高プロ導入のメリット・デメリットは?【導入企業も紹介】

記事更新日:2021年01月14日 初回公開日:2021年01月14日

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高プロとは、高度プロフェッショナル制度の略称で、2019年4月1日に施行された比較的新しい制度です。労働時間の制限をなくすことなどから、導入前には残業代ゼロ法案などとの批判もありました。しかし、健康管理について相当配慮し、対象者の同意も尊重したうえでの導入となったのです。この記事では、まず、高プロの目的や裁量労働制との違いなどについて解説します。そのうえで、メリットやデメリットなどについて触れ、導入があまり進まない理由についても考えていきましょう。

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高プロとは

高度専門職の労働時間制限をなくす制度

高プロとは、高度プロフェッショナル制度の略称です。この制度においては、成果が必ずしも労働時間とは結び付かない高度な専門職に就いていて、収入もある程度高い労働者に対し、労働時間の制限をなくします。2019年4月1日に施行されました。適用された人については、労働時間の制限がなく、休憩時間の規定もありません。つまり、深夜に及ぶ残業や休日出勤をしたからといって、賃金は増えないわけです。しかし、仕事の進捗状況によっては、短時間の勤務ですませることも可能となります。労働時間にかかわりなく、成果をあげることが求められるのです。

高プロの目的

労働生産性の向上と創造性の発揮

高プロの大きな目的は、残業等の枠組みを撤廃し、労働生産性を向上させることです。従来は、残業が多ければ多いほど賃金が増える仕組みとなっていました。このため、残業代を得ることを目的に、いたずらに労働時間を長くする労働者が存在していたことも否定できません。労働時間にかかわりなく成果によって賃金が決まることになれば、残業をしても賃金は増加しないので、効率よく働こうという意識が強まり、労働生産性が向上することが期待できます。加えて、労働時間や休日にとらわれない自由な働き方を促すことで、創造性を発揮していくことも期待されるのです。

高プロの対象範囲

労働時間と成果の関連性が低い職種

高プロの対象となる労働者は、労働時間と成果の関連性が低い職種とされています。加えて、専門性が高いことや、年収が平均給与の3倍を相当程度上回る(年収1,075万円以上)ことも求められているのです。具体的な職種として、金融関係では、金融商品の開発業務と金融商品のディーリング業務があります。また、企業や市場等を高度に分析するアナリスト業務も対象です。更に、経営戦略等に関する高度なアドバイスを行うコンサルタントの業務と、新たな技術開発等を行う研究開発業務も対象に含まれます。

高プロと労働者の意識改革

主体性と効率化の確立

高プロを適用される労働者は、労働時間の制約にとらわれなくなりますから、主体的に時間と仕事の進捗を管理していく必要が生じます。仕事の進捗を管理するにあたっては、独自の判断で行うのではなく、会社の意図を正しく認識しておくことも大切です。加えて、短時間で効率的に成果をあげることこそ会社への貢献であるという意識も持たなければならないでしょう。日本では、労働時間が長ければ会社への貢献も大きいという考え方の管理職や労働者も少なからず存在すると思われますが、こうした考え方を払拭することも望まれます。

高プロの問題点

働かせ放題となるリスクがある

高プロがはらんでいる大きなリスクは、残業代を支払う必要がなくなるため、企業が労働者を働かせ放題にしてしまうことです。職務範囲については、使用者との合意のうえで明確に定めることが必要となっています。しかし、職務範囲が相当な長時間労働を要するケースや、職務範囲として必ずしも明確となっていない仕事を要求されるケースも危惧されるのです。高プロの導入にあたっては、「残業代ゼロ法案」などの批判もありましたね。企業の側が、加重な労働を求めることがないよう注意していく必要があるでしょう。

高プロと裁量労働制との違い

裁量労働制には労働時間という概念がある

裁量労働制であっても、出勤時間と退勤時間は自由であり、通常の残業手当は支払われません。しかし、労働時間という概念はあり、あらかじめ定めておく「みなし労働時間」が1日あたり8時間を超える場合は、超えた分の残業手当は支払われます。また、深夜勤務や休日勤務についても手当が支払われるのです。高プロでは、一定額以上の年収が求められますが、裁量労働制の場合は年収の制限がありません。裁量労働制であっても対象職種は限定されていますが、高プロの対象職種よりも幅が広くなっています。

高プロのメリット

労働生産性が向上する

高プロが適用される労働者は、労働時間にかかわらず、一定の成果をあげさえすれば同じ賃金を得られます。そのため、短い時間で効率的に仕事をやり遂げようというモチベーションが強まるでしょう。したがって、労働生産性が向上していく可能性が高くなります。残業手当を稼ぐために非効率的な働き方をすることはなくなるのです。社員のモチベーションが向上することは、企業にとっても大きなメリットとなります。また、仕事が遅く残業が多い人の方が、仕事を効率的に行い残業が少ない人よりも賃金高いという不合理な状況も改善されるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスを実現しやすい

高プロが適用される労働者は、勤務時間や休暇を自由に決めることができ、効率よく仕事をこなせば労働時間が減少します。したがって、ワーク・ライフ・バランスを実現しやすくなるでしょう。仕事以外にやりたいことのために時間を確保したり、満員電車を避けたりするなど、その人にあった形で働ける可能性が高まります。ワーク・ライフ・バランスが実現し、仕事以外の経験が増せば、仕事に関しても新たな視点を持つことができるでしょう。そのことが、独創性を持ったサービスや商品などの開発につながる可能性も生まれるのです。

高プロのデメリット

長時間労働となる可能性がある

高プロが適用される労働者には、労働時間の制限がありません。したがって、所定の成果をあげるまでに、かなり長時間働く必要が生じることもあり得るのです。また、成果を評価するにあたっても、基準があいまいであれば、完璧を期すあまり、労働時間が長くなることもあり得ますね。こうした長時間労働の結果、健康を損なうことも危惧されるわけです。長時間労働を防ぐためには、達成すべき成果を無理のないものにし、評価基準を、分かりやすく労働者の納得が得られるものにすることが必要でしょう。

残業代がなくなる

高プロが適用される労働者は、長時間にわたって働いたとしても、残業代や深夜手当を受け取ることができません。予期せぬ事態が生じたことなどから、成果をあげるために当初の見込みよりも相当な長時間を要する場合もあるでしょう。こうした場合でも残業代は支払われないのです。高プロは、常に効率よく仕事を遂行できれば、ワーク・ライフ・バランスも確保できる非常によい制度です。しかし、そうでない場合は、高プロが適用されているといっても、時間あたりの賃金は、さほど高くないものになってしまいます。

高プロで得する人

労働生産性が高く若い人

高プロでは、成果と賃金の関係が明確になります。そのため、労働生産性が高い若手の労働者は、高プロが適用されれば、賃金の大幅なアップが期待できるでしょう。年功序列システムのように、年長者よりも安い賃金で我慢を続ける必要はなくなるのです。そして、高い成果をあげることができれば、更なる賃金のアップの可能性も広がります。また、高プロの適用を受けて良好な成果を上げている人であれば、好条件での転職の可能性も広がっていくでしょう。ヘッドハンティングの対象となるかもしれません。

高プロで損する人

労働生産性が低い人

労働生産性が低い人は、高プロを適用されると損をする可能性があります。労働生産性が低ければ、成果をあげるためには長時間の労働が必要となりますね。しかし、長時間の労働や深夜に及ぶ労働をおこなったとしても残業代は支払われません。また、年功序列的要素が全くない完全な成果主義となるので、成果が不十分であった場合は、翌年度の賃金が減額される可能性も生じます。高プロが適用される場合は、仕事の効率を上げ、労働生産性を高めていくことが非常に重要となるわけです。

高プロ導入に関する注意点

労働基準監督署への届け出等が必要

高プロを導入するには、会社に設置した労使委員会で、対象業務や対象労働者などを5分の4以上の多数で議決し、労働基準監督署に届け出る必要があります。労使委員会が設置されていない会社にあっては、まず、労使それぞれから選出された委員で構成される労使委員会を設置する必要があるわけですね。また、対象労働者に関しては、年収見込み額が1,075万円以上であることが必要となります。この金額は、あらかじめ確実に支払われることが約束されたものでなければならず、例えば、成果に応じて支払うボーナスなどは含まれません。

本人の同意と健康確保措置が必要

高プロ導入には、適用される労働者自身の書面による同意も必要です。更に、健康確保措置として、年間104日以上、かつ4週間で4日以上の休日を確保することなども義務付けられています。残業という概念はないものの、オフィス内やオフィス外で労働した時間を健康管理時間として把握する必要もありますね。そして、健康管理時間が週40時間を超え、超えた時間が月に100時間よりも長くなった場合は、医師による面接指導をおこなわなければなりません。健康確保措置等については、実施状況を、6か月以内ごとに労働基準監督署に報告することになります。

高プロの導入状況

導入はあまり進んでいない

高プロは2019年4月1日に施行された制度ですが、2020年9月末の時点で、労働基準監督署に受理された届出の実数は22件です。また、高プロの対象となる労働者の人数は858人となっています。ちなみに、施行の1年後である2020年3月末の時点での届け出数は12件、適用となった労働者は414人でした。高プロの導入企業や対象者は少なく、導入はあまり進んでいないといえるでしょう。しかし、導入後1年で414人だった対象者が、その後半年で858人と400人以上増えていることから、徐々に導入が拡大しつつあるようにも見えます。

高プロの導入が進まない理由

対象の限定と導入ルールの厳しさ

高プロの導入はあまり進んでいませんが、その理由の1つは、対象を5業種に限定したうえで、年収要件も1,075万円以上と高い水準としていることです。2つ目の理由は、運用にあたって必要となるルールが厳しいことでしょう。労使委員会を設置することや、様々な健康確保措置をおこなって半年以内ごとに労働基準監督署に報告することなどが必要とされています。また、本来は高プロを活用したいケースであっても、適用が比較的容易である裁量労働制で済ませている例があるかもしれません。

高プロに対応できる力を身につけよう

高プロは、2019年4月に施行された新しい制度です。現在は、あまり導入が進んでいない状態ですが、適用される人の数は徐々に増えてきているように見えます。将来的には、適用される職種が拡大される可能性もあるでしょう。専門的業務についている人にとっては、いずれは高プロを身近な問題として感じる時がくることも考えられますね。高プロは、労働生産性が高い人にとっては大きなメリットがある制度です。日ごろから効率的に働いて労働生産性を上げる工夫を続け、高プロに対応できる力を身につけておくことが望まれます。

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