記事更新日:2021年04月22日 | 初回公開日:2021年04月19日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報インターナルコミュニケーションとは、組織内における広報活動のことです。欧米ではインターナルコミュニケーションを「従業員の知識、態度、行動に体系的に影響を及ぼすコミュニケーション行動を計画的に行うこと」と定義することが多く、知識だけではなく態度・行動が含まれている点が特徴的です。一般に、企業が継続的に成長していくためには、社員全員が共通の意識を持って行動することが重要です。インターナルコミュニケーションにおける情報伝達は、そのために大変重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
インターナルコミュニケーションという言葉は、近年の組織開発の注目の高まりに伴い、耳にする機会が増えてきました。組織開発とは、従業員同士の関係性に働きかけることで個人のパフォーマンスを最大化させる取組みです。インターナルコミュニケーションは、社員へ適切に情報発信をし、コミュニケーションを誘引することで、組織への一体感や帰属意識を生み出します。トップダウンでの情報伝達にとどまらず社員同士のコミュニケーションを活性化させる活動として、注目が高まっているのです。
インターナルコミュニケーションを実施するの目的の1つ目は、経営者の意見を組織に確実に伝えるためです。一般に、企業理念や経営ビジョンは経営陣が中心となって決定されます。これを広く一般社員にも正しく共有し日々の業務に落とし込むためには、継続的なメッセージ発信が有効でしょう。まずは経営者から一般社員へのトップダウン・コミュニケーションを充実させることで、理念の浸透、社員の共通認識の醸成を行うことができます。
インターナルコミュニケーションの目的の2つ目は、一社員の意見を広く組織や経営者に伝えるためです。どの組織でも起こりがちな課題として、現場の要望を経営陣が把握できていないことがあります。現場の要望を具体的な環境改善に繋げるためには、現場からトップに声が伝わりやすくなる仕組みを整えることが大切です。トップダウンとボトムアップ、両方のコミュニケーションをバランスよく機能させるため、インターナルコミュニケーションをうまく活用していきましょう。
インターナルコミュニケーションを実施する目的の3つ目は、社員同士の理解や連携を深めるためです。会社が大きくなればなるほど、別のチーム・部署での取り組みが見えにくくなってしまいます。社内の情報発信が活性化すれば、他の部署、ひいては会社全体の動きを理解することができます。成功事例・失敗事例を全社で共有することで、業務の効率化につながる可能性もありますね。また社員のプライベートな一面を知ることで、個人的な交流を生むことも可能でしょう。
インターナルコミュニケーションを推進するメリットの一点目は、社員のモチベーションアップが期待できるという点です。企業として自社の商品やサービスの価値を高めていくには、社員のモチベーションを高めることが欠かせません。その点、インターナルコミュニケーションは会社と社員とのエンゲージメント(つながり)を作ることを目的とした取り組みです。コミュニケーションの活性化により、日常の業務への見方が変わることもあり、社員のやる気、活力を高める効果が期待できます。
インターナルコミュニケーションを推進するメリットの二点目は、会社の理念を浸透させられるという点です。前述の実施目的でも挙げた通り、インターナルコミュニケーションを通して経営者の意見をや会社の方針・スロ=ガンなどを繰り返し広報することが可能になります。社員は定期的な発信を受けて理念の背景や包含する意味について理解が深められ、日々の業務にも落とし込みやすくなるでしょう。このように、インターナルコミュニケーションは、会社の理念をより深く浸透させ、組織風土の醸成にも寄与します。
インターナルコミュニケーションのメリットの三点目は、他部署のメンバーの情報を得ることができるという点です。大きな企業が体では自分の部署以外の取り組みや、社員の人となりを知ることは難しくなりがちです。しかし、インターナルコミュニケーションの実施によって、それぞれのメンバーから情報を得ることで、組織全体の情報共有が進みやすくなります。全体的に社内の風通しが良くなり、組織横断での連携・協業案件の発生も期待できるかもしれません。
インターナルコミュニケーションのメリットの四点目は、離職率が低減するという点です。日常業務へのモチベーションが高まるというのは前述の通りですが、一般に、タテ・ヨコの意見交換が活発な企業では社員の不満が解決されやすく、良好な職場環境が実現できると言われています。インターナルコミュニケーションによって経営陣の意見をより良く理解でき、同僚との交流がさらに活性化すれば、社員満足度の向上も期待できるでしょう。
