みなし大企業とは【メリットや得られる補助金などについて解説します】

記事更新日:2022年08月10日 初回公開日:2022年08月08日

用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報
近年の日本企業の99%以上が中小企業であると言われています。つまり、日本企業の中枢を中小企業が担っているということです。中小企業を応援すべく政府は多くの支援を中小企業や今回紹介するみなし大企業に対して行なっています。みなし大企業とは何なのか、そしてみなし大企業が得ることのできる助成金や補助金を本記事にてご紹介します。また、みなし大企業か中小企業かによって受けられる援助の金額や内容も変わってきます。是非自社がどちらに属するのかも本記事を参考にご理解下さい。中小企業やみなし大企業の経営者の方は是非ご一読をお願いします。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

みなし大企業とは

大企業の傘下にある中小企業

みなし大企業とは、大企業の傘下にある中小企業を指します。持ち株などの関係で中小企業者以外による意思決定が可能であり、実質的に大企業が支配している企業を言います。つまり、規模的に言えば大企業ですが中小企業基本法においては中小企業と定められます。その性質上、一般的にみなし大企業は中小企業が受けられる補助金や助成金の申請条件に対して支援の対象から外れることがあります。また、法人税の軽減措置は適用されません。そのため、みなし大企業が補助金や助成金を申請するには対象に含まれているかよく確認をする必要があります。

みなし大企業の法律上の定義

2019年の税制改正による定義の変化

2019年度の税制改革案の中にある租税特別措置法によってみなし大企業の定義は変化しました。みなし大企業は、資本金または出資金が1億円以下の法人であり、かつ以下のいずれかの条件を満たす必要があります。①発行済み株式または出資の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている。②発行済み株式または出資の3分の2以上を大規模法人に所有されている。つまり、どれくらい大企業から出資や株式の保有によるサポートを受けているかが重要であるということです。

大企業や中小企業との定義の違い

大企業は、実は法的な定義は存在せず、中小企業以外の企業のことを指します。しかし、みなし大企業の要件に出てくる大規模法人には資本金や出資が1億円以上、大法人の100%子法人などのいくつかの定義があります。中小企業は中小企業基本法によって業種ごとに細かく定義づけられています。つまり、みなし大企業は中小企業基本法によって定義された中小企業の上に、新たな租税特別措置法によって一定の範囲の制限が加えられたものと言えるでしょう。

みなし大企業のメリット

規模が小さく動きやすい

みなし大企業のメリットとして、規模が小さく動きやすいという点が挙げられます。みなし大企業は大企業ほどの規模はないため、複数の役員の間でのやり取りが少なく、意思決定が迅速であると言えます。また、会社の規模が小さいために若い社員の活躍の機会が多い点も良い点です。大規模法人の傘下にあるため業績も安定しやすい上に職歴の浅い若手社員まで活躍する可能性がある点で、中小企業にも大企業にもない魅力があると言えるでしょう。

財政的に安定している

みなし大企業のメリットとして、財政的に安定しているという点が挙げられます。みなし大企業は基本的には中小企業に区分されますが、大企業からの出資を受けます。そのため十分な資本金があるため基盤が安定していると言えます。そのため従業員の待遇も一般的な中小企業と比較して良い傾向にあると言えます。つまり、大企業に劣らない社員や従業員としての安定性があると言えるでしょう。

みなし大企業のデメリット

親会社の方針に従わなくてはならない

みなし大企業のデメリットとして親会社の方針に従わなくてはならないという点が挙げられます。基本的にはみなし大企業の経営方針は親会社に追従しなければなりません。というのも、みなし大企業の株式の半分以上を親会社である大企業が保有しており、経営の意思決定権を持っているからです。つまり、新しい事業を行うには社内だけでの意思で行うことはできず、親会社を通さなければなりません。あくまでみなし大企業は大企業の傘下であるということに注意しておかなければなりません。

親会社の業績に影響を受ける

みなし大企業のデメリットとして、親会社の業績に影響を受けるという点が挙げられます。親会社の経営が悪化した場合、子会社または孫会社であるみなし大企業は吸収や合併、売却される恐れがあります。また、親会社が不祥事を起こした場合に風評被害を受けることで売り上げが下がる可能性があります。つまり、親会社に意思決定が委ねられているために自らが経営の立て直しを図るのが難しく、ほとんどが親会社の業績に左右されてしまうというデメリットがあると言えます。

一部補助金を受けられない

みなし大企業のデメリットとして一部補助金を受けられないという点が挙げられます。中小企業が受けられることのできる補助金がみなし大企業が受けられないことは頻繁にあります。というのも、先にも述べたようにみなし大企業は親会社からの出資を受けており、補助を受ける必要はないと考えられるからです。そもそもみなし大企業という定義づけはこうした支援を制限するために作られました。実際に補助金の募集要項の中にはみなし台企業は除くという規定が記載されている場合が多いです。

