記事更新日:2021年06月11日 | 初回公開日:2021年02月01日
グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報ポータブルスキルは「持ち運び可能な能力」「仕事をする上で重要な能力」と定義されています。持ち運び可能な能力と言われてもピンときませんが、わかりやすく言うと、違う職場で働くことになった場合にも「持ち運びできる能力」のことです。つまり、どこの職場や環境でも通用する能力のことを指し、採用活動においても注目されてきました。職業や時代に関わらず活用できるスキルは、新たな環境で適応するためにはとても大切です。また、資格などのように数値や合否など、明確な基準がないことも特徴のひとつです。
能力を評価する際の基準となるスキルには、ポータブルスキルのほかに「スタンススキル」「テクニカルスキル」が挙げられ、ピラミッド状の図表で現されてきました。構図は、一番底辺となる部分がスタンススキル、真ん中がポータブルスキル、頂点の一番小さな部分がテクニカルスキルです。つまり、ポータブルスキルは、この3基準のひとつであり、これのみで評価することはできません。特定の業種や職種、時代背景にとらわれない能力のことを指しますが、それ以外の基準も含めて総合的な能力が求められます。
一番底辺の部分で土台として認識されている「スタンススキル」とは、物事に直面した際に取る立場や姿勢など、基本的なビジネススキルのことを指します。ビジネススキルにおけるスタンスと言ってもいろいろとありますが、一般的には自分のキャリアを築く上で抱く「意識」や「感覚」という意味が含まれています。働くうえでの軸部分と言っても良いでしょう。また、仕事に対する基礎能力を図る「ビジネスポテンシャル」を指す場合もあります。
ピラミッドの頂点にある「テクニカルスキル」とは、特定の職種や業界で必要とされる能力を指します。専門性が高い分野での作業を任されることも多く、スペシャリスト採用と言われることもあります。求められる知識や資格で他の人と差別化を図ることができ、テクニカルスキルによって最前線で活躍する機会を手にすることもあるでしょう。また、他の人にはない能力を履歴書や面接でアピールすることにより、転職の際に自身の強みにすることも可能です。
ポータブルスキルが必要とされる背景として一番大きいのが、終身雇用制度の崩壊です。定年まで1つの会社で勤め上げることが美徳とされ、当たり前であった時代は終わりを告げました。ひとつの企業でしか通用しないスキルだけでは、変化の激しい時代を生き抜いていけません。ビジネスマンとして生き抜いていくためには、特定の業種や職種にこだわらず、幅広い分野で活躍できる人材が求められます。このような時代傾向が高まるにつれ、ポータブルスキルを重要視した採用や人事評価を取り入れる企業が増加しています。
ポータブルスキルのメリットとのひとつに、マネジメントスキルの向上が挙げられます。厚生労働省は、とくにホワイトカラーであるミドル層(管理力)における、労働・マネジメントの円滑化に活用できると明記しています。35〜55歳のミドル層は、個人の能力を上げるスペシャリストとしての活躍に限らず、職場環境の改善など幅広い分野での活躍が期待されるでしょう。また、若手教育といったマネジメント能力も期待され、特定の資格や能力だけでは対応し切れない状況も増えてきます。
ポータブルスキルは、ある特定の業界や職種に限定されたスキルというよりは、幅広く活用できるスキルです。そのため、偏った考え方に捉われず、柔軟に物事を見定めることができ、新たな能力開発に役立つとも言われています。ポータブルスキルは、特殊な技能ではありません。だからこそ、日々の業務の中で何気なくやってきたことをいかに客観視し、論理的に考えていけるかが大切です。誰にでも努力次第で伸ばすことができるスキルだからこそ、若手の成長意欲を伸ばすことにも繋がるのです。
ポータブルスキルとは、どこでもどんな職種でも通用するスキルのことを意味しており、ポータブルスキルに関する特別な資格がある訳ではありません。専門知識や技術に関する資格、またはTOEICなど語学に関するものの中には、他業種に行っても役立つものもあるでしょう。しかし、ポータブルスキルには、仕事の仕方や人との関わり方も含まれており、総合的な能力を持ち合わせていなければいけません。そのため、資格を取得しているだけではポータブルスキルが高いとは言い難いのです。
ポータブルスキルは主に3つに分類されます。ひとつ目の思考力は、あらゆるスキルの土台となるもので、しっかりと身に着けておくことで他のスキルも効率よく取得していくことができると言われています。ポータブルスキルを向上させようと思ったら、まずはここから強化していきましょう。思考力の中は、決断力や判断力も含まれ、経験と成功体験の積み重ねにより身につくものも含まれます。このスキルは、どんな分野でも活躍ができる可能性が高く、職種や業種に関わらず、雇用機会が高まると言うメリットもあります。
