記事更新日:2019年04月25日 | 初回公開日:2018年11月19日
外国人採用・雇用 外国人留学生の採用日本の就職活動では、一括で新卒採用されるが基本となっています。では、海外の新卒の学生は、どのような就職活動を行っているのでしょうか?また、日本人が海外で新卒採用してもらいたい場合はどうすればいいのでしょうか?本記事ではそんな疑問を解決したいと思います。
日本では、企業は社員を募集する際に、新卒の学生を一括で採用する方法をとっています。
この新卒採用には決まったステップがあり、それに従って学生が就職活動を行います。決まったステップとは、まず、就職活動の時期になると企業が新卒の学生を募集するために説明会などリクルート活動を始めます。そして、その時期に企業が募集している学年の学生は一斉にエントリーシートを書き、入社したい企業に送りはじめます。その後、企業が設けたテストを受けます。そしてそれに合格した学生が企業との面接を数回行い、内定を獲得するというものです。
日本で新卒の学生が就職活動を行う際に重要視されるのは、コミュニケーション能力、社会的常識、入社後伸びる可能性です。これらの点を重視する採用はポテンシャル採用と呼ばれます。
業務にかかわる能力があればプラスではありますが、そこまで重要視はされる傾向にはないようです。そのため、エンジニアの知識が全くない文系の学生が新卒採用でエンジニアとして採用されることもあります。
まったく知識のない学生を企業が採用することができる理由は、一括で新卒学生を採用するためです。企業は高いポテンシャルを持つ新卒学生を一括で採用し、研修を一括で行うことで業務に必要な知識を学生に教えることで、学生がしっかりと働けるように育成します。
日本では新卒の学生が企業に採用される場合、総合職もしくは一般職などのように、ポジションは曖昧なまま採用されることが多いです。入社後に面接や研修で企業が学生の適性にあった部署や職種に学生を配属するのが一般的とされています。
日本の新卒採用は一括で行われていますが、海外での新卒採用はどのようになっているのでしょうか?
実は一括での新卒採用という概念があるのは海外では韓国のみとなっています。韓国以外の海外では、新卒の学生を一括で採用をすることはしません。
では、海外の新卒の学生はどのように就職活動をしているのでしょうか。海外の新卒採用事情を国別にご紹介したいと思います。
日本の現在の新卒の就職活動ルールでは、卒業から約1年ほど前から就職活動を始めるのが基本となっていますが、韓国の新卒の学生の就職活動は卒業直前の大学4年生の9月ごろから一斉に始まるのが一般的です。そのため、日本のポテンシャル採用とは異なり、大学卒業間近の学生の実力を重視します。また、韓国では企業が新卒の学生を採用する場合、ポジションや職種を明確に提示しています。
日本の新卒学生の就職率は約98パーセントと売り手市場となっています。一方、韓国の新卒の学生の就職率は約60パーセントととても低い現状があります。そのため、韓国の学生は、海外での就職も視野に入れている学生が多いという現状です。
アメリカでの新卒学生の就職活動の時期は学生によって異なります。日本や韓国の新卒学生とは違い、大学在学中に就職活動を始めなければならないといったルールもありません。また、大学を卒業して、職がないという状態に陥っても今後の就職活動に不利に働くといったこともありません。それどころか、大学卒業後1年間は海外旅行に行くなど、自分が好きなことを大学を卒業して行うといった人も少なくありません。
では、新卒のアメリカ人はどのようにして就職活動をするのでしょうか?先ほどお伝えしたように、海外では韓国以外一括で新卒採用を行うといった習慣はありません。アメリカの企業は、ポジションがあいたら補充するために求人をだします。そのため、採用は通年行われています。しかし、その際の条件は募集されている職種の経験が必要とされることがほとんどです。
アメリカの企業は、ポテンシャルを秘めている学生よりも、即戦力になる人材を求めています。そのためアメリカ人は大学に在学している際に、長期インターンシップなどを通して経験値を稼ぐ学生が多いです。インターンシップで評価された学生は、そのままその企業で採用されることもあります。
また、アメリカの企業は学歴も重要視します。高学歴であるハーバードやスタンフォード大学の学生には専門のリクルーターがつくほどです。ただ、高学歴でも募集しているポジションの職歴がなければ採用されるのは難しいようです。
ドイツもアメリカと同じように、新卒一括採用ではなく欠員を募集することで人員を確保するため、就活シーズンと呼ばれるものはありません。また、日本のように卒業シーズンというものもなく卒業論文を早めに提出すれば早めに卒業できるというシステムもあります。
ドイツで新卒の学生が就職する際に重要視されるのは専攻です。日本やアメリカでは学歴を重視することが多いですが、ドイツの場合は学歴ではなく専攻が重視され、大学でどのようなスキルが身についたのか、そのスキルは企業で活かせるのかといったところが採用ポイントになります。
ドイツの企業もアメリカの企業と同じように即戦力となる人材を求めています。そのためドイツの学生は大学在学時に長期のインターンシップ(6か月から1年ほど)に参加し、インターンシップを終えた後にもらえる職歴証明書で自分のスキルを証明することで職を獲得しています。