みなし大企業の得られる助成金

職場定着支援助成金

みなし大企業の得られる助成金として職場定着支援助成金が挙げられます。職場定着支援助成金とは、離職率の低下を目指して雇用管理制度を導入する企業を支援する助成金です。雇用管理制度の内容は多岐に渡ります。具体的には人事の評価やメンターの配属、社員研修などに関する制度を指します。この助成金は制度をつくった場合と目標が達成された場合の二種類に分けられます。制度が新たに創設されると一つにつき10万円の助成が得られ、運用後に実際に離職率が低下した場合には60万円支給されます。

トライアル雇用助成金

みなし大企業の得られる助成金としてトライアル雇用助成金も挙げられます。トライアル雇用とは、ハローワークの紹介する人材を短期間だけ使用する制度を指します。トライアル雇用助成金の目的は、就業経験の求職者の常時雇用を推進するものです。よって、求職者がトライアル雇用を希望した場合に適用され、雇用主はトライアル雇用終了後に最大12万円の助成を得ることができます。他にもトライアル雇用支給の条件は細かく規定されているため、よく確認する必要があります。

雇用調整助成金

みなし大企業の得られる助成金として雇用調整助成金も挙げられます。雇用調整助成金とは、景気変動による財政面での悪化により事業の縮小をした事業者が得られる助成金のことを指します。この助成金の目的は雇用の調整による一時的な従業員の雇用の維持です。具体的には休業手当や教育訓練、出向の助成を想定しています。コロナ禍になってからはこの雇用調整助成金の必要性が高まり、政府は特例措置として上限額の引き上げ等の対策をとっています。

三年以内既婚者等採用定着奨励金

みなし大企業の得られる助成金として三年以内既婚者等採用定着奨励金が挙げられます。三年以内既婚者採用定着奨励金とは、学校卒業後3年以内の既卒者や中退者の採用拡大を促進するための助成金制度です。これに該当する求人の募集をし、採用後一定期間社内に定着させた場合に事業主に対して奨励金を支給するというものです。定着した年数に支給額が異なり、1年毎に支給額を申請することができます。みなし大企業は中小企業に区分されるので、大企業の支給額よりも多く支給されます。

特定求職者雇用開発助成金

みなし大企業の得られる助成金として特定求職者雇用開発助成金が挙げられます。特定求職者雇用開発助成金とは、高齢者や障碍者をはじめとした就職困難者を継続して雇用するための助成金のことを指し、事業主に支給されます。ハローワークや民間の人材紹介を通して雇い入れ、継続して雇用するという確実性が認められた場合に支給条件を満たします。また、その際には求職者を雇用保険の被保険者であることも証明する必要があります。助成金額は対象の求職者や雇用年数によって細かく異なるので注意する必要があります。

みなし大企業の得られる補助金

IT導入補助金

みなし大企業の得られる補助金としてIT導入補助金が挙げられます。IT導入補助金は中小企業を中心に、自社で抱える課題の解決や業務の効率化のためのITツールへの投資を補助するものです。具体的にはITツールは業務効率化を図る、または業務のデータを分析するソフトウェア製品やクラウドサービスを指します。また、コンピュータやタブレットなどのハードウェアのレンタル費用も補助の対象に入ります。

事業継承補助金

みなし大企業の得られる補助金として事業継承補助金が挙げられます。事業継承補助金とは、事業継承を契機に新たな取り組みを行う中小企業を対象とした補助金制度を指します。近年では後継者不足が原因で廃業をしてしまう中小企業が増えてきています。そうした中で国として事業継続の支援をする施策が数々行われ、その一つが事業継承補助金です。事業継承にはいくつかの種類が存在し、その分類によって補助金額が変わります。補助対象となる経費も細かく記載されているので、同様に申請の際には項目をよく確認する必要があります。

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金

みなし大企業の得られる補助金としてものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金も挙げられます。これは生産性を向上させるための事業の設備投資を支援する補助金制度です。設備投資の例として、革新的サービスの開発、試作品開発や生産プロセスの改善のための設備などが挙げられます。この革新の種類も細かく分類されており、デジタル技術の革新や温室効果ガス削減の技術革新、グローバル展開への革新などがあります。その種類によって補助金額や条件が異なりますのでよく確認しておく必要があります。

まとめ

みなし大企業を理解し補助金や助成金を活用しましょう

みなし大企業は、中小企業の区分でありながらも大企業同様の財政基盤が整っています。つまり、大企業として資金に余裕がありながらも中小企業として助成金や補助金をもらうことが可能です。みなし大企業が活用できる援助をよく理解し、効率的に経営をすることで会社を発展させていきましょう。また、同時にこの記事は自社が中小企業であるのかみなし大企業であるのかを調べることの重要性を示しています。これを機に自社の法律上の扱いを理解し、活用できる部分は積極的に活用しましょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら