記事更新日:2021年09月16日 | 初回公開日:2021年03月11日
用語集 外国人採用・雇用 人事・労務お役立ち情報 グローバル用語解説クリティカルシンキングは、直訳すると批判的思考となります。それは感情や主観に流されずに物事を判断しようする思考プロセスのことです。自分の考えや意見に客観性を持たせるための手法であり、アメリカの教育界で広がりました。クリティカルシンキングでは、物事について考える際「なぜなのか」、「本当に正しいか」といった第三者的な問いを行います。この手法は教育の世界だけではなく、ビジネスの世界でも注目されているのです。
知識の詰め込み教育の反省、つまり与えられたものを鵜呑みにする方法の見直しとして、クリティカルシンキングが誕生。そしてビジネス界でもその効果が評価され導入されました。クリティカルシンキングにおける「批判」は、必ずしも否定を意味するでのはありません。重要なのは、「なぜ」「どうして」「本当なのか」といった疑問を常に忘れないことです。クリティカルシンキングにより、客観的な判断や決断ができるようになるのです。
クリティカルシンキングと並んで有名な思考法が、ロジカルシンキングです。一見よく似ているように見受けられますが、両者には明確な違いがあります。ロジカルシンキングとは、ある問いを立て、根拠を用いて論理的に結論を導き出すものです。問いについて得られた結論の根拠見出す一方向の論理となります。それに対して、何度も何度も結論や根拠、問いについても疑問視し、より精度の高いものに仕上げていくのがクリティカルシンキングです。
クリティカルシンキングでは、物事について考える際、「なぜなのか」「本当に正しいか」といった批判的な問いを行います。自分の意見に対して、「間違っているかもしれない」という批判的な視点を持ち続けることで、より実践的な意見へと近づけていくことができます。クリティカルシンキングにおける「批判」は、対象を否定することではありません。重要なのは、「なぜ」「どうして」「本当なのか」といった疑問を忘れないことです。
ビジネスの世界でクリティカルシンキングが注目されるようになった背景に、価値観の多様化があります。人々が異なる考え方や価値観を持つようになり、これまで正しいと考えられてきたものが、通用しなくなることが頻繁に起こるようになりました。1つの基準に合わせているだけでは、ビジネスを成功させることはできなくなっています。こうした時代の変化のなかで、本質を見極める思考法であるクリティカルシンキングが重要性を増しているのです。
ビジネス環境が目まぐるしく変化する中で、経営努力を怠り、あぐらをかいているとどうなるでしょうか。新たな技術開発に乗り遅れたり、異業種や海外企業などの参入により不測の事態に陥ったりすることも考えられます。昨日まで軌道に乗っていた事業やビジネスが、明日も順調だという保証はどこにもないのです。変化についていくためには、クリティカルシンキングによって問題点を洗い出し、対策を練り実行することで企業体質強化を図る事です。
クリティカルシンキングのビジネス活用の例として、例えば営業の課題である顧客満足の向上というテーマを考えてみましょう。売上増は、必ずしも顧客訪問頻度や広告の露出度に比例するわけではありません。顧客は第一に不満や不安を取り除いてもらえることに代価を支払うのであって、営業は、顧客の抱える問題・課題を解決する「問題解決業」なのではないでしょうか。このような問題解決にこそ、クリティカルシンキングが役に立ちます。
クリティカルシンキングは、課題に対して周りの意見や前例にとらわれず、本質を見抜いて最適な解決策を導き出すための方法です。クリティカルシンキングを社員に訓練させることで、主体的な社員を育てることが可能になります。主体的な社員を育てることで、会社はこれまで気が付かなかった課題や選択肢の発見ができるようになるのです。新しい角度から課題を見つめ、正しい情報を取捨選択ができる社員は会社にとって財産といえるでしょう。
一般論ですが、問題の解決方法としてどれだけ素晴らしい方法に見えたとしても、何らかの欠陥や不足があるものです。しかし、そうした「足りない部分」を補い、優れた方法に変えていくことはできます。クリティカルシンキングによって、物事や意見の矛盾や漏れを見つけ出すことができ、無駄な議論や余計な情報を切り離すことで、議論が簡潔にもなります。クリティカルシンキングには、問題解決能力が身に付くというメリットがあります。
