PIPを人事に活用するために【注意点やメリットをご紹介します】

記事更新日:2022年08月29日 初回公開日:2022年08月18日

用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報
昨今日本企業において広く導入されている業績評価制度とリンクして、従業員個人の業績改善を図ることを目的としてPIPが行われています。外資系企業を中心に始まり、日本企業にも徐々に広がってきました。成績不振とみなされた従業員に対し、一定の期間を設定して、上司と部下が話し合い、具体的な業績目標や取るべき行動を設定し、お互いにその進捗状況を密に確認しながら進めていくという、業務改善のための指導のひとつです。PIPを上手に活用することで業務改善に取り組み、効率化、コスト削減、人材の育成を進めていくことができます。

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PIPとは

業績改善計画のこと

PIP(Performance Improvement Plan)は 業績改善プログラムのことを指します。対象の従業員の業務を改善する為に、ある一定期間を設定し、上司と部下が合意の上で目標や取るべき行動を決めて互いに進捗を確認しながら進めていく業務改善指導の手法です。これは昨今日本の多くの企業でも取り入れられている業績評価制度と対になっており、今後の業績を上げる為にどうしたらよいのかを考えながら進めていくものです。

PIP自体には解雇通告の意味はない

近年、海外のグローバルカンパニーを中心に、PIPの達成が難しかった場合にはリストラする場合があるとの規定を設けている企業が見受けられます。実際に業務改善指導の一環として達成困難なノルマを与え、PIP未達成を突きつけて退職させようと仕向ける事例もあります。そのため、PIPを提示されると、それだけで解雇通告と見なす傾向がありますが、本来はPIP自体には解雇通達の意味はなく、該当する従業員のパフォーマンスを上げる施策なのです。

PIPを行うメリット

業務のムラやムダを減らすことができる

PIPの本来の目的は従業員に目標を設定し上司等周りの人間がサポートするというものです。上司と部下が細かく業務内容をチェックすることで、これまで行ってきた業務の中のムラやムダを減らすことができます。PIPを利用すると業績が上がらない原因を見つけ、よりよく改善する方法を一緒に考え変えていくことができます。そしてPIPによって人材を育成し戦力にすることができる可能性があります。PIP本来の目的通り今いる従業員を育成していく方が、結果的には会社のためになる可能性が高いでしょう。

コストを削減できる

PIPを行うことで、コストを削減することが可能です。一人一人の従業員達がこれまで行っていた業務の中のムダな仕事を減らすことで、余分な人件費や経費が減らせます。残業を減らすことも可能でしょう。効率を追求するPIPは、業務のスリム化のみならず、会社全体のコスト削減にもとても役立つのです。それに今いる従業員の業務改善をしていくのは、新しい従業員を雇って教育していくよりも時間もコストもかなり節約になります。

PIPのプロセスと手順

問題点の洗い出し

PIPを構築するためには、これまでの業務内容の問題点を洗い出すことから始めましょう。問題点の洗い出しが業務の効率化に繋がります。業務内容の一つ一つを掘り下げて見直し、業績が上がらない原因を見つけていきます。その上で問題点をどのように排除していくのか、あるいは効率化に必要なものは何かを考えます。そして当該従業員の力量を考えながら、期間を決めて一つ一つ具体的な行動のマイルストーンと目標を設定しましょう。

業務の可視化

一人の従業員が仕事を抱えてしまい、業務が可視化できていないと効率は悪くなります。PIPによって業務の可視化を促しましょう。可視化することでムダが省けますし、問題を共有することが容易になります。問題を早めに共有することで、業務の滞りを防ぐこともできます。業務の可視化とは業務全体の手順や各プロセスのつながりを明確にすることです。 業務の可視化には業務フローのプロセスマップを作成して、誰もが業務プロセスを見えるようにするのが基本です。

課題の設定

社内の課題解決に向けてPIPを有効に活用しましょう。社内で取り組むべき問題を課題とし、その解決に向けて一人一人の従業員は何ができるのかを考えて目標設定をします。設定された目標に向けて従業員が具体的に業務改善や効率化を実現することで、実際に社内の課題に変化が出てくるはずです。従業員も自分の目標が社内の課題解決につながることはモチベーションのアップになるでしょう。そして会社全体の業務改善、効率化につながります。

課題についての施策の検討と目標設定

PIPを行う場合には、課題に対してどのような施策ができるのかを十分に検討することが大切です。あまり長くない期間の中で効果が期待できる施策にしましょう。また当該従業員への負担の大きさを考える必要があります。効果が出ないような施策では本人のやる気を奪ってしまいますが、負担が大きすぎては自信を無くしかねません。PIPは目に見える効果があるような施策にすることが求められます。いくつかの施策を考えた上で、最善のものを選ぶようにしましょう。

課題の実行

課題は目に見える形で実行します。普段の業務をいつも通りにしていては、うまくPIPを遂行することができません。開始の日を決め、当該従業員がきちんと行うことができるように上司や周りの人々がサポートしましょう。上司は時々進捗を確認するなどしながら見守ることが大切です。また課題遂行上で問題が起きた場合には再度計画を見直す必要があります。計画を見直しても定められた期間内に課題がクリアできるように注意しましょう。

