記事更新日:2022年02月18日 | 初回公開日:2022年02月17日
グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報 グローバル経済週休3日制とは、週3日休むことができる制度のこと。近年働き方改革が提唱されるようになり、休暇の見直しがされるようになりました。土曜日と日曜日に休む週休2日制が一般的とされていますが、週休3日制では週の中でもう1日休む日を作ることができます。大企業を中心に、少しずつ浸透されており、導入している企業も増えてきました。最近では、ワークライフバランスを重視する従業員が多いようです。週休3日制を導入している企業は魅力的に見えるため、人材の確保を行う上で役に立つでしょう。
週休3日制を取り入れる必要性には、日本の生産性を向上させることが挙げられます。日本では、経済低迷が長引いています。OECD加盟国の労働生産性の比較をみると、日本の労働生産性は加盟している37か国中26位と低い位置にあることが分かります。日本マイクロソフトは、週休3日制を取り入れたところ生産性が40%上がったという結果を公表しました。1日仕事が少ない状態にすることで、業務の効率化を行うことができるのです。
週休3日制を取り入れるのには、いくつかのメリットがあります。まず人手不足が解消されることが、1つのメリットです。先ほどの通り、近年ワークライフバランスがより取りやすい職場で働きたいと考える従業員が増えてきています。週休3日制を取り入れていると、ホワイトな職場であると感じる人が多いかもしれません。魅力的な会社作りができると、企業への応募数が増え、採用力が向上します。それだけでなく、離職率を下げることにも繋がり、人材流出のリスクを最小限に抑えることも可能なのです。
週休3日制を取り入れると従業員のスキルが向上します。休日が1日増えると、従業員は仕事以外のプライベートに時間を割くことができるようになります。休日を有効活用することで、スキルアップやキャリアアップを図ることが可能となるのです。様々なセミナーに参加したり、資格の勉強に時間を当てることができるでしょう。自社以外での時間が増えると、社外の人間とのコミュニケーションを通じて思考が豊かになり、様々なアイディアが浮かんでくるかもしれません。
従業員が働きやすい職場を作ることができるのも、週休3日制を取り入れるメリットです。育児や介護を理由に退職や休職を余儀なくされることが度々あります。それは、仕事にかけられる時間が他の人と比べて少なくなってしまうからです。しかしながら、週休3日制では1日休みが増えるため、プライベートにかけられる時間も多くなります。これまで以上に、仕事とプライベートの両立がしやすくなり、結果として従業員が働きやすい職場を作れるのです。
週休3日制を取り入れると、コストを削減することにも繋がります。従業員の出社日が1日減るだけで、会社が負担しなければならない光熱費などの会社維持費を減らすことができるからです。実際に、週休3日制を試験的に取り入れた日本マイクロソフト株式会社では、印刷用紙や電力消費量の削減に繋がったことが報告されています。これらを受けて、社員の9割が週休3日制の導入を肯定的に捉えているのです。コストを削減できると、社員に対して使うことのできるコストが増えることも示唆します。
週休3日制を取り入れるメリットがある一方で、デメリットも存在します。週休3日制では、これまで通りに業務をこなせない可能性があります。1日休む日が増えるということは、実労働時間が減少するということです。これまでと同じように全ての業務を終わらせようとすると、少し無理があるかもしれません。特に残業が多かった会社では、労働時間の減少が会社に大きな影響を与える可能性が大いにあります。こなせなかった作業をどのようにして補うべきか、各企業で検討すべきかもしれません。
ビジネスチャンスを逃す可能性があることも、週休3日制を取り入れるデメリットです。労働日数と時間の減少は、営業担当の人にとっては大きな障害となるかもしれません。というのも、週休2日制の企業がまだまだ一般的とされているからです。取引先や顧客からの問い合わせに対してタイムラグが生じてしまうと、他の企業に対応をお願いしてしまう可能性があります。結果として、競合他社にビジネスチャンスを奪われることに繋がってしまうかもしれません。
週休3日制を取り入れると、従業員同士の関係の構築が難しくなるかもしれません。従業員同士、そして部下と上司間におけるコミュニケーション量が減少してしまうからです。コミュニケーション量が不足していると、相手を理解することが困難となり、結果として良好な関係を築くのを妨げてしまう可能性があります。しかしながら、仕事をスムーズに進めていくためには、人間関係が円滑であることが求められます。チャットなどのコミュニケーションツールを使用し、休日でも連絡を取り合える環境作りが大切かもしれません。
