記事更新日:2024年10月31日 | 初回公開日:2024年10月31日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報試用期間とは、本採用の前に適正や能力を判断する期間のことを言います。試用期間の間に勤務態度や適性、能力を評価することで正式に本採用するかどうかを決定します。そして、それらを考慮して基準に満たず適性がないと判断した場合、解雇をすることが可能です。ただし試用期間開始日から14日経過した後の解雇は30日前の解雇予告が必要です。試用期間があることで適性・勤務態度・健康状態の確認をすることや、互いにミスマッチを防ぐことができること、配属先の判断材料にすることが可能です。
契約社員とは、有期労働契約を結んだ社員のことを指します。有期労働契約の期間は、原則として最長3年と労働基準法に定められています。企業と社員の合意のもと、契約を更新した場合には、新たな契約期間で雇用が継続します。一方、更新せずに契約終了となった場合には、退職の扱いになります。また、法律上は契約社員という雇用区分の記載は実はありません。企業によって有期契約社員の呼び名は様々です。契約社員・準社員・非常勤・臨時社員・パートナー社員・嘱託などがあります。
契約社員と正社員の大きな違いは、契約期間が決まっている有期雇用であるか、定年まで勤務できる無期雇用であるかという点です。また、雇用期間や昇進については契約社員は正社員に比べて限定的です。加えて、契約社員と正社員で賞与や退職金の有無が異なる場合もあります。しかし、給与や休日・休暇、社会保険などの基本条件については、契約社員と正社員では大きな違いがあるわけではありません。したがって、契約社員だからといって無条件に正社員よりも待遇を悪くすることは認められません。
契約社員は、正社員同様に試用期間を設けることが可能です。まず前提として、試用期間は長期雇用を想定しているため正社員に設けられるのが原則です。長く雇用することを保障され、かつ、解雇が制限されているからこそ、雇用の開始時に試用期間における慎重な判断をする必要があるためです。他方、契約社員でも試用期間を設けたいニーズはあり設けることは可能です。しかし、契約社員も期間途中の解雇が難しいのは同様です。
契約社員に試用期間を設ける方法として、雇用契約書に記載することが挙げられます。雇用契約書は雇用の内容を確認する書類です。試用期間を設けるかどうかは労働契約の内容の一部です。したがって、労働契約の内容として労使間で合意をした上で雇用契約書に記載することが求められます。会社側には雇用の開始時に、労働条件を明示する義務があるため、労働条件通知書などを作成して入社時に示すのが一般的です。
契約社員に試用期間を設ける方法として、就業規則に記載することが挙げられます。就業規則とは、従業員の賃金や労働時間などの労働条件や職場内の規律など雇用に関するルールを企業ごとにまとめた書面を指します。労働契約の内容は、雇用契約書に記載するだけでなく就業規則にも書いておくのが良いでしょう。特に、試用期間のような対象となる社員全体に適用される制度は、就業規則に定めることで全社的に周知するのが好ましいです。また、常時10人を越える社員のいる事業場では、就業規則を作成し労働基準監督署へ届け出る義務があります。
契約社員に試用期間を設ける際の注意点として、試用として適切な期間を設けることが挙げられます。契約社員で試用期間を付けられる際に、長すぎる期間を定めることは不適切です。正社員であれば、無期限で雇用されるうち初めの3ヶ月から6ヶ月を試用期間とするのが通例です。他方、有期雇用の契約社員の場合は、年間労働契約期間のうち6ヶ月が試用期間だと契約の半分が試用期間となってしまいます。違法性のラインの明確な基準はないですが、契約社員の試用には、適切な期間があることをおさえておきましょう。
契約社員に試用期間を設ける際の注意点として、待遇に気をつける点が挙げられます。試用期間だからといって無給はもちろん違法です。しかし、試用期間の給料は本採用時よりも低く設定することができます。その際に注意する点は最低賃金です。都道府県労働局長の許可を受ければ、個別に最低賃金の減額が認められていますが、原則として最低賃金以上の給料を設定する必要があります。また、試用期間中であっても、雇用契約を交わした労働者であることに変わりはないため、残業や深夜勤務があれば残業代や必要な手当を支払う必要があります。
契約社員に試用期間を設ける際の注意点として、期間中と後で雇用形態は変わらないということです。一定期間は有期雇用契約とし、その後正社員雇用を行う場合には、再度雇用契約書の取り交わしが求められます。自社内で有期雇用契約から無期雇用契約に転換する場合だけでなく、紹介予定派遣の仕組みを活用して見極めを行い、自社に合いそうな人を自社で正式に採用するケースもあります。なお、有期雇用契約の更新に関しては上限規制があります。試用期間はあくまで雇用契約期間中のことであり、試用期間中も上限の通算期間にカウントされる点には注意しましょう。