2つ目の対課題スキルとは、その名の通り「課題」を見つけて「解決策」を思案し、それに向けて行動していくスキルを指します。仕事をしていると、あらゆる場面において問題を解決するための能力を求められることも多いでしょう。そもそも、企業の多くが社会の「課題」を解決することに存在価値があります。そのため、どのような業種で働いたとしても問題を解決することを求められ、仕事の出来栄えなど、より高いスキルが必要とされます。
3つ目の対人スキルとは、「人との関わり方」や「コミュニケーション」を取る際に求められるスキルです。多くの仕事において、さまざまな関係者とやり取りをして進める必要があり、コミュニケーションなくしては仕事は進みません。この能力を取得することで、組織やプロジェクトの中で、自分がどのような立ち位置を取るのが最適なのかがわかり、効果的に遂行していけるようになります。仕事ではチームワークが必要とされ、チームメンバーが気持ちよく働ける環境になることで企業の生産性も向上します。
アンポータブルスキルとは、ポータブルスキルと逆の意味の「持ち運びできない」スキルを指します。特定の業種や職種においてのみ活用できる知識やスキルが該当します。アンポータブルスキルを身につけることも重要ではありますが、転職など中長期的なキャリア形成のうえでは、それだけでは不十分でしょう。ポータブルスキルは、企業内に関わらずビジネス市場の相対比較で決まります。日頃から同世代の人と比較し、自分の立ち位置を把握する習慣をつけておくと良いでしょう。
ポータブルスキルを磨くために重要な行動が「計画を立てて仕事に取り組む」ことです。まず仕事に取り掛かる前は、仕事の優先順位を立て、重要性や緊急性の頻度に応じて最優順位を割り振ることが重要です。もし計画通りに進まなかったとしても、進捗状況によって計画を見直し、業務を納期までに収めなければなりません。常に変化する社内環境や顧客の要望に対し、柔軟に対応できるようなることがポータブルスキルを磨くことに繋がります。
ポータブルスキルは、個人の能力と思われがちですが、マネジメントスキルもポータブルスキルの重要な要素です。人事評価を活用して部下を育成していくことでポータブルスキルを磨くことができます。最近では、厚生労働省によるポータブルスキルを高めるための専門研修といったものも注目されるようになってきました。プレイヤーとしては成果を出せていた人がマネージャーになると急に評価されなくなることも多く、部下の育成は年齢を重ねるほど重要度が増すスキルと言えるでしょう。
ポータブルスキルの重要な能力の中に「課題を見つける」と言う項目があります。これは今日、明日ですぐに身につくものでなく、この能力を磨くためには常に課題を探しながら生活を送らなければなりません。ポイントは、仕事中に発生する課題だけでなく、日常生活の中に起こるちょっとした課題を見つけることです。普段何気なく取り組んでいる業務の中にも、課題が潜んでいることがあります。常に課題を発見できるアンテナを張っておくことがポータブルスキルを伸ばす鍵になるでしょう。
ポータブルスキルは資格や経験値では測れないため、自身のポータブルスキルが一体どのくらいなのか判断するのに悩む人も多いでしょう。そんな時は、自分のポータブルスキルをチェックできる「ポータブルスキル診断」を行うのがおすすめです。年齢や職種、経歴などを入力し、各質問に答えるだけで、わかりやすくレーダーチャートで判定してくれます。自分のポータブルスキルを分析することで「対課題力」「対自分力」「対人力」を客観的に見ることができ、参考になるでしょう。
ポータブルスキル診断を行ったら、その結果をノートやレジュメに書き起こして活用してみましょう。具体的なエピソードがあれば振り返り、課題解決のために行ったアクションなどを思い返します。ポータブルスキルを向上するためには、PDCAサイクルと同じように自身の経験をどのように生かすかを考えなければなりません。自分の得意分野にフォーカスして考えてみることが重要です。就職活動の時に行なった自己分析をイメージすると良いかもしれません。そのためにも、ポータブルスキル診断を使って、「自分の得意」がどんな仕事に活かせるかを確認するのが良いでしょう。
新型コロナウイルスの発生により、様々な業界や企業が打撃を受けました。多くの人のキャリアにも影響を与え、今まで安泰とされていた大手企業でさえ経営危機に陥るなど予測困難な時代です。将来が不安定な現代こそ、どの業界や職種に行っても役立つポータブルスキルは必要不可欠なスキルになってくることでしょう。ますますIOT化やグローバル化が加速していく社会において、ポータブルスキルを高めることは厳しい競争社会に勝ち抜くための手助けになります。ぜひ、活用してみてくださいね。
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