評価や振り返り

PIPを有効に活用するには、正しい評価と振り返りが重要です。業務の効率化が本当に実現できたのか、本人の働き方が改善されたのか、よく検証することでさらに改善する点が見えてきます。また、会社全体の効率化につなげることができます。当該従業員のモチベーションアップにもなるでしょう。もしPIPが失敗したのなら、そこから学ぶことも多いはずです。PIPの正しい評価と振り返りにより、会社は変わることができるのです。

PIPの注意点

社員がリストラとして捉えてしまうことがある

PIPは成績不振とみなされた従業員に対し、上司と部下が具体的な業績目標や取るべき行動等を設定し、一定の期間を設定してお互いにその進捗状況を密に確認しながら進めていくという、業務改善のための指導です。そのためPIPを言い渡されただけでリストラの可能性があると考えてしまう従業員もいます。実際にPIPが未達成の場合、解雇する場合があるという規定を設けている企業もあります。外資系企業の中にはPIPを悪用してリストラしようとする場合もあるようです。

現場での貢献度を理解する

業務改善がうまくできずにPIPが失敗した場合でも、従業員の現場での貢献度をよく見ることが大切です。現場で後輩の面倒をよくみているとか、職場の雰囲気づくりに貢献しているなどの会社への貢献度というものは全体的な業務の効率化に一役買っているにも関わらず目に見えづらいものです。数字には表すことができないものも評価していくことが社員の働きやすい環境作りに役立ちます。効率化を追うだけでなく、一人一人の特性や貢献度を評価することも忘れないようにしましょう。

成果までのプロセスを重視する

PIPで十分に結果を出せなかったとしても、成果までのプロセスを評価しましょう。従業員がそのプロセスの中でする工夫や努力の経験は、会社にとっての業務効率化の過程の一つです。PIPの経験や結果を振り返り、失敗を教訓として今後さらに業務効率化を考え実行していくことは、会社にとって必ずプラスになります。目標に向かって課題を解決するプロセスは、その人を成長させます。人事担当者は結果だけでなくプロセスを評価することの重要性を認識することが大切です。

具体的なPIPの施策例

業務内容の順位を決め不要な業務を減らす

具体的なPIPの施策として、業務内容の優先順位を決め不要な業務を減らすことが挙げられます。優先的な業務ではないにも関わらず時間がかかる仕事などは、ICT化などの効率化を考えてみましょう。同じような業務を行っている人や、仕事が速い人のやり方を見ることや、教わることもヒントになります。問題が発生した時の考え方や対応の仕方など、経験者から学ぶことも多くあります。当該従業員が仕事を進める上で問題となっているのは何なのかを見極め、効率的に進める方策を考えていきましょう。

PIPに役立つフレームワーク

QCD

企業内でPIPを行う際には、基本的な考え方としてQCD(Quality・Cost・Delivery)があります。どのような業務であっても、求められている質のものを、コストをなるべく抑えて、納期を守って提供することが大切なのは言うまでもありません。業務の効率化を進める上でもQCDを疎かにすることはできません。効率化を目指すことが目的ではなく、課題は何なのかを見極めた上で、施策を行わなければいけないということを従業員にしっかり伝えましょう。

ロジックツリー

PIPで問題解決に向かう場合の、ひとつの課題解決フレームワークとしてロジックツリーがあります。いくつもの問題を木の枝のように書き出してみることで、原因や解決法を発見しやすくなる手法です。思考する上で頭の中が整理しやすくなり、課題に対する解決策や改善策を見出しやすくなります。このような手法を活かして業務の効率化の問題点を明らかにし、問題解決の優先順位を明確にしてみましょう。その上でどのようなアプローチをして解決すれが良いかを考えることをお薦めします。

バリューチェーン分析

バリューチェーンとは原材料の調達から顧客に商品やサービスが届けられるまでに企業が行う活動の連鎖を、モノの連鎖であるサプライチェーンだけではなく、価値の連鎖であるバリューチェーンとして捉えたものです。そして企業の価値、強みを見出していくために各活動ごとに分けて行う分析をバリューチェーン分析といいます。バリューチェーン分析ではどの工程で高い付加価値が生み出されているのかが明確になりますし、各工程でのコスト削減や自社の強み・弱みを明らかにすることができます。

まとめ

PIPに取り組み業務の改善を図ろう

PIPを実施することににより業務の効率化が図られ、コスト削減に繋がり、人材の育成もできるというメリットがあります。PIPと聞くとリストラ対象なのかと思ってしまう従業員もあるかもしれませんが、きちんと評価と振り返りをすることでその心配は払しょくされます。上司と部下でしっかりと業務の分析を行い、問題の原因を把握した上で課題を設定し、施策を十分に検討しましょう。PIPで会社全体の課題解決に向けて、業務の効率化を推進していくことをお薦めします。

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