日本企業の海外進出。その理由は?【課題・業界も解説します】

記事更新日:2020年05月15日 初回公開日:2020年02月14日

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海外進出を考えている日本の企業は多く、国内企業の海外進出は事業拡大や事業回復に必要な方法でビジネスチャンスが多くあります。しかし、海外進出の際にその国の知識や進出する際に必要な手続きなど多くの問題があります。また、日本企業の海外進出は国内では事業を拡大できないが、海外に進出することで拡大できる理由を明確にする必要があるでしょう。今回は日本の企業が海外に進出するために必要な知識や着目点を紹介します。

日本企業が海外進出を選択する理由(メリット)

海外市場規模でビジネスを拡大し売上を増大させるため

訪日外国人客の増加など日本ブランドの需要が高まっている

最近では、世界中で日本ブランドのブームが起きており、インバウンドを含めた需要の拡大が広がってきています。もちろん背景には、2019年ラグビーワールドカップの開催や、2020年(コロナウイルスの影響により2021年)に開催予定の東京オリンピックなどもあります。より一層外国人旅行客が日本にくる機会が増えていますね。また、インバウンドだけでなく海外では日本製の商品特に日本酒などや日本食ブームも起こっています。アジア圏の日本食レストランの数は、2015年から2年間でやく24,000店舗増加しました。

新興国の経済発展で消費力が高まりマーケットが拡大している

日本ブームが起きている背景には、東南アジアの地域で人口の増加があります。経済発展により消費購買力が向上していることがあげられますね。実際に、盗難アジアと日本の最低賃金で比較すると、東南アジアの賃金上昇率は非常に高いです。過去にはベトナムと日本では最低賃金格差が約50倍あったのにも関わらず、10年間で20倍まで減少しています。ベトナムだけでなく、中国、フィリピン、ネパールなども大幅に上昇しているため消費購買力の向上を見込むことが可能ですね。

日本国内の市場規模が縮小されているため

少子高齢化などによる国内マーケットの縮小

東南アジアなどでは、人口の増加からマーケットが拡大していますが、日本国内は少子高齢化に伴いマーケットが縮小の傾向にあります。また、日本の消費傾向も変化しており、若い世代ほど高価な物を買いません。必要最低限の物を揃えることで、満足するようになっていると考えられますね。日本企業は国内だけでなく海外進出を検討する必要があるのも背景と一つとして考えられます。

若者世代の消費需要の低下

特に国内の市場では、若者世代の消費需要の低下が著しく進んでいます。高級ブランドを購入することよりも、リーズナブルで使いやすい商品を好む傾向や、高級車などを購入することよりも旅行などの体験にお金を使うことが傾向としてみられます。また、若者のお酒離れも進んでいますね。パワハラなどの傾向からお酒を強要される機会も減り、お酒を飲む機会も減っています。

人件費や材料費などのコスト削減のため

発展途上国は先進国に比べて人件費や材料費が安い傾向にある

近年、東南アジアの賃金上昇率が向上しているといえども、日本と比べるとまだまだ低水準です。特に製造業などでは人件費を安く抑えることができ、大量生産を可能とするメリットがあります。新興国の人件費は日本国内の20%前後に抑えることができますね。また、材料費なども日本国内で仕入れるより現地で安く仕入れることができます。人件費、材料費の両面でコストを抑えることができるのも日本企業の海外進出のメリットと言えます。

日本国内では労働力確保が難しく人件費が高い傾向にある

日本は少子高齢化の影響から、年々労働力の確保が難しくなっる傾向にあります。2065年には日本の人口が8,800万人まで減少し、65歳以上の割合が38.4%まで上昇すると言われております。この結果から、特に製造業などの体力が必要な労働では、働き手が減少し稼働率が落ちることも見込まれますね。また、先進国と比べると日本の人件費は高い水準にあるためコストもかかります。

税制コストを削減できるため

日本企業が海外に「子会社」を設立し、本格的に進出する場合は、現地の税制に基づいて現地に税金を治めることが基本的なルールとなっています。そのため、法人税が日本と比べると安く抑えることが可能となりますね。日本はアメリカの次に高い税率を課せられている国であるため、日本国内で売上を上昇させるよりも海外で売上を伸ばす方が効率が良いです。そして、資産をためることができるといったメリットがあります。