週休3日制を導入する際には、いくつかの検討事項があります。まず導入目的を決定し、確認を行いましょう。闇雲に週休3日制を取り入れても、先ほど取り上げたようなメリットには繋がりません。何を目的として、2日ではなく3日の休暇を取るのか確認しましょう。例えば、育児や介護をしやすくするためにワークライフバランスを整える、残業を減らすなどが挙げられます。導入する目的が明確であれば、デメリットに繋がってしまうこともないでしょう。
対象者の選定も、週休3日制を導入時に検討すべき事項です。従業員全員が週休3日制の対象になるのか、あるいは希望者だけにするのか考えましょう。中には仕事を生きがいとしている人や、できるだけたくさん働きたいと考えている人もいるかもしれません。そのような場合に従業員全員を対象にしてしまうと、不満を持つ人がでてくる可能性があります。週休3日制を導入する際には、従業員に対して詳しい説明を行い、従業員の声を聞くことも大切です。
週休3日制を導入する際には、目的に合わせた制度を取り入れることが大切です。週休3日制には主に3つのパターンがあります。1つ目が、週の労働時間を減らすが給料を以前と同じにするパターン。2つ目が、週の労働時間減少に合わせて給料も減らすパターン。3つ目が、週の労働時間を週5日働いている時と同じにし、給料も以前と同じにするパターンです。先ほど決めた導入目的のためにはどのパターンが最適なのか、自社ごとに考えましょう。
賃金や有休休暇の査定も、週休3日制を導入する際の検討事項です。先ほどの3パターンを参考とし、給与を減らすのか、今までと同じ給与を与えるのか考える必要があります。週休3日制では労働日数が減るため、日給制や時間給制によって給与を計算している場合は、最低保証額の変動に留意しましょう。また、有給休暇の見直しも求められます。年次有給休暇を採用する場合、週休2日と週休3日どちらも同じ付与日数にしなければなりません。その点に考慮し、有給休暇の日数を決める必要があります。
すでに週休3日制を導入している企業はいくつかあります。日本マイクロソフトも、週休3日制を取り入れている会社です。日本マイクロソフトでは、2019年と2020年に試験的に週休3日制を採用しました。土日の祝日に加え、金曜日も休業日としたのです。導入した結果、印刷枚数や光熱費を抑えられただけでなく、プライベートの充実を図ることができる従業員が増えました。これらのメリットを実感したことによって、9割を超える従業員が週休3日制の導入に賛同しています。
ユニクロやGUを経営している株式会社ファーストリテイリングも、週休3日制を導入している企業です。ファーストリテイリングでは、1日の労働時間を10時間とし、給与を以前と変えないパターンの週休3日制を取り入れました。労働時間を10時間とすることで、週5日働いていた時と同じ労働時間にすることができるのです。給与を維持しながら週3日プライベートの時間を取ることができるため、仕事と両立したい従業員からの満足度が高いそうです。
週休3日制を導入している企業には、株式会社みずほフィナンシャルグループも含まれます。みずほフィナンシャルグループでは、1日の労働時間を8時間とし、それに応じて給与も減らすパターンの週休3日制を取り入れています。そのため週休3日制を取るかはどうかは、社員が選択できるような仕組みとなっているのです。また週休4日制を選択することもできます。従業員にとって、プライベートと仕事の両立がしやすい仕組みが作られているのです。
日本KFCホールディングス株式会社も、週休3日制を導入しています。日本KFCホールディングスでは、2016年から「時間限定社員」という形で週休3日制を取り入れました。1週間における労働時間の目安を20時間とし、1日の労働時間と勤務日数を従業員が各自決めることができます。週4日出勤で1日の労働時間を5時間とするだけでなく、週3日出勤で1日の労働時間を8時間とすることも可能です。育児との両立もしやすく、従業員の離職率低下に繋がるとしています。
週休3日制を取り入れると、従業員のスキルが向上するだけでなく離職率の低下にも繋がります。結果として、日本全体の生産性の向上が伺えるでしょう。一方で、週休3日制ではこれまでと同じように業務をこなすことが難しくなるかもしれません。そのため、週休3日制を取り入れる場合は、なぜ2日ではないのか3日の休みを確保する導入目的を明確にしましょう。週休3日制のデメリットを補うためには、様々なことを細かく検討することが大切です。週休3日制を取り入れて、従業員が働きやすい職場作りをしましょう。
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