SL理論とは【SL理論のリーダーシップスタイルや活用する上での注意点を解説します】

記事更新日:2024年01月09日 初回公開日:2024年01月09日

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時代によって求められるリーダーシップは変化しており、その都度リーダーシップ理論にも影響を及ぼしています。あらゆる状況においても当てはめることの出来るリーダーシップは存在しませんが、比較的取り入れやすいものにSL理論というものがあります。SL理論は部下の状況に合わせて異なるリーダーシップを発揮するという特徴がある為、グローバル化や多様性が進んでいる昨今にピッタリなリーダーシップ理論です。SL理論について解説していきますので、組織でリーダーシップを取る人は参考にしてみてください。

SL理論とは

状況に対応したリーダーシップのこと

SL理論とは、状況に対応したリーダーシップのことです。SL理論はSituational Leadershipの頭文字から来ています。1977年に行動学者であるポール・ハーシーと組織心理学者のケネス・ブランチャードによって提唱されました。SL理論が提唱されるまでは、F・フィドラーが提唱していたコンティンジェンシー理論がありましたが、全ての状況に対応できるリーダーシップは存在しないという考えでした。SL理論はさらに掘り下げ、部下の成熟度という観点から発展させたものです。

SL理論とPM理論の違い

PM理論では自身のタイプを確認する

SL理論と似ているものに、PM理論がありますがPM理論では自身のタイプを確認します。PM理論は、社会心理学者の三隅二不二が1966年に提唱したリーダーシップ理論です。軸とタイプ別に分類する点がSL理論と似ていますが、PM理論では部下ではなくリーダーを分類します。SL理論とPM理論の最大の違いは、誰を見てリーダーシップを変化させるかという事です。SL理論は部下の能力に合わせたリーダーシップを行いますが、PM理論では自分のリーダータイプを分類しそれに合わせて能力を伸ばしていきます。

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SL理論におけるメンバーの分類

4段階に分かれる

SL理論においてメンバー、4段階に分類します。SL理論は部下の状況に合わせて活用していきます。具体的には、部下の能力やスキルの高さなどを4段階にレベル分けを行い成熟度別に対応を変えていきます。成熟度1は初心者のレベルになっており、新入社員やその業務未経験者が該当します。成熟度2はある程度業務を1人で行うことが出来る、中級者です。学ぶ姿勢があるが行動に移せていない人もここに当てはめます。成熟度3になると中上級者となり、最低限の指示で業務完遂が可能です。レベル4は上級者で、高い知識を持ち専門家として信頼できる状態です。

SL理論のリーダーシップスタイル

教示的リーダーシップ

SL理論のリーダーシップスタイルは、教示的リーダーシップです。教示的リーダーシップは主に成熟度1の部下に対して利用されるリーダーシップです。指示的行動を行う事が多く、成熟度1を対象にした人たちには援助的行動はあまり必要ありません。教示的リーダーシップを求めている部下にとっては、業務のゴールを明確化し結論に至るまでの道筋を指示してもらう事を求めています。業務の目的などは理解できていませんが、企業に貢献したいという意欲が高いため成長のきっかけを作ることが重要です。

説得的リーダーシップ

SL理論では、説得的リーダーシップもスタイルの一つです。説得的リーダーシップは入社2~3年目の中級者に当たる成熟度2で求められます。説得的リーダーシップでは、指示的行動と援助的行動の両方が多く求められます。成熟度2においては、業務の目的や姿勢を説明してほしいと考えている人が多くなります。成熟度1の人たちとは異なり、業務に対しての自分なりの工夫やアプローチ方法を考えるようになり意欲や興味を失わせないことが大切です。

参加的リーダーシップ

参加的リーダーシップは、SL理論のリーダーシップスタイルです。参加的リーダーシップは、成熟度3の部下に対して求められますが指示的行動が減り援助的行動が多くなる特徴があります。この段階の部下がリーダーに求めている事は、業務へのモチベーションを高め意思決定に関しての責任を分かち合いたいという事です。成熟度3の部下は、企業としての課題を自分事として考えられる能力を持っています。そのため、リーダーは自分の考えで行動するよう促しモチベーションを低下させないようにしましょう。

委任的リーダーシップ

委任的リーダーシップも、SL理論のリーダーシップスタイルの一つです。委任的リーダーシップは成熟度4の部下を対象としている為、指示的行動も援助的行動もあまり求められなくなります。部下は業務を遂行する能力を持っていることから、リーダーには業務の過程を見守ることが求められています。リーダーとして行う事はほぼありませんが、出来る限り部下がのびのびと仕事が出来るよう環境を整える事が大切です。仕事が出来るからと言って任せたままにならないよう注意しましょう。

SL理論において意識すべきこと

指示的行動と援助的行動を軸にする

SL理論において意識すべきことは、指示的行動と援助的行動を軸にすることです。先述したように、部下のレベルに合わせて取るべきリーダーシップが異なります。成熟度が低い部下に対しては、指示的行動を元に業務手順などを具体的な指示を行います。仕事の仕組みづくりを行いしっかりと部下の監督やフォローを行う事が大切です。援助的行動は、部下と信頼関係を構築しコミュニケーションや承認欲求を満たすことが重要になります。部下に接する時には、成熟度だけでなく2つの軸を意識しておく必要があります。