既に海外進出している取引企業との連携のため

海外進出することで、海外の現地調達先などとの接点が増えることにより、連携をより一層強化することが可能となります。現地調達ができることによりコストも日本と比べると抑えることができ、輸入品を現地調達に変更することで、納期の縮小や為替リスク回避など様々なメリットがありますね。また、日本のハイクオリティな技術を現地企業は学ぶ機会となるため現地側にもメリットがあります。

日本企業が海外進出を選択しない理由(デメリット)

海外における人材確保の問題

流動的な海外労働市場において人材の定着率が低い

日本と比べると海外の労働市場はかなり流動的であり、雇用した労働者が次の日来ないなどといったトラブルもあります。また、技術指導を繰り返した労働者が外部に引き抜きされるなどといったリスクも存在します。逆に言えば、流動性が高いため、人材確保することもそこまで難しくなく、いかに良い人材を早く見つけ出すための仕組みを予め構築しておくことが必要となりますね。

人材が自社事業を理解し習得できるまで期間を要する

日本企業が海外で労働者を確保したあと、自社の技術や事業を伝えるための時間が必要です。日本で雇用した場合は、ある程度自社の雰囲気や、社会的責任、事業などを理解して入社される方が多いですね。しかし、海外では自社の名前すらほとんど知らないで雇用される場合もあります。そういった方々に対して、しっかりと自社の技術・事業内容を理解してもらうためには、予め一定の時間を確保しておく必要です。

現地の市場における競合の存在

日本企業が海外市場でビジネスを成功させるために、大きな問題の一つとして現地の情報が足りないという問題があります。現地に進出し実際に販売し始めてからマーケットを確かめるのではリスクが高すぎます。国や国際機関が出している統計情報を集めるだけでなく、現地人の意識やニーズなどを調査することが大切ですね。これらの情報を収集することで海外進出を成功させる指針を手に入れることができます。

現地言語でのコニュニケーションの問題

海外進出時に大きな壁となるのが、現地との言語の問題です。日本企業が進出する海外の地域では、日本語がわかる地域はほとんどなく、現地の商談や顧客対応などの際に現地の言葉を理解する必要があります。また、現地の言語がわからないことによる情報不足等にも繋がるため通訳者を準備するなど予め言語に対応するための体制を整えておくことは必要ですね。

海外進出における初期コスト負担

現地視察、海外調査エージェント委託料など情報収集にかかるコスト

日本企業が海外進出する際に、情報収集するために実際に行う場合、現地視察や海外調査エージェントに委託する方法があります。調査会社などに依頼する場合は、最小費用でも数十万円程度、多い物では数百万円かかることがあるため、予め情報収集にかかるコストを認識しておく必要がりますね。現地の生の情報を知ることが、海外進出で成功するための鍵となるため、調査の段階である程度のコストがかかることは仕方ない部分もあります。

事業を始めるにあたってのコスト負担

法人設立費、事務所設立費、専門家委託料などにかかるコスト

日本で事業を始める場合にもかかる費用ですが、海外で事務所を作成し登記するためには、海外法人設立費がかかります。また、法人の種類や形態も国によって変わるため、その国の専門家に委託する場合が多いため委託費用もかかってきますね。国によっては、現地企業より外国企業の場合は多く設立費がかかる場合もあるため、予め確かめておく必要があります。

取引先に営業するなど販売経路の開拓にかかるコスト

日本企業が海外進出する理由の多くには、現地の取引先との連携強化があります。日本にいながら現地の企業とコンタクトをとり販売経路の開拓することも可能ですが、現地に直接行くことでより一層連携を深めることができます。その際に、通訳者や、現地語を使いリサーチしてもらうことなど、現地の販売経路のカクトにかかるコストも予め考えておく必要がありますね。

多額の資金を投じても成功する保証がないため

日本企業が海外進出する際には、ビジネスを始める前の初期段階で多くのコストがかかります。ただし、現地の情報をしっかりと収集することでビジネスの成功の鍵を見つけることができるためある程度の初期コストは仕方ない部分もあります。いくら情報を収集して準備し多額の資金を投じても成功する保証はないため、最終的には得られた情報から海外進出についてどのように判断するかが重要になりますね。