契約社員を試用期間で解雇するためには、やむを得ない事由が必要になります。民法628条には、やむを得ない事由による雇用の解除が記載されています。また、労働契約法17条は、民法のルールを更に詳細に定めています。契約社員は、たとえ試用期間であっても、その試用期間の満了時はまだ有期契約の最中です。したがって、たとえ契約社員に試用期間を設定しても本採用拒否をするにはやむを得ない事由が必要です。やむを得ない事由は、解雇に求められる正当な理由よりも、高度な必要性に基づくものでなければなりません。
では、やむを得ない事由となる場合はどんなときでしょうか。まず、やむを得ない事由として、病気などんで休業復帰が困難と考えられる場合があります。不慮の事故、病気やケガが原因で一時的に働けないときは休職をすることが一般的です。業務中のケガや事故で休職をした場合には、休業期間とその後の30日間は従業員の解雇ができません。ただし、療養して3年を経過しても傷病が治らない場合には打ち切り補償を支払うことで解雇制限が解除されます。また、労災の傷病補償年金が支給されている場合も解雇可能です。
やむを得ない事由として、勤怠不良である場合が挙げられます。正当な理由がない遅刻や欠席を繰り返し、企業が指導をしているにも関わらず改善しない場合は正当な解雇事由として認められます。ただし、それには明確な回数が決められているわけではありません。遅刻や欠席を繰り返した人に対して指導をしても直らない場合のみ正当な解雇事由となります。具体的に、2週間以上の無断欠勤に関しては解雇予告をおこなう必要がないと厚生労働省が認めています。企業が指導や教育を何もしていないのに解雇してしまうと、不当解雇にあたってしまう可能性があるので注意しましょう。
やむを得ない事由として、経歴詐称が判明した場合が挙げられます。企業に応募する際に提出した履歴書や職務経歴書の内容や保有資格などが虚偽の場合は経歴詐称となります。たとえば、資格取得していないのに資格が必要な業務に当たっていた場合は重大な経歴詐称として正当な理由での解雇をすることができます。ただし、経歴詐称が発覚したとしても内容によっては解雇できない場合もあります。たとえば、学歴詐称があったとしても、そもそも学歴不問として採用した場合は解雇が認められない可能性もあります。
やむを得ない事由として、協調性がない場合が挙げられます。会社は協力が大事な環境であるため、協調性は非常に重要です。企業が従業員に指導したとしても反抗をし続け、それでも改善の見込みがない場合のみ解雇事由として認められます。行為が繰り返しおこなわれている、指導、教育をして本人が努力をしても改善しない、協調性がないことで他の業務に支障が出たというような点を加味しつつ考える必要があります。
やむを得ない事由として、一定の成果がない場合が挙げられます。教育期間や試用期間を設けて指導を実施し、配置転換を試みたにも関わらず成績が明らかに悪い場合は、正当な解雇事由とみなされます。試用期間中に最低でも月3件のアポをとることや、試用期間の3カ月間で資格の試験に合格することなど、明確な基準を設けてその基準に達しない人材は解雇すると記載するケースもあります。
契約社員との試用期間中のトラブルを避ける方法として、求人の表記は明確にしておくことが挙げられます。試用期間中によくあるトラブルのひとつに想像していた仕事内容と違ったということが挙げられます。例えば、チャレンジングな職場環境と聞いていたが実際は風通しが悪かったことが挙げられます。不利な内容をあえて求人票に記載する必要はありませんが、実際の仕事内容と異なることを書くとミスマッチにつながりかねません。求人票には入社後に任せる予定の業務を具体的に記載し面接の場で仕事内容について伝えることが重要です。
契約社員との試用期間中のトラブルを避ける方法として、人材の特徴を考慮したプログラムやフィードバックを実施することが挙げられます。有効なフィードバックや指摘のためには、従業員が受け取りやすい伝え方やコミュニケーションが重要です。しかし、人それぞれ伝え方や受け取り方には差があります。教育担当者と新人の相性が悪い場合、人間関係の悪化や不安や不満につながりやすくなり離職リスクが高まります。人材に合わせた対応を行なうことが非常に重要です。
このように、契約社員の試用期間に関するルールは基本的には正社員と変わらず待遇の変化もありません。したがって試用期間中に解雇する場合でも正社員同様にいくつか注意しなければならないことをお伝えしました。また、試用期間中にトラブルが起きることを回避するためにも人材ごとの考慮や求人の明確な記載などいくつかの方法があります。このような点をふまえて、契約社員に試用期間を設けましょう。最後までお読みいただきありがとうございます。
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