部下の状況把握と評価を行う

SL理論において、部下の状況把握と評価を行う事を意識しておきましょう。部下の知識やスキルは、やる気があれば日々変化していきます。この変化を見逃してしまうと、成熟度3になったにも関わらず成熟度2のままで説得的リーダーシップを行う事になり、部下のモチベーションはどんどん下がっていってしまいます。こういった事態を防ぐためにも、部下の状況把握を都度行い正確に成熟度を把握しておく必要があります。適した評価を行う事も大切です。

ポジティブな組織文化を構築する

ポジティブな組織文化を構築することも、SL理論において意識すべきことです。成長している企業では、商品やサービスに優位性があると考えるのではなく人にあると考えています。そのためSL理論を行うリーダーは、部下が業務を行っていく中で自分の価値を感じられる企業文化づくりを行う必要があります。部下が企業で働いていく上で、モチベーションを維持したまま積極的に業務に取り組むには、信頼関係を構築し成長を促しながらポジティブな組織づくりが欠かせません。

SL理論を用いた社員育成方法

SL理論を組織全体で学習する

SL理論を用いた社員育成方法は、SL理論を組織全体で学習することです。SL理論は、リーダーだけでなく組織全体で学ぶことでSL理論の知識や運用の目的・理由を共有することが出来るようになります。他の社員もSL理論の機能や運用目的を知ることによって、目指すべき目標も把握する事が可能です。具体的には、チームやビジネスユニット毎にメンバー全員が参加する講義やオンラインミーティングを実施するとよいでしょう。重要なのは、チームメンバー全員が参加して知識を共有することです。

運用について共有する

SL理論を用いて社員を育成するには、運用についてしっかりと共有しましょう。複数の部署などで成り立っている企業の場合は、SL理論の運用について情報共有することでより効率よく実践することが出来ます。他部署での成功実績や運用事例を共有することで、組織全体でSL理論について活用することが可能です。共有の方法も会社の通信環境に合わせた情報共有ツールを活用しましょう。専用の共有ツールがない場合には、ナレッジマネジメントツールでも共有することが出来ます。

SL理論を活用するメリット

部下の能力が向上する

SL理論を活用するメリットは、部下の能力が向上する点です。部下の能力や成長度合いに合わせた指導を行う事によって、部下はその業務に必要なスキルや知識を効率的に習得することが出来ます。成熟度別に指導を行うため、指導が足りない場合や能力に指導方法があっていないといった事も起こりません。適切なサポートをリーダーや上司から受けることが出来るため、業務中に行き詰まりを感じる事もありません。適切な指導を受ける事で、自信やモチベーション向上にも繋がります。

社員の定着率が上がる

SL理論を活用することで、社員の定着率を上げることが出来ます。業務における充実感や責任感が増すことで、企業への信頼にも繋がり定着率向上になります。リーダーが部下に適切な指示的行動や援助的行動を行う事で、部下は自分が行っている業務の目的や意味をしっかりと理解することが可能です。携わっている業務の目的や意味を理解できていないと、モチベーション低下にも繋がります。業務に対してのやりがいや、企業に対しての貢献心が生まれた部下は、業務に積極的に取り組み今働いている企業で長く働きたいと思うようになります。

生産性が高まる

生産性が高まるのも、SL理論を活用するメリットです。部下に合った方法で指導することによって、部下の能力が向上するだけでなく業務へのモチベーション向上にも繋がります。結果として業務に積極的に取り組むことが出来るようになり、生産性向上にも繋がっていきます。部下一人一人が成長していくことによって、チーム全体のパフォーマンス力が向上し組織全体のパフォーマンスにも影響します。組織全体の生産性を高めていくためには、部下に合わせて指導を行っていくことが大切です。

SL理論を活用する上での注意点

不公平だと部下から思われる可能性がある

SL理論を活用する上で、不公平だと部下から思われる可能性があることを認識しておきましょう。SL理論は、部下の成熟度によって接する時間が異なります。成熟度が1や2の部下に対しては、指示的行動が増える事から自ずと成熟度3や4の部下よりも接する時間が多くなります。このことが、部下にとって不公平感が生まれる原因です。こういった不公平感はリーダーへの不満感にも繋がってしまう可能性があるため、注意が必要です。1on1面談を行うなど、信頼関係を築いていくことで防ぐことが出来ます。

業務負担が増える

業務負担が増えるのも、SL理論を活用する上での注意点です。SL理論を行うリーダーは自分の業務と並行して、部下のフォローを行わなければなりません。ただフォローすればいいという訳ではなく、部下に合った方法で指導しなければならないため状況を常に把握する必要があり時間が掛かります。SL理論を最初からすべて行う事が難しい場合や、リーダーの経験値が浅い場合には部下の成熟度の把握など部分的に導入することをお勧めします。少しずつ慣れていった際に、リーダーシップスタイルの変化を行っていきましょう。

まとめ

SL理論を活用して円滑な組織運営に努めよう

SL理論のリーダーシップスタイルや、活用する際のメリット・注意点について解説しました。SL理論を活用して成熟度に合わせた適切なアプローチを行う事で、部下のモチベーション向上や成長を促す効果があります。メリットの多いSL理論ですが、従来の方法と異なり部下の成熟度に合わせて指導を行うためその分負担が増える可能性もあります。リーダー経験の浅い人がSL理論を活用するには難しい場合もあり、状況に合わせて少しずつ活用していくことも大切です。SL理論を活用して、円滑な組織運営を行っていきましょう。

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