海外生産よりも輸出拡大を主要としているため

費用対効果の高いネット販売の利用など

近年では、IT技術の向上によりネット販売に活路を見出している企業も多数あります。ネットで販売することで、世界中のマーケットへ展開することができ需要を獲得することが見込めます。それだけでなく、人件費などの削減などコスト削減のメリットや、営業時間や海外との時差などに囚われることなく販売できますね。そのため、オペレーション面に関してもメリットがあります。

日本企業の海外進出が成功するポイント

社会情勢から商機を見極める

海外生産などは、人件費などの労働コストを削減できることや、資材の調査などをすることで原材料コストの削減などのメリットがあります。その分現地の法規制の変化など様々なリスクが存在しております。現地の法律が変わり販売が停止になる等といったことも起こりえますね。海外生産でなく、輸出を軸にすることでリスクを避けることができます。

業種に沿った国で事業拡大を図る

国によって業種は大きく異なります。例えば生産業ならば、生産する際に材料を輸入しやすい地域や材料を獲得できる地域に事業を拡大した方が効率が良いですよね。そのため、海外に進出する際には進出する国の特徴を理解して、本当に適しているの確認する必要があります。また、現地で人を採用するにもその国の法律にしたがって事業を拡大しなければいけないので、準備が必要になります。

海外進出を支援する行政機関とサービスを利用する

全世界にネットワークを持つJETRO(日本貿易振興機構)

海外進出を検討する際には、現地の情報を入手することが大切です。JETORO(日本貿易振興機構)は、全世界にネットワークを持っているため、海外進出を検討している企業などは、チェックが必要ですね。現地調査などを含めて進出を検討できます。多くの現地の情報を入手し、自社のビジネスと照らし合わせてチャンスの有無を判断し、海外進出するまたは輸出戦略で海外市場を獲得するなどを判断することもできます。

中小企業に対する海外展開支援を行う中小企業庁

国内の中小企業が海外に進出するというのは簡単なことではありません。さらに、海外進出には多くのお金や準備が必要になり、大企業のように海外に多く進出している企業とはことなり、経験不足です。そのため、中小企業が海外に進出してビジネスを始めるのはハードルが高いですね。しかし、中小企業庁ならそんな問題も解決・サポートしてくれます。

知的財産の実務情報を管理している新興国等知財情報データバンク

新興国等知財情報データバンクは多くの国の知財情報が組み込まれており、海外進出を考えている企業は必ずといって良いほど、必要な情報を入手できます。海外で販売を始めるならばライセンスが必要、工場を建てるなら購入手続きが必要など日本で進める取引とは全く異なりますね。そこで手続きに支障を出さないためにも新興国等知財情報データバンクを使ってスムーズな取引を実現します。

中小機構が運営するサイト、中小企業ワールドビジネスサポート(SWBS)

中小企業ワールドビジネスサポートは中小企業が成長するのに必要なことを洗い出ししてくれてサポートしてくれます。海外進出で何が必要なのかは正直自分たちではわかりません。そのため、第三者の目が入ることにより、経営の課題やそれを解決するための支援メニューを提供してくれるので便利ですね。この中小企業ワールドビジネスサポートを使って海外進出した企業は多くあります。

日本商工会議所が運営するサイト、中小企業国際化支援ナビゲーター

中小企業国際化支援ナビゲーターは日本商工会議所が運営しているサイトでさまざまな企業の情報を入手できます。いろいろな国の情報や投資・事業拡大に関するお話など、ここからも多くのビジネスチャンスがあるので、海外進出を考えている企業には必要な知識ですね。ITにも力を入れているのでITで海外進出を考えている企業にもチャンスはあります。

その他、海外進出のサポートサービスを行う企業など

最近では多くの企業が海外に拠点を移したり、進出したりしている企業が多くあります。それに伴い、その海外進出をサポートする企業が増えているのも事実です。この海外進出を専門にサポートしている企業やサービスが多く設立されているので、それらを活用するのも便利ですね。情報を得て自分でやるよりも、委託して進めてもらった方がリードタイムもつめられるのでおすすめです。

今後も高まる海外進出の機運

今後は大手の企業だけでなく、中小企業も海外に進出する機会が増えてきており、事業拡大の方法として海外進出はメジャーになりつつます。それにより、海外進出サポートに特化したサービスや情報サイトなど多く提供されていますね。海外進出することで新たなビジネスチャンスが生まれることや企業が成長していくのは日本経済にとってもプラスに働きます。

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