記事更新日:2023年01月27日 | 初回公開日:2023年01月26日
用語集 人事・労務お役立ち情報 グローバル用語解説 外国人採用・雇用コアコンピテンシーとは、企業が持つ競合他社より優れた能力のことを指す言葉です。企業の得意分野や他社には真似されにくい独自の技術を指しています。このような技術や能力は、顧客に他社ではできない利益をもたらし、幅広い市場や分野で活用することが可能なものなのです。コアコンピテンシーを高めることは自社の能力や商品の付加価値、企業の競争力などを高めることにつながるでしょう。そしてこれは経営において非常に重要なものです。
コアコンピテンシーに似ている言葉にケイパビリティがあります。ケイパビリティとは組織全体にまたがる優れた能力のことを指します。これは経営において他社と差をつけることができる必要な要素であり、主に作業スピードや効率、品質などを指すのです。自社の強みとして、コアコンピテンシーと同様の意味で使われる場合がありますが、厳密には異なります。コアコンピテンシーが企業の核となる強みであるのに対し、ケイパビリティは事業を成功させるために必要な組織的な能力です。
コアコンピテンシーは核となる一定の水準を満たした能力ということができます。コアコンピテンシーの分野の一つに人格に関する分野があります。自己の成熟性を評価する項目として、感情理解(自己認識)、冷静さ(自己統制)、誠実さ(自己統制)、几帳面さ(自己統制)、慎重さ(自己統制)があります。また、ストレス耐性(自己確信)、徹底性(達成意欲)、自己理解(正確な自己評価)、思いやり(自己統制)、ビジネスマナー(礼儀)、規律性(自己統制)などもあります。
コアコンピテンシーには、行動科学分野もあります。非常に優秀な社員はがどのような行動をしているのかを分析し、その行動特性が明らかになったものを指します。たとえば営業成績が常にトップの社員は他の社員と比べて何を行っているのか、その行動の特性を把握するなどといったことです。単純に数字化できないものも含め、モデル化やパターン化した上で、他の従業員に展開していくことで、会社として業績向上を目指していこうという考え方なのです。
コアコンピテンシーは、3つの条件を満たした自社能力のことだと考えられています。その一つは、顧客に利益をもたらす自社の能力です。顧客に価値を感じさせることができなければ対価を得ることもできず、経営で使える能力とは言えません。製品を購入しようとする際に、顧客はコアコンピタンスの存在には気が付かないかもしれません。しかし利便性や価値を感じることができれば、サービスや製品を購入、利用することになるのです。
競合他社に真似されない能力も、コアコンピテンシーの条件の一つです。競合他社と差をつけたり市場で優位に立てたりすることは、経営上大きなメリットになります。どこの企業も持っている能力はコアにはなりません。市場競争を勝ち抜くためには他社が簡単には真似のできない、中核的な能力が求められるのです。C.K. プラハラードらによるとシャープの液晶技術やホンダのエンジン技術などをコアコンピタンスの例としています。
コアコンピテンシーには、複数の市場や製品にアプローチできる能力も必要となります。技術力が高いだけでは不十分なのです。技術をビジネスとして展開できるマーケティング能力や事業化能力を備えていなければなりません。たとえばホンダであれば、エンジンとパワートレインという技術力を自動車、オートバイ、芝刈り機、発電機などの製品に活用しました。そして多くの市場に参入し、マーケティングによって競争上の優位性を獲得していたのです。
コアコンピテンシ―の質を見極めるためには、5つの視点が必要です。そしてこの5つすべてをトータルでクリアしていれば、それは真のコアコンピテンシーだと判断できます。その一つが模倣可能性です。模倣可能性の有無を見極めるには、企業の強みが他社では真似られないものかを判断しなければなりません。模倣される機会が増えるほど、市場価値は下がってしまいます。一方で、他社が模倣できない強みは他の追随を許さないため、市場を独占することが可能なのです。
移動可能性もコアコンピテンシーを見極める視点の一つです。企業の強みが他の製品やサービスに応用や転用ができる能力を指します。「その強みは他の製品やサービスに応用できるか」を検討しましょう。移動可能性が高ければ、他の市場への市場機会が拡大しやすくなります。さまざまな市場において幅広く製品やサービスを提供することで企業イメージが生まれます。一つの技術やサービスの「汎用性」の有無だと捉えるとよいでしょう。
