将来のキャリアへの関連性を説明することで動機づけを高められます。社内研修で活用する際には、その場で終わらせるのではなく定期的にフィードバックを行い、必要に応じて目標の修正も大切です。
アンドラゴジーを社内研修で活用する際には、開催する目的を明確にしましょう。成人教育においては外発的動機よりも内発的動機の方が重視されるため、目的意識をもって取り組んでもらう事が大切です。何も説明せずに全社員対象の研修を実施したとしても、目的意識が芽生える事はありません。なぜその研修に参加する必要があるのか・参加してどういった成果が得られるのかという説明を事前にしておきましょう。研修に参加することに意味があると分かってもらえれば、目標意識をもって社員が研修に参加するようになります。
アンドラゴジーを社内研修で行うためには、社員の主体性を引き出す内容にすることが大切です。アンドラゴジーの特徴である自己概念に基づいて、成人教育は主体性を持って学ぶことが重要とされています。主体性を引き出すためには、講師が一方的に情報を伝える座学ではなく、参加者が積極的に発言や行動を起こす必要があるワークショップ式の研修が効果的です。実際に聞くだけよりも、手や足を動かし参加者同士でコミュニケーションを取りながら体験を通じて学びに繋がるような研修を実施することで、主体性を身に付ける事に繋がります。
同じ役職同士でディスカッションを行う事で、アンドラゴジーを社内研修で活用できます。アンドラゴジーの特徴から、学習者の教育には参加者それぞれの経験を共有し活用することで更に効果的に進めることが出来るとされています。こういった特徴を企業で生かしていくためには、役職やポジションが同じ人を集め過去の成功した体験から得る事の出来た学びについてディスカッションしてもらいます。立場が同じであっても経験していることは異なる為、お互いの経験を共有することでさらなる学びへと繋がります。
アンドラゴジーに関しての本は、ノールズ著の成人教育の現代的実践-ペダゴジーからアンドラゴジーへという本がお勧めです。3部構成でアンドラゴジーについて解説されています。成人教育の新しい役割や技術についての説明からアンドラゴジーの原理を企業で活用するために、どういった方法で導入していくのかといったマニュアルのような事も記載されています。アンドラゴジーについての説明だけでなく実際にプログラムとしてハウツーが記載されていることから、導入を考えている企業の人にもお勧め出来る内容になっています。
アンドラゴジーの特徴や、社内研修で活用する際のポイントについて解説しました。成人教育を成功させるためには、学習者の主体性を重視する研修内容をしっかりと見極め事前に研修の目的を伝えておくことが大切です。アンドラゴジーの理論を活用して社内研修を行う事で、社員の主体性を引き出し企業全体の生産性向上にも繋げる事が出来ます。アンドラゴジーの特徴をしっかりと理解し、社員が研修を通して深い学びに繋がるような研修設計を行っていくことが大切です。。アンドラゴジーを活用し、企業成長に繋げていきましょう。
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