インターナルコミュニケーションに取り組むメリットの五点目として、経営者と社員が相互に信頼を育むことができるという点があります。経営者と一般社員はコミュニケーションの機会も少なく、お互いの意見や状況は異なっていることがほとんどです。そのような中で、インターナルコミュニケーションにより定期的に複数の立場の社員の生の声を発信することは、相互理解を深め、信頼を育んでいくことに繋がります。例えば、社内報で時々社長のプライベートな一面を伝えることで、より親近感が感じられる、といった効果も期待できるでしょう。
インターナルコミュニケーションを実施していく中で注意すべき点は、価値観の押し付けにならないようにする、ということです。特に、イベントなどに強制的に参加させるという方法は、その施策が一時的なもので終わってしまう可能性が高くお薦めできません。インターナルコミュニケーションを成功させるためには、社員一人ひとりになぜこの活動が必要なのかを改めて伝え、理解してもらうことが大切です。理解が深まれば、強制的、一時的ではなく社員の自発的な協力や参加を引き出すことができるでしょう。
さらに、インターナルコミュニケーションを推進する際は、社員一人ひとりが異なる組織への考え方、価値観を持っているという点を改めて注意しておくべきでしょう。その社員が置かれている状況やスタンスにより、社内コミュニケーションへの関与度合は様々です。そもそも適切な度合に決まった答えはないため、インターナルコミュニケーションを実施する側としては、社員それぞれが自分にあった度合、方法で参加できる機会を提供していきたいものです。個人によって関与度合や方法を選べる活動が望ましいでしょう。
インターナルコミュニケーションを導入する具体的な方法としては、社内報やブログの運営が一般的です。最近ではWebメディアを利用したものが主流で、社内報の場合も紙面だけでなくWebで配信し、紙面から各種コンテンツへのアクセスを促す事例もあります。また、社内向けブログは月に1度程度発行の社内報よりもさらに高い頻度で更新するケースが多いでしょう。これらは社内情報を正確に共有するだけでなく、社員が気になっているトピックスを掴んだ、読まれる企画を準備することが重要です。
インターナルコミュニケーションの導入方法として、社内向けイベントも定番の方法の一つです。経営方針の伝達、社員同士のコミュニケーション活性化、など目的に応じて人事・総務など各関係部署と連携しながらイベントを企画しましょう。年度初めの全社総会やキックオフミーティングで社員の意識を高めたり、定期的にファミリーデイなど家族を巻き込んだ交流・慰労を図ったり、など方法は様々です。近年はオンラインでも、テレビ会議機能を利用して全社員が参加するケースもあります。
インターナルコミュニケーションの導入方法としてはさらに、社内で勉強会を実施するというパターンも有効でしょう。勉強会のテーマは何でも構いません。業務に直結するものだけでなく、実用に近い金融や語学・ボールペン字講座など、社員が興味を持ってくれそうな内容を連続的に開催するのもお勧めです。前述の社内向けイベントの延長線として、全社総会のプログラムとして著名人を招いてのセミナー研修を設定する企業も出てきています。これらは社員の自己啓発意欲を高めると共に、共通の話題を設定することに繋がります。
インターナルコミュニケーションを実施し効果が出ている事例として、西武ホールディングスでは表彰制度・褒めの仕組み化に取り組んでいます。社員のモチベーションの向上のため、グループビジョンに基づいた優れた取り組みを表彰する「チームほほえみ賞」などを設定。ビジョンに合致した良い仕事を実践したメンバーに対し提示 する「Good Job カード」は、3 年間で約 8600 枚の実績が生まれ、モチベーションアップやビジョン浸透の効果が出ているようです。
NTT データでは、社長自ら「脱・大企業病」を掲げ、新たなビジョンへの参画意識を高めるプロジェクトを実施しました。これは2年の年月をかけ年齢や階層別のコミュニケーションと全体コミュニケーションを交互に展開されるもので、100人規模のセッションが合計 19 回開催され、新ビジョンに対する理解が深まることとなりました。理念やビジョンを組織に浸透させるためには、「自分ごと」化のプロセスを大切にし、あえて手間暇をかけることも重要だといえるでしょう。
インターナルコミュニケーションは、単なる社内広報・情報伝達にとどまらず、組織全体の変革を促す活動だといえます。そのためには、導入の際には、本記事で述べたような目的や方法、得たいメリットを具体的にイメージしておくことが大切です。昨今の働き方の多様化により、個人の自律性が高まっていく現代だからこそ、エンゲージメントは組織・個人双方にとって重要な観点となっています。インターナルコミュニケーションを効果的に活用し、組織の活性化を推進していきましょう。
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