代替可能性という視点もコアコンピテンシーに欠かせません。企業が他には代えられないユニークさやオリジナリティ、技術力のあるコアコンピテンシーを持つということです。このコンピテンシーを持つことで、その分野において独占的なシェアを維持できるようになるのです。簡単に代替品が見つかってしまうのでは、コアコンピテンシーとは言えません。代替可能性のない技術や製品の開発は非常に困難ですが、コアコンピテンシーでは避けて通れないのです。
また、コアコンピテンシーを見極めるには希少性という視点も大切になります。希少とは、数が少なく珍しいということです。技術や特性が珍しく、その技術や特性などに希少価値が存在しているかどうかを見極めましょう。ただし一般的には、代替可能性と模倣可能性の条件を満たしている場合は、希少性もクリアしていると見なすことができます。代替可能性、模倣可能性、希少性という3つの視点を持ち、それぞれの視点で高評価を得られれば、市場を席巻する存在となるでしょう。
コアコンピテンシーを見極めるための耐久性という視点も忘れてはいけません。短期間で強みが消滅することなく、長期にわたり他社の追随を許さない競争的優位性を保つことができるか、ということです。耐久性が高いほどコアコンピテンシーの精度や価値、信頼性が保証されます。しかし現代社会の移り変わりは非常に激しく、技術の進化のスピードも速くなっています。その中で耐久性を保持し続けることはとても困難です。ブランド力があることは一つの耐久性になりますが、商品の価値という意味の耐久性を維持することが難しくなっている点に注意しましょう。
コアコンピテンシーを強める方法には、自社の強みと弱みを整理し把握するということがあります。様々な角度から強みと認識できるものをすべて洗い出しましょう。強みの洗い出しでは、競合他社の技術や特性、製品などと比較し、優位性を保っていると考えられるものを挙げることが必要です。ブレインストーミングによる洗い出しなど、自由な発想で考えてみましょう。強みと判断すべきかどうか迷う場合も、良いヒントになるかもしれないので強みとしておくことをお薦めします。
自社の強みを評価する場合には、いくつかの視点を用意することが必要です。顧客に価値をもたらすかどうかという視点もその一つになります。自社の強みとしたものが、製品やサービスに付加価値を与えるものになっているかを考えることが大切なのです。また、その強みは顧客を満足させるものかを評価することも求められます。自分たちが強みと思っている技術やサービスであっても、顧客がその強みに利益や満足を感じられないのなら、それは単なる自己満足でしかないでしょう。
5つの視点に従って、リスト化された強みをさらに絞り込みましょう。評価された強みの中から他社にはない強み、独自のビジネス形態や特技などを見極めていくのです。そして最後に、絞り込まれた独自の強みをコアコンピテンシーとして1つのフレーズにまとめましょう。コアコンピテンシーは将来に渡って自社の経営を支えるものになるのです。このため絞り込みの作業を行う場合には、単純に点数が高いものだけがコアコンピテンシーとならないように留意しなければなりません。
コアコンピテンシーは成功モデルの一部に過ぎないことを理解しましょう。コアコンピテンシーとされる特定の能力だけが、組織や社会の中で本当に競争優位を確立できるのかという点は疑問視されています。たとえば、SONYのコアコンピテンシーが小型化技術力だったとしても、それだけで高い実績をあげられたのかはわかりません。製造系の分野の企業ではコアコンピテンシーとして技術開発力があげられることが一般的です。しかし実際に市場で競争力を高めるには技術力だけでなく、製造を実現化するための基盤やデザイン、マーケティング、物流など、さまざまな能力が必要なのです。
組織の考え方を急に変化させることは困難であることを理解しなければなりません。コアコンピテンシーは重要だと認識できても、コアコンピテンシーと呼べるほどの大きな強みはないと考える企業もあるでしょう。しかしスモールビジネスであっても、自社独自の領域を見出してコアコンピテンシーを確立することは可能なのです。コアコンピテンシーは長期的なビジョンの下で確立されます。自社は顧客にどのような価値を提供できるかという視点を基本にして、10年先を見据えてビジョンを立ててみましょう。
企業が成長して発展を続けていくためには、他社が真似できない製品やサービスを顧客に届ける必要があります。しかしデジタル環境が進化した現代では、類似品がすぐに登場してしまいます。さらに機能を向上させた新製品がすぐに開発されるのです。他社と差異化できる強みが見つからなくても、分析してコアコンピテンシーや自社の強みを見極めることができれば、長期的な視点から顧客に提供できる価値を明確にできます。コアコンピテンシーを見極めて企業の成長に繋げましょう。
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