タイでは、新卒の学生は大学を卒業してから就職活動を開始するのが一般的となっています。タイの新卒者の就職活動の方法は、人材派遣会社に登録したり、知人や家族から求人を聞いたりすることで職を探します。学校は新卒学生の就職活動を支援する場所はありません。ですのでタイ人は全て自主的に職を探す必要があります。
人材派遣会社では主に、キャリアアップしたい人たち向けに求人が出されており、中途採用の人と新卒が同じポジションを獲得するために競います。そのため、新卒の学生の失業率が高くなっている現状があります。しかしタイの学生はあまり新卒学生の失業率を気にしておらず、就職先が決まるまではバイトをしながら語学の勉強を行いながら自分を磨くようです。タイには様々な外資系の企業が参入しているため語学の勉強を行い外資系企業も視野にいれている人が多いため、語学に堪能なタイ人が多いです。
インド人の就職活動は様々です。エリート大学や工学系の学部を専攻している学生には学生の在学中に、日本と同じように企業が採用活動を新卒学生に対して積極的に行います。そのため新卒の学生が卒業する前に内定を獲得することができます。
エリート校ではない学生や有名大学でも文系の学生に対しては、企業が学生が在学中にアプローチすることは少ないです。また、大学にも就職活動を支援する課が存在しないことも多いため、インドの新卒の学生はすべて自分で就職活動を行なわなければなりません。
在学中に採用されなかった新卒の学生は、卒業も就職活動を続けなければなりません。そういった学生は、人材紹介サービスに登録するかコネで職を見つけているようです。
本記事の前半で海外の新卒採用事情をお伝えした通り、海外では新卒採用といった概念がほぼ無く、即戦力になれるかどうかで採用されるかどうかが決まります。そのため、専門性がない新卒の学生では、新卒としての海外就職は厳しい現状があります。
また、海外で就職をするためにはビザを取得する必要があるため、ビザをスポンサーしてくれる企業を見つけるのも難易度が高いといえるでしょう。
では、海外で新卒採用されるにはどうしたらいいのでしょうか?海外で新卒採用を望む場合は、自分が働きたい国、職種での業務経験が必要です。
この業務経験を得るには、長期海外インターンシップか、ワーキングホリデーを行うという方法があります。ただ単に長期海外インターンシップを行うだけでなく、即戦力となれるようなスキルを身に着けることができれば、海外就職を実現できる可能性も上がります。しかし、国によっては長期インターンシップやワーキングホリデーがビザの関係でできない場合もあるので注意が必要です。
新卒での海外就職を強く望む場合は、東南アジアは新卒でも海外就職を受け入れている企業が比較的多い傾向にあるため、新卒として海外で就職したい場合は東南アジアを探すと良いでしょう。
海外就職をすると、海外生活で必然的に日本語ではない言語を使うため、外国語スキルを向上することができます。日本語と他の言語を使うことができる人材は貴重であるため、他の言語を身に着けることができれば、大きなアドバンテージとなるでしょう。
海外就職をすると、現地の人や他の外国人と働く機会が多くなります。外国人は日本人とは異なる価値観を持っています。その中で業務を遂行していくには、異文化を理解する必要があります。そういった経験を積み重ねていくことで異文化適応能力が上がり、グローバル人材になることができます。
また、異文化を知ることは自分の視野を大きく広げてくれるため、人生がより豊かになります。
海外では残業をする人は仕事ができない人とみなされることが多いため、残業をする人は少ない傾向があります。そのため終業時刻になると気まずい雰囲気もなく帰宅することができます。ワークライフバランスがいいため、プライベートも充実させることができるでしょう。
現地で就職する場合は、給料は現地の人がもらう給料と同じになります。そのため国によっては日本の平均給料よりも低い給料しかもらえない場合もあります。しかし、そういった場合は、現地での生活コスト事態が低いため生活できなくなるといったことはないでしょう。
日本の企業は社員を成長させる研修や教育制度が整っているのに対して、海外の企業は即戦力になる人材を採用しているため、新人研修や教育制度が整っていない企業が多い傾向があります。そのため、自分でスキルアップを図っていかなければなりません。
海外で新卒採用された場合、職歴自体がない、もしくは職歴が十分でない場合が多いです。現地での仕事も自分の職歴やスキルに見合ったものになるため、責任のある仕事ができない可能性があります。
海外では新卒者をまとめて採用するという概念がなく、採用は即戦力になるかならないかで決まってしまうシビアな世界であるため、海外の学生は在学時にインターンシップなどを通して業務経験を積む努力をするとお伝えしました。
一方、日本では業務経験がない新卒の学生にも、専攻に関係なく就職チャンスがあります。新卒学生の就職率も98パーセントと海外と比較するととても高い状況であるため、日本の新卒カードはとても便利なものであるといえます。したがって、海外就職を希望する場合でも、まずは日本で働くのがベストな方法だといえます。しかし、新卒で海外就職するのも不可能ではありません。将来、学校を卒業して新卒で海外就職したい人は、大学をモラトリアム期間として考えるのではなく、即戦力になれるように事前に努力しておくと良いでしょう。
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