クリティカルシンキングによって、「なぜこうなっているのか」「これは本当に正しいのか」といった疑問を持つことで、主観的ではなく、客観的な考えを持てるようになります。また、実際には必要のない論拠やデータを取り除き、本当に重要な情報だけを取り出すことにも役立ちます。不要な情報を減らすことができれば、議論や意見を本質的なものへと近づけることが可能に。クリティカルシンキングは、物事の本質を見極める思考プロセスなのです。
クリティカルシンキングでは、ある意見や考え方について疑問を投げかけます。例えば、社員の残業が増えた場合に、単純に人員増で対応するのではなく、作業の効率化に目を向けたり、作業そのものの要否判断するなど。現状のあり方に疑問を呈し、そのままでは1つの対応策しかないと思える問題に、新しい発想で解決法を見出せる可能性があるのです。新しい選択肢が必ずしも最良の答えとは限りませんが、それぞれを比較することでより望ましい結果を導くことができるでしょう。
クリティカルシンキングを実践する上で、重要な要素は「問い続ける」という点です。目の前の問題を解決するために思考し、そこから行動をしたなら、「本当にこの方法が最善だったか」「どこかに間違いはなかったか」を考えることも重要です。こうすることで間違っていた時にすぐに方向転換ができます。絶え間なく変化するビジネスの世界では、1つの課題を解決しても、すぐに別の課題が見えてくるケースも珍しくありません。「問い続ける」ことが、より良い結果を生むのです。
批判的思考というものは、決して何かの物事を否定しようとする営みではありません。課題に疑問を投げかけて、より本質的な事柄に歩み寄ろうとする思考法なのです。クリティカルシンキングの特徴には、「本来考えるべき課題を押さえる」、「論理の前提を疑う」、「思考の偏りに気づく」といった要素があります。たとえば、教育法の見直しといったテーマの場合、「そもそも人は教育されるべきものなのか?」といった根幹から考えて、本質に迫っていくことも重要なことなのです。
クリティカルシンキングを進めていくには、まずゴール(目標地点)を明確にします。目の前の問題点に対して、何をいつまでに達成したいかというようなことですね。次は現状分析ですが、目標達成のために現状の細部を調査し、そこで解決したい課題を見つけ出します。そこで現状とゴールとの乖離点などを探ります。ここまでは主に思考のプロセスといえるでしょう。そのうえでアクションプランの作成なのですが、「どのように実践していくか」を意識しながらプランニングを行います。
論理思考の解説本をいくつか紹介します。まずグロービスMBAクリティカル・シンキングですが、著者は仕事の生産性を上げるために何が必要かという観点で現場観察を続けました。その結果、ビジネスマンが仕事を進めていくうえでクリティカルシンキングを役立てる方法を説いています。具体的には、テクニックを含む論理思考の方法論と正しく思考するための心構えについて解説。これらを組み合わせて、ビジネスにおいて、物事を正しい方法で正しいレベルまで考える方法を解説しています。
次に「実践型クリティカルシンキング」という本ですが、この思考法を、3ステップに分けて授業形式で演習を交えながら紹介しています。①目指すものを定義する②何が問題なのかクリアにする③打ち手を考える、となります。とことん考え、何度もやり直し、なんとかして自分の納得する答えにたどり着く、「自ら考える力」を鍛え抜くことが必要と説いています。そして、考える力こそが絶対的な正解のない激動の21世紀を生き抜いていくために必要なスキルなのであると解説しています。
クリティカル・シンキングはスタート時点で課題がはっきりしない問題に使われることが多いといえます。それで問題解決への全体設計に重きを置いているのです。「クリティカル・シンキングがよくわかる本」は、クリティカル・シンキングの思考法からツールの使い方から始まります。そしてビジネスに活用する手法までを図表を使いながらわかりやすく解説した入門書です。表面にあらわれていない問題や課題を分析する解説を、初心者にもわかり易いようにビジュアル化されています。
ビジネスに有用といわれるクリティカルシンキング。ここまで見てきたように、なかなか奥深く、身につけるには長い時間のかかるものではないでしょうか。しかし、クリティカルシンキングを実践できるようになれば、思考力は一段とアップするはずです。ロジカルシンキングと合わせて、ビジネス上の問題点を解決していくには、本質に近づいた議論を展開しなければなりません。ぜひ、クリティカルシンキングを実践して、ビジネス上の問題解決法の本質を見抜く力をつけましょう。
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